スピンオフ成功事例の著しい増加

By Stephen Luo、Stella Yeung、Jingtian & Gongcheng 香港
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米国上場に向けて踏み出す数百の中国企業

スピンオフ成功事例の著しい増加

スピンオフとは通常、既存の上場会社から1つ以上の事業部門を分離し、その分離された部門を新規上場会社として、または既存の別の上場会社を通じて、独立した上場会社にすることをいいます。

スピンオフにより、以下のようないくつかの重要なビジネスや財務上の目的を達成することができます。

  • その分離された上場会社の評価が高まれば、株主価値が高まる。
  • それぞれの上場会社の明確に区分された事業およびリスク特性について、投資家が評価しやすくなり、目標とする投資の意思決定を促す。
  • それぞれの上場会社の経営陣がそれぞれの中核事業に集中できるようにすることで、それぞれの上場会社の業績を向上させる。
  • 分離された会社に対し、それぞれの事業ニーズや優先事項に適した資本配分戦略を追求する柔軟性を提供する。

既存の上場企業(親会社)から見れば、スピンオフは業務を合理化するだけでなく、スピンオフされる事業体(新会社)の営業コストを全額負担する必要がなくなる可能性があります。

スピンオフの構造によっては、親会社は、新会社に対する支配力を維持しつつ、スピンオフによる追加資本を得ることで、新会社の成長による経済的利益を享受することができ、その結果、強力なバランスシートと財務実績を得ることができます。

香港の規則

Stephen Luo, Jingtian & Gongcheng
Stephen Luo
パートナー
Jingtian & Gongcheng
香港
電話番号:+852 2926 9448
電子メール:stephen.luo@jingtian.com

新会社は、新規上場を申請する際、香港証券取引所株式会社の証券上場管理規則の全要件を満たさなければなりません。さらに、上場規則プラクティス・ノート第15号(以下「PN15」)には、香港の上場会社が既存のグループ内の資産、または事業の全部あるいは一部を、香港証券取引所(以下「HKEX」といいます)もしくは他の場所に単独上場させるために提出する提案について、HKEXの方針が定められています。

IPOとの相違

以下の表は、一般的な状況におけるスピンオフ上場と、IPOの場合の上場規則の主な違いを示しています。

スピンオフに関する懸念事項

以下の項目では、新会社によるスピンオフ申請や上場申請において、規制当局の主要な懸念事項について考察します。

単一の資産に2社の上場不可:親会社は、個別に上場した状態を保つために十分な資産と事業を保持していなければなりません。通常、上場委員会は、事業が1つ(新会社)の場合は、2社分の上場を維持する状態(親会社と新会社)を認めていません。すなわち、親会社は、新会社の持分に加えて、上場規則の第8章の要件を独立して満たすために、新会社の持分を除いた親会社自身の資産と事業を十分に保持する必要があります。

独立性:上場規則は、新会社が業務、経営、財務の面で親会社から独立して事業を遂行できることを求めています。HKEXは、新会社と親会社の取締役や上級管理職が著しく重複していることを認めていません。新会社は、新会社の事業を運営する上で利益相反がなく、支配株主の利益以外も考慮する、十分な人数の業務執行取締役を置かなければなりません。さらに、新会社の独立性の証明は、スピンオフ後に企図される重要な継続的関連取引、または親会社による新会社への資金援助(株主貸付、保証、資産の質権設定等)によって、影響を受ける可能性があります。

Stella Yeung, Jingtian & Gongcheng
Stella Yeung
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電子メール:stella.yeung@jingtian.com

競争:親会社は、新会社の事業と競合する、または競合する可能性のある事業の保持を避けるよう、最善を尽くす必要があります。HKEXは、親会社と新会社の事業の明確な分離を求めており、事業区分が明確であるかどうかを判断するために、事業の地理的地域、対象顧客、ビジネスモデルのほか、利益相反を管理するための強力なコーポレート・ガバナンス上の対策等の保護、または親会社による競業避止誓約書の提供等、様々な要因を考慮する可能性があります。

確約権利:PN15は、親会社がスピンオフした新会社の株式を確実に取得する権利を既存株主に付与することにより、既存株主の利益を十分に配慮するよう定めています。これは、新会社の既存株式の現物分配、新会社の既存株式または新株式の募集時の優先的な応募、いずれかの方法によって行うことができます。

典型的な現物分配の場合、新会社は親会社の既存株主に対し、直接または親会社を通じて持分割合に応じて新株を発行します。優先購入権の付与により確約された権利が提供される場合、新会社は親会社の既存株主に、IPO時に新会社の株式を優先的に購入する権利を付与します。親会社が株主に確約権利を提供しないことを決定した場合、または実務上の問題により確約権利を株主に提供できない場合、株主の承認を得るか、または上場委員会に適用免除を求めなければなりません。

その他の懸念事項:HKEXは通常、上場後3年以内のスピンオフの提案については検討しません。

現物分配を伴うスピンオフでは、上場スケジュールとの関連での分配条件、分配を承認する取締役会のタイミング、基準日、株主名簿の閉鎖、株券の発送等、分配の仕組みを慎重に設計しなければなりません。

最後に、スピンオフとIPOのいずれにおいても、上場予定会社の親会社/株主を法的に拘束する契約、関連する重要な資産または事業の処分に関する同意、制限または拒否権などを評価し、これらに対応する必要があります。

結論

香港株式市場では、スピンオフと上場は比較的成熟しており、スピンオフは上場企業が資本資源を管理し、自らの事業展開のために新たな資本を調達するための効果的な手段となっています。

近年、多くの香港上場企業が事業の一部をスピンオフさせ、個別の上場を成功させています。その中でも、不動産開発会社から不動産管理会社がスピンオフするケースがかなりの割合を占めています。

2023年、アリババとJD.comという2つの電子商取引(EC)の大手がスピンオフ計画を発表したことを受け、スピンオフはさらに多様な産業で関心を集めていると考えられます。2022年から2023年にかけて、テクノロジー、バイオ医薬品、金融、不動産、製造、消費財、エネルギー産業の40社超の香港上場企業がスピンオフし、香港または中国国内の証券市場に新規上場する意向を発表しています。

Jingtian & Gongcheng

JINGTIAN & GONGCHENG

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