不動産市場の地域比較: 中国

    By Hao HanとShi Yi, Zhong Lun Law Firm
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    中国の不動産市場は、2022年以降、継続的な下落傾向にあり、投資額も販売額も大幅に減少しています。土地のプレミアム率は過去10年間で最低ですが、競売や売却に出されている土地区画の競売不成立と撤退の合計率は、依然として高い水準にあります。

    国家統計局が発表したデータによると、昨年、不動産開発会社が購入した土地の面積は、2021年比で53.4%減少しました。土地取引額は48.4%下落、住宅の新規着工面積は39.4%減少、商品住宅の販売面積は24.3%縮小、そして開発投資は10%収縮しました。

    このように悲観的な業界背景に対するシステミックなリスクを防ごうと、中央政府は、「住宅は住むためのものであり、投機の対象ではない」という原則を守りつつ、不動産市場を安定させるための一連の法律、規制、政策をさまざまなレベルで導入してきました。

    これらの措置は各都市に合わせて異なり、開発、建設、投資、融資、販売など多様な側面を網羅し、堅実な住宅需要とグレードアップした住宅需要の双方をサポートして不動産業界の安定を促進することを目標にしています。

    主な取り組み

    Hao Han
    Hao Han
    パートナー
    Zhong Lun Law Firm
    北京
    電話: +86 10 5957 2010
    Eメール: haohan@zhonglun.com

    土地の供給と開発の最前線で次々に実施されている政策は、「住宅の供給、人々の生活、社会の安定を保証する」市場志向を標榜しています。これらの政策は、不動産開発会社が直面するリスクに対処するため、市場経済化と法の支配を優先し、プロジェクトの円滑な完成と引き渡しを保証するものです。

    最高人民法院、住宅都市農村建設部、中国人民銀行が2022年1月に共同で公布した「プロジェクト建設のための商品住宅販売前資金の使用を確保するための人民法院の保全・執行措置の規制に関する通達」は、販売前資金の預託口座に関する保全・執行措置を実施する際には、比例原則を堅持し、誠実かつ理性的な執行を強化するよう求めています。

    その目的は、建設会社に対する中間建設費の支払い遅延を防止することです。そうした遅延は、商品住宅プロジェクトの進行を妨げ、完成と引き渡しに悪影響を及ぼし、住宅購入者の権利と利益を損なう可能性があります。

    その後、中国銀行保険監督管理委員会は、「商業銀行が発行する保証状による販売前預託資金の代替に関連する業務についての通達」を出しました。この通達は、預託された販売前資金の代替として、保証状を使用することを認めており、定評のある不動産開発会社がこれらの資金を効果的に活用することを可能にします。

    さらに、上海、広東、四川、武漢、南京など、中国のいくつかの地域でも支援政策が導入されています。それらには、土地競売に参加するための履行保証の有効な形態として要求保証を認めること、開発会社の信用実績に基づいて売却前資金の預託枠を調整すること、流動性を向上させるために開発会社が所定の預託額以上の資金を引き出しての使用を認めること、などがあります。

    一方、低迷する住宅販売を押し上げるための各種政策では、規制緩和が大きく取り上げられています。これらは、住宅購入のコストとリスクを軽減しつつ、合理的な住宅需要を満たすことに重点を置いています。

    2022年、人民銀行と中国銀行保険監督管理委員会は共同で、「初めての住宅購入に対する新規個人住宅ローンの金利政策の動的調整に関する、長期的メカニズムの確立に関する通達」を発表しました。これは適格都市における、初めての住宅購入者向けの商業用個人住宅ローンの金利フロアの段階的引き下げを概説しています。

    Shi Yi
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    Eメール: shiyi@zhonglun.com

    また同年、財政部と国家税務総局は「既存住宅売却後の新規住宅購入支援に関する個人所得税政策に関する公告」を発表し、既存住宅を売却してから1年以内に市場で新築住宅を購入した納税者は、既存住宅に支払った個人所得税の全部、または一部の還付を受けることができるようになりました。還付金額は、新居の購入価格と既存住宅の売却価格の差額に基づいて決定されます。

    2023年、自然資源部と中国銀行保険監督管理委員会は共同で、人民と企業の便宜のために、不動産の「抵当権付譲渡」サービスを提供する協調努力を行う、という通達を発表しました。この通達は、抵当権付き不動産譲渡にプレミアムサービスを提供するための、部門間協力の必要性を強調しています。

