特許制度の比較:インド

    By Manisha SinghとJoginder Singh、LexOrbis
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    インドは、進化するIPエコシステムで世界から注目されています。本稿では、インドにおける特許に関する重要な規定と、最近の特許関連の最新情報について説明します。

    外国出願許可

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    インドの特許法には外国出願許可(FFL)の規定があり、この許可を事前に取得する必要があります。同規定に従って外国出願を行うには2つの選択肢があり、違反した場合は刑事罰が科せられます。1つ目の選択肢では、インドに居住する発明者が国外で出願する前に、インド特許庁(IPO)に発明の簡単な開示情報を提出して外国出願許可を申請します。請求日から3週間以内に、IPOは、開示情報が防衛技術や原子力に関連していないことを精査した上で、インド居住の発明者にFFLを発行します。FFLを取得後初めて、インドに居住する発明者の名前で、国外での特許出願を行うことができます。

    2つ目の選択肢では、IPOからFFLを取得せずに、出願人がインドに居住する発明者の名前で、先にインドで特許出願を行います。6週間以内にIPOからの異議がなければ、出願人はインド国外での出願が可能となります。IPOは、インド国外での出願に異議がある場合、出願人にその旨の秘密保持命令を発することができます。しかし、この権限がIPOによって行使されたことはほとんどありません。

    特許出願および補正

    IPOでは英語を受け付けており、インドでの特許出願や手続きを母国語に翻訳する必要ありません。これは、母国語での翻訳を必要とする法域と比較すると、特許取得にかかる総コストの大幅な削減につながります。特許出願の手数料も、世界中の大半の特許庁と比較してはるかに安価です。

    インドはパリ条約に加盟しているため、1つ以上の外国出願から優先権を伴う出願を、最初の出願日から12カ月以内にインド国内で出願することができます。また、インド特許法では、国際特許協力条約(PCT)に基づく国内段階出願の期間が31カ月ありますが、ほとんどの法域では30カ月となっています。

    また、出願人が国内段階への移行時に一部の請求項を削除することができるという規定がありますので、この規定を活用して、インドにおいて特許で保護できない対象に対する請求項を削除することで、超過請求項に関する料金を節約し、審査を迅速に進めることができます。出願後、補正は、免責、説明、訂正のみによって行われます。すべての補正は明細書で裏付けられていなければならず、一度出願すると請求項を拡張することはできません。

    審査手続き

    インドでの特許審査手続きは、審査請求から始まります。審査滞貨(バックログ)の大半が解消され、現在では請求から1年以内に審査が行われています。出願人は、一次審査報告書の対応に6カ月間与えられます。すべての拒絶理由に問題なく対処できれば、特許が直接付与されます。

    それ以外の場合は、出願人が未解決の拒絶理由に対処できるように口頭審理が行われ、その後、審決が下されます。不利な審決が下された場合、出願人には2つの救済措置があります。1つは特許庁に再審理を求めること、もう1つは高等裁判所に上訴することです。

    分割出願

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    分割出願は、親出願の特許付与または拒絶前であれば、いつでも行うことができます。特許出願に関する審決は事前に通知されないため、分割出願はできるだけ早い機会に行わなければなりません。親出願で開示された発明が複数あり、分割出願の請求項が親出願の請求項と異なる場合にのみ、分割出願は有効であるとみなされます。

    分割出願の独立請求項は、親出願で請求されていない新規性・進歩性を少なくとも1つ有することが望ましいとされています。また、請求の範囲も、親出願の明細書で裏付けられていなければなりません。分割出願は、自発的に行う場合もありますが、IPOからの単一性欠如の異議に応じて行うこともあります。なぜなら、発明は、相互に密接に関連し、1つの共通概念を形成するものでなくてはならないからです。

    他の多くの法域と比較すると、インドにおける自主的な分割出願の維持可能性に関する現在の状況はいく分複雑です。最近のBoehringer対Controller of Patents DHC(2022)の訴訟によると、分割出願の請求項は親出願の請求項に由来したものでなければなりません。これは、分割出願に関する法律の制限的な解釈です。

