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インド

インドでは、外国直接投資の誘致、富の形成における無形資産の評価の推進、中小企業の成長にもつながるデジタル経済の促進への取り組みを進めるなか、知的財産の管理、運用、理解に大きな変化が起きている。

疑いなくインドは、知的財産制度の強化に向けて大きく前進している。知識主導型経済においてイノベーションを推進するために、新たなマイルストーンが設定された。重要な進展として、インドの知的財産所割官庁の管理改善とインフラ強化が挙げられる。

サフィール・アナンド
シニアパートナー兼商標・知的財産担当ヘッド
Anand and Anand(ノイダ)
電話: +91 120 4059 300
Eメール: safir@anandandanand.com

揺るぎない司法制度が、知的財産の飛躍的な発展に大きく貢献した。商標、著作権、特許をめぐる訴訟が過去最高の件数に達し、インドの裁判所は、知的財産権を確実に保護し侵害を防ぐために、国際的な原則と先例を採用している。これまでの進展は重要なものだが、今後も知的財産に関する新たなマイルストーンの達成を期待できる。

確実に進歩してはいるが、企業は長年、自社の知的財産権の保護と執行に主たる重点を置いてきた。それも当然のことではあるが、現代の世界や先進的な企業のニーズはそれをはるかにしのぐ。知的財産権の保護と執行以外にも、知的財産の創出と無形資産の活用に欠かせない領域が存在する。

現代のビジネス界では、ブランド創出、リスク軽減、ライセンス供与とフランチャイジング、ブランド希釈化の防止、商用化、収益化などの課題が検討されている。法曹界は今、問題が起きてから対応するのではなく、一歩先を見据えて行動することを求められている。

様々な要素が企業の検討対象となることから、多面的な解決策を追求する必要があると思われる。こうした状況を踏まえつつも、解決策は法律と慣行に基づき、法的に認められるものでなければならない。そのために法曹界は、企業を理解し楽観的な姿勢で臨むとともに、既存の法的手段の範囲内で戦略的視点からリスクを予測する必要がある。

現在、知的財産権は侵害された場合の保険だけでなく、違反を完全に防ぎ、企業とブランドを守る盾の役割も果たしている。従って世界の経営者は、知的財産が会社とその評価額、ブランド、投資収益にどれほど大きな影響を及ぼすかに関して、認識と理解を深める必要があるだろう。

そのためには、各業界の理解にも重点を移さねばならない。製薬業界のクライアントと変化の激しい消費者業界のクライアントでは、対応する際に求められる知識が大きく異なり、後者ではマーケティングと顧客体験が最優先される。ビジネスモデルを保護したいが資金繰りが苦しいスタートアップ企業に対する場合、経験は全く違ったものになる。

トゥインキー・ランパル
パートナー
Anand and Anand(ノイダ)
電話:+91 120 4059 300
Eメール: twinky@anandandanand.com

知的財産の商用化、保険、担保をめぐる新たな課題、クリエイティブ経済におけるその意義、およびこれらがGDP、ブランド価値、ブランド評価、コーポレートガバナンスの課題、担保、保険、エコシステム横断的な連携に与える影響などは、いずれも今まさに対処が求められる現代的な概念である。

新時代の発明により経済活動が飛躍的に活発化するなか、投資家の権利と利益の保護が極めて重要になっている。インド政府は、独自の知財取引所(IP Exchange)の発足など、政策や制度を通じて正しい方向に進む数々の措置をとっている。ちなみに知財取引所は、10年ほど前に筆者の頭にも浮かんだアイデアであり、正しい方向への一歩である。

知的財産分野を扱う業界団体の議論の焦点となる分野も、イノベーションが知的財産に与える影響、メタバースにおけるライセンス供与、営業機密の問題、イノベーションを事業の焦点とした経営計画の策定方法、金融市場が知的財産に与える影響、知的財産を最も効果的に商用化する方法などに移っている。

企業自体が新たな世界秩序を積極的に吸収しようとするなか、こうした課題が論点になっており、国際的な競争に駆り立てられた企業はこれらの課題を認識し受け入れている。景気停滞に直面する多くの企業が、こうした課題から得られる強みを活用する必要性を理解し、多くの場合、ベストプラクティスとして実践している。その課題の一部を、以下で論じる。

