特許制度の比較:台湾

    By Kevin CW Feng、Tsai Lee & Chen
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    現行の台湾特許法は、2013年版です。その後、何度か改正が行われましたが、審査制度の仕組みはほとんど変わっていません。しかし、改正案が国会に提出されれば、台湾知的財産局(TIPO)は大きく変わることになります。改正案では、40条項が改正、29条項が追加、7条項が削除されており、2013年以来の最大の特許制度の変更となります。

    米国特許商標庁の特許審判部と商標審判部、および中国本土、韓国、日本、ドイツの同様の組織をモデルとして、TIPOは新たに特許審判・紛争審査委員会(patent appeal and dispute review committee:英語での正式名称は発表されていないため仮称)を設置する予定です。

    同委員会は、主に出願審査および特許無効それぞれの一次審決の承継についての管轄権を与えられます。

    委員会の機能と組織

    特許出願の初審後の「再審査」は廃止され、「特許審判」手続きに変更されます。特許審判では、拒絶された出願の審査に加えて、特許期間の延長申請、特許付与後の補正、その他のTIPOの手続き上の決定などを扱います。

    Kevin CW Feng Tsai Lee & Chen
    Kevin CW Feng
    アソシエイト弁理士
    Tsai Lee & Chen(台湾)

    特許審判の手続き期間中も、分割出願を提出することができます。出願人は、一次審査の期間中、および許可から3カ月間に加えて、拒絶審決が発行される前、あるいは許可審決の場合は3カ月以内であれば、審判期間中に分割出願の提出が認められています。

    委員会のもう1つの役割である紛争解決では、特許無効と特許期間延長の無効の訴訟に対処します。特許無効とは、1つまたは複数の特許請求項を取り消すことであり、特許期間延長の無効とは、延長された特許期間において誤って付与された特定の期間を取り消すことです。

    特許審査官や訴訟経験のある法律専門職員である3~5人の兼任委員で構成される委員会が、各訴訟を審査します。既存または潜在的な利害の対立がある場合、委員メンバーは審判から外されます。例えば、過去に一次審査で出願を拒絶した審査官は、当該訴訟が特許審判に移行する際に審判に参加することができません。

    さらに、特許審判あるいは紛争訴訟では、第三者の介入が可能です。実施権者や譲受人など、訴訟の結果に法的な利害関係がある当事者は、必要に応じて、訴訟手続きに参加することを要求するか、あるいは委員会によって訴訟手続きに参加するよう命じられる可能性があります。

    控訴、紛争解決

    出願人は、特許拒絶後、当該審決から2カ月以内に特許審判を請求することができます。委員会による審査に進む前に、「予備審査」の段階があり、審判請求書と共に、補正された一連の請求項が提案されます。予備審査は、日本の特許庁、韓国の特許庁、中国国家知識産権局と同様のもので、効率化を図るために設けられています。

    出願人が審査官の拒絶理由を受け入れ、それに基づき特許請求の範囲をさらに狭める場合、前回と同じ審査官が担当します。同じ審査官が出願の経緯すべてを一番よく理解しているため、合意に基づく譲歩の結果として、拒絶された出願がより迅速に許可されることが予想されます。

    一方、請求項の補正を行わずに上訴された拒絶出願の場合は、既定の手順に従って委員会による審査が行われます。

    特許無効に関する大きな変更点として、当事者主義が採用されます。これに基づくと、対立相手はもはや無効審判請求人とTIPOではありません。その代わりに、特許無効手続きは、無効審判請求人と特許権者との間の審判機関のような形で組織され、TIPOの委員会が中立的仲裁者としての役割を果たします。

    無効となった場合は、現在の書類のみの審査とは大きく違い、原則として口頭審理が義務付けられます。当事者が正当な理由を示さずに口頭審理を欠席すると、一方的な主張に基づく審決につながる可能性があります。必要に応じて、委員会は、事実、法律、証拠、および議題予定に関する問題を含む案件審査のスケジュールを作成することができます。さらに、審査委員は審決前に暫定的な意見を伝えることができます。

    特許権者は、無効訴訟における異議申立に対する防衛手段として特許権の範囲を狭めることが認められています。しかし、特許請求項に複数の変更がある場合、無効の証拠を審査すべき最新版がどれであるのか混乱する場合があります。改正案では、審査委員会はまず請求項補正を裁定する中間審決を出すことができます。請求項の妥当性についての最終審決は、後日行われます。中間審決後は、新規の証拠や証拠の組み合わせ、またはその他の請求項の補正は認められません。

    特許救済措置

    救済レベルを下げることは、改革の主な目的の1つです。特許審判あるいは紛争訴訟のいずれについても、当事者は、委員会の不利な審決に対して、知的財産及び商事裁判所(IPCC)に直接提訴することができます。台湾経済部における行政不服審査の中間段階が廃止される予定です。最終的には、特許救済制度は、TIPOの範囲を超えた、IPCCの第1段階と最高裁の第2段階のみで構成されることになります。

    もう1つの大きな変更点は、裁判における準拠手続法です。IPCCは、特許審判や紛争訴訟に対して専属管轄権を有しています。これらの訴訟を審理するために、IPCCは行政訴訟手続きではなく、民事訴訟手続きの規則を導入し、運用しています。特許審判の審決では、TIPOが被告となる一方で、紛争解決の審理においては、相手方(通常は特許権者)が被告のままです。このような場合、弁護士や弁理士による弁護が義務付けられています。

    特許権紛争

    現在、特許または出願の実際の所有者または正当な所有者をめぐる紛争では、TIPOによる特許無効手続きまたは裁判所での民事訴訟に訴えることができます。

    過去の複数の訴訟において、裁判所は、所有権の問題を解決する執行機関の役割を批判しました。TIPOは、知的財産関連の問題について専門知識を有する政府唯一の専門機関です。よって、特許の審査手続き、付与、有効性を判断するのに最も適した立場にあります。

    しかし、付与された特許や発明の所有権に関して言えば、政府機関であるTIPOは、捜査権を与えられている裁判所とは全く違います。従って、TIPOは、所有権問題を解決するのに適した組織ではありません。改正案によれば、特許所有権紛争は今後、裁判所、または和解、仲裁、その他の裁判外紛争解決手続によってのみ解決されることになります。

    所有権紛争が裁判で係争中である場合、当事者は(法的措置後の非貨幣資産の回復のために)暫定的差止命令、または(暫定的[当面の]法律関係の確立のために)現状維持命令を申請することができます。また、必要に応じてTIPOが行う関連手続を保留するために、差止命令および命令をTIPOに提出することができます。

    所有権紛争が継続している場合、記録されている名義上の所有者は、裁判所の判決または裁判外紛争解決手続による決定が確定するまでは、当該特許を放棄しないものとします。

    サンセット条項

    新特許法の施行後も、係争中および確定済みの再審査案件は、特許付与後の補正、特許期間延長、特許無効、実用新案拒絶、その他の手続き上の決定などの決着済み案件と同じく、旧法に引き続き準拠するものとします。裁判所や経済部からTIPOに差し戻された未解決案件は、旧法に従って審査が再開されます。

    記載されている以外の未解決案件は、新法の対象となります。

    TSAI LEE & CHEN
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