企業が持続可能性の下で成功を遂げるためには、優れたコーポレート・ガバナンスが必要です。本稿では5つの主要な法域における最新の動向に焦点を当て、具体的に解説します。
香港上場発行体のコーポレート・ガバナンスによる長期的成長
健全なコーポレート・ガバナンスの実践は、規制遵守、公正な商慣行、長期的な持続可能性の基盤として機能します。優れたコーポレート・ガバナンスが、組織における人材の獲得と保持、顧客のロイヤルティと評判の向上、株主に対する長期的な価値の創造において、プラスの影響を与えるという証拠が増えつつあります。発行体の最も重要な意思決定機関である取締役会は、企業文化を確立し、組織のコーポレート・ガバナンスの議題を推進する最終的な責任を負います。
規制の枠組み

Partner
Jingtian & Gongcheng
香港
Tel: +852 2926 9328
Email: catherine.chan@jingtian.com
香港上場発行体のコーポレート・ガバナンスの規制枠組みは、主に会社条例(Cap.622/以下、CO)、証券先物条例(Cap.571/以下、SFO)、香港証券取引所(以下、SEHK)の証券上場規則(以下、上場規則)、特に上場規則に含まれるコーポレート・ガバナンス・コード(以下、CGコード)で構成されています。
COは、香港における会社設立と運営のための現代的な法的枠組みを提供し、特にコーポレート・ガバナンスの強化や規制の改善を目的としています。例えば、COは取締役の職務を遂行する際の注意義務、技能義務、勤勉義務を成文化したものです。SFOは、香港の証券・先物業界を規制するための主要な法律であり、金融商品、証券・先物市場や業界、投資家保護に関する規制が含まれています。上場規則は、上場申請者に対する要件や、香港に上場している発行体に対する継続的な義務に関する要件を提供しています。上場規則に含まれるCGコードは、上場発行体のためのコーポレート・ガバナンスの原則と実践に関する主要な情報源です。
コーポレート・ガバナンス・コード
香港上場発行体は、CGコードに定められた優れたコーポレート・ガバナンスの原則に従っています。CGコードは、発行体が優れたコーポレート・ガバナンスの原則を適用するのを助けるための規定も定めています。コードの規定は「遵守または説明」の原則に基づいて機能します。発行体は、年次・中間報告書でコードの規定を遵守しているかどうかを明示しなければなりませんが、その原則が他の方法でいかに達成されているかを説明すれば、コードの規定から外れることもできます。CGコードは、発行体が自主的に採用することを推奨するベスト・プラクティスも提供しています。
SEHKは、コーポレート・ガバナンスの枠組みが目的に合致し続け、ガバナンスの質を促進し、利害関係者の期待を国際的なベスト・プラクティスと一致させるために、定期的な見直しをしています。2022年1月1日に施行された最新の改正版CGコード(2022年改正)は、企業文化を会社の目的、価値観、戦略と一致させること、取締役会の独立性と多様性を強化すること、コーポレート・ガバナンスと環境、社会、ガバナンス(ESG)措置との関連性を詳述することに焦点を当てています。
以下に、CGコードのいくつかの主要な分野について説明します。
企業文化 健全な文化は優れたガバナンスにとって極めて重要です。したがって、SEHKは2022年の改正で新しいコード規定を導入し、取締役会が発行体の目的、価値観、戦略を確立し、それらが発行体の文化と一致することを確保するよう要求しています。さらに、すべての取締役は誠実に行動し、模範を示し、望ましい文化を促進しなければなりません。そのような文化は、組織全体で合法的、倫理的、責任を持って行動するという価値観を植え付け、継続的に強化しなればなりません。
この目的のために、取締役会は発行体の文化を監視・評価し、文化における潜在的な弱点の兆候に注意を払うべきです。取締役会は、経営陣の支援の下で、メッセージを組織全体に伝えるための効果的なコミュニケーション・チャネルが整備されていることを確保しなければなりません。さらに、適切なトレーニング、インセンティブ、説明責任の仕組みを精査して、望ましい文化との最適な整合性と促進を確保する必要があります。
適切な文化を構築することは反復して行われることであり、組織が正しく行われたことを肯定して強化し、改善の方向性を提供するためには、社内外の利害関係者を巻き込んだ定期的な評価が不可欠です。
取締役会の効果 健全な企業文化とガバナンスの枠組みの確立や管理責任は、相互の精査に耐えられる多様な視点を持つ客観的で独立性を保った取締役会によって、最も効果的に達成されます。CGコードと上場規則における、取締役会の独立性と多様性に関する以下の要件は特に重要です。
(1)取締役会の独立性 発行体は、取締役会に独立した見解や意見が提供されることを確保する仕組みを確立し、そのような仕組みの実施と効果を取締役会は毎年評価しなければなりません。
(2)取締役会の刷新 長期にわたって取締役を務める独立非業務執行取締役(以下、INED)は、発行体の経営陣との親密度が増すため、独立性と客観性を失うリスクがあります。そのため、CGコードは、取締役会に9年以上在籍しているINED、すなわち「長期在任」INEDの再任は株主の個別決議で承認することを要求し、そのINEDが依然として独立性を持ち再選されるべきであると判断するに至った際に、検討された要因、プロセス、取締役会または指名委員会の議論の開示を要求しています。さらに、取締役会の全員が長期在任INEDである場合、それぞれの在籍期間を株主向け回覧文書に開示し、次の年次総会で新たなINEDを任命しなければなりません。
(3)取締役会の多様性 多様な取締役会は多様な視点からの利益を享受するとともに、「グループシンク」に対する強さを持っています。上場規則は、発行体が多様性方針を持つことを要求しています。CGコードに従い、取締役会は多様性方針の実施と効果を毎年評価する必要があります。さらに、ジェンダーの多様性を促進するために、SEHKは単一のジェンダーの取締役会では多様性が達成されているとは見なしません。したがって、発行体は2024年12月31日までに異なるジェンダーの取締役を少なくとも1人任命しなければなりません。
リスク管理 堅固なリスク管理と内部統制システム(RM-ICシステム)は、企業が長期的な目標を追求する上で事業の効率性、合法性、文化にとって基盤となるものです。したがって、CGコードは、取締役会が発行体のRM-ICシステムを継続的に監督し、その有効性を少なくとも年に一度は評価することを要求しています。発行体は、取締役会がすべての重要なリスクを特定、評価、管理する支援のために、適切な方針と手続きを整備している必要があります。
重要な要素として、発行体の腐敗防止システムと内部告発システムは、不正行為を検出し抑止するために連携して機能します。CGコードは発行体に対して(a)腐敗防止に関する法律・規制をサポートする方針とシステム、(b)従業員やその他の利害関係者が、発行体に関連する不正行為の可能性について監査委員会(またはINEDの過半数で構成される指定委員会)に、秘密裏に匿名で懸念を表明できる内部告発方針とシステムを確立することを要求しています。効果的な腐敗防止方針では、不正行為を特定、防止、対処するための明確なガイドラインを確立し、会社のゼロ・トレランスの姿勢、役割や責任、報告の仕組みを記述しなければなりません。これを補完するために、堅固な内部告発方針では、機密報告チャネル、匿名性の手順、調査の手続き、報復からの保護措置について説明する必要があります。
ESG ESG問題のガバナンスは、優れたコーポレート・ガバナンスに不可欠です。したがって、2022年の改正の一環として、SEHKはコーポレート・ガバナンスとESGの間の関連性を詳述し、リスク管理の枠組みの中にESGリスクを含めました。
2023年6月に発表された国際サステナビリティ基準審議会の国際的なサステナビリティ開示基準に合わせるために、SEHKは発行体に対してESG報告書で気候関連の開示(新しい気候基準)の義務付けを提案しており、特定の実施緩和措置を伴って段階的に実施されることが予定されています。この段階的アプローチの下で、(i)すべての発行体は2025年1月1日以降に開始する会計年度について、スコープ1とスコープ2の温室効果ガス排出量の開示が義務付けられます。(ii)すべてのメインボード発行体は2025年の会計年度について、新しい気候基準に従って「遵守または説明」制度での報告が義務付けられます。(iii)大型株発行体(Hang Seng Composite LargeCap Indexの構成銘柄の発行体など)は、2026年1月1日以降に開始する会計年度について、気候報告の義務の対象になります。このため、発行体は新しい気候基準に準拠するために、ESGや気候関連のガバナンスと報告の仕組みを強化することが推奨されます。
取締役会が企業の持続可能性、説明責任、長期的な価値創造を監督し推進する上での重要な役割を考慮すると、発行体は最低限の基準を単に遵守するにとどまらず、規制の精神に対して、より合致させることを目指すべきです。そうすることでのみ、発行体は責任ある商慣行へのコミットメントを示し、信頼を築き、組織の長期的な繁栄を守ることができるでしょう。

