台湾の知的財産・無形資産保護

By 謝祥揚と 王孟如 と汪家倩,萬國法律事務所(台北)
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台湾の知財分野の主な法律には、台湾専利法、台湾商標法、台湾著作権法、台湾営業秘密法などがある。保護を受けるためには、特許・商標の登録を出願し承認を受ける必要があるが、著作権と営業秘密は登録なしに保護される。特許と商標に関して、台湾は先願主義を採用している。関連するすべての法的要件を満たす場合、基本的に特定の特許および/または商標を最初に出願した者に権利が与えられる。

台湾では、発明特許、登録実用新案、登録意匠の3種類の特許を利用できる。発明特許は、新規性、進歩性、実用性がある技術的思想の創作に対して付与される。発明特許は、出願日から20年間、保護される。医薬品、農薬、またはその製造方法に関する特許権は、必要とされる規制当局の認可の取得に時間を要することを考慮して、存続期間の延長が認められている。

Brian Hsieh, Formosa Transnational
謝祥揚
パートナー弁護士
萬國法律事務所(台北)
メール: brian.hsieh@taiwanlaw.com

実用新案とは、物品の形状、構造または組み合わせに係る創作を指し、出願日から10年間、保護される。登録意匠は、物品の全部または一部の形状、模様、色彩またはこれらの結合であって、視覚に訴える創作を指し、出願日から15年間、保護される。

台湾で利用できる4種類の商標は、商標、証明標章、団体標章、団体商標である。商標とは、指示する商品または役務の供給元を認識させるために、商品および/または役務とともに使用される識別性を備えた標識であり、文字や図形、記号、色彩、立体形状、動態、ホログラム、音またはその結合によって構成される。

地理的表示は証明標章として登録することができ、商品または役務を、該当する産地の品質または他の特性に関する名声と関連づけることができる。団体標章と団体商標は、同業組合、協会または団体がその会員資格を表彰し、商品または役務を提供する会員を識別する標識である。

著作権保護は、音声・文字著作物、音楽著作物、演劇・舞踊著作物、美術著作物、写真著作物、絵画・図形著作物、映画著作物、録音著作物、建築著作物、コンピュータープログラム著作物に適用される。著作財産権は、その著作物が創作された時点から保護の対象となり、著作者の死後50年が経過するまで存続する。法人が著作者である場合の著作財産権は、その著作物の公表後50年存続する。または、著作物が一度も公表されなかった場合、創作後50年が経過するまで存続する。

営業秘密は、方法、技術、製造過程、調合、プログラム、設計、またはその他の生産、販売もしくは経営に用いられる情報であり、かつ一般的に当該情報に関わる人が知るところではなく、その秘密性のため、実際にまたは潜在的に経済的な価値を有し、所有者が既に合理的な秘密保護措置をとっている場合に保護される。

相互主義に基づく適用

台湾の知的財産制度は、相互主義に基づき外国人にも開放されている。特許と商標--台湾経済部智慧財産局(TIPO)による承認と登録を必要とする2種類の知的財産権--に関しては、外国人の母国が台湾市民に特許権保護・商標保護を適用している限りにおいて、外国人も特許権および商標権の保護を申請する資格を持つ。

Monica Wang, Formosa Transnational
王孟如
パートナー弁護士
萬國法律事務所(台北)
メール: monica.wang@taiwanlaw.com

台湾特許法と台湾商標法の下では、外国法人が台湾で特許登録または商標登録を正式に行っていることを適切に証明できる限り、台湾政府の認可--外国法人が、台湾の商業登記簿に登録された拠点を持つ場合、政府の認可を受ける--を得ることなく、台湾市民に認められた救済措置を求めることができる。

さらに、台湾商標法に基づき、商標権侵害には刑事罰が科される--他方で台湾特許法は、特許権侵害に対し民事責任のみを規定している--ため、台湾の商標権を持つ外国法人は、その商標を不正に使用した者に対して刑事訴訟を提起できる。

著作権と営業秘密は、政府の認可や登録の必要なく権利保有者が法的保護を享受できる知的財産権であり、外国人も、台湾市民と同じ形で著作物や営業秘密に対する保護を受けられる。

加えて、外国法人は現在、著作権または営業秘密の侵害に対して民事または刑事訴訟を提起し、台湾市民の著作権または営業秘密の保有者と同じ救済措置を求めることができる。

知的財産案件の専属管轄裁判所である、台湾知的財産裁判所の慣例に対する著者らの考察に基づくと、同裁判所は民事訴訟において、外国法人を台湾の当事者に対する場合と同様に扱っている。

唯一の例外として、外国人が民事訴訟を提起する場合、同じく民事訴訟手続きに基づく被告からの正式な申立があれば、外国人の原告が台湾域内に居住地や事業所を持たない場合、第二審および第三審の訴訟費用以上の供託金の提供を要求される可能性がある。

被告がこの申立を行い、外国人の原告による供託金の提供を裁判所に求める際、被告は、裁判所が申立に関し判断を下すか、または原告が当該申立に関する裁判所の判断に従うまで、訴訟手続きの進行を拒否できる。

台湾の民事訴訟手続法によると、外国人の原告は、訴訟費用を上回る額の資産を台湾に保有することを立証できれば、供託金提供の義務を免除される。裁判所は、外国人の原告が台湾に持つ資産の価値が、必要となる供託金の額を上回るかどうか決定する裁量を有する。

台湾営業秘密法

台湾営業秘密法が1996年に制定された当時、秘密の不正使用があった場合に秘密の保有者には、民事救済(損害賠償および/または差し止めによる救済)しか認められていなかった。その時点では、秘密を漏洩した者の刑事責任を追及したい場合、台湾刑法に頼らねばならなかった。

Jane Wang, Formosa Transnational
汪家倩
パートナー弁護士
萬國法律事務所(台北)
メール: jane.wang@taiwanlaw.com

2013年に営業秘密法が改正され、営業秘密の不正使用の刑事責任を問えることになった。加えて、外国での使用を意図して営業秘密を不正使用した場合、罰金が併科されることになった。

重要な点として、2013年の改正に基づき、被雇用者が業務執行の過程で営業秘密を不正使用した場合、雇用主にも刑罰を科すことができる。雇用主は、被雇用者による秘密の不正使用を防ぐため、あらゆる可能な措置を講じたことを立証できる場合に限り、この刑事責任を免れることができる。

2022年に台湾営業秘密法はさらに改正され、違反した場合は最長12年の懲役に処され、500万台湾ドル(16万3000米ドル)~1億台湾ドルの罰金を科されることになった。

この改正は、競合他社による「重要コア技術」の不正使用または漏洩を防ぎ、台湾のハイテク産業とその経済的利益を守る目的で実施された。重要コア技術という用語は、台湾の重要産業の競争力を大幅に高めることができるか、または安全保障上の懸念から保護が必要と関連政府機関に認定された技術を指す。

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