現代の他の法域と同様に、ロシアは有限責任の概念を認めています。ロシア国外の親会社とそのロシア子会社はそれぞれが別個の事業体であり、互いの債務に対して責任を負いません。ところが、親会社またはグループ内の別会社がロシアの取引先との契約に違反した場合に、ロシア子会社が支払いを肩代わりする事例が増えています。本稿では、アジアの企業が自社のロシア資産への影響を想定すべき局面と、そのエクスポージャーをどのように管理できるかについて説明します。

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SL Legal
グループにロシア子会社がある場合、グループ内のいずれかの会社と、ロシアの会社またはロシアが支配する会社との間で有効な契約があれば、慎重に精査すべきです。グループ会社(法域を問わず、「友好的」か「非友好的」かを問わず)が契約上の義務を履行せず、その契約違反がロシア制裁に関連している場合、債権者は、たとえ子会社が契約当事者でなくても、ロシアにあるグループ子会社に対して補償を請求できる可能性があります。
その例は多岐にわたり、金融、M&A、商業契約など、あらゆる種類の契約に及んでいます。
ほぼ例外なく、これらの契約はロシア法を準拠法としておらず、またその紛争解決条項は国内裁判所の管轄を排除しています。それにもかかわらず、ロシア法を適用するロシア裁判所で審理されることになるのは、なぜでしょうか。
以前、SL LEGALがAsia Business Law Journalに寄稿した記事では、ロシア裁判所の管轄が及ぶ範囲について説明しました。こうした状況への対応として、国際企業はロシア国外で出される訴訟差止命令(anti-suit injunction)を利用するケースが増えています。これらの手段の実効性はまちまちですが、ごく最近の事例が示すとおり、この戦略はついに支持を集めつつあるのかもしれません。
準拠法の選択については、当該条項の執行が公序に反する場合を除き、通常は尊重されます。例えば、裁判所はほぼ例外なく制裁条項を無視します。
共同不法行為の基準の厳格化

パートナー
SL Legal
ロシア法とロシアの管轄が問題となるもう一つの理由は、ロシア子会社の責任が契約外責任(不法行為に基づくもの)である点にあります。
違反が認定されると、請求者は、債務不履行にあるグループ会社とロシア子会社が、責任を免れるために共同不法行為者として一体となって行動したと主張します。この責任は連帯責任であるため、請求者はロシア子会社に対し全額の補償を請求することができます。
「共同不法行為」(joint tortfeasorship)という概念は、制裁の文脈に特有のものではありません。しかし、契約に関与していない、または契約から利益を得ていないことも多いロシア子会社に、共同不法行為に加担した者としての責任を負わせるための法的基準は何でしょうか。
2025年より前は、共同責任が認められるためのハードルは低く、請求者は子会社が同一グループの一員であることを示すだけで足りました。この実務は、最高裁判所がCitibank事件およびJP Morgan Bank事件において、下級裁判所に対し別個責任の原則を改めて示し、基本原則から逸脱する場合には、より十分な理由付けを求めたことで変わりました。
責任判断の明確な基準の欠如
最高裁判所は具体的な指針を示しておらず、子会社の責任を判断するための一貫した基準も、現在に至るまで確立されていません。ロシア裁判所が通常、子会社の責任を生じさせると判断する要素は次のとおりです。
単一の構造:共同不法行為者の行為が連携して行われたことを示すため、請求者はロシア子会社とグループ会社に「単一の意思決定の中心」があることを立証しなければなりません。これは、同一の最終所有者および受益者、企業の「広く知られた」沿革、同一の社名・ブランド・メールアドレスの使用、子会社によるグループ方針の適用等を示すことで立証できます。
悪意による行動(法人格の濫用):「単一の構造」が認められる場合でも、契約または契約違反との関係で、ロシア子会社がどのような役割(仮にあるとして)を果たしているのかという問題が残ります。
例外はあるものの、採られているアプローチは「単一の構造」には「単一の利害」、すなわち責任を回避するという目的がある、というものです。グループにロシア子会社がある場合、グループは制裁に合わせて事業モデルを適合させます。実質的には、債務者が自らの責任を子会社に転嫁することになります。転嫁しないことは法人格の濫用とみなされて、その結果、裁判所は有限責任を無視することができるようになります。
ベール・ピアシング(法人格否認)の高リスク要因
裁判所が次のように判断する場合、リスクは特に高くなります。
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- グループが子会社に対し、ロシア制裁に従うことを強制または奨励している場合(例:制裁方針や標準的な契約条項の適用を通じて)
- ロシア子会社がロシアで引き続きグループに利益をもたらしている一方で、他のグループ会社がロシア企業に対する義務の履行を拒否している場合(未分配の配当金がここで非常に大きな要素となる)
- グループが、ロシアにおける事業を終了または縮小する意向を公表した場合
ロシア子会社を有する国際グループは、進退窮まる状況に置かれています。ロシア制裁に従えばロシアで補償金の支払いを求められる可能性があり、従わなければ自国で制裁を受ける可能性があります。子会社に一般的な自律性を与えること、コンプライアンス方針の慎重な適用、グループ契約から子会社を遠ざけること、可能な範囲で責任のあり方を見直すことは、ロシアにおけるグループのエクスポージャー管理に役立つでしょう。
Georgy Daneliya氏とNatalia Kozyrenko氏はSL LEGAL(ロシア)のパートナーです。
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