Suites 3203-3207, 32/F, Edinburgh Tower
The Landmark, 15 Queen’s Road Central
Hong Kong, China
Tel: +852 2926 9300
Email: jingtianhk@jingtian.com
www.jingtian.com
日本におけるコーポレートガバナンスの最新動向
日本の上場企業のコーポレートガバナンスは、日本の当局、すなわち金融庁(FSA)、経済産業省(METI)、東京証券取引所(TSE)によって発表された一連の政策イニシアチブを通じて、劇的に強化されてきました。その中には、TSEのコーポレートガバナンス・コード(2015年・改訂版/CGC)、FSAのスチュワードシップ・コード(2014年。改訂版/SC)があります。CGCに準拠するために、大多数のTSE上場企業は、複数の独立社外取締役の選任を通じて取締役会の多様化を図り、取締役の指名委員会や報酬委員会を設置しました。SCは機関投資家に対して、投資先企業で質の高いのコーポレートガバナンスが求められていることから、顧客の投資家に対する受託者責任を果たすために行動することを奨励し、また、株主総会でいかに自らの投票権を行使したかの開示も求めています。
買収指針

シニア・パートナー
TMI総合法律事務所
東京
Tel: +81 3 6438 4588
Email: iwakura-plus@tmi.gr.jp
最新の重要な政策の一つとして、2023年にMETIは「企業買収における行動指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」(買収指針)を発表しました。買収指針は日本のM&A市場を劇的に変化させました。発表前は、対象企業の取締役会が同意または求めていない「敵対的」買収を追求することは、長い間タブーとされていました。買収指針の目的は、買収者が上場企業の経営支配権を取得するM&A取引に焦点を当てて、その原則論とベストプラクティスを提示することでした。
買収指針の基本原則は、以下の3つです。
a. 望ましい買収か否かは、企業価値や株主共同の利益を向上させるかにを基準に判断されるべきである
b. 対象企業の支配権に関わる事項については、株主の合理的な意思に依拠すべきである
c. 株主の意思決定のために有益な情報を、買収者と対象企業は積極的に提供し、透明性を確保すべきである

