日本の対タイ投資のための手引き

By ヌァンポーン・ウェークスワナラック、塙 晋、とコンキティ・シワモーク、 森・濱田松本法律事務所
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本は、1999年外国人企業運営法(Foreign Business Operations Act:FBOA)に基づくタイへの投資国として、過去5年連続で首位に君臨しています。投資促進を進める政府担当当局であるタイ投資委員会(BOI)は、2021年における178件のプロジェクトへの合計投資額が807億バーツ(24億米ドル)に達し、日本が外国直接投資(FDI)のトップ投資国となったと発表しました。

2021年において、最も投資額が多かった産業は、自動車製造、電子部品、アルミニウムおよびアルミニウム製品、ならびにゴムタイヤおよびゴムチューブでした。タイへの投資にあたっては、投資形態、事業運営上の制約、投資特権や優遇措置など、多くの要素を考慮しなければなりません。

最も一般的な事業体

日本の投資家がタイでFDIを行う場合、責任制限と業務規制における柔軟性が認められることから、非公開株式会社が最も一般的な企業体となっています。例えば、株主の責任は未払いの株価に限定され、ガバナンスについては定款で自由に規定することができます(ただし、公序やタイの法律に反しないことが条件です)。投資家は、株式取得(タイの事業会社レベルでの直接取得、または持株会社レベルでの間接取得を問わない)、資産取得、あるいは合併などのM&A取引を通じて、新会社を設立するか、既存の企業を買収するかを選択することができます。

日本の対タイ投資のための手引き ヌァンポーン・ウェークスワナラック
ヌァンポーン・ウェークスワナラック
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株式取得は、既存のライセンスと資産の下で事業を取得し継続するために、買い手が対象会社の株式を購入する最もシンプルな方法です。しかし、株式取得には、対象企業とその持株会社の債務や負債もすべて受け継ぐことになるため、リスクが伴います。税務上の懸念事項に関しては、売主側にキャピタルゲイン税が発生し、譲渡価格と額面価格のいずれか高いほうに基づき印紙税が課されます。

タイにおける企業買収のもう一つの方法は資産買収で、この場合、買収対象企業の資産・負債をすべて、あるいは一部のみ買収することで、より選択的に事業体を買収することができます。しかし、資産買収にあたっては、特に対象企業の事業活動が厳しく規制されている場合、事業運営に必要な許認可の譲渡や申請(または再申請)が、取引完了の遅延につながる可能性があるため、いくつか問題が発生する可能性があります。また株式取得と異なり、従業員の転勤には全従業員の同意も必要となります。全体または一部の譲渡スキームに必要な条件を満たす事業譲渡は、譲渡に関連する税金が免除される場合があります。

合併とは、2つ以上の会社を統合することで、合併する会社はすべて解散され、新会社が設立されます。合併完了時には、合併会社の権利と義務のすべては、法律の運用により自動的に新会社に移転されます。タイ当局は、ライセンスを保有する合併会社に対して、ライセンス譲渡の申請または再申請を要求することができます。外国人投資家によるM&A取引の場合、合併は一般的ではありません。

2社以上の企業を統合し、1社が他のすべての対象企業の権利と義務をすべて吸収する合併は、タイの法律に基づく法的認可をまだ得ていません。しかし、合併を認める民商法の修正法案が下院で可決され、上院で審議中です。

外国人投資家の懸念事項

外国人の事業運営に関する制限:タイでは、外国人はかかる事業を合法的に行う許可、すなわち外国人事業許可証(FBL)または外国人事業証明書(FBC)を取得しない限り、FBOAに基づいて制限された事業を運営することが禁じられています。

日本の対タイ投資のための手引き 塙 晋
塙 晋
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FBOAでは、外国人を次のように定義しています。(1)外国人個人、(2)タイで登記されていない法人、(3)タイで設立され、外国人個人または外国法人が50%以上の株式資本を所有する法人、または外国人個人または外国法人が50%以上の株式資本を所有するタイ法人。外国資本の比率は、議決権ではなく資本比率によって決まります。

投資家は、外国人が営むことを制限された事業であるかどうかなど、投資の株主構成がFBOAにおける外国人の定義に合うかどうかを検討する必要があります。場合によっては、多数の投資家が現地パートナーや戦略的パートナーと協力し、タイ人が過半数を保有する株主構成を有することで、タイ法人を設立することもあります。したがって、当該事業体は外国事業運営に関するFBOAの制限の対象ではありません。