ソーシャルメディアとデジタルメディアの登場で、世界は小さくなり、新たな地域や新たな顧客にブランドを広めることが、これまで以上に容易になった。インドには既に周知商標という概念があるが、周知商標の宣言に関する制度を強化している。

インドの裁判所は、保有者が周知商標を宣言する権利を認め、この宣言を申請する権利を行使するよう命じ、商標局に申請を認定するよう指示を発出した。多くの商用保有者が既にこの制度を利用しており、今後、認定を受ける者がさらに増えるだろう。

インド証券取引委員会(SEBI)は、プロモーターに対し、新規株式公開(IPO)や追加株式公開時に知的財産の状況を開示し、商標一覧、商標の保護(または保護の欠如)が与える影響、ブランド価値や企業価値に影響し得る紛争や課題の影響を示すことを義務づけている。

アームズレングスルールに沿った支配関係、関連当事者取引、移転価格、コーポレートガバナンスの問題、ロイヤリティ、子会社や関連会社一覧、それらが無形資産に与える実質的な影響とともに、ライセンスや技術移転の状態も宣言しなければならない。

現在進行中の特許や商標権の取得手続き、訴訟、ロイヤリティの変更に関する開示とともに、これらの購入、売却または担保設定の決議も、公表する必要がある。コーポレートガバナンスや監査報告書は現在、知的財産権の付与や侵害が収益に与える影響の評価を含めて、知的財産に関わるリスクと機会に注目している。

実際、コーポレートガバナンスと知的財産は発展途上の刺激的な分野である。知的財産とロイヤリティに影響する決定を含めて、企業が下すあらゆる決定は株主に影響を及ぼす。

SEBIによる上述の義務化に伴い、生み出された知的財産を確実に保護するために、知的財産の定期的な監査が不可欠である。それどころか多くの場合、監査は、社内に存在するが保護を受けていない可能性がある知的財産の特定に役立つ。

ブランド価値の評価も、契約違反に対する裁判での損害賠償から、取引に関わる性質のものに進化している。当事者間の取引において、適切なタイミングで知的財産評価に関する条項を設けることは、企業が検討すべき重要なポイントである。ブランド評価は、キャッシュフローの算出のみならず資金調達にも関係してくる。事実、多くの業界報告書によると、企業の価値評価の90%以上が社内の知的財産を対象としており、評価基準の設定が欠かせなくなっている。例えば知財保険は、価値評価基準なしには困難である。

SEBIは、知的財産と課税の重複を生み出す関係者間取引にも、厳しい目を光らせている。知的財産エコシステムを社内で教え込み確立することも、重要な領域である。

経営幹部が知的財産重視の姿勢を、社員に普段から説いて聞かせることも大切になる。そうすれば関係者全員が、知的財産の漏洩や隠れた知的財産の活用に対して敏感になるからだ。

社内のイノベーション推進に向けたもうひとつの手段は、研究開発の枠組みと方針を確実に定めることだ。すなわち、創造に関わる社内全部門が、作成中の著作物を記録し、保護を受けるために法務部門に報告しなければならない。効果的な資金配置に対する株主の利益を踏まえると、イノベーションと実用新案・特許出願の相関関係について、さらに包括的な議論を行う必要がある。

インドは、人工知能(AI)を活用したブランド保護環境の大幅な改善も目指している。AIは、知的財産法に必ず大きな影響を及ぼす革新的な技術だからである。

インド広告基準評議会は、昨年数多くの苦情が寄せられたのを受け、広告による不正表示、誇張表示、中傷からブランドを保護する独自の措置を開始した。法的助言を求めれば風評管理も改善するため、こうした動きが加速している。

広告は企業の資産であり、法律を遵守するだけでなく、マーケター、広告主、弁護士間に調和のとれた対話を生み出し、価値主導のキャンペーンを実現することが重要である。セレブやインフルエンサー、暗号通貨業界、ゲーム業界を対象に、より厳格な指針が策定された。例えばソーシャルメディア広告は、ルーチンフィードバックではなく、有料プロモーションとみなされて規制の対象となっている。

イノベーションの進展やビジネスと法律の融合に伴い、企業は最もリスクが低く、ガバナンスに優れ、最善または最適な解決策にたどり着けるよう、多くの解決法を用意しておくことが、かつてなく必要とされている。

