取締役を適正に保つためのマレーシアの取り組み

    By Chan-Xian-Ai、Koay Su Ling そして Mohammad Iliyas Razali、Zaid Ibrahim & Co (in association with KPMG Law)
    0
    256
    LinkedIn
    Facebook
    Twitter
    Whatsapp
    Telegram
    Copy link

    ホームページ

    香港

    日本

    フィリピン

    台湾

    マレーシアのコーポレート・ガバナンスは企業内の透明性、誠実性、持続可能性を向上させるために、意義深い取り組みを試みてきました。本稿では、コーポレート・ガバナンスの観点から注目される3つの主要分野について論じます。

    • 上場企業における利益相反要件
    • 株主の承認と事業の効率性のバランスを保つコンプライアンスのプロセス
    • グリーンウォッシングへの対抗措置

    これらの率先した取り組みは、投資家の信頼を醸成し、長期的な事業の持続可能性を確保するための堅固なガバナンスの枠組みを促進するために、マレーシアがコミットしていることを強調しています。

    利益相反

    Chan Xian Ai
    Chan-Xian-Ai
    パートナー
    Zaid Ibrahim & Co(KPMG Law提携法律事務所)
    クアラルンプール
    Tel: +60 3 2087 9846
    Email: xianaichan1@ziclegal.com

    上場企業の透明性とガバナンスを強化するために、マレーシアの証券取引所であるブルサ・マレーシアは利益相反に関するガイダンスを発行しました。このガイドラインは、意思決定プロセスの誠実性や公平性を損なう可能性のある利益相反を軽減するための厳格な措置を導入しています。この利益相反は、ビジネス分野の個人間で利益が重複する傾向にある市場において、重要な懸念事項です。

    ガイドラインの主な特徴の一つは、上場企業が実際の利益相反事項だけでなく、取締役、主要な上級管理職、上場企業の法定代理人、集団投資スキームの管理会社および/または受託管理者に関わる潜在的な利益相反も開示することを要求している点です。

    開示要件は、直接・間接両方の財務的および非財務的利益をカバーしています。非財務的利益の例としては、えこひいき、敵意、コミットメント、競合する忠誠心や義務などがあり、これらはすべて、潜在的な利益相反を監査委員会が厳密に審査し監視することを、規制当局が期待していることを示しています。

    利益相反に関して、取引所がもう一つ大きく期待していることは、まだ具体化していないものの、既存の関係や状況により発生する可能性のある潜在的な利益相反を監視することです。

    ブルサは、上場企業の取締役が別の州で家族経営の事業を展開しているケースを、事例の一つとして提供しています。この上場企業が、この取締役の家族ビジネスの分野にまで拡大しようとする場合、取締役は、上場企業の最善の利益のために行動する取締役としての義務と、個人的な利益とが対立する状況に直面する可能性があります。取締役はこれらの利益相反の性質と範囲を開示する義務を負うことになります。

    監査による回避 上場企業の監査委員会は、利益相反の包括的なガバナンスを確保する責任があります。この義務には、利益相反を特定、評価、報告、監視して、解決、排除、または軽減することが含まれます。このような期待を考慮して、監査委員会は追加の措置(例えば、バックグラウンドの調査の強化など)を実施し、継続的、持続的、または潜在的な利益相反リスクを監視するための措置を講じる必要があります。

    これは新たな報告要件であることから、上場企業が利益相反問題に関わる個人のプライバシー権とのバランスを取りながら、重大な漏れがないことを確保しつつ、最低限の要件を満たすためにどのように開示を管理するかを観察することは興味深いでしょう。

    これらの要件は、強化されたガバナンスを通じて企業の誠実性と投資家の信頼を強化することに、ブルサがコミットしていることを強調しています。利益相反報告の範囲が拡大され、厳格になったと見えるかもしれませんが、その意図は明確です。上場企業の運営において健全なガバナンスの重要性を強調し、公平で効果的に目的が達成されることを保証しているのです。

    コンプライアンスと事業のバランス

    Koay Su Ling
    Koay Su Ling
    パートナー
    Zaid Ibrahim & Co(KPMG Law提携法律事務所)
    ペナン
    Tel: +60 4 375 3169
    Email: sulingkoay@ziclegal.com

    2016年会社法は、会社の事業と業務が取締役会によって、またはその指示の下で管理されることを規定しています。取締役会はこの役割に必要なすべての権限を持っていますが、会社法または会社の定款(株主に権限を与える2つの手段)に含まれる修正、例外、または制限に従うものとしています。株主による統制の主な仕組みの一つは、特定の事項については、取締役会は株主の承認または免除の取得を要求することがあるということです。

    この要件に関連して、連邦裁判所でのDato’ Azizan Abd Rahman & Ors 対 Concrete Parade Sdn Bhd & Ors and other appeals(2024年)の判例は、マレーシアのコーポレート・ガバナンスの環境において、重要なコンプライアンスの仕組みについて歓迎すべき明確さを提供しています。以下は、関連する要件の真の目的に焦点を当てて、コンプライアンスと事業効率のバランスを取るために、実用的なアプローチを取るよう支持するものです。

    株主の承認 同法第223条第1項では、実質的な買収または処分のために、取締役がいかなる取り決めまたは取引を締結したり、またはそれを実行したりすることを禁止しています。ただし、次の場合を除きます。

    • 取り決めまたは取引を締結することが、決議によって会社の承認を受けることを条件としている場合
      または
    • 取り決めまたは取引を実行することが、決議によって会社の承認を受けている場合