パートナー
TMI総合法律事務所
東京
Tel: +81 3 6438 4592
Email: yuji_nakano@tmi.gr.jp
さらに、買収指針は、対象企業の取締役会が買収提案にどのように対応すべきか、また、対象企業が同意なき買収提案に対してどのような範囲で、どのような手段で対抗措置を用いることができるかを詳細に定めています。最も重要なことは、買収指針では、潜在的な買収者からの提案が「真摯な買収提案」(bona fide offer)である場合、たとえ同意がないとしても、対象企業の取締役会はその提案の検討を拒否するのではなく、「真摯な検討」を進めることを明示的に要求していることです。買収指針は「ソフト」な法律ですが、それでもなお、取引の可能性に直面した際にはその原則に目を向けることが通常の慣行となっています。
買収指針が発表された直後、世界最大のモーターメーカーで戦略的買収者であるニデックが、TAKISAWAに同意なき買収を提案しました。以前のM&A市場では、この種の買収者が同意なき買収を試みることはほとんどなかったため、この取引は劇的なゲームチェンジャーとなりました。ニデックは買収指針に含まれる概念を繰り返し参照し、この買収を成功裏に成立させました。それ以来、日本の大手生命保険会社の一つである など、同意なき買収の試みは増加しています(TMI総合法律事務所は、TAKISAWA買収においてニデックの代理を務めるなど、このような取引に数多く関与しています)。
TSEからの要請

パートナー
TMI総合法律事務所
東京
Tel: +81 3 6438 5312
Email: junya_horiki@tmi.gr.jp
2023年、TSEは「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」の要請を行いました。この要請では、TSEのプライム市場とスタンダード市場に上場している企業に対し、従来の慣例である総売上高や利益水準に焦点を当てるのではなく、資本コストの指標を使用し、市場株価を意識して経営を行うことが求められました。
買収指針と同様に、このTSEのガイダンスも上場企業に対して法的拘束力はありませんが、特に株価純資産倍率が1.0未満または自己資本利益率が8%未満の上場企業に大きな影響を与えました。この要請に従い、上場企業は自社の資本コストや資本収益性を評価し、適切であれば改善計画を検討し、株主との対話を通じて改善計画を更新する必要があります。
買収指針とともに、非効率的な収益性を有する上場企業が同意なき買収提案の対象となりやすくなる可能性が、現実味を帯びてきました。これにより、企業経営では資本コストの効率化に焦点を当てる必要性が認識されるようになりました。
その他の動向
(1)「健全な」買収を阻害する要因の削減
これまでの日本では、親会社を持つ上場子会社が数多く存在していました。これは、親会社が上場子会社の少数株主の利益を害することで、自社の利益を追求する恐れがあるという批判がありました。CGCやその他の政策の結果、上場子会社の数は顕著に減少し、友好的な経営を行う企業間の持ち合いも減少しました。
これらの傾向は、企業価値と株主共同の利益を向上させることができる新しい潜在的な所有者による健全な買収を促すものです。
(2)取締役会の構成の多様化
CGCの結果、大多数の上場企業がスキル、性別、国籍、その他の観点から取締役会の構成を意図的に多様化しようと試みています。
(3)経営陣のインセンティブ報酬
伝統的に、日本企業の経営陣の報酬は固定の金銭報酬と年次ボーナスで構成されていました。対照的に2023年時点では、上場企業全体の約75%が制限付き株式の授与などのインセンティブ報酬制度を導入しており、経営陣が企業の中長期的な価値の向上を目指すようインセンティブを与えています。
(4)サステナビリティやその他の非財務情報の開示
サステナビリティやその他の、例えば気候変動、性別と多様性、人権、知的財産、人材、サプライヤー、事業の課題と経営リスクなど、企業に影響を与える非財務情報は、企業のステークホルダーと建設的に議論すべき基本項目であると見なされています。2023年の企業開示に関する条例の改正に基づき、上場企業は有価証券報告書でこれらの情報の開示を強化するよう求められています。
2024年~25年に予想される動き
(1)株式公開買付規則と大量保有報告書の大規模な改革
2024年3月、株式公開買付規則と大量保有報告書制度を対象とした大規模な改革法案が採択されました。この改正は2年以内に施行される予定です(正確な日付は未定)。
この改革を通じて、株式公開買付規則は、企業の支配権に重大な影響を与える取引に幅広く適用されることとなり、その透明性と公正性が向上します。また、大量保有報告書制度は上場企業の株式を5%以上保有する投資家に対して、その身元、投資の目的(重要提案を行う意図がある場合は、その旨も含む)、その他の情報を開示する義務を課していますが、この開示義務が機関投資家による共働エンゲージメントを不当に阻害しないように見直しが行われます。
(2)独立社外取締役の質の向上
現在、ほとんどの上場企業が独立社外取締役を選任しているため、必要な資質と能力を有する取締役候補者を指名することが、コーポレートガバナンスのさらなる促進につながるものと考えられます。METIやTSEは、このテーマに関する指針の公表・改訂などを通じて、独立社外取締役のベストプラクティスを提案する努力を続けています。
(4)英語による情報開示
2024年2月、TSEは、2025年4月より国際投資家のニーズに応えるために、プライム市場に上場している企業に決算情報と適時開示情報の英語による開示を義務づけるとともに、その他の情報についても同様な開示が奨励される旨を発表しました。
備考
これらのコーポレートガバナンスの進展を通じて、日本の上場企業は、企業価値と株主共同の利益のさらなる向上を追求し、機関投資家との対話を加速させることが期待されています。