法務専門職には、ビジネスに関するこれまで以上の知識と高い独創性が求められる。そのために、最新技術、リスクリワードレシオ、リスク軽減措置、および成功の可能性を高めるか、少なくとも損失やリスクの可能性を減らす他の戦略的な対策について学んでおかねばならない。

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Anand and Anand
First Channel Building Plot No. 17 A
Sector 16 A, Film City
Noida 201301, India
電話: +91 120 4059 300
Eメール:email@anandandanand.com

www.anandandanand.com


インドネシア

インドネシアでは、商標および地理的表示に関するインドネシア共和国法律2016年第20号(通称「商標法」)が、商標に関する基本法であるが、個別事項を規制する以下を含む細則がいくつか存在する。

  • 法務・人権省で適用される、非課税国家収入の種類と率に関する政府規則2019年28号〔法務・人権省知的財産総局(DGIP)に提起できる各種訴訟の正式な手数料が定められている〕
  • マドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録に関する政府規則2018年22号(インドネシアにおける、または同国から行う国際登録のあらゆる事項を扱う)
  • 1995年8月29日に設立された商標審判委員会の審理請求、審理および解決の手続きに関する政府規則2019年90号
  • 商標分野の知的財産総局商標登録令に関する法務・人権省規則2016年67号(登録の条件、物品とサービスの分類、登録された商標証と記録の補正について定める)

商標の範囲

商標法の第1条によると、商標とは、個人または法人によって生産された商品/サービスを取引において識別させるためのマークで、グラフィックイメージ、ロゴタイプ、名称、単語、文字、数字、色の組み合わせといった平面や立体、音声、ホログラム、またはそれらの要素が二つ以上組み合わさった形で表示されるものである。

この定義に基づき、同法は伝統的商標と非伝統的商標という2種類の商標を認めている。

登録出願

エミルシャ・ディナール
マネージングパートナー
AFFA Intellectual Property Rights(ジャカルタ)
電話: +62 812 8700 0889
Eメール:emirsyah.dinar@affa.co.id

商標法は基本的に先願主義を採用しているため、いかなる個人、団体または法人も商標登録の出願を行うことができる。だが同法は、悪意をもって提出された商標出願を規制しており、商標法第21条は、出願人が悪意をもって提出した商標出願は拒絶されると規定している。

すでに定着した周知商標と類似した出願に対しては、実体審査でこの条項を適用できるが、現実的には出願に悪意があるかどうかの判断は極めて困難である。

悪意ある出願がのちに登録された場合も、商標法第77条に基づき商事裁判所がいつでも登録を取り消すことができる。同条は「悪意ある要素が感じられる商標、国家のイデオロギー、法律の規定、モラル、宗教、公序良俗に反する商標についての取消訴訟の提訴期間は無期限である」と定めている。

出願書

インドネシアで商標登録を出願する場合、商標検索を強くお勧めする。検索レポートにより、円滑な登録手続きを阻む潜在的なリスクや障害を明らかにできる。

検索レポートで出願手続きを阻む障害がないと判明した場合、出願人は次の情報を提出しなければならない。

  • 出願人の氏名
  • 住所
  • 商品とサービスのリスト
  • 出願する商標の見本(文字標章、ロゴ、非伝統的商標の形をとることができる)

必要な情報が提出されたら、特許弁護士が委任状と所有宣言書を作成し、出願人がこれに署名する。

2019年以降、インドネシアでは電子出願のみが出願方法として認められている。

期間

出願に対し異議申し立てが提起されず、暫定的拒絶もされない場合、出願後10~13カ月で登録番号を取得できる。以前と比べ大幅に迅速化されており、過去には単純な登録でさえ2~3年かかっていた。

異議申し立てと取消

登録出願は2カ月間のみ公告される。この公告期間中に、あらゆる利害関係者が異議を申し立てることができ、申し立ては実体審査の中で検討される。

公告期間満了後は、延長の要求を含め、異議申し立ての手段は他に存在しない。

異議申し立ての手続きを首尾よく進めるためには、申立人が正当な法的地位を有すること、すなわち過去にインドネシア国内で商標出願または登録を行っていることが望ましい。そうでない場合、審査官が先願主義に基づき申し立てを却下する可能性が高い。