    最高人民法院の最新のガイダンスである「商品住宅購入者の権利保護に関する回答」は、住宅購入者の権利をさらに強化しています。これは、購入者が居住目的で商品住宅を購入し、住宅価格を全額支払った場合、購入者の物件引渡請求権が、建築費、抵当権その他の請求権のいずれにも優先することを定めたものです。

    さらに、地方自治体は、住宅ローンによる中古住宅の取引の許可、住宅購入の制限の緩和または解除、不動産業者の手数料の上限引き下げ、取り壊しや再定住の対象となる既存住宅に対する金銭補償の補完である「住宅クーポン」政策の試験的実施など、さまざまな措置を実施してきました。

    新開発モデル

    投資と資金調達に関しては、不動産セクターの債務リスクを解決し、新たな開発モデルへの円滑な移行の促進に重点が置かれています。2022年、中国人民銀行と中国銀行保険監督管理委員会は共同で、「不動産市場の安定的かつ健全な発展のための金融支援の確保に関する通達」を発表しました。

    これは、住宅供給を保証するための積極的な金融サービスを提供し、苦境にある開発会社が直面するリスクへの対処や、段階的な財務管理政策の調整、住宅リースに対する金融支援の強化などにおいて協力する必要性を強調したものです。

    発展改革委員会、中国証券監督管理委員会、中国証券投資基金業協会などいくつかの部門も、都市開発、建設、運営への民間資本の参加を促す文書を発表しました。

    彼らはインフラ分野での不動産投資信託(REIT)の試験的プログラムを推進し、REITの原資産の範囲を、手頃な価格の賃貸住宅や商業施設に拡大しています。こうした施策の目的は、投資の出口となる機会を創出することです。

    河南省や安徽省などでは、定評のある開発会社が、資金調達のために債券を発行するのを支援したり、不良プロジェクトのM&Aを促進したりする地方政策も実施されています。これらの政策はまた、商業銀行が不動産市場への融資支援を強化し、不動産救済資金を効果的に活用するよう促すことの重要性を強調しています。

    2023年7月に国務院が採択した「メガシティおよびスーパーシティにおける、都市内村落の再開発の積極的かつ着実な推進に関する指導意見」によると、メガシティやスーパーシティにおける、都市内村落再開発の積極的かつ着実な推進は、人々の生活向上、内需拡大、質の高い都市発展のために極めて重要です。これは、潜在的消費とともに、内需を刺激するという明確なシグナルです。

    さらに、その後の中国共産党中央委員会政治局(政治局)の会議では、需給が大きく変化した中国不動産市場の新たな状況に対応するため、各都市の特性に応じて不動産政策を最適化し、政策ツールキットを十分に活用すべきであることが初めて示されました。その目的は、住民の堅実な住宅需要と、より良い住宅への欲求に対して、より良く対応し、不動産市場の着実かつ健全な成長を後押しすることです。

    政治局会議はまた、もっと手頃な価格の住宅を建設・提供する努力をすること、都市内村落の再開発や通常および緊急用の公共インフラの建設を強力に推進すること、各種の遊休不動産の再生・改修を行うことを求めました。

    さまざまなレベルにおいて、中央政府と地方自治体が、より高い水準の市場支援と、より多様な支援手段を備えた不動産施策を展開することが期待されます。

    政策の進展

    国家統計局が発表した2023年1月から6月までのデータによると、不動産市場の安定を図るこれらの多様な政策の実施により、全体的な下落傾向は緩やかになっています。

    とは言え、不動産市場全般はまだ低水準にあり、市場の信頼感も完全には回復していません。

    短期的には、不動産部門における債務リスクの防止と解決が、中心的な課題であることに変わりはありません。これにより、債務再編、破産更生、紛争解決、そしてこの機会を捉えての不動産会社への投資など、リーガルサービス市場にホットスポットやビジネスチャンスが生まれました。

    一方、不動産業界の特性が「在庫に基づいた開発、産業化、金融化」へと進化し続ける中、不動産市場は、困難な問題にもかかわらず、変革とグレードアップのプロセスをたどることでしょう。こうした移行には、成長痛が伴うかもしれませんが、業界の長期的発展にはそれが不可欠です。

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