インドネシアにおいて、指導者の交代は反対意見や不確実性に満ちあふれ、痛みを伴うほど遅々として進まないものですが、なぜ今年の選挙はこれまでと違っていたのでしょうか? ジャカルタの弁護士たちが、政治的な変化と今後の法的およびビジネスへの期待についてどのような評価をしているのかを、John Churchに語りました。
人気のある現職のジョコ・ウィドド大統領の任期を終了させる、2月14日の決定的な選挙結果から数カ月がたち、インドネシアは政治的議題において根本的な変化の瀬戸際に立たされていますが、それは予想されるような理由からではありません。
実際、世界で4番目に人口の多いこの国は依然として、深刻な腐敗の重圧に苦しんでいます(トランスペアレンシー・インターナショナルの2023年度腐敗認識指数で100点中34点という悲惨な評価でした)。
確かに、票の買収や政治的な縁故主義の主張が蔓延しており、次期副大統領ギブラン・ラカブミン・ラカ氏がウィドド氏(または、一般に知られている通称はジョコウィ氏)の息子であることが不適切だという懸念もあります。最近、ジャカルタで起きた抗議活動は、11月の地方選挙に出馬する彼のもう一人の息子を巡るものでした。
しかし、経済改革の進展が国際的な関心を集めており、ジャカルタでは、法律事務所が今年の選挙について、新しい指導者への交代という長期にわたるプロセスでは、これまでめったに見られなかったような、慎重ながらも楽観的な議論を交わしています。
ウィドド氏は、高く評価されているオムニバス法を通じて、外国資本所有に関する古い法律を巧みに改革し、同時に、特にニッケルや他の需要の高い希少な鉱物の採掘において、原材料の輸出を超えた製造や加工を地元所有へ移行する動きを後押ししてきました。事業からプロジェクト承認、ビザ発給に至るまで、あらゆるものの許認可や登録がオンライン処理されることで、古くて腐敗しがちだった手続きが迅速化しています。
ジャカルタでは、機能的なMRTシステムが実現化して成長しつつあり、悪名高い交通渋滞の道路システムからの解放という希望が持てるようになりました。そして、8月17日の独立記念日に予定されていたトップレベルの行政機能の移転の表明は、ボルネオ島の東岸にあるヌサンタラの新大統領宮殿から、より静かな式典に縮小されはしたものの、首都新設という夢物語は確固たるものとなりつつあります。
しかし、弁護士たちがすぐに指摘した根本的な変化は、通常であれば以前の政策を一掃するような、新しいアイデアを大々的に打ち出すことのない新政権という形になって表れました。次期大統領プラボウォ・スビアント氏はむしろ、ウィドド氏の改革を継続することを誓っており、これが選挙でのプラボウォ氏の成功に大きく貢献した戦略として挙げられています。2月の選挙結果は4月の憲法裁判所での裁定を経て、10月20日のプラボウォ氏の宣誓式で結実し、その後、内閣が発足します。
長く待たされることになったのは、投票後、投票結果自体に対する抗議が不可避であり、裁判の申し立てのために時間が必要だったという過去の経験に起因しています。候補者が過半数(総投票数の50%+1)を獲得するのに十分な票数ではない場合、決選投票が必要になることはほぼ確実でした。そのため、決選投票は6月26日に予定されていましたが、勝利者の得票が十分であったことから、決選投票は行われませんでした。
「10月20日に新大統領が宣誓し、その後、大統領が組閣を行います」と、Assegaf Hamzah & PartnersのパートナーであるEko Basyuni氏は説明します。「それまでの間、次期大統領が宣誓を待つ一方で、任期終了を待っている現政権があるという、いわゆるレームダックの期間が存在します」
「伝統的に、この期間は、内閣と政府は新しい戦略的政策には着手しません。彼らは以前決定したことを継続し、劇的な変化は期待されるべきではありません」
Walalangi & Partnersのマネージング・パートナーであるLuky Walalangi氏は、ジョコウィ氏が舵を取っていた過去10年間、一貫して、外国投資の自由化と以前の制限の撤廃が行われてきたと話しました。「例えば、外資系病院のための物流の開放です。以前の政権ではこれは制限されていました」と彼は言います。「それが、オムニバス法の導入によって、規制間の整合性が改善されました」
