各国の M&A 関連法規の比較: タイ

By Charunun SathitsuksomboonとWanwanuch Pornlert、Tilleke & Gibbins
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タイにおける非公開有限会社および公開有限会社のM&Aの実施方法にはさまざまなものがあり、それには、有限会社の既存株主からの株式取得、有限会社が発行する新株の引き受け、有限会社同士の新設合併、有限会社の資産または事業の全部または一部の取得、非公開有限会社同士の吸収合併などが含まれます。

Charunun Sathitsuksomboon, Tilleke & Gibbins
Charunun Sathitsuksomboon
パートナー
Tilleke & Gibbins
バンコク
電話: +66 2056 5541
Eメール: charunun.s@tilleke.com

非公開有限会社を規制する主な法令は民商法典です。一方、公開有限会社に対しては、タイ証券取引所(SET)に上場している場合を除き、主に1992年改正公開有限会社法が適用され、加えて、1992年証券取引法、証券取引委員会(SEC)規則、資本市場監督委員会(CMSB)規則、SET規則も適用されます。タイの有限会社が関与するM&A取引の大部分の法的枠組みは、民商法典と公開有限会社法の双方により規定されています。

新しい類型の組み合わせ

2023年2月7日、民商法典改正法が施行され、非公開有限会社の企業結合に対する別のアプローチとして、新たな合併スキームが導入されました。改正民商法典における合併とは、2社以上の会社が合併し、合併後の法人がすべて消滅して新会社が設立されるか、1社が存続し、他のすべての会社が法人としての存在を消滅させるかのどちらかです。

改正前の法典の規定における「新設合併(amalgamation)」という言葉は合併(amalgamation)という言葉に変更されました。改正前には、法的枠組みや合併の意味は規定されていましたが、資産や事業の取得に関する具体的な法的枠組みは明らかではありませんでした。

上述の2類型のうち前者は、改正前の法典で規定されていた合併と同一であることはほぼ間違いないと考えられます。一方、後者の合併の最終的な形は、合併後も一方の会社が存続する事業全体の譲渡に類似しています。改正前との違いは、改正により、双方の類型の合併が同じ法的手続きで実施されるようになったことです。手続きには以下が含まれます。

  • 株主総会の承認決議
  • 公的登録機関への決議の登記
  • 反対株主からの株式購入の取り決め
  • 異議申し立てに関する債権者への通知
  • すべての合併会社の株主による合同株主総会の開催
  • 公的登録機関への合併の登記

合併後(いずれの類型においても)、新会社または存続会社は、改正民商法典に基づき、消滅する会社のすべての資産、負債、権利、義務、および責任を引き受けます。

上場会社については、公開会社法、証券取引法、SEC規則、CMSB規則、SET規則に基づく要件や手続きについても考慮する必要があります。

一般的なM&Aの構造

Wanwanuch Pornlert
アソシエイト
Tilleke & Gibbins
バンコク
電話: +66 2056 5592
Eメール: wanwanuch.p@tilleke.com

タイではM&A取引をさまざまな態様で組成できますが、もっとも一般的なのは、既存の有限会社の株式の取得です。この方法は資産買収や事業買収に比べて複雑ではなく、必要な法的手続きが少なく、株式の全部または大部分を取得する場合には、事業所有権の移転が円滑です。既存の有限会社(多くの場合ターゲットと呼ばれます)の株式の取得は、ターゲットの既存株主からの株式取得、またはターゲットが発行する新株の引き受け(またはこれらの組み合わせ)によって行われます。以下では、これらの2つの方法について説明します。

既存株主からの株式取得では、売り手の株主との間で、売却される株式の数量、取引完了日、売却価格、取引完了前の条件、保証、補償などの商業的条件を定めた株式売買契約を締結することにより、非公開会社または非上場公開会社の株式を取得することができます。非公開会社の株式取得は、売り手の株主が、民商法典に定められた事項を明記した単純な株式譲渡証書を交付し、ターゲット会社の株主名簿に取引を記録することによって実行できます。非上場公開会社の株式譲渡は、公開有限会社法に基づき、株券の裏書と買主への交付をもって当事者間で有効となります。

