詐欺の仲裁可能性に関する法理論の進化

By Faranaaz Karbhari,Mahafrin MehtaとSharan Shetty,HSA Advocates,ムンバイ
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事者自治の原則に基づき運用される仲裁条項は、大部分の商務契約の定型的規定になっています。1996年仲裁調停法は、特定の紛争を仲裁の対象にならないとして除外していません。しかし、第34条(2)(b)および第48条(2)では、紛争の主題を仲裁によって解決することが不可能な場合、裁定は無効であると規定されています。

Faranaaz Karbhari
Faranaaz Karbhari
カウンセル
HSA Advocates,ムンバイ

1940年インド仲裁法は、紛争解決のメカニズムとして仲裁が規定された最初の法律です。1961年のAbdul Kadir Shamsuddin Bubere対Madhav Prabhakar Oakの裁判において、最高裁判所は、一方当事者が重大な詐欺行為の申立てを受け、その告訴された当事者が公開法廷での審理を希望した場合、これは、裁判所が仲裁合意の提出を命じない理由として十分であると判示しました。また、不正/不祥事を暗示するような、ある種の不誠実さを示唆する申立てのすべてが、重大な不正の申立てに該当するとは限らないという判断も示されました。

N Radhakrishnan対Maestro Engineersの裁判では、詐欺に関する問題は詳細な証拠調べが必要であり、紛争に重大な詐欺の容疑が含まれる場合は、公序良俗に基づき仲裁の対象にならないと判示されました。しかし、Swiss Timing対Commonwealth Games 2010組織委員会の裁判では、N Radhakrishn事件における判断が批判され、”per incuriam(不注意)”によるものだと宣告されました。Booz Allen and Hamilton Inc対SBI Home Finance Ltd.の裁判における最高裁判所の判決では、紛争に仲裁が適用されるか否かについての判断の根拠が確立されました。この判決では、紛争が物的権利に関するものであれば仲裁の対象にはできず、人的権利に関するものであれば仲裁の対象になると判示されました。

Mahafrin Mehta
Mahafrin Mehta
プリンシパル・アソシエイト
HSA Advocates,ムンバイ

さらに、次のような類型の紛争は仲裁の対象とすることはできないとされました。(1)刑事犯罪に起因する紛争、(2)夫婦間の紛争、(3)後見に関する問題、(4)破産に関する問題、(5)遺言に関する問題、(6)特別法により規定される立ち退き・借家に関連する問題。詐欺行為の重大性を判断するためのテストは、A Ayyasamy対A Paramasivam & Orsの裁判において形成されました。この裁判において最高裁判所は、単純な詐欺と重大な詐欺について詳しく説明し、一方当事者が他方当事者に対して詐欺の主張をしただけでは、ある問題が仲裁の対象にならないと判断する根拠にすることはできないと判示しました。仲裁の対象にならないと判断するためには、詐欺の申立てが重大であるだけでなく、契約や仲裁条項の重要な有効性を損なうようなものでなければならないとされました。Avitel Post Studioz Ltd対HSBC PI Holdings (Mauritius) Ltdの裁判において、最高裁判所は、上記のN Radhakrishnanの判例はもはや適切ではなく、ある紛争に民事手続きや刑事手続きが関連しているというだけでは、必ずしも、その紛争が仲裁の対象にならないという結論が導かれないと判示しました。

さらに、1872年契約法の第17条は、契約そのものが詐欺や欺罔行為によって締結された場合に適用されると説示し、詐欺によって締結された契約と契約締結後の詐欺を区別しました。

2016年、最高裁判所は、信託証書および1882年信託法に起因する紛争を、仲裁の対象にならない紛争の7番目の類型に分類しました。2018年、裁判所は、1986年消費者保護法に起因する紛争は仲裁の対象にはならないと判示しました。

Sharan Shetty
Sharan Shetty
トレイニ―・アソシエイト
HSA Advocates,ムンバイ

また、Vidya Drolia対Durga Trading Corporationの裁判において、最高裁判所は、公序良俗の問題に対する仲裁裁判所の管轄権について説示し、N Radhakrishnan事件における判例を明確に覆しました。そして、仲裁合意における紛争の主題が仲裁の対象にならない場合を判断するための、4つのテストが提示されました。

4つのテストのいずれかに該当すれば、その紛争は仲裁の対象にはなりません。また、詐欺に関する申立てが仲裁の対象となるのは、民事紛争に関連する場合に限られると判示されました。上記のVidya Drolia事件に続き、NN Global Mercantile Pvt Ltd対Indo Unique Flame Ltdの裁判において最高裁判所は、基礎となる契約の根拠に詐欺が関与しており、仲裁条項を損なうような場合を除き、詐欺の民事的側面が仲裁の対象になるという見解を支持しました。

詐欺が関与する紛争が仲裁の対象になるか、という問題についてはさまざまな見解がありましたが、法理論の進化により、解決に向けて大きな進展がみられます。詐欺が関与する紛争は、仲裁合意自体が詐欺を原因として無効とされない限り、仲裁の対象となることが明らかにされています。

Faranaaz KarbhariはHSA Advocates ムンバイ のカウンセル、Mahafrin Mehtaは同事務所のプリンシパル・アソシエイト、Sharan Shettyは同事務所のトレイニ―・アソシエイトです。

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