23/F, Roppongi Hills Mori Tower
6-10-1 Roppongi, Minato-ku
Tokyo – 106-6123, Japan
Tel: +81 3 6438 5511
Email: info_general@tmi.gr.jp
https://www.tmi.gr.jp
取締役を適正に保つためのマレーシアの取り組み
マレーシアのコーポレート・ガバナンスは企業内の透明性、誠実性、持続可能性を向上させるために、意義深い取り組みを試みてきました。本稿では、コーポレート・ガバナンスの観点から注目される3つの主要分野について論じます。
- 上場企業における利益相反要件
- 株主の承認と事業の効率性のバランスを保つコンプライアンスのプロセス
- グリーンウォッシングへの対抗措置
これらの率先した取り組みは、投資家の信頼を醸成し、長期的な事業の持続可能性を確保するための堅固なガバナンスの枠組みを促進するために、マレーシアがコミットしていることを強調しています。
利益相反

パートナー
Zaid Ibrahim & Co(KPMG Law提携法律事務所)
クアラルンプール
Tel: +60 3 2087 9846
Email: xianaichan1@ziclegal.com
上場企業の透明性とガバナンスを強化するために、マレーシアの証券取引所であるブルサ・マレーシアは利益相反に関するガイダンスを発行しました。このガイドラインは、意思決定プロセスの誠実性や公平性を損なう可能性のある利益相反を軽減するための厳格な措置を導入しています。この利益相反は、ビジネス分野の個人間で利益が重複する傾向にある市場において、重要な懸念事項です。
ガイドラインの主な特徴の一つは、上場企業が実際の利益相反事項だけでなく、取締役、主要な上級管理職、上場企業の法定代理人、集団投資スキームの管理会社および/または受託管理者に関わる潜在的な利益相反も開示することを要求している点です。
開示要件は、直接・間接両方の財務的および非財務的利益をカバーしています。非財務的利益の例としては、えこひいき、敵意、コミットメント、競合する忠誠心や義務などがあり、これらはすべて、潜在的な利益相反を監査委員会が厳密に審査し監視することを、規制当局が期待していることを示しています。
利益相反に関して、取引所がもう一つ大きく期待していることは、まだ具体化していないものの、既存の関係や状況により発生する可能性のある潜在的な利益相反を監視することです。
ブルサは、上場企業の取締役が別の州で家族経営の事業を展開しているケースを、事例の一つとして提供しています。この上場企業が、この取締役の家族ビジネスの分野にまで拡大しようとする場合、取締役は、上場企業の最善の利益のために行動する取締役としての義務と、個人的な利益とが対立する状況に直面する可能性があります。取締役はこれらの利益相反の性質と範囲を開示する義務を負うことになります。
監査による回避 上場企業の監査委員会は、利益相反の包括的なガバナンスを確保する責任があります。この義務には、利益相反を特定、評価、報告、監視して、解決、排除、または軽減することが含まれます。このような期待を考慮して、監査委員会は追加の措置(例えば、バックグラウンドの調査の強化など)を実施し、継続的、持続的、または潜在的な利益相反リスクを監視するための措置を講じる必要があります。
これは新たな報告要件であることから、上場企業が利益相反問題に関わる個人のプライバシー権とのバランスを取りながら、重大な漏れがないことを確保しつつ、最低限の要件を満たすためにどのように開示を管理するかを観察することは興味深いでしょう。
これらの要件は、強化されたガバナンスを通じて企業の誠実性と投資家の信頼を強化することに、ブルサがコミットしていることを強調しています。利益相反報告の範囲が拡大され、厳格になったと見えるかもしれませんが、その意図は明確です。上場企業の運営において健全なガバナンスの重要性を強調し、公平で効果的に目的が達成されることを保証しているのです。
コンプライアンスと事業のバランス

パートナー
Zaid Ibrahim & Co(KPMG Law提携法律事務所)
ペナン
Tel: +60 4 375 3169
Email: sulingkoay@ziclegal.com
2016年会社法は、会社の事業と業務が取締役会によって、またはその指示の下で管理されることを規定しています。取締役会はこの役割に必要なすべての権限を持っていますが、会社法または会社の定款(株主に権限を与える2つの手段)に含まれる修正、例外、または制限に従うものとしています。株主による統制の主な仕組みの一つは、特定の事項については、取締役会は株主の承認または免除の取得を要求することがあるということです。
この要件に関連して、連邦裁判所でのDato’ Azizan Abd Rahman & Ors 対 Concrete Parade Sdn Bhd & Ors and other appeals(2024年)の判例は、マレーシアのコーポレート・ガバナンスの環境において、重要なコンプライアンスの仕組みについて歓迎すべき明確さを提供しています。以下は、関連する要件の真の目的に焦点を当てて、コンプライアンスと事業効率のバランスを取るために、実用的なアプローチを取るよう支持するものです。
株主の承認 同法第223条第1項では、実質的な買収または処分のために、取締役がいかなる取り決めまたは取引を締結したり、またはそれを実行したりすることを禁止しています。ただし、次の場合を除きます。
- 取り決めまたは取引を締結することが、決議によって会社の承認を受けることを条件としている場合
または
- 取り決めまたは取引を実行することが、決議によって会社の承認を受けている場合
前述の連邦裁判所の判例では、少数株主が、一つの同じ取引に対して2つの株主承認を要求する「トラムライン」方式を提出しました。一つは契約の締結時、もう一つは取引の実行段階です。
連邦裁判所は実用的な解釈を示すために、第223条は、会社に重大な影響を与える可能性のある企業間取引の提案を株主が認識して、承認することを確保することが真の意図と目的であり、株主の承認を2回取得する必要はないことを強調しました。取締役は、株主の承認を条件とする場合は、条件付き契約を文書化することが可能です。ただしその承認は、取引の実行前に取得されることが条件となります。
説明/同意の明示 同法第85条第1項によって株主に付与された優先引受権が、「株主総会での会社による反対の指示」を条件に会社の定款によって修正された件について、連邦裁判所は、その意図と目的を不当に拡大する条件を課すことを認めず、次のように判示しました。すなわち、株主は新株発行を含む関連する企業活動を承認・拒否するための十分な知識を持って、自らの権利を認識していることが期待されており、前述の場合、優先引受権に関する決議またはその他の方法での説明を行う必要はなく、また、優先引受権の行使を認めないことについて、株主が明示的に同意する必要はないと判断しました。
グリーンウォッシング

