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種の調査によると、フィリピンではパンデミックを契機にオンラインショッピングが著しい成長を遂げています。通商産業省によると、電子商取引は2020年のフィリピンのGDPを3.4%増加させました。2022年には、約100万件の新規事業が創出されています。このような成長トレンドの継続を支えているのは、購買力のある中間層の増加です。フィリピンの電子商取引市場は2023年に22.9%拡大し、6157億フィリピンペソ(110億米ドル)に達すると予測されています。

Editha R Hechanova
Editha R Hechanova
マネージング・パートナー
Hechanova& Co Inc(マカティ市)
電話番号: +632 8888 4293
Eメール: editharh@hechanova.com.ph

オンラインショッピングで最も利用されている決済手段は、カードによる支払いであり、2022年には全取引の過半数がクレジットカードおよびデビットカードで決済されました。これを可能にしたのは、強力な電子商取引のエコシステムです。本稿では、フィリピンにおける電子商取引の現状について概説しており、フィリピンのデジタル・インフラ、ビジネスチャンス、そして法的な潜在的危険性について、理解の一助となることを目的としています。

さまざまな取り組みの中心にあるのが、共和国法第8792号(電子商取引法)です。これはフィリピンにおける電子商取引について規定する法律で、2000年6月19日に施行されました。同法の目的は、「国内および国際的な売買、取引、取り決め、協定、契約、情報の交換および保存を、電子、光学および類似の媒体、様式、手段および技術の利用を通じて円滑にすることにより、そのような活動に関連する電子文書の真正性および信頼性を評価し、政府および一般市民による電子取引の普遍的な利用を促進すること」です。

この法律は、国連国際商取引法委員会(Uncitral)の電子商取引モデル法、シンガポール電子商取引法(Singapore Electronic Transaction Act)を起源としています。フィリピンの電子商取引法およびその施行規則は、取引の形態のみを対象としており、実体法に代替したり、取って代わったりすることは意図されていません。この法律は営利、非営利双方の活動に適用されます。

事業運営

Timothy J David
Timothy J David
シニア・アソシエイト
Hechanova& Co Inc(マカティ市)
電話番号: +632 8888 4293
Eメール: timothy.david@hechanova.ph

フィリピンの行政機関は、市場のデジタル化の進展に対応するという課題に、適切な規制の導入によって対処しています。インターネットとモバイルアプリの活用を伴う電子商取引事業には、数多くの規制分野が含まれます。その最も重要なものは、所有権と資本投資に関連する分野です。

事業者登録。電子商取引に従事することができる組織の類型に制限はなく、必要な事業許可を取得していれば、個人、法人、パートナーシップのいずれでも可能です。事業許可は、法人とパートナーシップについては証券取引委員会が、個人事業主については通商産業省が発行します。事業の性質によっては、他の政府機関から、追加の許可を取得しなければならない場合もあります。たとえば、食品、医薬品、化粧品、医療機器に関連する事業については、食品医薬品局(Food and Drug Authority)の許可を取得する必要があります。

外国人持分。一般的に、1991年外国投資法に基づき、外国人持分は40%までに制限されています。しかし、マスメディアのように、フィリピン人のみが事業主体になれる業種もあります。他方、外国人が、国内市場での事業者として100%所有することが認められている業種もあります。ただし、小売販売を除き、払込資本金が20万米ドルであることが条件となります。小売販売の場合、払込資本金が250万米ドルであれば、外国資本による完全支配が可能になります。

税務

Allan V. Badillo
Allan V. Badillo
アソシエイト
Hechanova& Co Inc(マカティ市)
電話番号: +632 8888 4293
Eメール: allan.badillo@hechanova.ph

オンラインでの事業展開の魅力の一つは、従来のコミュニケーションや取引のルールに縛られることなく、物理的な境界を越えられることです。その結果、歳入庁はデジタル時代の起業家の熱意に、歯止めをかけざるを得なくなっています。

2020年、内国歳入庁は、決済ゲートウェイ、デリバリー・チャネル、インターネット・サービス・プロバイダー、その他のファシリテーターを含む、デジタル取引を通じて事業を行う者に対し、下記の点について注意を喚起するための通知を公表しました。

  • 納税者番号の確保
  • 内国歳入庁への登録
  • 商品またはサービスの個々の販売についての、登録済みの売上請求書または正式な領収書の発行
  • 業務取引の帳簿やその他の会計記録の保管
  • 該当する場合には源泉徴収の実施
  • 必要な納税申告書の提出
  • 期限内の適正な納税
  • 消費者保護