第三者が商標登録の取消または抹消を求める場合、商事裁判所に提訴する必要があり、対象となる商標がいったん登録されて初めて、取消または抹消を求めることができる。

外国の周知商標

有名かどうかにかかわらず、インドネシアで登録された商標に限って保護を受けることができる。だが商標法は、外国の周知商標を第三者による悪意ある登録から一定程度、保護する仕組みを設けている。

第三者が、外国の周知商標と同一または類似した商標を、悪意をもって登録出願しようとした場合、商標法第21条に基づき拒絶される。同条は、次のように定めている。

「同類の商品/サービスに関して、他者の所有する周知商標、または特定の条件を満たす、同じ種類ではない商品/サービスに関して他者の所有する周知商標と、実質的に類似する場合、出願は拒絶される」

次に、何が周知商標に当たるかという問題に目を向ける。商標分野の知的財産総局、商標登録令に関する法務・人権省規則2016年67号の第18条は、周知商標の基準を以下のように定めている。

  • 周知商標としての、当該の事業分野におけるその商標に対する市民の知識あるいは認識
  • 所有者がその商標を用いることによって得る物品および/またはサービスの売上と利益の量
  • 社会における物品および/またはサービスの流通に関連して、その商標が占める市場シェア
  • 商標の使用地域
  • 商標の使用期間
  • 宣伝に使用された投資額を含む、商標の宣伝規模
  • 他国での商標登録および商標出願の件数
  • 特に、権限を持つ機関によるその商標の周知商標としての認識に関する、法令遵守の達成度合い
  • その商標により保護された物品および/またはサービスの評判、および品質保証により得られる、商標に付随する価値

とはいえ、外国で有名な商標がインドネシアでも同程度に有名とは限らない。これが、商標の保有者は第三者を提訴するに先立ち、インドネシアにおける周知性を立証する必要があるかという課題を生み出している。

使用の要件

インドネシアは先願主義を採用しているため、登録前に先使用権を主張する必要はなく、使用の証拠を提出する必要もない。

出願人が他の国で先に出願している場合、最初の出願日から起算して6カ月間はインドネシアで優先権を主張できる。

不使用に関しては、法律に基づき、登録商標が登録日または最新の使用日から起算して継続して3年間使用されていない場合、商事裁判所はその商標を抹消することができる。だが最低限の使用期間に関しては、法に定めがないため、不使用を事由とする登録抹消は基本的に非常に困難である。

ライセンス供与

インドネシアでは、登録された商標のライセンスを他者に供与することができる。ライセンス契約が法的拘束力を持つためには、知的財産総局に登録する義務がある。

ライセンス契約には基本的に、実施許諾者と実施権者の詳細、ライセンス契約の性格(独占的か非独占的か)、サブライセンスの可否、契約期間、両当事者の権利と責任、ライセンス供与の対象物または商標を記載しなければならない。

ライセンス契約は、インドネシア経済に直接または間接に損害を与える規定、またはインドネシアによる技術を習得し開発する能力を妨げる制限を含んではならない。

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AFFA Intellectual Property Rights
15/F Graha Pratama Building
Jl. MT. Haryono Kav. 15
Jakarta – 12810, Indonesia
電話: +62 21 8379 3812
Eメール:affa@cbn.net.id
www.affa.co.id


台湾

台湾では商標権は登録によって保護され、先願主義が適用されます。登録することができるのは、次に挙げるタイプの識別性を備えた標章です。商標(商品と役務を対象とする)、団体商標(collective mark)、証明商標(certification mark)、団体商標(collective trademark、商品と役務を対象とする)。

また、台湾知的財産局が発行した「非伝統的商標に関する審査ガイドライン」によれば、匂い、模様、位置も商標として登録することができますが、触覚と味覚は例外的に登録できる場合があるだけです。

登録

CF Tsai
マネージングパートナー
Deep & Far Attorneys-at-Law(台北)
電話: +886 2 2598 9900 (Ext 8699)
Eメール: cft@deepnfar.com.tw

出願は台湾知的財産権局に対して行います。多区分出願が可能です。台湾に住所や事業所を持たない外国出願人は、出願にあたり現地代理人が必要です。ただし、法定および/または公証人が署名した委任状は不要です。また、外国出願人が台湾で会社または本籍地を登録する必要はありません。