パートナー
Zaid Ibrahim & Co(KPMG Law提携法律事務所)
クアラルンプール
Tel: +60 3 2087 9922
Email: iliyasrazali@ziclegal.com
グリーンウォッシングとは、企業の環境保護や持続可能性への取り組みを印象付けるために、虚偽または誤解を招く主張やマーケティングを行うことです。この欺瞞は、環境に対する製品の影響を誇張することから、有害な行為を無視して好ましいデータのみを選択的に開示することまで、多岐にわたります。グリーンウォッシングへの懸念は、投資家や消費者を誤導し、それゆえに、持続可能性に真剣に取り組む企業が単に口先だけの企業によって陰に追いやられてしまい、不平等な競争環境を生み出す可能性があることです。
2024年7月現在、マレーシア証券委員会またはブルサから、グリーンウォッシングに明確に対処する公式な規制はありません。とはいえ、委員会とブルサは、コーポレート・ガバナンスにおいて持続可能性の要素を導入することで、間接的にグリーンウォッシングに対処するという重要な前進を遂げています。
ブルサのメイン・マーケットとACEマーケットの要件に基づいて、上場発行者は年次報告書に持続可能性に関する声明を提供することが求められています。これにより、企業は経済的、環境的、社会的リスクと機会の管理について記述的声明を作成する必要があります。
これらの持続可能性に関する声明の正確性と透明性を確保するために、ブルサの2022年持続可能性報告ガイドは、11個の持続可能性事項にわたる22個の持続可能性の共通指標を開示するよう義務付けています。持続可能性事項の例としては、上場発行者が温室効果ガス排出量、エネルギー消費量、水使用量、廃棄物管理、従業員の健康と安全に関する情報を開示することが求められています。これらの開示では、企業業績のポジティブな側面とネガティブな側面両方を提示する必要があり、それによってグリーンウォッシングのリスクが軽減されます。
一方、証券委員会は、2つの主要な手段を通じて環境・社会・ガバナンス(ESG)要件を普及させています。まず、マレーシアのコーポレート・ガバナンス・コードは、資産運用会社が投資プロセスとアクティブ・オーナーシップの実践に際して、ESGリスクを組み込むように義務付けています。次に、証券委員会の持続可能で責任ある投資ガイドラインは、持続可能で責任ある投資ファンドが、国連グローバル・コンパクト原則などの持続可能性戦略を一つ以上採用するように要求しています。これらの措置は、資産運用会社がESGの主張に関して持続可能性を促進することを目的としています。
マレーシアの規制枠組みには、グリーンウォッシングに関する重要なギャップがいくつか残されています。大きなギャップの一つは、持続可能性指標の標準化の欠如です。企業は、グローバル・レポーティング・イニシアティブ基準、サステナビリティ会計基準委員会基準、気候関連財務情報開示タスクフォースの推奨事項など、異なる基準を使用してブルサの要件に準拠することができます。このようにばらつきを与えることで、ある企業の持続可能性指標が、異なる基準を使用する別の企業の指標と比較できないため、グリーンウォッシングの蔓延を正確に評価しようとする努力を複雑なものにしています。
もう一つのギャップは、正確な持続可能性目標を報告しないことに対する説明責任措置の欠如です。ブルサは、持続可能性に関する声明を提供しない上場発行者に対して強制措置を取ることができますが、持続可能性のパフォーマンスの監視はしばしば散発的に、かつ非公式に行われます。厳格な監視が欠如していることは、ブルサと証券委員会の持続可能性目標を傷つけるものです。
ZAID IBRAHIM & CO(KPMG Law提携法律事務所)
Level 19, Menara Millennium,
Jalan Damanlela,
Pusat Bandar Damansara,
50490 Kuala Lumpur, Malaysia
Tel: +603 2087 9999
Fax: +603 2094 4888/4666
Email: info@ziclegal.com
プライアンスの先へ:フィリピンにおけるコーポレート・ガバナンス
企業の透明性、説明責任、持続可能性が国内外の投資家から大きな注目を集めるグローバルな経済環境において、投資決定を行う民間企業と公開企業はいずれも、戦略的計画の一環としてコーポレート・ガバナンス全般の基準を引き上げるという圧力に直面しています。

マネージング・パートナー
Gorriceta Africa Cauton & Saavedra
Email: msgorriceta@gorricetalaw.com
2000年代初頭から、さまざまな法域がコーポレート・ガバナンスの原則とベスト・プラクティスを成文化し、主に上場企業のガバナンスを規制するためにコーポレート・ガバナンス・コードを導入してきました。
フィリピンでは、改正会社法が、独立取締役の任命や財務報告・情報開示の透明性などの向上のため、コーポレート・ガバナンスの実践を改善するための規定を導入しています。
フィリピン証券取引委員会(SEC)は、民間部門における優れたコーポレート・ガバナンスをさらに強化することを目的として、いくつかの通達を発出しています。最近出された主な通達は次のとおりです。
(1)SEC覚書回状2009年第6号、または改訂コーポレート・ガバナンス・コード、
(2)SEC覚書回状2016年第19号、または上場企業に適用されるコーポレート・ガバナンス・コード。