    前述の連邦裁判所の判例では、少数株主が、一つの同じ取引に対して2つの株主承認を要求する「トラムライン」方式を提出しました。一つは契約の締結時、もう一つは取引の実行段階です。

    連邦裁判所は実用的な解釈を示すために、第223条は、会社に重大な影響を与える可能性のある企業間取引の提案を株主が認識して、承認することを確保することが真の意図と目的であり、株主の承認を2回取得する必要はないことを強調しました。取締役は、株主の承認を条件とする場合は、条件付き契約を文書化することが可能です。ただしその承認は、取引の実行前に取得されることが条件となります。

    説明/同意の明示 同法第85条第1項によって株主に付与された優先引受権が、「株主総会での会社による反対の指示」を条件に会社の定款によって修正された件について、連邦裁判所は、その意図と目的を不当に拡大する条件を課すことを認めず、次のように判示しました。すなわち、株主は新株発行を含む関連する企業活動を承認・拒否するための十分な知識を持って、自らの権利を認識していることが期待されており、前述の場合、優先引受権に関する決議またはその他の方法での説明を行う必要はなく、また、優先引受権の行使を認めないことについて、株主が明示的に同意する必要はないと判断しました。

    グリーンウォッシング

    Mohammad Iliyas Razali
    Mohammad Iliyas Razali
    パートナー
    Zaid Ibrahim & Co(KPMG Law提携法律事務所)
    クアラルンプール
    Tel: +60 3 2087 9922
    Email: iliyasrazali@ziclegal.com

    グリーンウォッシングとは、企業の環境保護や持続可能性への取り組みを印象付けるために、虚偽または誤解を招く主張やマーケティングを行うことです。この欺瞞は、環境に対する製品の影響を誇張することから、有害な行為を無視して好ましいデータのみを選択的に開示することまで、多岐にわたります。グリーンウォッシングへの懸念は、投資家や消費者を誤導し、それゆえに、持続可能性に真剣に取り組む企業が単に口先だけの企業によって陰に追いやられてしまい、不平等な競争環境を生み出す可能性があることです。

    2024年7月現在、マレーシア証券委員会またはブルサから、グリーンウォッシングに明確に対処する公式な規制はありません。とはいえ、委員会とブルサは、コーポレート・ガバナンスにおいて持続可能性の要素を導入することで、間接的にグリーンウォッシングに対処するという重要な前進を遂げています。

    ブルサのメイン・マーケットとACEマーケットの要件に基づいて、上場発行者は年次報告書に持続可能性に関する声明を提供することが求められています。これにより、企業は経済的、環境的、社会的リスクと機会の管理について記述的声明を作成する必要があります。

    これらの持続可能性に関する声明の正確性と透明性を確保するために、ブルサの2022年持続可能性報告ガイドは、11個の持続可能性事項にわたる22個の持続可能性の共通指標を開示するよう義務付けています。持続可能性事項の例としては、上場発行者が温室効果ガス排出量、エネルギー消費量、水使用量、廃棄物管理、従業員の健康と安全に関する情報を開示することが求められています。これらの開示では、企業業績のポジティブな側面とネガティブな側面両方を提示する必要があり、それによってグリーンウォッシングのリスクが軽減されます。

    一方、証券委員会は、2つの主要な手段を通じて環境・社会・ガバナンス(ESG)要件を普及させています。まず、マレーシアのコーポレート・ガバナンス・コードは、資産運用会社が投資プロセスとアクティブ・オーナーシップの実践に際して、ESGリスクを組み込むように義務付けています。次に、証券委員会の持続可能で責任ある投資ガイドラインは、持続可能で責任ある投資ファンドが、国連グローバル・コンパクト原則などの持続可能性戦略を一つ以上採用するように要求しています。これらの措置は、資産運用会社がESGの主張に関して持続可能性を促進することを目的としています。

    マレーシアの規制枠組みには、グリーンウォッシングに関する重要なギャップがいくつか残されています。大きなギャップの一つは、持続可能性指標の標準化の欠如です。企業は、グローバル・レポーティング・イニシアティブ基準、サステナビリティ会計基準委員会基準、気候関連財務情報開示タスクフォースの推奨事項など、異なる基準を使用してブルサの要件に準拠することができます。このようにばらつきを与えることで、ある企業の持続可能性指標が、異なる基準を使用する別の企業の指標と比較できないため、グリーンウォッシングの蔓延を正確に評価しようとする努力を複雑なものにしています。

    もう一つのギャップは、正確な持続可能性目標を報告しないことに対する説明責任措置の欠如です。ブルサは、持続可能性に関する声明を提供しない上場発行者に対して強制措置を取ることができますが、持続可能性のパフォーマンスの監視はしばしば散発的に、かつ非公式に行われます。厳格な監視が欠如していることは、ブルサと証券委員会の持続可能性目標を傷つけるものです。

    ZAID IBRAHIM & CO (in association with KPMG Law)

    ZAID IBRAHIM & CO(KPMG Law提携法律事務所)

    Level 19, Menara Millennium,

    Jalan Damanlela,

    Pusat Bandar Damansara,

    50490 Kuala Lumpur, Malaysia

    Tel: +603 2087 9999

    Fax: +603 2094 4888/4666

    Email: info@ziclegal.com

    www.ziclegal.com

    LinkedIn
    Facebook
    Twitter
    Whatsapp
    Telegram
    Copy link