出願手続きには、方式審査、絶対的理由(識別力など)の審査、相対的理由(混同の可能性など)の審査が含まれます。当初は識別力がなかった標章でも、使用を通じて識別力が生じた場合は登録することができます。

商標に対する異議申立

異議申立期間は、商標登録公告日から3カ月間です。

期間

商標登録は、登録公告日から10年間有効で、さらに10年間の更新が可能です。

更新の猶予期間

商標権は、存続期間満了の6カ月前から満了日までの期間に更新することができます。商標権更新の猶予期間は、登録の有効期限から6カ月間です。猶予期間が過ぎると、商標権は自動的に失効します。

失効した商標権を回復することはできません。ただし、不可抗力または所有者の責に帰さない事由により更新の猶予期間を遵守しなかった場合は、その事由が消滅した日の翌日から30日以内に回復申請を行うことができます。

しかし、更新の猶予期間を遵守しなかった後1年が経過すると、回復申請を行うことはできません。猶予期間内に更新申請が行われなかった場合、失効した商標権は、いつでも第三者の名義で再登録することができます。

使用要件

Tsai Lu-Fa
パートナー
Deep & Far Attorneys-at-Law(台北)
電話: 886 2 2598 9900 (Ext 8187)
Eメール: lawtsai@deepnfar.com.tw

登録公告日から3年間使用されなかった場合、またはその後、正当な理由なく継続して3年間使用されなかった場合、知的財産局は職権により、または第三者からの請求により、その登録を取り消すことができます。

商標が使用されていないことを主張する側は、商標登録の取消を申請する際に疎明資料を提出する必要があります。一方、取消手続が開始された後は、商標権者が商標の使用を証明する責任を負います。また、商標が使用されていないことを主張する側は、商標の取消について正当な利益を有することを証明する必要はありません。

台湾国内で使用されていれば、使用要件を満たします。商標法において定義される商標の使用とは、以下のいずれかの状況において、関連する消費者がそれを出所識別情報として認識できるように、マーケティング目的で商標を使用することをいいます。

  • 商品またはその包装上に商標を表示する
  • 上記の商品を所持、展示、販売、輸出、または輸入する
  • 提供する役務に関連する物品上に商標を表示する
  • 商品または役務に関する商業文書や広告に商標を表示する

デジタルビデオ・音声、電子メディア、インターネット、その他のメディアで商標を使用することも、商標の使用に該当します。必ずしも継続的な使用である必要はなく、散発的、断続的、単発的な使用でも支障ありません。

しかし、類似または関連する商標の使用では、必ずしも十分ではありません。登録された形態とは異なる形態で標章が使用された場合は、小さな変更を加えたに過ぎず、その商標の特徴的な部分が変更されていない時に限り、商標の使用に該当します。

異なる形態での標章の使用は、以下の場合には使用に該当しません。

  • 彩色した商標を白黒に変更する
  • 彩色した商標の色を変更する
  • 商標の一部のみを使用する

ライセンス契約

Tsai Yu-Li
パートナー
Deep & Far Attorneys-at-Law(台北)
電話: +886 2 2598 9900 (Ext 8139)
Eメール: yltsai@deepnfar.com.tw

台湾では、ライセンス契約を書面または口頭で締結することができます。指定された商品または役務の全部または一部について、未登録商標の使用を許諾することが認められます。ライセンスは、独占的である場合も非独占的である場合もあります。

ライセンスが登録された後に登録商標が譲渡された場合、譲受人は引き続きライセンス契約に拘束されます。登録商標のライセンスが登録簿に記載されている場合、登録商標の売却により自動的にライセンスが終了するわけではありません。

商標法では、以下のように定められています。

  • 商標ライセンスの登録後に商標が譲渡された場合、譲受人はライセンス契約に拘束されるものとする
  • 独占的ライセンシーは、ライセンスされた商標の使用から商標所有者および第三者を排除する権利を有する
  • 独占的ライセンシーは、商標をサブライセンスする権利を有する
  • 商標所有者は、その権利を放棄することができる。ただし、ライセンスまたは担保権が登録された場合、商標保有者は、ライセンシーまたは担保権者の承諾を得なければならない

