沈黙は選択肢にあらず

By Veronica S Pine/ACCRALAW
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セクシュアル・ハラスメントは職場において広範囲にわたる懸念事項かつ深刻な問題であり、使用者には、事案を迅速に調査し、すべての従業員にとって安全な職場環境を確保するため、断固たる措置を取る義務が課されています。

フィリピンにおいて使用者が果たすべき重要な役割を踏まえ、反セクシャル・ハラスメント法(共和国法第7877号)および安全なスペース法(共和国法第11313号)は、使用者に対して一定の職務および義務を課しており、これらを怠った場合には法的責任が生じます。

Veronica S Pine
Veronica S Pine
労働・雇用部門アソシエイト
ACCRALAW

共和国法第7877号は、使用者に以下の義務を課しています。

    1. 従業員との協議の上、セクシュアル・ハラスメント事案の調査手続、および、事実が認められた場合に課される懲戒処分を定めた適切な規則および規程を公表すること。
    2. 礼儀調査委員会(CODI)を設置して、役員と従業員間の会合を企画・実施し、セクシュアル・ハラスメントについての理解を深め、発生を防止すること。

共和国法第11313号の下では、使用者またはその他「権限、影響力または道徳的優位性」を有する者は、以下の義務が課されています。

    1. 同法の写しを目立つ場所に掲示し、全職員に周知すること。
    2. ジェンダーに基づく職場でのセクハラ防止に関するセミナー等の措置を講じること。
    3. 経営陣、監督職の従業員、一般従業員および(存在する場合には)労働組合の代表を含む、独立した内部機構またはCODIを設置し、苦情の調査および対応を行うこと。
    4. 全従業員と協議の上、行動規範または職場ポリシーを策定し、周知すること。

これらの義務を履行しない使用者は、ハラスメント行為者とともに、損害賠償責任を問われる可能性があります。さらに罰金が科される場合があり、使用者は事実上の解雇について責任を問われる可能性があります。

職場でのセクシュアル・ハラスメントに対して裁判所が取る厳格な立場は、Buban対de la Peña事件(2024年)において明確に示されました。同事件において最高裁判所は、従業員により行われたセクシュアル・ハラスメントに対して、当該使用者が連帯責任を負うと判示しました。これは、当該企業がセクシュアル・ハラスメント行為の発生を防止する措置を講じることと、苦情を解決するための手続を整備することの、いずれも怠ったことによるものでした。

本件では、女性従業員により彼女のチームリーダーに対して正式な苦情が申し立てられました。同リーダーは、性的なアプローチ、卑猥な言動、不適切な身体的接触を当該従業員に対して行ったとされています。

しかし残念ながら、その苦情は一切聞き入れられず、経営陣からいかなる保護措置も講じられることはありませんでした。彼女は加害者と同じ職場で働き続けることを余儀なくされ、出勤を拒否した3日分の給与について支払いが差し止められたほどでした。さらに使用者は、苦情に迅速に対応するためのCODIの設置も怠りました。

共和国法第7877号に基づく義務を怠ったことが認定され、当該会社は、不正行為を働いた従業員とともに、損害賠償の支払について連帯責任を負うこととなりました。

別の事案であるLBC 対 Palco事件(2020年)では、セクシュアル・ハラスメントの苦情対応における著しい遅延を理由として、使用者が事実上の解雇について責任を負うと判断されました。本件では、事案の報告から正式な調査が開始されるまで41日も経っており、その後の内部審理の開始まで、さらに1カ月を費やしていました。さらに悪いことに、会社が当該事案を解決するまでにさらに2カ月を要しました。最高裁判所は、こうした遅延に加え、当該ハラスメント事案について、「目撃者や身体的強制を示す物的証拠がなければ立証は弱い、あるいは困難である」と示唆する発言は、被害者である従業員に対して極めて配慮を欠いたものであると指摘しました。このような無神経な対応は、敵対的かつ不快な職場環境の形成を助長するものであり、事実上の解雇を構成する根拠となるとしました。

以上に加えて、共和国法第11313号の下では、法定義務を履行しない、あるいは報告されたセクシュアル・ハラスメントに対応しない使用者に対し、5000フィリピン・ペソ(約85米ドル)から1万5000フィリピン・ペソ(約250米ドル)の罰金が科される可能性があります。

LBC事件において、最高裁判所は次のように指摘しています。「セクシュアル・ハラスメントの被害者の苦情に対する無関心は、もはや容認されることはない。近年の社会運動は、特に職場におけるセクシュアル・ハラスメントが蔓延し続けていることに対する認識を高め、その蔓延の一因が、被害者の状況に対する無関心、共感の欠如、対応の不十分さにあることを明らかにしました。多くの場合、被害者は非難され、沈黙を強いられ、『それが現実なのだ』として受け入れるか、辞めるか、あるいはそのままやり過ごすことを強要されてきた」

このような深刻な結果を考慮すれば、この職場上および社会上の脅威に対処することの重要性と緊急性は言うにおよばず、使用者にとって沈黙や不作為は決して選択肢となることはないのです。


本稿はフィリピンの新聞「Business World」に初出掲載されたものです。記述されている見解および意見は、筆者個人のものです。本稿は一般的な情報提供および教育のみを意図しており、法的アドバイスまたは法的意見として提供されるものではなく、このいずれかに該当するものでもありません。

VERONICA S PINE氏は ACCRALAW の労働・雇用部門のアソシエイトです。

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