消費者保護法は、以下の点について消費者を広く保護しています。

  • 消費者向け製品の品質と安全性
  • – 食品、医薬品、化粧品、機器
  • – 欺瞞的、不公正、非良心的な販売行為・慣行
  • – 度量衡
  • – 製品・サービス保証
  • – 表示と公正な包装
  • – 製品・サービスに対する責任
  • – 広告と販売促進
  • – 修理・サービス企業の規制
  • – 消費者信用取引

これらの規則はオンライン取引にも適用されます。2022年3月4日、オンライン事業者と消費者に適用される法規制を再度徹底するため、共同行政命令(JAO)が発令されました。それによると、電子商取引プラットフォームや電子商取引市場は、オンラインの販売者、加盟店、電子小売業者と同様に責任を負うとされています。電子商取引プラットフォームには、そのサイトで販売されている商品を確認する義務があります。

データ保護

2012年データプライバシー法は、個人情報の処理について規定しています。同法の適用対象となるデータ処理とは、一般的に、同意に基づくものです。同意は、書面、電子的手段、または記録された手段によって証明される必要があります。また、データ主体が具体的に権限を委任した代理人が、同意することもできます。

JAOは、オンラインの販売者、加盟店、または電子小売業者に対し、消費者の個人情報を、最大限の注意と配慮をもって取り扱うことを義務付けています。収集した個人情報は、JAOに規定されている条件に従い、必要な期間に限り保管しなければなりません。

個人データの収集および処理に際して、オンライン販売者は消費者に対し、同法に基づくデータ・プライバシーの権利を通知しなければなりません。このような権利には、情報に対する権利、異議申し立ての権利、アクセスの権利、訂正の権利、削除の権利、損害賠償の権利、データ・ポータビリティの権利、苦情を申し立てる権利が含まれます。

知的財産

フィリピン憲法には、次の宣言の趣旨が組み込まれています。「国家は、科学者、発明家、芸術家、その他の才能ある国民の知的財産および創作物に対する排他的権利を保護し、保証するものとする……」

フィリピンの知的財産法は1998年1月1日に施行されました。これは特許、商標、著作権に関する個別の法律を統合したもので、同法に基づきフィリピン知的財産庁(IPOPHL)が設立されました。

オンライン上の模倣品や海賊版に対処するため、IPOPHLは行政執行機能を有する知的財産権執行部(IEO)を設置しました。IEOの役割には以下のようなものがあります。

– フィリピン国家警察、国家捜査局、関税局、光学メディア委員会、地方自治体の支援を受けて執行機能を果たす。

– IEOが受理した報告、情報、苦情に基づき、知的財産権を侵害する行為をしている事業所や企業に対し、妥当な時間に視察を行う。

IPOPHLは、インターネット上での模倣品のまん延に対する苦情への対応として、IPOPHLと利害関係者、ブランド所有者との間で締結される覚書を作成しました。これは昨年から開始され、現在までに35社が署名しています。

決済

eウォレット、オンライン・バンキング、決済ゲートウェイ、クレジットカード、デビットカードなど、電子商取引を促進するために、さまざまな決済ソリューションやオプションが利用できるようになっています。これに関連して、フィリピンでは以下のような法律が公布されました。

– 1998年アクセス機器規制法(RA 8484、RA 11449により改正)。同法の目的は、アクセス機器の発行と使用を規制することにより、商取引における当事者の権利を保護し、責任を規定することです。

– フィリピン・クレジットカード業界規制法(RA 10870)。同法は、すべてのクレジットカード発行事業者、アクワイアラー、およびクレジットカード取引を対象にしており、クレジットカード所有者を保護し、啓発するために、国家が適切な制度を設けなければならないと規定しています。

サイバー犯罪

残念なことに、電子商取引の著しい成長に伴い、サイバー犯罪も急激に増加しています。フィリピンでは、コンピュータ、コンピュータおよび通信システム、ネットワーク、データベースの完全性、保存された情報およびデータの機密性、完全性、可用性を、あらゆる形態の悪用、乱用、不正アクセスから保護し防御するため、2012年サイバー犯罪防止法(RA 10175)が制定されました。

また、消費者保護を目的とする複数の法律や規制・規則も制定・公布されています。以下にその例を挙げます。

  1. RA 10611(2013年 食品安全法)
  2. RA 10620(2013年 玩具・ゲーム安全表示法)
  3. RA 10667(2015年 フィリピン競争法)
  4. RA 8792(2000年 電子商取引法)
  5. RA 9994(2010年 拡大高齢者法)
  6. RA 9442(2006年 障害者憲章)
  7. RA 7581(1992年 価格法)

これらの法規制は、消費者の権利と福祉の保護を目的とする極めて包括的な法的枠組みが、フィリピンに設けられていることを示しています。

HECHANOVA & CO INC/
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HECHANOVA BUGAY VILCHEZ & ANDAYA-RACADIO

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104 Paseo de Roxas Avenue

Makati City 1229, Philippines

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