タイの贈収賄防止規則:簡潔な手引書

By Sakchai Limsiripothong、Pralakorn SiwawejとKorakod Jittimaporn、Weerawong、Chinnavat & Partners Ltd
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タイへの進出を視野に入れている日本企業にとって、同国の贈収賄防止法を明確に理解することは不可欠です。ビジネス上の振る舞いとして許されるものと、タイの法律で贈収賄に当たるものとの間には微妙な境界線があり、慎重な判断が求められます。そうした理解は、タイでの事業成功を目指す日本企業にとって極めて重要です。

現地の企業倫理に沿いつつ、これらの法律を遵守した事業運営を確保するには、単なる法令遵守にとどまらず、現地のパートナー、顧客、規制当局との信頼と尊敬を育むことが必要です。

本稿は、タイの贈収賄防止規制の主要な側面を日本企業に知っていただくことを目的として、賄賂に対する法的スタンス、民間部門と公的部門におけるその適用可能性、並びにビジネス上の接待として許容されるかどうかの区別について詳述し、リスク軽減とコンプライアンスに関するガイダンスを提供します。

何が賄賂に当たるのか?

Sakchai Limsiripothong
Sakchai Limsiripothong
パートナー
Weerawong, Chinnavat & Partners Ltd
バンコク
Eメール: sakchai.l@weerawongcp.com

タイで一般的に賄賂と考えられるのは、政府当局者や立法府の職員、司法関係者を含むさまざまな役人に対して、その職務に反する行動を起こさせることを意図して、あらゆる形態の利益を申し出たり、約束したりすることです。タイ刑法はこのような広範な定義を定めており、多種多様な形態の汚職を対象とし、その形態よりもむしろ行為の背後にある意図を重要視しています。例えば、有利な判決を得るために裁判官に金銭を贈ることや、契約承認と引き換えに政府高官に豪華な旅行を約束することが贈賄に当たります。

日本企業にとって、この概念は、地域的な違いはあるにせよ、なじみのある原則として映るかもしれません。日本の法律には、タイの法的枠組みには明確に反映されていない、特定の贈収賄防止規定が含まれています。一例として、日本の会社法では、取締役や監査役に不適切な職務を遂行させるために贈賄することを禁じています。

同様に、日本の金融商品取引法は、金融部門における汚職を対象として、金融商品取引業者の役員や職員を賄賂で買収することを違法と定めています。このような分野別の法律は、贈収賄防止に関するタイの法的スタンスが広範であるのとは対照的であり、両国の汚職への取り組み方の違いを浮き彫りにしています。

民間企業における贈収賄

Pralakorn Siwawej
Pralakorn Siwawej
パートナー
Weerawong, Chinnavat & Partners Ltd
バンコク
Eメール: pralakorn.s@weerawongcp.com

タイの贈収賄防止法は、公務員に対する贈賄を対象としていますが、そのような行為に民間部門の企業または個人が関与している場合も含まれます。これらの法律は、公務の遂行、放置、遅延など、公務員の行動に不適切な影響を与えるために有価物を提供、贈与、または約束する行為を犯罪としています。

これに加えて、民間部門の企業や個人が、政府機関との契約を獲得する際に不当な利益を得ることを目的として、入札プロセスの結果を変えるために贈収賄に関与したり、入札価格を適正価格より高くまたは低くするよう影響を与えたりすることも違法です。また、民間部門のいかなる企業や個人も、調達や供給管理の責任に関連した贈収賄を扇動、援助、またはそれらに参加することも違法です。これには、関係者に金銭的損害を与えることを目的とした違法な行為や不作為、調達や供給管理の職務の不正な履行または不履行が含まれます。

贈収賄防止法は、民間部門の企業または個人が約束や贈答を要求、受諾、申し出、または交換する状況には対応していませんが、そのような行為はタイ刑法の詐欺罪や横領罪など、他の刑事犯罪に該当する可能性があります。これらの行為が会社に損害を与えた場合でも、そのような行為に関与した個人が、法律の他の規定に基づいて法的責任を問われることがあります。

贈答とビジネス上の接待

タイは、2020年に発行された「国家公務員による資産その他の利益の受領に関する倫理規程、国家汚職防止委員会告示」に基づき、明確なガイドライン(最少閾値)を設定しています。これらのガイドラインは、政府高官に対する贈答品や接待について、どのようなものが許容されると考えられるかを述べています。

家族または慣習に由来する贈答品や利益、特に妥当な価格のものは、通常は許容されます。具体的には、親族以外からの贈与で3000バーツ(82米ドル)未満のものは、いずれの場合でも許容範囲内です。公衆または未指定のグループに対する贈答品や利益は賄賂と見なされませんが、この最少閾値を超える贈答品や利益である場合、受領者はそれを報告し、その妥当性の評価を受けなくてはなりません。

日本企業は、ビジネス上の贈答や接待の価値が、この指定された金銭的閾値を超えないようにすることで、潜在的な法的・倫理的落とし穴を回避する必要があります。

また、贈答品およびビジネス上の接待に関する方針を策定、導入し、そのようなやりとりを文書化しておき、疑問があれば指導を仰ぐようにして透明性を維持することが望ましいでしょう。これらの原則に従うことにより、タイの法律を遵守すると同時に、現地の贈答文化を大切にし、相手を尊重する効果的なビジネス関係を築くことができます。