パートナー
Gorriceta Africa Cauton & Saavedra
Email: kttorres@gorricetalaw.com
これらは優れたコーポレート・ガバナンスの基準を引き上げることを目的としています。改訂コーポレート・ガバナンス・コードは、一般的に公開会社と、SECから二次ライセンスを受けた会社に適用され、上場企業に適用されるコーポレート・ガバナンス・コードはフィリピン証券取引所に上場している企業を対象としています。
フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas/BSP)や保険委員会(IC)などの他の規制当局も、それぞれの監督下にある機関のコーポレート・ガバナンスを強化するため、独自の規制を発行しています。
一般的に、フィリピンにおけるコーポレート・ガバナンスに関する規制は、上場企業またはSEC、BSP、ICからの二次ライセンスを取得した企業に強制的に適用されます。他の民間企業も、もちろん、利用可能な通達に含まれる原則や規則を自主的に導入し、組織のベスト・プラクティスを実現させることができます。
優れたコーポレート・ガバナンス
フィリピンでは、コーポレート・ガバナンスは一般的に、企業の取締役会の業績や、株主に対するそれぞれの義務と責任を管理するルール、システム、プロセスの枠組みであると定義されます。
しかし、「優れたコーポレート・ガバナンス」とは何を意味するのでしょうか?
優れたコーポレート・ガバナンスの指標として考えられる要因や要素がいくつかあります。以下は考慮されるべき主要な要素の一部です。
-
Kathleen T Guiang
中級アソシエイト
Gorriceta Africa Cauton & Saavedra
Email: counselors@gorricetalaw.com内部ガバナンスの枠組みの存在 コーポレート・ガバナンスに関しては「一律に適用」できる枠組みはなく、コーポレート・ガバナンスの原則とベスト・プラクティスの導入は、最終的には企業の規模、リスク・プロファイル、企業の業務の性質と複雑さに依存します。内部ガバナンスの枠組みが存在するということは、少なくとも、企業が一連の原則に従って、以下を確保することを約束するものです。すなわち、(a)取締役会の能力、コミットメント、独立性、(b)取締役会がその役割と責任について十分に理解していること、(c)効果的な内部統制とリスク管理システム、(d)株主やその他の利害関係者に対する説明責任など。
- 定期的な取締役会の評価と研修 取締役が自社の業種に適用される法律、規則、規制の関連動向について最新の情報を入手することは重要です。フィリピンのコーポレート・ガバナンス規制の下では、初めて就任した取締役は8時間のオリエンテーション・プログラムを受け、少なくとも4時間の年次継続研修プログラムに参加することが推奨されています。これは、取締役会の効果的なパフォーマンスや、職務や責任を果たす上で取締役が継続して必要条件を満たすように促進することを目的としています。
- 企業の透明性と情報開示 透明性は優れたコーポレート・ガバナンスの主要原則の一つです。企業が規制当局や他の株主に対して、財務・非財務情報の開示を行うことに関する明確な方針・手続きを持っているということは、利害関係者に対する説明責任を明らかにしているということです。これにより、企業の利害関係者は十分な情報を入手しており、その意思決定プロセスは信頼が置けることが保証されます。
- 株主の権利の促進 企業が優れたコーポレート・ガバナンスを支持しているかどうかを判断するための、もう一つの主要な要素は、企業の方針が利害関係者の権利の保護や行使に関する仕組みを提供しており、それが確立されていることです。特に、利害関係者の権利が法律または行政の通達によってカバーされていない場合、企業が自主的に利害関係者に対応するための方針やプログラムを導入・実装することは、その利害関係者の権利の促進と保護に責任を持つことを示しています。
コーポレート・ガバナンスが重要な理由
コーポレート・ガバナンスが重要な理由は、企業のさまざまな側面における取り組みの指針となるからです。コーポレート・ガバナンスは、組織内の方針やプログラムを形成し、それが取締役会、経営陣、従業員、その他の利害関係者の個人的・集団的な行動に影響を与えます。これは、効果的な意思決定や組織としての業績の向上に不可欠なものです。
意思決定の改善により、株主、従業員、顧客、サプライヤー、投資家、債権者、政府機関、規制当局、競合他社、コミュニティ全体を含む利害関係者からの信用と信頼が高まります。さまざまな独自の研究でも、コーポレート・ガバナンスが企業の評判の向上に影響を与えることが確認されています。
さらに、効果的なコーポレート・ガバナンスの導入は、組織がリスク許容度のレベルを理解し、それらのリスクを回避、管理または軽減する方法を積極的に決定できるシステムを確立できるため、財務リスクを軽減します。
評判の良い企業は、成功する可能性が高い企業です。消費者や第三者のパートナーは、高いガバナンス基準で知られる評判の良いブランドや組織に引き付けられるものです。ガバナンス基準への準拠を示すことができれば、企業のコーポレート・ガバナンスの実践に対してより厳しく審査している投資家でも引き付けることができます。
改革と基準の引き上げ
国内では既存のガイドラインはあるものの、民間企業や規制当局から二次ライセンスを受けていない企業に対しては、適した指針が提供されていません。さらに、コーポレート・ガバナンスの原則を実施・執行することは、フィリピンにおいて依然として大きな課題となっています。
民間部門も、公共部門も、フィリピンにおけるコーポレート・ガバナンスの基準を引き上げるための改革に対して、前向きであり続けなければなりません。
規制されているかどうかにかかわらず、企業は優れたコーポレート・ガバナンスのベスト・プラクティスを主導して支持するべきです。短期的な目標や利益も考慮すべきですが、それが中心になってはいけません。
長期的な価値の創造も企業の目標として、組織内に組み込まれるべきです。規制対象の企業や上場企業は、書面による報告書の提出というコンプライアンスにとどまらず、これらのガバナンスの原則を実際に事業運営において実行しなければなりません。
一方で、義務ではないものの、民間企業や非上場企業も、確立されたコーポレート・ガバナンスの原則、推奨事項、ベスト・プラクティスをどのように導入できるかを評価すべきでしょう。
規制当局は、適切な基準と実践が確立され、発展し、規制の範囲内の組織によって適用されていることを確認する責任があります。当局は、民間企業向けのコーポレート・ガバナンスのベスト・プラクティスを包括的にカバーするマニュアルやコードの発行を検討して、市場参加者がその通達に従うように、インセンティブを含めることもできるでしょう。
また当局は、財務上の出入りだけでなく、企業の非財務上の目標や社会的影響もカバーする明確な目標と報告の原則を作成・導入することを検討するかもしれません。
SEC、BSP、ICは、フィリピンにおける現在の、そして発展中のコーポレート・ガバナンスの状況をより包括的に、正確に把握するために、利害関係者からのフィードバックを受け取り続ける必要があります。
研究によると、フィリピンでは、コーポレート・ガバナンスの原則を採用する企業が増加する傾向が見られ、さまざまな利害関係者によって取り組みが確立・促進されていますが、グローバルな課題によって生み出され日々進化する経済環境に対応するには、既存のコーポレート・ガバナンスの実践が継続的に発展することが必要です。フィリピンにおけるコーポレート・ガバナンス環境の成熟化に向けて、まだ多くのことがなされる必要があります。

