共同発明者を信用できない場合

By DPS Parmar、LexOrbis
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通常、発明が事前に開示されると、その新規性が失われてしまうため、発明者が特許を申請するチャンスを失ってしまいます。ただし、どの特許管轄区域においても、このような被害が、明白な濫用と国際博覧会という2つの状況に起因する場合には、発明者は保護されます。明白な濫用に関しては、発明が先行公表されたことによる影響を排除するために、発明者がその濫用の事実を証明しなければなりません。

共同発明者を信用できない場合, DPS Parmar
DPS Parmar
特別顧問
LexOrbis

1970年インド特許法(Indian Patent Act, 1970)第29条では、先行公表があっても、発明の新規性が失われたとはみなされない状況が規定されています。先行公表の方法としては、口頭、書面、出願書類の利用、出願書類の提出が考えられます。発明の公表が第29条の規定に該当する場合、その公表により発明の新規性が損なわれることはありません。第29条には、明白な濫用という言葉は使われていませんが、第三者が、新規性を損ねることを目的として、悪意を示したり悪意のある行動を取ったりする状況が規定されています。第29条第2項には次のように記載されています。

以下の規定を条件として、完全明細書にてクレームされる発明は、当該発明の特許権者または特許出願人が以下の事項を証明する場合、当該明細書のクレームの優先日より前に公表されたということだけを根拠として、新規性が失われたとはみなされないものとする。

(a)公表された事項が、特許権者もしくは特許出願人または(特許権者または特許出願人自身が、最初の発明者本人ではない場合)特許権者もしくは特許出願人に所有権を譲渡した者により取得されたものであり、特許権者もしくは特許出願人または特許権者もしくは特許出願人に所有権を譲渡した者の同意を得ずに公表されたこと。

(b)特許権者もしくは特許出願人または特許権者もしくは特許出願人に所有権を譲渡した者が、特許出願日前に公表されたことを知ったか、または条約出願の場合、条約国での保護出願日前に公表されたことを知った場合、特許出願または条約国での保護出願(場合による)が、当該公表後に合理的に可能な限り速やかに実施されたこと。

ただし、当該クレームの優先日よりも前に、特許権者もしくは特許出願人または特許権者もしくは特許出願人に所有権を譲渡した者、またはそのいずれかから同意を得た他の者による合理的な試験以外の目的で、インドで商業的に実施された発明については、本号は適用されない。

第29条第2項は、不正開示が発明者の特許出願権に与える影響に関する規定です。発明者の同意なく公表するという行為だけでも、第29条の適用上、濫用を証明する十分な証拠となります。ただし、発明者の同意なく公表されたということを立証するのは出願者の責任となります。

共同発明者が、他の発明者による認識または同意のないまま、発明内容を開示する文書を公表した場合、どのようなことになるでしょうか。この場合、共同開発者には、発明を当人が思うように取り扱う権利があるため、これと異なる趣旨の合意がない限り、新規性の喪失の例外事項として第29条を適用することが困難となります。英国でのAccord Healthcare Limited対Research Corporation Technologies, Inc.事件では、新規性の喪失につながる可能性のある先行公表(ラコサミドの特許)について、優先日を米国での出願日からそれより後の国際出願日へ移行する試みを中心として審理されました。この事件では、学術論文の公表を先行公開とみなすことができるとされ、特許は無効となり、優先日の移行の試みは実現しませんでした。

英国法では、財産の法的所有権とその利益の享受は、別個の権利であるという概念を認めています。この事件の原告は、これらの概念を用いて、対象となる特許の出願者が、該当日時点で特許対象事項のいずれの権利も有していなかったことを示そうとしましたが、この試みも失敗しています。

ただ、この事件では、発明を自由に公表できる共同発明者(この例では大学研究チーム)との共同作業における危険性に関心が集まりました。この事件の判決が逆であった場合で、発明の特許出願中に発明の公表を禁じられていない共同発明者が存在する場合、特許権者および大学にとって極めて深刻な結果がもたらされていたと考えられます。主導的立場にある発明者は、国内出願から国際出願までの期間中、特許対象事項の詳細情報を公表しないよう発明チームのメンバーに要請することを検討すべきです。

DPS Parmar は、LexOrbisの特別顧問であり、知的財産権審判部(Intellectual Property Appellate Board)の元技術委員(特許)です。

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