上場会社の既存株主からの株式取得は、売買契約が伴う場合と伴わない場合があり、また、義務的公開買付または任意公開買付により実施することができます。買収において売り手株主が1人以上いる場合は、発動基準であるターゲットの総議決権の25%、50%、75%に達する株式取得など、一定の条件に該当する場合、残りの株式に対して義務的公開買付の実施が求められる可能性があります。上場企業の株式取得する他の手段としては、ターゲットの全株式、または25%以上、50%未満の株式を対象とする任意公開買付も考えられます。

買収側は、未公開会社や非上場公開会社の新規発行株式を引き受けることもできます。この場合、割当・引受株式数、引受価格、取引完了前の条件、保証、補償などの商業的条件についての規定が含まれた株式引受契約に基づき、手続きを進めることができます。この取引構造では、ターゲット企業は、民商法典または公開会社法に定められた法的手続きに従って、登録資本金を増加させる必要があります。この法的手続きには、株主総会で株主が所有する総株式の4分の3以上による承認決議を得ることや、公的登録機関への増資の登録が含まれます。

外国人の所有権の制限

タイで外国人投資家がクロスボーダーM&A取引を検討する際に、外国人の所有権に関する法的制限が注意を要する問題となる場合があります。これらの制限は、M&Aの構造の選択や、ターゲット企業に対する外国人投資家の支配力に影響を及ぼす可能性があります。

1999年外国人事業法が、タイにおける外国人の事業所有権を規定する主要な法律です。外国人事業法では、海外で登記された会社、または国内で登記されタイ人以外が50%以上の株式を保有する会社は、外国籍であるとみなされます。外国企業は、外国人事業法の3つのリストで指定されている事業の実施に関して、制限を課されます。つまり、制限の対象である事業を営む企業に対する外国投資は、外国事業免許が付与されない場合、または外国人事業法、省令、投資促進法、工業団地法、タイと特定の国との間の条約の規定により事業に条件付き免除が認められない場合、株式の50%未満に制限されます。

さらに、特定の法律により外国人の参入が厳しく禁じられている業種については、外国人が過半数を所有する会社が事業を行うことはできません。そのような業種の一例が、改正1979年陸上運送法に基づく陸上運送事業です。これに従事できるのは、タイ人が株式の51%以上を保有する有限会社のみです。他にも、1954年土地法では、投資促進法や工業団地法により認められる場合を除き、外国人がタイで土地を所有することが一般的に禁止されています。

タイにおける外国人の所有権に対する制限の影響などの法的な検討を要する事項は、法務デューデリジェンスを確実に実施することによって明らかになる問題の一つに過ぎません。法務デューデリジェンスは、タイの法律に詳しくない外国人当事者などにとって特に重要です。法務デューデリジェンスでは、ターゲット企業の企業構造、事業運営、規制遵守、必要なライセンス、雇用、資産、その他の関連する事項を綿密に調査し、ターゲット企業や投資提案に関する外国人の所有権が制限されるかどうかを明確にします。税務や財務のデューデリジェンスなどの他の包括的なデューデリジェンスも並行して実施することができます。このようなデューデリジェンスは、投資家がタイでターゲット企業を通じて事業を行う際に合法性を確保し、もっとも効率的なM&Aの構造と手法を決定する一助となります。

Tilleke & Gibbins

Tilleke & Gibbins

25/F, Supalai Grand Tower

1011 Rama 3 Road, Chongnonsi, Yannawa

Bangkok – 10120, Thailand

お問い合わせ:
電話: +66 2056 5555
Eメール: bangkok@tilleke.com

www.tilleke.com

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