SAAVEDRA
15/F Strata 2000, F Ortigas Jr Road Ortigas
Centre, Pasig City, 1605 Philippines
Tel: +63 2 8696 0687/8696 0988
Email: counselors@gorricetalaw.com
www.gorricetalaw.com
台湾におけるコーポレート・ガバナンス:国際的な概要
コーポレート・ガバナンスを理解することは、組織の長期的な成功と持続可能性を確保するために重要であるだけでなく、事業とその投資の役割、責任、リスクを管理する効果的な企業構造を構築するためにも極めて重要です。近年、台湾政府は、透明性と説明責任を促進するために、より高い企業行動基準を求める規制改革と市場の需要の後押しを受け、コーポレート・ガバナンスの強化を大きく前進させています。
台湾で企業を経営する際の共通の問題を徹底的に理解することで、規制要件の遵守が確保され、誤解から生じる法的リスクは軽減されます。企業の幹部にとって、コーポレート・ガバナンスや繰り返し発生する問題を把握することは、規制環境を乗り切り、組織の健全性と繁栄に貢献するためには不可欠なことです。本稿では、台湾におけるコーポレート・ガバナンスに関して、外国投資家から寄せられる一般的な疑問を紹介します。
法人の設立

パートナー
LCS & Partners
台北
Tel: +886 2 2729 8000 ext 7720
Email: annieliao@lcs.com.tw
台湾での法人設立は簡単です。一般的に設立される法人の種類には、株式会社、有限会社、支店があります。これらはそれぞれ、所定の法的・規制手続きに従うことで容易に設立できます。
特に外国企業にとっては、法人の形態が異なると利益や義務もさまざま違うため、どの種類の法人を設立するかの決定は、各法人の種類にひも付いた税務関連の事項に左右されることになります。外国投資家は、設立に進む前に各法人の種類に適用される税務処理と規制要件を徹底的に評価することをお勧めします。
投資の審査
台湾における外国投資はすべて、外国投資を規制・審査する政府機関である投資審議司(DIR)の承認が必要です。DIRは、台湾における外国投資企業のさまざまな側面に対して重要な権限を持っています。その権限は、外国投資の初期参入から、増資、株式譲渡、その他の企業活動など、引き続いて発生する動きにも及びます。DIRは、台湾市場に参入しようとする外国企業の最終的な株式保有や資本構成に関する詳細な情報を要求する裁量権を持っています。
コンプライアンスを確保し、円滑に承認を受けるために、外国投資家は包括的な開示を提供するとともに、現地の法律専門家を通じてDIRとの透明性のあるコミュニケーションを維持する準備を整えておく必要があります。特に、現地の法律専門家は、当局が要求するであろう文書や情報を事前に想定し、審査のプロセスを迅速化させ、コミュニケーションを強化し、すべての規制要件を満たすための承認手続きをより上手に切り抜けられるように、クライアントを導くことができます。
現地の代理人

