医薬品の商標権侵害で最優先されるべきは公衆衛生

By Manisha SinghとSimran Bhullar、LexOrbis
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薬業界が公衆衛生や公衆安全に与える影響を考慮し、裁判所は、医薬品の商標権侵害を扱う際には厳しい措置を講じています。商標の類似性が国民全体に与える悪影響を評価する際には、厳しい手法が用いられています。なぜなら、医薬品は生命にかかわる影響を及ぼしかねないからです。従って、裁判所は、侵害が発生したかどうかを判断する際には、詳細について、微に入り細にうがった配慮をします。類似した紛らわしい医薬品によって、消費者の命が危険にさらされ、国民全体の健康や安全が脅かされる可能性があるからです。

Manisha Singh, LexOrbis, Public health uppermost in pharma TM infringement
Manisha Singh
パートナー
LexOrbis

Intas Pharmaceuticals Private LimitedIntra Life Private Limited and Ors.の最近の訴訟において、デリー高等裁判所は、被告に対して恒久的な差し止め命令を出し、被告が原告の登録商標であるLoozを使用することを禁じました。この訴訟は3社の被告に対して起こされましたが、そのうち最初の1社については、原告との示談によって問題を解決しました。この被告は、採択における優先権、取引での使用、および商標登録の妥当性と存続など、商標およびその変形物において、原告が持つ既得権や所有権を認めました。裁判所は、示談の条件を承認し、最初の被告とは訴訟の早い段階で問題が解決したため、原告は、すでに支払った訴訟費用の50%の返還を受ける権利があると命じました。

しかし、残りの2社の被告については、前日に弁護士が代理で少しだけ姿を現して、被告不在のまま出された現行の仮差し止め命令を無効にする申請と、追加の延期申請を行うと述べたうえ、当日には双方とも法廷に出頭せず、代理人も立てませんでした。弁護士は、仮差し止め命令を無効にする根拠として、被告側に問題解決の意思があることを挙げました。被告2社に対する訴訟は、被告不在のまま進行しました。裁判所は、被告らに対して出頭通知書を送付したにもかかわらず、被告らは訴訟手続きを回避することを選択したとする判決を下しました。さらに、被告2社は、自社の製品に、商標権を侵害する商標を使用したことに対して、資料または弁明を一切提出しませんでした。

Simran Bhullar, LexOrbis, Public health uppermost in pharma TM infringement
Simran Bhullar
シニアアソシエイト
LexOrbis

同被告らは、自社の医薬品にLoozoutという商標を使用していました。その商標は、原告の商標であるLoozと紛らわしいほど類似していました。被告2社、譲受人、代理人、また被告に代わって働くその他の関係者は、今後恒久的に、Loozoutの商標、またはLoozの前後に文字を追加した商標を用いて、製品を販売、広告、宣伝するために製造、販売、提供することを禁じられました。さらに、原告の登録商標と同一の商標、または類似した紛らわしい商標を用いた製品の製造または販売も禁止されました。上記に加えて、裁判所は、被告らに対して、原告に20万ルピー(2500米ドル)の支払いを命じました。

重要なのは、1999年のインド商標法第103条に基づき、商標権の侵害は、6カ月以上3年以下の懲役刑および5万ルピー以上20万ルピー以下の罰金に処せられることです。裁判所は、判決に特別な理由を明記することで、6カ月未満の懲役および5万ルピー未満の罰金を科す可能性があります。本件では、裁判所は、刑事裁判所が科すことの罰金の最高額に相当する費用を支払うよう、欠席した被告らに対して命じました。原告に対しては、詳細な要約はもとより、費用の概算水準についても提出するように指示しませんでした。裁判所は、申し立てに明記された費用の請求についてのみ言及しました。裁判所は、費用を裁定するにあたって、最も厳しい刑事罰を参考にしたようです。その手法で上訴をうまく切り抜けられるかどうかが、簡潔な判決の興味深い点ではありますが、裁判所は、医薬品の商標権侵害の深刻さと、それが消費者の健康や安全に与える得る影響を、その命令に反映させようとしたに違いありません。

今回の訴訟での原告の訴訟費用の50%返還は、2010年の訴訟費用(デリー修正)法[Court Fees (Delhi Amendment) Act, 2010]によって追加された1870年の訴訟費用法(Court Fees Act)の第16条Aに基づくものであり、訴訟当事者に示談での解決を促す動機となります。2010年の同法の合憲性に異議を申し立てる公益訴訟が、2022年7月7日に提起されました。

Manisha SinghはLexOrbisのパートナーであり、Simran Bhullarはシニアアソシエイトです。

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