各国の M&A 関連法規の比較: フィリピン

By Maria Elizabeth Peralta Loriega、Bryan San JuanとRecolito Ferdinand N Cantre Jr、Sarmiento Loriega Law Office
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フィリピンは、国民からの強い負託に後押しされ、M&Aに影響する重要な改革を実施しています。

再生可能エネルギー

Maria Elizabeth Peralta Loriega, Sarmiento Loriega Law Office
Maria Elizabeth Peralta Loriega
創業パートナー
Sarmiento Loriega Law Office
メトロマニラ
Eメール : meploriega@sl-lawoffice.com

フィリピンの太陽光、風力、水力発電プロジェクトは現在、外国(法)人による100%所有が認められています。2022年9月、司法省(DOJ)は、太陽光、風力、水力、海洋または潮汐エネルギーは1987年憲法に定める「天然資源」ではない、との意見書第21号を発表しました。

この意見書に従い、エネルギー省(DOE)は2022年11月に、再生可能エネルギー業界における外国人所有規制を解除するDOE通達DC 2022-11-0034号を発行しました。司法省の意見書以前は、1987年憲法第12条第2項に基づく外国資本規制が、再生可能エネルギー分野に適用されていました。

天然資源に関する厳しい憲法上の規制は、フィリピンで切望されている外国からの投資を妨げると見なされがちでした。当初、司法省の意見書は、1987年憲法下の「天然資源」という用語を無許可に再解釈したものであるとの見方もあり、懐疑的に受け止められたこともありました。それでも、DOJとDOEの発表に異議を唱える人はありませんでした。実際の訴訟や論争において最高裁が最終決定を下すまで、投資家は、これらの発表が有効で合憲と推定されるという法的原則に依拠することができます。

公益事業

フィリピンの通信事業は、以前は公益事業と見なされていたいくつかの事業を含めて、現在、外国人による100%所有が認められています。2022年3月、フィリピン議会は共和国法第11659号を制定し、公益事業を定義する旧態依然とした連邦法第146号を改正しました。この改正により、公益事業の定義は、以下のいずれかを公共用に運営、管理または統制する公共サービスに限定されました。

  • 配電
  • 送電
  • パイプラインと送油システムを含む、石油および石油製品
  • 排水管システムを含む、上下水道システム
  • 港湾
  • 公益交通車両
Bryan San Juan, Sarmiento Loriega Law Office
Bryan San Juan
シニア・パートナー
Sarmiento Loriega Law Office
メトロマニラ
Eメール : basanjuan@sl-lawoffice.com

共和国法第11659号は、公益事業の定義を上記の排他的リストに限定することで、空港事業、鉄道事業、通信事業など、従来は公益事業に分類されていた多くの事業を、外国人持ち株比率の上限を40%に制限する1987年憲法第12条第11項から除外しています。

証券取引委員会やその他の政府機関からは、公益事業の定義を空港でのハンドリング業務にまで拡大するよう求める意見が多数出されていましたが、改正法によって限定された定義は、これらの意見を事実上覆すものでした。

上記の進展を踏まえ、第12次外国投資ネガティブリスト (FINL) には、一例として、通信産業は公益事業ではないため、外国資本の上限を40%とする規制の対象外であることが反映されています。そのため通信事業会社は100%外国人所有が可能になりましたが、重要なインフラが関係する場合には、その外国人投資家の自国に互恵主義を要求するなどの特別な条件が前提となっています。

ただし、共和国法第11659号は、外国政府または外国の国有企業が支配権を有しているか、もしくは外国政府の代理として行動する事業体に対して、公益事業または重要インフラに分類される公共サービスの資本所有を禁止しているので、これに留意することが重要です。この法律において重要インフラとは、物理的か仮想的かを問わず、フィリピンにとって極めて重要なシステムや資産を所有、使用、運用する公共サービスのことであり、そのようなシステムや資産が機能不全に陥ったり、破壊されたりすると、大統領により示される通信及びその他の重要サービスを含む、国家安全保障に有害な影響を及ぼすようなものを意味します。

公共サービスが重要インフラである場合、同法は、その外国人の自国が外国法、条約または国際協定に基づいてフィリピン国民に対する互恵主義を認めない限り、外国人が当該重要インフラの運営と管理に従事する事業体の資本の50%超を所有することを禁止しています。互恵主義は、外国投資家の自国が別の経済セクターにおいて同様の価値の権利を認める場合でも、充足される可能性があります。