商標法には、商標ライセンスの登録に関する規定があります。商標ライセンスの登録は任意ですが、知的財産局に登録された後でなければ、第三者に対して効力を持ちません。登録は、商標登録の有効期間満了前に申請する必要があります。

登録期間を超えるライセンス期間を設定することも可能です。この場合、更新期限内に商標登録が更新されれば、ライセンスを再度登録する必要はありません。商標登録が更新期限内に更新されない場合、ライセンス登録は商標登録の失効に伴い失効します。ただし、ライセンサーとライセンシーの間で、未登録商標のライセンス契約が引き続き有効です。

ライセンス契約の形式および/または内容を定める法令上の規定はありません。商標ライセンスの登録簿への登録依頼は、商標所有者またはライセンシーが以下の事項を明記した依頼書を提出して行います。

  • 商標所有者およびライセンシーの氏名、住所または事業所の所在地、国籍または地域、ならびに代表者がいる場合はその氏名
  • 該当する場合は、代理人の氏名および住所または事業所の所在地
  • 商標の登録番号
  • ライセンスが独占的であるか非独占的であるか
  • ライセンスの発効日、および該当する場合はその終了日
  • ライセンスの対象が指定された商品または役務の一部かどうか、該当する商品または役務のリストおよびその区分
  • ライセンスが特定の地域に対するものであるかどうか、該当する地域名

ライセンスが有効になる時期は、ライセンス契約により決まります。ライセンスは、ライセンス登録が官報に掲載された日に、第三者に対して強制力を持つようになります。未登録のライセンスを公告する必要はありません。

登録されたライセンシーの商標使用は、合法的な使用であるという証拠上の推定が適用されます。商標所有者が第三者参加を裁判所に申し立てない限り、非独占的ライセンシーは商標所有者の侵害訴訟に参加することはできません。

商標法は、ライセンス契約に別段の定めがない限り、独占的ライセンシーは自己の名において侵害訴訟を開始する権利を有すると規定しています。ライセンシーは、この手続きにおいて、商標所有者を共同被告として参加させる必要はありません。

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Deep & Far Attorneys-at-Law
13/F, 27 Sec. 3, Chung San N. Rd.
Taipei 104, Taiwan
電話: +886 2 2585 6688 (Ext 8187)
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ベトナム

グーグル、テマセク、ベイン・アンド・カンパニーが毎年発表している共同調査報告書「e-Conomy SEA」の最新版によると、ベトナムのデジタル経済は東南アジアでも群を抜いたペースで成長していて、2025年には490億米ドルに達すると見込まれ

る。こうしたインターネット経済と貿易の急成長に伴う変革に伴い、知的財産法を含む政府の政策と法環境の見直しと刷新が求められている。

過去16年を振り返ると、知的財産法は、ベトナムの社会経済的な発展を促し、同国における知的財産の創出と保護のための幅広い強力な法的手段を作り出す上で、大きな役割を果たしてきた。

2023年1月1日に発効した知的財産法は、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)と、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)に準じた知的財産権の保護を目指して、知的財産権保護に関する従来規定を援用するとともに、「インダストリー4.0」時代に備えるために改定され補完された。

指針の明確化

ヌエン・アン・チュアン
マネージングパートナー
Bizconsult(ハノイ)
電話: +84 90 340 4242
Eメール: tuanna@bizconsult.vn

ベトナムの知的財産法を、CPTPPおよびEVFTAが定める国際的な保護基準に沿った内容にするための取り組みの一環として、ベトナムは、2023年1月14日以降、音商標の登録出願を受理し始めた。ベトナムがこの種の非伝統的商標の登録を認めるのは、これが初めてとなる。音商標を登録出願するには、伝統的商標の登録出願に必要となる文書に加えて、音声ファイルと音商標のグラフィック表示を添付しなければならない。

改正知的財産法の下で周知商標は、ベトナムの領土全域にわたって、関係する市民に広く知られている商標として再定義された。この定義は、知的財産法第75条、および他の国際的な規則が定める周知商標の基準体系と一致する。この再定義により、周知商標は全消費者に広く知られている必要があるとする、旧知的財産法の定義が修正された。加えて、第75条に定める基準の一部または全部を満たす場合、周知商標と認められる。

悪意を理由に商標の登録出願が却下されるか、または登録抹消となる可能性が明確に認められた。ただし、改正知的財産法第96条および第117条に記された悪意の定義を、明確にする必要がある。

