裁判所が国際仲裁の法的実効性確保に動く

By Deepesh,Kochhar & Co.
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1996年インド仲裁調停法が2015年改正法により改正されたことに伴い、仲裁制度が全面的に変更されました。これは2014年の法律委員会の報告書246号を受けたもので、同報告書は、1996年に制定された法律がその目的に照らして不十分であると結論付けました。

このような変更は、インドが他の法域の人々や法律家に向けて、インドで仲裁を実施するよう勧奨していることを示しています。その目的は、世界におけるインドの地位を向上させることです。以下では、国際仲裁を促進するために、改正法によって導入された重要な変更点の一部について説明します。

最高裁判所(国際仲裁の場合)または高等裁判所は、仲裁人選任の申請を検討するにあたり、専ら仲裁合意の有無についてのみ検討します。

改正法第34条は、国際仲裁判断が無効にされる場合の司法介入の範囲を狭めました。特許の違法性を無効の理由とすることはできなくなりましたが、国際仲裁判断がインドの公序良俗に反する場合には、それを無効にすることができます。

改正法第36条は、第34条に基づいて仲裁判断に異議を申し立てただけでは、裁判所が適切と考える条件に従って仲裁判断の執行停止を認めない限り、仲裁判断が執行不能になることはないと規定しています。

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確かに、改正法のこれらの条項やその他の条項の規定を受けて、裁判所の取るアプローチが変化しました。Pammvi Exports Pvt Limited対FUJIFILM Wako Chemicals U.S.A. Corporationの裁判において、最高裁判所は仲裁人を選任しませんでした。この事案では、仲裁は供給契約に基づき米国仲裁協会において行われました。インド側の当事者は、この手続きで反訴を申し立てませんでした。裁定は米国側の当事者を支持するもので、裁判所は決定の再検討を求める申請を却下しました。最高裁判所で争われたのは、前述の国際仲裁の対象となった商務契約の注文書に、仲裁を適用しようとした事案です。裁判所は、注文書に起因する紛争は生じていないと判断しました。そして、供給契約に基づく米国の仲裁裁定を支持しました。最高裁判所は他の法域の国際仲裁裁定を優先し、仲裁人選任申請の却下という結果をFUJIFILM Wako Chemicalsは得ることができました。

東洋エンジニアリング株式会社およびAnr対Indian Oil Corporationは、インドの大手公共企業(PSU)が日本企業に有利な国際仲裁裁定に異議を申し立てた事案です。最高裁判所は、改正法第36条に基づく裁定の執行停止を認めましたが、PSUに対し、仲裁裁判所が裁定した金額の全額を供託するよう命じました。最高裁判所がこのように命じたのは、改正法により導入された変更に完全な効力を付与し、仲裁に勝訴した当事者が裁定を利用できるようにするためです。裁判所は、被申立人がPSUが預託した金額の引き出しを高等裁判所に申請することを認めました。最高裁判所は、この事案のように、係争金額が多額で政府機関が関与している場合、仲裁裁判所が、控訴審で本来申し立てるべき金額よりも少ない金額を申し立てるよう命じていたと認定しました。そして裁判所は、このような慣行をやめるよう命じました。

インドと日本の仲裁法は同様の原則に準拠しています。日本の仲裁法は2003年に制定されました。同法第44条1項は、仲裁判断が日本の公序良俗に反する場合、仲裁判断の取消しを申し立てることができると規定しています。日本の裁判所は、明らかに仲裁判断への介入に消極的です。また、インドでも、仲裁判断がインドの公序良俗に反する場合の取消しについて、改正法は明確に規定しています。日本で仲裁法が制定されたのは、インドの改正法の制定よりも後ですが、双方の法律の根底にある理念は同じ信条と倫理観に基づいています。

日本の裁判所の、仲裁に親和的な姿勢はよく知られています。改正法や本稿で取り上げた判決を受けて、インドの裁判所もこのような姿勢について世界的に評価されるようになりました。インドの仲裁法と日本の仲裁法は同様の原則に基づいています。両国ともに、ダイナミックで進歩的な仲裁法を有しています。このような共通点と仲裁に親和的な環境の醸成を通じて、両国の関係はさらに深まっていくことでしょう。

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