天然資源の利用に対する憲法上の制限が緩和された場合と同様に、公益事業の定義の改正も、当初は、公益事業の定義を単なる法令上ではなく、より重要な憲法上のものとみなす保守的な憲法学者らの批判にさらされました。憲法上の概念である以上、これを単なる法令で変更することはできないと主張されてきたのです。それでも、然るべき裁判所によって破棄されない限り、この法律は有効とみなされます。

小売業、防衛資材

Recolito Ferdinand N Cantre Jr, Sarmiento Loriega Law Office
Recolito Ferdinand N Cantre Jr
シニア・パートナー
Sarmiento Loriega Law Office
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FINL はまた、小売業自由化法の改正を反映し、小売業会社の払込資本金を250万米ドルから2500万フィリピンペソ(45万8000米ドル)に引き下げました。従って、小売業に従事する外国企業は、より容に事業を設立することができます。

国防省の許可を必要とする製品の製造や流通は、第12次FINLから削除され、事実上、外国資本規制は撤廃されました。これより以前、戦争用の銃や弾薬、兵器、誘導ミサイル、戦術機、宇宙船、軍事通信機器の製造については、外国資本が40%までに制限されていました。

新合併規制

M&Aの当事者は、フィリピン競争委員会 (PCC) が定めた新しい合併届出基準値(当事者規模テスト、取引規模テスト)も考慮しなくてはなりません。

2023年3月1日以降、M&A当事者は、当事者規模が70億フィリピンペソを超え、取引規模が29億フィリピンペソを超える場合、PCCに届け出ることが義務づけられています。

合併届出を遵守しなかった場合、当事者には取引額の1% から 5% という多額の罰金が課されます。フィリピン競争法では、M&Aが関連市場における競争状況の大幅な低下につながる場合、当該M&Aは禁止であるというPCCの認定を損なうことなく、M&A契約も無効となります。M&Aが合併規制要件に準拠していないとして無効であると宣言された場合、当事者の将来の取引は、より厳しい規制当局の監視を受けることになります。

税制改革

TRAIN法(「税制改革法」)とCREATE法(「企業復興税制優遇措置法」)という二つの税制改革パッケージにより、フィリピンの税法に大きな変更が導入されました。2020年7月1日以降の法人税率は25%になります(従前は30%)。純利益が500万フィリピンペソ以下で、資産(事業所の所在地の土地を除く)が1億フィリピンペソ以下の法人については、法人税率はさらに引き下げられて20%になりました。

特筆すべき変更点は、不当留保金課税(IAET)に関する税法規定の廃止です。不当留保金とは、株主への配当や正当な事業目的に充当されていない、企業の内部留保を指します。この廃止により、投資家はIAET評価のリスクを負うことなく、資金を他の事業目的の国内子会社レベルで、無期限に預け置くことができるようになりました。

印紙税(DST)については、TRAIN法によってほとんどの税率が100%引き上げられましたが、債券の印紙税引き上げは50%にとどまり、現行のとおり債券発行価額の0.75% となりました。財産(損害)保険契約、信用保険その他の保険、補償債券、売却証書、および不動産の譲渡・寄付に関する印紙税は、変更されませんでした。

TRAIN法では、内国歳入庁(BIR)による非課税交換の確認裁定が不要となり、非課税交換に関するBIR の裁定にのみ見られた従来の解釈を、税法の条文に盛り込むこともなくなりました。これらの改正により、これまでフィリピンにおいて、非課税交換として組成されるM&Aの妨げとなっていた問題の大半が取り除かれました。

もう一つの注目すべき改正点は、適切かつ充分な対価に満たない財産の譲渡にも贈与税を課すという、税法上の「みなし贈与」規定を明確に除外したことです。TRAIN法では、通常のビジネスプロセスで、互いに独立した立場で行われた、善意による財産の売買・交換、その他の形態による譲渡は、「みなし贈与」の規定から除外され、その結果、贈与者に対する課税の対象ではなくなりました。このような取引は、寄付行為の意図がなく、したがって金銭または金銭に相当する十分で完全な対価で行われる場合、善意かつ対等な取引とみなされます。

CREATE法は、所得税免除、法人税の特別税率、控除の拡大、関税の免除、および付加価値税の免除などの税制優遇措置を導入しました。これらの税制優遇措置は、戦略的投資優先計画 (SIPP) に規定されている、農業、漁業、林業、代替エネルギー、大衆住宅、グリーン・エコシステムなどにおける、特定の活動や登録事業および企業に適用されます。SIPP のもとでは、産業は三つの階層に分類され、それぞれの階層によって、その活動や企業が利用できる税制優遇措置の期間や種類が決められています。

Sarmiento Loriega

Sarmiento Loriega Law Office

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