Eコマースの開始は慎重に

By Manisha Singh と Simrat Kaur、LexOrbis
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Open Network for Digital Commerce(ONDC)は、電子商取引の民主化、および販売者の可視性と信用のポータビリティの向上を目指しています。非営利企業であるONDCは、膨大な数のキラナ(地域の小規模小売店)のデジタル販売を支援し、Eコマースの巨大な可能性を切り開くことを計画しています。ONDCは、AmazonとWalmartの2社による独占的な電子商取引をターゲットとし、権力の集中を分散・希薄化させようとしています。

Manisha Singh, LexOrbis
Manisha Singh
パートナー
LexOrbis

ネットワーク上のすべての販売者が可視化されます。ネットワークに参加するマーケットプレイス・プラットフォーム上のすべての販売者は、他のすべての参加プラットフォームにアクセスすることができます。販売者は、特定の取引に使用するプラットフォームの種類を問わず、過去のすべての取引から顧客の信頼を得ています。ONDCは、購入者、販売者(マーケットプレイスやEコマースの在庫事業者)、検索・決済ゲートウェイを登録する予定です。デリバリープロバイダーも参加できます。デジタルや配送のインフラを持たないキラナ店舗もネットワークに参加し、商品をオンラインで販売できます。ONDCは、彼らの製品のカタログ作成を支援します。購入者はこのネットワークから配達員を選び、配達員はキラナ店舗で集荷して、購入者に配達します。参加するオンラインビジネスは、自社でEコマースを運営しているか、いずれかのマーケットプレイス・プラットフォームを使っているかにかかわらず、他のネットワーク参加者がどのプラットフォームを使っていたとしても、その全員から確認されることが可能になります。

これは世界的に前例がないモデルですが、インド独自の統合決済インターフェース(Unified Payments Interface/UPI)に似ているのかもしれません。ONDCは、現在未開拓であるEコマースのソースに働きかけますが、問題は、UPIが決済で成功したように、ONDCがEコマースで成功するかどうかです。デジタル取引では実際の商品が販売・配送されますが、品質や偽造の問題を伴っています。あるマーケットプレイスの購入者が、別のマーケットプレイスの販売者から適正水準でない商品や偽物を受け取った場合には、どのプラットフォームが購入者を救済すべきなのでしょうか。ONDCの2022年協議文書では、販売者側アプリと購入者側アプリの間で、売買ごとに管理する取引段階での契約が存在することを想定しています。

大きな課題は、ONDC自身の責任とコンプライアンスです。ONDCは、2019年消費者保護法に該当するマーケットプレイス型Eコマース事業者なのか、2000年情報技術法に該当する仲介業者なのかは、明確になっていません。文書では、特にONDCの基本理念である「信頼」の重要性を強調しています。これらは、公益的なアプローチに大きく依存しているようにみえます。

Simtrat Kaur, LexOrbis
Simrat Kaur
アソシエイトパートナー
LexOrbis

ONDCは自身について、プラットフォームやエンドユーザーとのインターフェースの事業者ではなく、イネーブラーであると捉えています。参加者のネットワーク参加を支援し、オープンガバナンスの枠組み作成を促進しているに過ぎません。このような枠組みの構築と運営は、参加者自身が持つ問題・苦情管理(IGM)体制に委ねられています。この無干渉なアプローチでは、ONDCが上記の法律に基づく登録を求められないばかりか、2020年の消費者保護(Eコマース)規則に準拠することも要求されません。また、仲介業者に求められる苦情処理制度や、模倣品・侵害品対策のための告知・撤去の仕組みを導入する必要もないでしょう。これらの要件によって、マーケットプレイス型Eコマースの事業者や仲介者は、さらなる責任を課せられます。デジタルの世界でも、実社会と同じように消費者を保護するのです。ONDCが発行した文書では、ONDCは管理者にならないことが示唆されています。

ONDCが提案する問題・苦情管理(IGM)体制は、3段階のプロセスから成ります。消費者の問題が社内で解決できない場合、消費者はネットワーク参加者の苦情処理担当者に報告し、その担当者が責任を認めた場合は、評価し、問題を解決することになります。ネットワーク参加者が責任を認めない場合は、申立人は、ネットワーク参加者が調停、仲介、または仲裁を通じて、紛争の解決を支援するオンライン紛争解決の仕組みを利用することが可能です。紛争が解決されない場合、被害を受けた当事者は、訴訟を起こすことができます。

これは効果がないようにみえます。構築、監督、規制をネットワーク参加者に任せるのは、ONDCの目的と矛盾しているようにみえます。このシステムによって、十分な信頼(ある場合は)が確立されるかどうかは疑問です。ONDCは、ゲームチェンジャーとなるどころか、効果的な規制がないことを巧みに利用した不正行為、詐欺や偽造を、ただ傍観するだけになるかもしれません。ONDCとその政府スポンサーは、最初から「牙のない虎」の状態であることを心配すべきです。早急な見直しが必要とされます。

Manisha SinghはLexOrbisのパートナー、Simrat Kaurは同事務所のアソシエイトパートナーです。

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