カウンシル
LCS & Partners
台北
Tel: +886 2 2729 8000 ext 7629
Email: letitiahsiao@lcs.com.tw
他のアジアの法域とは異なり、台湾の法律の下では、外国投資企業が台湾人の取締役を取締役会に置くことを義務付けてはいません。そのため、ほとんどの外国企業はこれらのポジションに信頼できる役員を柔軟に任命することができます。
台湾企業の設立には資本注入が必要であり、そのためには台湾での銀行口座の開設が必要です。ほとんどの銀行は、国際的なマネーロンダリング防止対策の強化に伴い、口座開設手続きにおいて法定代理人の物理的な同席を義務づけています。
法定代理人を任命する際には、この要件と、それに伴う移動が必要であることも考慮することが不可欠です。外国企業は、法人設立と事業開始の遅延を避けるためにも、任命する法定代理人がこの手続きに対応できることを確認する必要があります。
権限
世界のほとんどの地域では企業印の使用は稀ですが、台湾では正式な申請や契約締結においては、いまだ主要な方法として残っています。台湾企業の日常業務では、企業印と法定代理人印が定期的に使用されます。頻繁に使用されることから、これらの印鑑を慎重に保管し、不正アクセスや悪用を防ぐことは不可欠です。
CEOではなく上級役員が特定の業務機能を管理するような、中央集権的な管理を好むグローバル企業は、その権限を承認するために、現地では取締役会の決議が要求されるという問題に直面する可能性があります。法定代理人印の必要性に対処するためには、取締役会が承認した包括的な署名権限リストを作成することが望ましいでしょう。
このリストには、どの役員が、企業印と自身の署名を使用して特定の契約上の取り決めや事業取引を決定する権限を持っているのかが記載されており、管理、セキュリティ、効率を維持しながら業務運営を進めることができます。このようなシステムを実装することで、コーポレート・ガバナンス基準に沿いながら、権限の効率的な委任が可能になります。
従業員の保護
台湾で事業を展開する企業にとって、コーポレート・ガバナンスの難しい側面の一つは、台湾の労働法の下で現地の従業員に与えられる広範な保護を考慮した従業員の管理です。台湾の裁判所は、解雇、配置転換、その他の雇用関連の問題に関する紛争において、従業員に有利な傾向が強く、従業員に過失があるような場合でも同様です。このような紛争で雇用主が勝訴するために満たすべき証拠や手続きの基準は、非常に高くなります。
明確で包括的な雇用方針と就業規則を定め、従業員の業績と行動の詳細な記録を管理することで、リスクの軽減に役立ちます。企業は、台湾の複雑な労働法を理解し、コンプライアンスを確保し、紛争を最小限に抑える戦略を立てるためには、現地の法律顧問を雇うことが賢明です。
積極的な措置を講じ、公正で尊敬される職場を育成することで、企業はその労働力をより良い形で管理し、台湾における強固なコーポレート・ガバナンス基準を維持することができます。このアプローチは、ESG関連の要件に沿うだけでなく、企業が人材を引き付け、企業運営を遂行する上での持続可能性と倫理性をもサポートします。
合弁事業
他の台湾企業や個人との共同事業は、特に、現地の関係者が事業の成功のために不可欠な業界では人気があります。このようなコラボレーションでは、台湾市場における事業目標を達成するために不可欠な現地の専門知識、ネットワーク、リソースが活用されます。
しかしこれにより、当事者は当初から出口戦略を慎重に検討し、明確にする必要があります。これらの戦略は、合弁事業/運営の契約書に文書として明確に記載されるべきであり、戦略的な転換、市場動向、その他の理由で一方が共同事業から離脱する必要がある場合に備えて、事前に定義し、相互に合意した手順を確保しておくべきです。
徹底的に考え抜かれた退出条項は、潜在的な紛争を軽減し、パートナーシップの解消や責任の移行に関して明確なロードマップを提供します。これにより、当事者は自らの戦略上・経営上の利益が保護されていることを認識して、共同事業に自信を持って参加することができます。
データプライバシー
急速な技術の進歩と個人データの共有・移転が増加するにつれて、データ保護は極めて重要な問題となっています。台湾は、個人データの使用、処理、移転などに関する主要なコンプライアンス対策に取り組むために個人情報保護法(PDPA)を施行し、これらのデータを保護するための法的枠組みを確立しました。近年、デジタルデータとAIの重要性が高まっていることを考慮すると、個人データや情報の収集、使用、移転には特別な注意が必要になります。
EU一般データ保護規則(GDPR)を遵守している企業は、ほとんどの場合、台湾のPDPAの要件も満たしていることが一般的です。両方の法的枠組みは、データ保護や義務に関して同様の原則や基準を含んでいるためです。
しかしながら、台湾で事業を展開する企業は、PDPAの具体的な要件を理解し、法律の更新や改正について常に情報を収集し、自らのデータ保護ポリシーや実務が台湾の規制に完全に合致していると確認することが重要です。
組織再編/登記抹消
グローバル企業にとって、事業部門を統合するため、または事業の焦点の変化に対応するために、事業を再編成する必要性は繰り返し発生します。台湾における外国投資企業を含むグループ内の再編成に関しては、特定の法的手続きを行う必要があります。
台湾の完全子会社であっても、前述の通り、再編成にはDIRの承認が必要な場合があります。グループ内の組織再編は通常、大きな障害に直面することはありませんが、グローバルな再編の取り組みを不必要な遅延なく進行するためには、承認の取得に要する時間を考慮に入れることが極めて重要です。
台湾における外国投資企業の登記抹消は、申請手続き自体は簡単ですが、非常に時間がかかります。最も簡単なケースでも、登記抹消手続きを完了するには最低でも6カ月~1年かかることがあるため、事業の縮小を戦略的に計画する際にはこれを考慮する必要があります。
これらの問題に対処するには、法的要件を包括的に理解し、関係当局が想定することに対応する経験が必要ですが、このような問題を特定しすることで、経験豊富な法律専門家のきめ細かな指導やサポートを受けて、効果的な法令遵守を実現し、同時に企業の利益を適切に保護し、効率的な企業管理を促進することができます。

5/F, No 8, Sec 5, Sinyi Rd,
Taipei City, Taiwan
Tel: +886 2 2729 8000
Email: inquiry@lcs.com.tw
www.lcs.com.tw






