    ただし、出願人は、分割出願を目的とした請求項を親出願に追加することを検討できます。デリー高等裁判所は最近、Nippon A&L対the Controller of Patents(2022)において、発明が明細書に開示されており、請求項が明細書に既に開示されている範囲に限定されている限り、特に特許付与前の審査の段階では補正を却下すべきではない、と判示しました。

    これらの請求項が親出願で認められれば、出願人にとってそれで十分満足でしょう。そうでない場合、親出願で、単一性の欠如、または新たに追加された対象に関して拒絶理由を受け取ることになります。このような拒絶理由は、Milliken & Company対Union of India(2016)の場合と同様に、出願人が分割出願によって拒絶された請求項について論議を進める際の正当な理由となります。

    外国出願の開示

    外国出願に関する法的要件は、2つに分かれています。1つ目は(インド特許法)第8条1項要件として知られており、この要件に基づき、出願人は、インド国外で提出した対応する出願すべてのリストを自発的に、また求められた場合に提出する必要があります。対応する出願には、同じ特許ファミリーの、共通の優先権またはPCT出願に由来するあらゆる出願、すべてのPCT国内段階出願、継続出願、一部継続出願、および分割出願が含まれます。対応する出願に関する必要明細事項は、インドでの特許出願時かその6カ月後に、様式3(Form 3)により提出しなければなりません。インド国外で新たに対応する出願を行う場合、その出願の明細事項を6カ月以内に様式3によりIPOに提出する必要があります。

    法的要件の2つ目は、第8条2項に基づくもので、要求された場合にのみ、調査報告書または審査報告書、および対応する出願の特許付与された請求項の写しをIPOに提出しなければなりません。IPOは、世界知的所有権機関(WIPO)が提供するWIPO-CASE(Centralized Access to Search and Examination)システムに、提供者および取得庁(accessing office)として参加したため、審査管理官は現在、同システムを介して対応する出願の調査・審査報告書にアクセスすることができます。従って、審査管理官が当該文書を要求することは少なくなっています。

    国内実施報告制度

    インド特許法には、国内実施報告を義務付ける独自の規定があります。インド政府は、特許の国内実施報告書の提出に関わる様式と手続きをいくつか変更しました。新様式27では、インドで製造した特許取得製品およびインドに輸入した特許取得製品、またそのいずれかの「数量」を提出する要件が削除されました。任意の会計年度に発行されたライセンス(実施権)の詳細を国内実施報告書に記載する必要はありません。

    また、特許取得製品によってインドにおける「公衆の合理的需要」が充足されているかどうかを確認・告知するという要件も、様式27から削除されました。

    国内実施報告書の提出期限は、毎年3月31日から9月30日に変更されました。国内実施報告書の対象期間も、暦年(1月~12月)から会計年度(4月~3月)に変更されました。特許が付与された会計年度については、国内実施報告書を提出する必要はありません。

    特定の特許発明から得られる概算収益または価値が、関連特許から発生した概算収益または価値と別々に算出することができない場合、また当該特許が同一特許権者に付与されている場合は、複数の関連特許について、1つの国内実施報告書にまとめて提出することができます。特許の共同所有者は、1つ、または関連する特許に関して1つの国内実施報告書を共同で提出することができますが、各実施権者は国内実施報告書を別々に提出する必要があります。

    高等裁判所の知的財産部門

    インド政府は昨年、特許庁、商標庁、著作権庁の審決および取消から生じる上訴、登録特許権の取消、または無効手続きを審理する上訴機関である知的財産審判委員会(IPAB)を廃止しました。IPABの廃止後、デリー高等裁判所は、すべての知的財産権案件(IPABから移管される案件を含む)を扱う知的財産部門の創設を発表し、知的財産部門規則および特許訴訟に関する規則改正案を通達しました。他の高等裁判所もこの取り組みに追随し、知財部門を設置し、必要な規則を通達する可能性があります。

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