ファシリテーション・ペイメントに対するスタンス

Korakod Jittimaporn
Korakod Jittimaporn
アソシエイト
Weerawong, Chinnavat & Partners Ltd
バンコク

タイの法的枠組みにおいて、「ファシリテーション・ペイメント(円滑化手数料)」、すなわち日常的なサービスを円滑にするために支払われる金額は、贈収賄に分類されることを明示的に免除されているわけではありません。これは公共部門と民間部門の両方の取引に適用されます。

前述のように、特定の基準に合っていれば、一定の贈答品や接待は賄賂とみなされない可能性があることを、上記の最少閾値が示しています。これらの例外的な贈答品や接待が、公務員に職務に反する行動をとらせるほどのものではないことを暗示しているのです。

特筆すべきは、円滑化手数料が公務員にその通常の職務を遂行するよう奨励する目的で支払われた場合、そうした支払を行った者が訴追を受けることは普通はないものの、個々のケースの事実関係によって判断されるということです。

タイの贈収賄防止法における企業と個人の説明責任:罰則および規定 タイの法的枠組みにおいては、企業が贈収賄防止法に違反した場合の罰則が一定の条件下で規定されています。企業は、その目的を達成して利益をもたらすために犯罪を行った場合、刑法、入札法、公共調達法に概説されているとおりに、責任を問われます。

汚職防止法は、企業が、自社のために行動する個人による犯罪を防ぐ適切な内部統制を欠いている場合、その企業が責任を負うと見なし、結果として生じた損害または利益の1倍から2倍の罰金を課すことを明らかにしています。

公共部門における贈収賄の場合、個人(提供者)には最高7年の禁固刑と罰金のリスクがあるのに対し、公務員(受領者)には死刑が科される可能性があります。それとは対照的に、民間部門における贈収賄の罰則は、提供者の場合、禁固刑と入札価格または契約額に応じた罰金などであり、民間取引での受領者については、特別な規定がありません。

貴社のビジネスを守るには:優れた手続きの重要性 贈収賄のリスクから貴社を守るには、社内手続きを導入することです。包括的な贈収賄防止の枠組みは、単なるコンプライアンスの問題にとどまらず、貴社の誠実さ、評判、財務の健全性を守る戦略的な防衛策です。日本企業には、以下の手順をとることをお勧めします。

  1. 明確な贈収賄防止方針の策定 タイの法的要件と貴社の価値観の両方を反映した、明確で包括的な贈収賄防止方針を作成することから始めます。この方針は、あらゆる形態の贈収賄の禁止を明白にし、容認される行動と違反した場合の結果について、従業員に明確な説明を提供すべきものです。また、従業員にその内容を理解した上で署名することも義務付けるべきです。
  2. 研修プログラムの実施 贈収賄の危険性と倫理的なビジネス慣行の重要性について、あらゆるレベルの従業員を教育します。従業員がタイで遭遇する可能性のあるシナリオを含む研修セッションを、その関連性と運用可能性を確保しつつ、カスタマイズして作成します。
  3. 透明性のある報告メカニズムと監督委員会の設置 従業員が贈収賄の疑いを報告できる安全かつ匿名のチャネルを設け、贈収賄関連の問題に対処するための専門委員会を設置します。これにより、オープンで説明責任を果たす文化が促進され、問題に積極的に対処できるようになります。
  4. 定期的なリスク評価の実施 貴社の事業の中で、贈収賄や汚職のリスクに対して脆弱な分野を特定します。これらのリスクを定期的に評価し、それに応じて戦略を調整して、リスクを軽減します。
  5. 監視と見直し 定期的に贈収賄防止策を監査し、その有効性を確認します。監査結果やタイの法律の変更に基づき、必要に応じて方針や研修プログラムを調整します。

これらの手順を作成し、実施することで、貴社は自信を持ってタイの複雑な法的領域をナビゲートし、最高水準の誠実さを維持しながらコンプライアンスを確保することができます。

結論

タイの贈収賄防止法は複雑ですが、倫理的なビジネス慣行と法令遵守を目指す日本企業にとって極めて重要です。当事務所は、主要メンバーに国家汚職防止委員会の元役員、元検察官、最高裁判所の裁判官退職者、タイ王立警察の警察官退職者などを擁しており、上記のような課題を認識し、お客様の会社が法的基準を満たすと共に、倫理的行動も維持できるよう、オーダーメイドのサービスを提供いたします。

方針の策定から従業員トレーニング、リスク評価まで、当事務所はこれらの法的複雑性を効果的に管理するための包括的な支援を提供しています。透明性のある贈収賄防止方針の策定、従業員への教育、信頼性の高い報告システムの構築、リスク評価の実施、そして方針の定期的な見直しは、贈収賄リスクから貴社の業務を守るための重要なステップです。最終的に、これらの措置は単なる法的保護にとどまらず、誠実さと尊敬の文化を培い、それによってタイ市場での永続的な成功の基礎を築くことにつながります。

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WEERAWONG, CHINNAVAT & PARTNERS LTD.
22nd Floor, Mercury Tower, 540 Ploenchit Road
Lumpini, Pathumwan, Bangkok 10330, Thailand
電話番号: +662 264 8000
www.weerawongcp.com

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