FBOAの下では、「ノミニー契約(nominee arrangement)」は許可されていないことを認識しておくことが重要です。現地のパートナーや戦略的パートナーからの実際の投資が必要です。特定の株主構成が「ノミニー契約」であるかどうかを判断する明確な基準はありませんが、商務省はかかる手配を行っていると疑われる企業に対して調査を行う権限を有しています。

土地を所有する権利の制限: 土地法に基づき、外国人(外国人、外国法に基づいて設立された事業体、登録資本金の49%以上を外国人が所有するか、あるいは株主の過半数が外国人であるタイ法人を含むと定義されている)による土地の所有は、特定の法令により別途許可されていない限り、許可されません。持ち株比率要件がFBOAの要件と異なることに注意が必要です。本法では、最終的に受益権がある株主レベルに至るまで、投資のあらゆる階層で株式構造を考慮しています。

投資優遇措置

タイは、FBOAと土地法に基づき、国籍にかかわらず適格な投資家に対して特権と免除を多数提供しています。次のような特権や免除が付与されます。(1)タイが署名した条約に基づくもの、(2)1977年投資促進法(BOI法)に基づき投資委員会(BOI)が付与するもの、(3)1979年IEAT法に基づきタイ工業団地公社(IEAT)が付与するもの、(4)2018年東部経済回廊法(EEC法)に基づくもの。

日本の対タイ投資のための手引き シニア・アソシエイト、コンキティ・シワモーク
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このような場合、外国人は制限された事業運営に関してFBLの申請と取得を免除されますが、商務省への通知義務はあります。FBCの申請手続きは、FBLの申請手続きと比較して、所要時間が短く容易です。さらに、資格を満たしていれば、FBCの承認は裁量では行われません。

日・タイ経済連携協定(JTEPA)によって、日本の個人および法人がタイに投資する際には優遇措置の適用があります。JTEPAでは、「日本人株主」を有し、タイの法律に基づき登記された会社は、関税の優遇措置を受けることができ、特定の事業活動においてFBCを申請することができます。これに関して、日本の株主とは、日本国籍を有するか、または以下の資格を有する法人のいずれかでなければなりません。(1)株式資本の50%超を日本人または日本法人が保有していること、(2)取締役の過半数が日本人であること、および(3)事業体を拘束する権限を有する取締役が日本人であること。

対象事業の一覧については、一定期間中の投資促進政策に従ってBOIが発表・更新します。各事業は、企業が申請したカテゴリーに応じて、全体(税務上および非税務上の両方)または一部(非税務のみ)の優遇措置を受けることができます。例えば、製造業や高度な技術を用いる事業にはほとんどの場合税務上の優遇措置がとられますが、サービス業には出入国管理や外国人土地所有の適用除外など、非税務麺での優遇措置が多くとられます。

IEATは、IEAT法に基づき、産業用工場の地域管理を含む工業団地の開発および設立を担当する政府当局です。工業団地で事業を運営する企業は、外国人が過半数を所有する企業による工業団地エリア内の土地所有権、熟練外国人労働者を関連法に基づいて許可人数以上雇用する権利、国外への資金送金など、税務上や非税務上の優遇措置を受けることができます。

EECは、EEC法に基づくエリアベースの開発構想で、EEC内で運営している対象の事業活動に対し、IEATと同様の税務上や非税務上の優遇措置を与えています。現在、EECは東部3県(チャチュンサオ、チョンブリ、ラヨーン)から構成されています。その対象事業には、タイの競争力を高め、国家の発展を支えるうえで不可欠な先端技術を用いた事業が含まれます。

日本法の視点

上記の点に加え、日本の投資家は、日本の外国為替及び外国貿易法に基づき、特定の取引で遵守しなければならない手続きがあることを認識する必要があります。この手続きには、報告書の提出や当局からの承認取得に関して期限があります。そのため、投資家は必要な手続きや期間に注意する必要があります。

日本で作成した書類をタイ当局に提出する場合、日本での公証、認証、領事認証が必要です。適時に要件を完了させるために、できるだけ早い段階で、社内の承認プロセスや(上場企業の場合)情報開示など、必要な手順をすべてリストアップして準備することが重要です。

Chandler MHM

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