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世界的な気候変動対策に関する誓約により、インドでは環境に配慮した技術を導入する意欲が高まっており、こうした取り組みへの参加が推進されています。

15億人の人口を抱え、3兆3000億ドルの経済規模を誇るインドは、グリーンテクノロジーを含む最新テクノロジーの革新、導入、そして円滑な実施を実現する大きな可能性を秘めています。ここ数年、インド経済はコロナ禍においても大きな回復力を示しただけでなく、多くの部門において力強い成長を見せています。国際通貨基金(IMF)によると、2023年のインドの経済成長率は8.2%に達する見通しであり、これは世界の主要経済諸国の経済成長率に匹敵します。

Manisha Singh LexOrbis
Manisha Singh
パートナー
LexOrbis(ニューデリー)
電話: +91 98 1116 1518
Eメール: manisha@lexorbis.com

新型コロナウイルスのパンデミックや、ロシア・ウクライナ紛争を契機に、先進国は、エネルギーバスケットをさまざまな地域に分散するだけでなく、エネルギー源の多様化を検討するようになりました。気候変動の明らかな兆候が予想以上に早く表れたため、世界各国の政府は再生不可能なエネルギー源への依存を減らすことを検討し、よりクリーンな代替エネルギー源を探すことを余儀なくされています。エネルギーに対するニーズは高まっていますが、インドは2070年までに炭素排出量実質ゼロを達成するという野心的な公約を掲げ、グリーンエネルギーを導入するためにエネルギー部門の改革をすでに進めています。同国のエネルギー部門では、過去5年間で再生可能エネルギーの総設備容量が100GWに倍増しました。

インドは、気候変動や、今後増大するエネルギー需要に対して、石炭やその他の化石燃料の使用を段階的に廃止することに精力的に取り組む一方で、グリーンテクノロジー分野におけるイノベーションと投資の機会を提供します。

推進戦略

インドにおけるグリーンテクノロジーの導入と推進は、排出量削減に向けた気候変動行動計画の一環として、再生不可能なエネルギー源への依存を減らし、国別の約束草案を達成するための意識的な取り組みです。こうした取り組みと、国の持続的な経済発展を目的としたさまざまな政策は、ぴったり一致しています。

インドでは、グリーンテクノロジーの導入を直接的、間接的に支援する取り組みがいくつか行われています。その中でも重要なのが、「Aatma Nirbhar Bharat Abhiyan」(自立したインドキャンペーン)です。この取り組みによって、中小零細企業に関する分類の基準が見直され、また、異なるポータルを相互にリンクさせることで登録が容易になり、融資申請への支援、能力開発や採用、厳しい排出管理・廃棄物処理法の導入、発電用石炭使用量の削減、電気自動車の推進など、グリーンテクノロジーの導入を確実にするさまざまな規制や、その他のビジネス要件に関するワンストップ・インターフェースが提供されました。

カーボンニュートラル政策の比較

実行可能性

Pradeep Kumar Kamal LexOrbis
Pradeep Kumar Kamal
アソシエイトパートナー
LexOrbis(ニューデリー)
Eメール: pradeep.kumar@lexorbis.com

インドは以前からグリーンテクノロジーを導入する必要性を認識していました。また、環境を修復不可能なまでに破壊し、持続可能な成長と発展にとって脅威となる、環境に配慮しないテクノロジーによって引き起こされた環境問題に対処するために、20年以上前からグリーンテクノロジーの導入を国家の優先事項の一つとして考えてきました。

しかし、グリーンテクノロジーの導入と実施については、初期段階でいくつか問題があります。例えば、一般的にグリーンテクノロジーは非経済的で、また多くの人手が必要です。優れた技術力を持ち、グリーンテクノロジーを導入するための資本もある先進国とは異なり、インドのような発展途上国がグリーンテクノロジーに本格的に移行することは容易ではありません。

持続可能な開発を促進するために、さまざまな部門にわたって常に最新の政策を策定してきたおかげで、インドには現在、グリーンテクノロジーに対する大きな需要があります。また、雇用需要に応える機会として、グリーンテクノロジーの労働集約性を活用できる可能性もあります。国内市場が大きいことや、低炭素環境財・サービスにおいて既存の業界があることも、インドが有利な立場に立てる要因です。

将来性のある部門

さまざまな部門にわたる幅広い政策やプログラムによって、持続可能な開発のためのグリーンテクノロジーの導入が促進されています。政策によってグリーンテクノロジーへの転換が驚くほど順調に進んでいる部門は以下の通りです。

