零細・小規模企業等への債務返済について

By Shahid Khan そして Reena Asthana Khair、Kochhar & Co.
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1961年所得税法(Income Tax Act, 1961)の改正により、インド政府は、企業が零細・小規模企業(MSE)に対する債務返済を速やかに行うよう促す改正法を導入しました。この法改正は、対象となる日本企業および国内企業が相当な財政支援を受けることとなるため、前向きな一歩と言えます。

Shahid Khan
Shahid Khan
直接税を専門とするシニア・パートナー
Kochhar & Co.

事業目的のために発生した費用は、課税対象となる事業所得の計算する際に控除されます。発生主義に基づく会計方法では、費用は、実際に支払われた時点ではなく、支払期日が到来した時点で計上されますが、最近実施された所得税法第43B条の改正により、この慣行は変更されました。一部の控除可能な費用は、その支払い義務が発生する時期にかかわらず、実際に支払われた年度に限り計上されることとなります。

2023年財政法(Finance Act 2023)では、第43B条に新たに(h)項が追加されました。この項では、納税者が2006年中小零細企業開発法(Micro, Small and Medium Enterprises Development Act, 2006/MSMED法)に規定される期限を越えてMSEに対して支払い義務を負っている金額は、その支払い義務の発生時期にかかわらず、実際に返済した年度にのみ控除することができると規定されています。この改正の根底には、事業体によるMSEへの速やかな返済を促すことにより、MSEの財政的な安定性を強化するという狙いがあります。この法改正は、2024~25年評価年度以降に適用されるため、2023年4月1日以降にMSEに支払うべき金額から対象となります。

MSMED法第15条に基づき、MSEサプライヤーから商品またはサービスを購入する事業体は、当事者間で合意した日付までに支払いを行う法的義務を負います。ただし、この合意期間は、商品またはサービスの受領日から45日を越えることはできません。この期間に関して、両当事者の間で事前に合意されていない場合、購入事業体は受領日から15日以内に、MSEサプライヤーに対し支払いを行わなければなりません。

Reena Asthana Khair, Kochhar & Co
Reena Asthana Khair
間接税を専門とするシニア・パートナー
Kochhar & Co

商品またはサービスの受領日とは、商品の引き渡し日またはサービスの提供日をいいます。ただし、引き渡し日または提供日から15日以内に、購入事業体が対象商品またはサービスに関して、サプライヤーに対し書面により異議を申し立てた場合、受領日とはサプライヤーが当該異議申し立てを解決した日をいいます。

MSEは、設備投資額および年間売上高により定義されます。MSEには、設立根拠法を問わず、会社、共同組合、トラストおよび法人が含まれます。零細企業とは、設備投資額が1000万インドルピー(12万米ドル)以下、年間売上高5000万インドルピー以下の企業をいい、小規模企業とは、設備投資額が1億インドルピー以下、年間売上高5億インドルピー以下の企業をいいます。

この改正に起因して、法令遵守に関する問題が浮上しています。新たな規定は、零細企業または小規模企業として登録されているサプライヤーからの購入にしか適用されません。購入事業体は、MSMED法に基づくサプライヤーの状態に関する申告書をサプライヤーから取得したり、サプライヤーのMSE登録状況をUdyam Verifyにて確認したりすることができます。また、この新規定は、MSEへの前払金には適用されず、前払金は引き続き、支払期日が到来する年度に控除可能となります。さらに、この規定はMSEからの資本財の購入には適用されません。

この規定は、通常の評価における課税対象利益の計算に適用されますが、最低代替税の計算には適用されません。MSEに支払うべき金額に物品サービス税(GST)が含まれる場合で、GSTを費用として取り扱う仕入税額控除を購入事業体が請求しない場合、購入費用とGSTは実際に支払われた年度に控除可能となります。購入事業体がGSTを仕入税額控除として請求する場合、購入費用のみが支払期日が到来する年度に控除可能となります。

新規定の範囲内で行われる支払いについては、監査人がその税務監査報告書内で報告しなければなりません。

結論として、所得税法第43B条の規定の改正では、MSEから商品またはサービスを購入した場合、規定された15日または45日(該当する方)以内にMSEに支払いを行わなければ、支払い義務が発生した年度ではなく実際に支払われた年度にしか、購入費用の控除は認められなくなることが規定されています。これは、MSEに対し適時に支払いを行うことの重要性を強調しており、MSEを支援し維持するための広範囲にわたる公的な取り組みに則ったものです。

Shahid KhanはKochhar & Co.の直接税を専門とするシニア・パートナーであり、Reena Khairは間接税を専門とするシニア・パートナーです。

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