オフショアローンの借り換えや再編における新たな担保の検討

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内および世界的なインフレが過去数十年で最高の水準に達し、金利上昇が進む中、サプライチェーン問題が長期化し、さらにロシア・ウクライナ紛争の影響がアジア全体に拡大しています。こうした状況を背景に、英領ヴァージン諸島(BVI)やケイマン諸島で設立された多くの企業が、流動性問題や支払不能に陥る可能性を避けるために利用できる手段を調査しています。新型コロナウイルス感染症や、それに関連した規制措置による経済的低迷に加えて、中国の複数の不動産開発業者で債務不履行が相次いだことによって、このような危機的状況がさらに悪化しました。

Peter Vas Loeb Smith Attorneys
Peter Vas
パートナー
Loeb Smith Attorneys

本稿では、既存の担保付ファシリティのローン借り換えや再編において、BVI法またはケイマン諸島法に準拠した既存の担保の再取得が必要かどうかを検討します。ローンの借り換えや再編の取引数が増加していることを考えると、現在のような厳しい状況において、アジア市場の多くの有担保債権者がこうした点に関心を寄せる可能性が高いと思われます。

まず、既存のファシリティ契約を見直し、変更案に関連して、契約条件に修正を加える必要があるかどうかを判断することから始めます。例えば、ロンドン銀行間取引金利(Libor)に移行する場合、既存のファシリティ契約の大半には、英国のローンマーケット協会(Loan Market Association)の代替スクリーンレート条項(replacement screen rate clause)が組み込まれているため、結果として、修正は必要ありません。一方、当事者が金利期間および債務者グループが提供する金融機関、またそのいずれかを変更したい場合、ファシリティ契約の条件の修正が必要になる可能性が高くなります。

担保付債務

修正が必要であると仮定した場合、担保関連文書で「担保付債務」の定義(またはそれに相当する定義)を検討し、修正後の債務が引き続きその定義に該当するかどうかを判断する必要があります。通常、同定義では、ファシリティ契約などの一連の特定金融文書に基づいて担保が設定される債務について説明します。厳密な定義の場合、「修正が生じた場合はその都度」金融文書にも言及します。その場合、次に問題となるのは、担保権者が、担保付債務を修正後の債務に対応するものと解釈できるかどうかということです。

定義の解釈

これに関連して重要なポイントが2つあります。1つ目のポイントは、ファシリティ契約の修正案が、修正後のファシリティ契約を新たな契約として扱うことができるほど、十分に根本的なものであるかどうかということです。2つ目のポイントは、修正によって担保付債務が、当初の取引締結の際に当事者が想定していた「一般的な範囲」を超えるかどうかということです。

修正が、新たな契約と解釈されるほど十分に根本的なものである場合、あるいは担保付債務が当初想定されていた「一般的な範囲」を超える場合、新たな担保が必要になります。

ローンの借り換えや再編に関連する取引では、海外の弁護士も同じ問題を検討している可能性があることに注意する必要があります。特に海外の法律事務所がアドバイスを行っている法域がコモンローに準拠している場合、海外の弁護士が取る手法は通常、BVI法またはケイマン諸島法の観点から新たな担保が最終的に設定されるかどうかで決まることがほとんどです。

担保権者および債務者は、以下の実務上のポイントに留意する必要があります。

セキュリティパッケージが無効であると判断された場合、あるいはセキュリティパッケージで担保付債務をすべてカバーできない場合、関連する担保権設定者は、該当する金融文書の表明や約束に違反していると同時に、融資当事者に違反を通知する義務にも違反している可能性が高いと思われます。従って、担保権設定者(ならびに担保権者)は、オフショアの法的助言を求める必要があります。

賢明な担保権者であれば、担保を新たに設定する必要がない場合でも、ファシリティ契約が修正された場合、BVIやケイマン諸島の債務者に関して、担保の確認や法律上の見解を求める可能性があります。こうしたことが必要かどうかは、関連する貸手のリスク選好度や市場慣行によって決まります。例えば、Liborへの移行のみに対処する修正である場合、担保の再確認や法的見解を求めることは稀です。

ファシリティ契約において、債務者が自分たちに代わって書類を作成する代理人を任命している場合、担保権者は、債務者の代理人が各債務者に代わって修正契約を締結することがよいのかどうか検討する必要があります。市場慣行では通常、保証および担保の再確認、またそのいずれかを含む範囲においては、各債務者が契約を締結することが求められています。

Peter Vasは、香港に所在するLoeb Smith Attorneysのパートナーです。Robert Farrellも本稿の執筆に協力しました。

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