印日間のディールメイキングが急速に進化しています。かつて製造分野の合弁事業やグリーンフィールド案件に注力していた日本企業が、現在は高成長分野における専門的な能力を獲得するため、インドのテクノロジー、金融サービス、デジタル関連事業を買収するようになっています。
NTT DATAによるNiveus Solutionsの買収や、みずほ証券によるAvendus Capitalの買収提案が、こうした変化を反映しています。これは、日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ、日印デジタル・パートナーシップ2.0、生産連動型インセンティブ(PLI)スキーム、2023年デジタル個人データ保護法を背景に、さらに加速しています。
日本の買収者はリスク配分について引き続き慎重な姿勢を示していますが、その関心は知的財産(IP)、テクノロジー、人材、規制遵守へとシフトしています。彼らは徹底的なデューデリジェンスを実施し、特定されたリスクがクロージング前に是正されることを求めます。こうした姿勢は、クロージング後の補償よりも確実性を重視していることの表れです。
取引文書において、日本の買い手は、限定的な例外のみを認める形で、基本的な保証について連帯責任を求める一方、インドの売り手は、比例責任や開示に基づく限定、責任上限を求める傾向にあります。一般的には、基本的なリスクに対する保護と、事業運営上の事項について商業的に許容可能な責任制限とのバランスが図られます。
経営陣の継続

パートナー
Kochhar & Co
創業者および経営陣の継続性は、テクノロジー主導の買収において、しばしば最も重要な資産となります。こうした案件では、クロージング後に重要な人材を失うことによる損失を、保証や補償で埋め合わせることはできません。
TechnoPro HoldingsによるRobosoft Technologiesの買収がその一例です。創業者は完全に経営から退いたものの、既存の経営陣が引き続き事業を牽引しました。
同様の構図は、みずほ証券によるAvendus買収提案にも当てはまり、経営陣の継続が事業上の狙いの中核となっています。
これらの取引は、売り手が誰であるかと、事業の継続とは別の問題であることを示しています。退出する株主が創業者であれ金融スポンサーであれ、買収後の価値にとっては、顧客との関係や事業運営を担うチームを維持することの方が重要である場合が多いのです。
買い手は、重要な人材を確保するため、人材維持の取り決めやアーンアウト、競業避止義務について交渉するケースが増えています。これは、エンジニアリング人材とIPが買収対象の価値の大部分を占めていたNTT DATAによるNiveus買収でも見て取れます。
統合とガバナンス

シニア・アソシエイト
Kochhar & Co
統合とガバナンスに関する計画は、クロージングの後ではなく、契約締結時から開始すべきです。日本の投資家は一般的に、契約締結時から取締役会での代表権、情報権、留保事項について、ドラッグ・アロング権やプット権といった出口メカニズムと併せて交渉します。
キリンホールディングスの支援があったにもかかわらずB9 Beverages(Bira 91)が最近直面した課題は、ガバナンス上の懸念や経営陣の対立が、投資家の信認や企業価値を損ない得ることを示しています。
買い手は、クロージングまで事業を保護するために、より強いガバナンス上の権利や、クロージングまでの事業運営に関する誓約、明確な重大な悪影響(MAC)条項について交渉するケースが増えています。長期志向を反映し、日本の投資家は、取引当初からの継続性と統合を支えるガバナンスの枠組みを求めます。
テクノロジー・ライセンス供与

アソシエイト
Kochhar & Co
より新しいトレンドでは、インドへ価値を移転する手段として、株式だけでなくテクノロジーのライセンス供与を活用する動きがあります。現金を投資する代わりに、日本企業が自社の技術をインドの対象会社に、多くの場合、全世界を対象に、製品のライフサイクル全体にわたる独占的なライセンスを供与し、対象会社がロイヤルティを支払ってその技術を商業化できるようにします。
多くの場合、この費用はその投資家自身の資本から支払われるため、資金は実質的に環流するだけで、新たな資本が追加されるわけではありません。
ディールチームはライセンス契約を慎重に精査する必要があります。株式譲渡契約、ロイヤルティ率、源泉税、インド準備銀行/FEMAの報告および移転価格税制が、いずれも取引の経済性を左右するためです。評価は、ライセンス料の流出後にインドに残る資本がどれだけかを反映すべきであり、見かけ上の金額にとらわれるべきではありません。
実務上の留意点
日本の投資家にとって真の課題は、もはやインド市場への参入ではなく、テクノロジー、イノベーション、人的資本を基盤とする事業の価値を維持することにあります。
印日投資の次の段階は、取引件数よりも質によって特徴づけられるでしょう。テクノロジー主導の買収が増えるにつれて、デューデリジェンスで特定された価値がクロージング後に実現されるかどうかは、交渉戦略によって左右されるケースが増えるでしょう。
Ketan Mukhija氏はKochhar & Co.のパートナー、Deepanshi Trivedi氏はシニア・アソシエイト、Anshu Gupta氏はアソシエイトです。

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