さらに改正法では、登録出願を却下できる2つの事由が新たに追加された。商標は、商品固有の形状であるか、その商品の技術的特徴によって定義される商標である場合、または著作者の承諾を得ずに著作物の複製を含む場合、商標として保護する対象とみなされない場合がある。

実用的で具体的な指示

改正法では、「著作者」「共同著作者」という言葉の法律的な定義が改められた。その結果、著作者とは、著作物を直接に創造した者をいい、共同著作者とは、二人以上の者が、その者の寄与を組み合わせて完成した著作物を作り出す趣旨で、著作物を直接に創作した場合における著作者の一人を指す。

他人の著作物の創作中において、その者を支援し、意見を交換し、または資料を提供した者は、著作者または共同著作者ではない。

トリ・ヌエン
アソシエー
Bizconsult(ハノイ)
Eメール: lynn@bizconsult.vn

改正法は、ロイヤリティ、権利管理情報、公衆へのコミュニケーションを含む新たな定義を定めるとともに、知的財産法の従来条項との整合性を確保するための他の定義の改定(すなわち、二次的著作物、公表著作物、録音、録画、複製など)も行っている。

改正法は著作者に、著作物に関連する財産権を譲り受けた組織または個人に、著作物を命名する権利を譲渡することを認めている。

また知的財産法は、旧条項に記載された複製物の作成と使用に沿って、著作権および関連する権利の侵害に対して、一定の例外も定めている。第25(a)条はそれ以外にも、障がい者、障がい者の養護者、および法が定める障がい者の利益のために設立され運営される権限ある組織に対して適用される、著作権侵害に対する一定の例外を認めている。

これらの例外は、障がい者に配慮した法律の策定、および著作権保有者と著作物を入手し活用する組織や個人の利益の調和を目指すものである。

知的財産の侵害を特定して、知財分野の紛争解決において著作権侵害に対処する仕組みを強化するために、著作権および隣接権の侵害に関する条項がさらに改正され、明確化されている。

改正法によると、通信事業者は、インターネットおよび電気通信ネットワーク上での著作権と隣接権の保護に関連して、法的責任を負う。

例えば通信事業者は、著作権と隣接権の侵害行為を防止するために、確認、監視、情報処理および連携の体制を整備しなければならない。加えて通信事業者は、一定の場合において責任を免除される。

改正知的財産法の細則となる関連政令は、旧知財法の一定の条項の施行細則を定めた、2018年の政令22号に取って代るものである。現在、この新たな政令の第3案が公表されており、2023年に正式に発表される予定だ。

特許に関する規定の強化

秘密の発明と安全保障に関する特許管理に関連する規則は、以前は、知財法実施の細則である2010年の政令122号およびこれを補足する2006年の政令103号で定められていたが、今回初めて改正知的財産法に正式に盛り込まれた。

この展開を受けて、特にベトナムで発明を利用する意向がない企業の場合、海外での早期出願が促されるだろう。

改正知的財産法には、発明の公表に関する条項があり、これに該当する発明は新規性を持たないとみなされる。具体的には、発明登録出願の出願日前または優先日前に別の特許出願が提出されているが、当該出願日またはその優先日以降に公表された場合、その発明は新規性があるとみなされない可能性がある。

改正法では、登録特許の全部または一部の取消を行える一定の例を示すことにより、特許権による保護の取消を明確に定めている。この改正により、関係当事者は、特許権による保護の取消を求める権利を行使しやすくなった。

工業意匠

改正知的財産法は、EVFTAに準じて、複合製品の組立部品の外観、およびその製品または複合製品を使用する際に見える外観を追加することで、工業意匠の定義を改正している。

新たな知財法で見落としてはならない工業意匠登録の重要な改正点は、今回初めて、出願人が出願時に延長の申立てを正式に提出した場合、登録出願の公開を出願日から最大7カ月まで延長できるようになったことである。

展望

改正知的財産法は、いくつかの点に関しいまだ曖昧で不明確であり、4つの政令と2つの通達を含む知財関連の細則の改正、修正または差替えを行う必要がある。とはいえ、改正知的財産法に基づく修正と補足によって、ベトナムは国際条約や一般的な慣行をおおむね遵守した状態になっており、これは歓迎すべきことである。

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