エネルギー部門では、グリーンテクノロジーが主要な役割を果たしています。再生不可能なエネルギー源を、太陽光、風力、小水力、バイオ燃料などのクリーンでグリーンなエネルギー源に置き換えるために、多くの政策が実施されています。インドにおけるグリーンエネルギー分野の設備容量は、2021年に94.43GWに達しており、2027年までに275GWに達する目標を設定しています。また、同国はエネルギーミックスに占める天然ガスの割合を、現在の6.3%から2030年までに15%に引き上げることを目指しています。従って、エネルギー部門全般において、グリーンテクノロジーへの大きな投資機会があります。

インドの運輸およびエネルギー集約型産業部門は、「国家電動モビリティ・ミッション・プラン2020(National Electric Mobility Mission Plan)」、電気自動車の早期導入・製造計画(FAME)、圧縮点火エンジンから大気汚染物質の出力を規制する厳しい排出基準、バッテリー交換政策、家電製品のエネルギー効率基準など、グリーンテクノロジー導入に向けた複数の政策によって支えられています。電気自動車市場は安定した伸びを示しており、42.8%という驚異的な年平均成長率で拡大しています。2030年までに国内の自動車の30%を電気自動車とするインド政府の公約は、2660億ドルもの累積投資の機会があることを示唆しています。

廃水処理も、グリーンテクノロジーが重視されてきたインドの重要な市場分野であり、2026年までに市場規模は350億米ドルに達すると見込まれています。

貿易政策

インドの外国貿易政策(FTP)は、国境を越えた貿易を促進するための最も重要な政策の一つです。FTPでは、二国間および多国間の通商関係、経済特区、輸出推進、貿易促進、規制、輸出向け商品の開発などの分野も重視されています。インフラ、取引コスト、手続きの煩雑さ、製造業の制約、輸出の多様化の遅れなどいくつかの制約があるものの、インドはすでに世界貿易機関(WTO)の貿易円滑化協定に署名しました。

2022年9月30日まで延長されている既存のFTPは、輸送費用の削減と低コストの運用環境を実現するために、規制および運用の枠組みの新しいパラダイムを導入するFTPに変更される見込みです。政策立案者は、国境を越えた貿易に不可欠な規制や取引上のプロセスを整備することにより、シンプルかつ効率のよい貿易を育成するエコシステムを開発するために、投資家、貿易業者、輸出業者などのさまざまなステークホルダーから寄せられた意見を真剣に検討し、新たなFTP策定に生かしています。

新たなFTPでの重要な変更点のいくつかは、ビジネスのしやすさとグリーンテクノロジーの奨励策に重点を置いており、今後、部門全般にわたるエネルギー効率の向上や持続可能な開発改善を支えていくでしょう。

インド政府はすでに補助金主導の仕組みを廃止するために十分な措置を講じており、新たなFTPに基づきWTOに対応する制度が追加されれば、世界中の投資家に公平な競争環境を提供することになります。新たなFTPによって、WTOに準拠した税制優遇措置、容易な借り入れ、インフラや技術の向上、法人税率の引き下げや関税構造の簡素化、ビジネス関連ポータルのデジタル化や統合などが導入されることも期待されています。インド政府は、グリーンテクノロジーを導入する部門に利益や機会が適切に提供されるように、FTPを適正に調整しました。こうした取り組みは、同時にグリーンテクノロジーを奨励するその他の国内政策によっても支えられています。

インドはグリーンテクノロジーの強化や、早期導入のために多くの制度を実施してきましたが、さまざまなレベルでグリーンテクノロジーを促進・強化するために必要な効果的なシステムの確立に向けた、その他の取り組みを行う余地があります。

グリーンテクノロジーの革新、進歩、適合を促す奨励策は、グリーンテクノロジーが持つ大きな経済的影響を相殺する上で重要な役割を果たします。インドはステークホルダーの意見を重要視し、すでにグリーンテクノロジーに投資する企業に対して譲許税率を適用しています。さらに、グリーンテクノロジーに関連する発明の審査と特許付与を迅速化するために、特許審査ハイウェイのようなファストトラック手続きや規定を採用することで、グリーンテクノロジーの知的財産保護を推進する必要があります。完全循環型設計に基づき、材料の再利用を重視するグリーンテクノロジーは、持続可能な開発のあらゆるレベルで優先されるべきです。

連携を促進、推進するための法的枠組みも、グリーンテクノロジーの開発と普及を促進する要素です。また、単にグリーンテクノロジーに参入するだけでなく、互恵的な条件でグリーンテクノロジーの技術移転を促進する政策的枠組みも構築しなければなりません。資金調達、保険、市場への参入に関連する政策の変更も重要です。

技術の向上は、グリーンテクノロジーの開発と展開の障壁となるのではなく、グリーンテクノロジーの推進と導入のためにきめ細かく調整される必要があります。

以上のことから、インドは、ビジネスのしやすさと国別の約束草案の実現を重視した政策や改革を継続的に進化させることによって、グリーンテクノロジーの迅速な導入と世界中の投資家への支援への道を切り拓いていると、結論付けることができます。

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