「(ウィドド氏の)息子が副大統領になることで、ビジネス界に対して何も変わらないという強いメッセージを送っています。プラボウォ氏は、新しい首都計画も含め、ジョコウィ氏の政策を継続するでしょう。少なくとも今後2年間は、規制の観点から大きな変化はないと思います」
「プラボウォ氏は闘争民主党(PDI-P)を除くすべての主要政党から支持を受けているため、静かな政治が現状維持されるものと予測されており、これは投資家にとって非常に良いニュースです。なぜなら、クライアントの主な懸念の一つは政治的安定だからです。今後2年間は、非常に安定した状況が続くでしょう」
そして同氏は、こう付け加えました。「憲法裁判所が、プラボウォ氏が選挙に勝利したと認める判断を下した後、事態は突然、好転しました。それが転換点になりました」
PDI-P、またはインドネシア闘争民主党は、元大統領メガワティ・スカルノプトリ氏が率いており、議会で他のどの政党よりも多くの議席を持っています。プラボウォ氏への支持はまだ表明していませんが、新内閣のポストに関する交渉が行われれば、状況に変化を与える要因になることは間違いありません。交渉は新大統領の就任宣言の日の直前まで続くことになるでしょう。
プラボウォ氏はすでに、PDI-P抜きでも政権運営が可能な連立を組んでいます。インドネシアでは、選挙で敗北したとしても、票数と支持を背景に政権に加わる交渉を進めることができれば、必ずしも悪い結果とは限りません。これにより、インドネシアの多党制民主主義が強化されますが、前任者の前例のない人気に続いて、プラボウォ氏の圧倒的な勝利(インドネシアの民主選挙での候補者として最多得票)は、新しい展開、すなわち継続性への道筋を整えることになりました。特に注目すべきは、政権交代の年において、この現象が「レームダック」の要素をいくばくか取り除くことです。
「法務プラクティスにおいては、ビジネスは通常通りです」とIABFのマネージング・パートナー、Ivan Baely氏は言います。「10年前、選挙の年にはビジネスは鈍化しました。しかし現在、ジョコウィ氏と、今度のプラボウォ氏によって自由度が向上したことで、昨年と何の変化もありませんでした」
「私たちが忙しくなっているのは、国有企業の数がかなり多いことです。現在は移行期にあり、国有企業のプロジェクトや国家プロジェクトを10月の引き継ぎ前に完了させたいと考え、彼らは9月までの完了を目指しています」
LHBMのマネージング・パートナー、Rio Lassatrio氏は次のように付け加えました。「過去3〜6カ月間の、次の大統領が誰になるかを見極める仕事は終わりました。ビジネスの観点からも、たとえ関連性はないとしても、選挙のプロセスによって政治的に中断されることを望んでいないため、選挙の最中に入札を進めたくないという理由で進行中の入札が延期されてきました。
「今、次の5年間に誰が国を治めるのかが明確になり、入札はゆっくりと再開されて、新しい5年間の展望のもとに進展しています。これは良いことです。ビジネスは順調に進んでいます」
ATD Lawのマネージング・パートナー、Abi Abadi Tisnadisastra氏は、勝者に関係なく、次期大統領が現政権の政策を継続することを約束しているのは朗報だと言います。安定性の観点から見れば、この結果はインドネシアにとって考えられる中で最善のものです。
「新しい政府が誕生する際、特にそれが対立する政党からの場合は、政策や(前政権の)すべての決定が、逆方向に進む可能性があることは周知の通りです。しかし幸いなことに、次期大統領が約束したことで、安定した政権移行が行われるでしょう」と同氏は語りました。
「外国投資家にとって、選挙のたびに常に懸念されることがあり、様子見の状態になります。彼らは状況を観察し、理解しようと試みています」
MHMS Advocatesのマネージング・パートナー、Turangga Harlin氏はさらに続けます。「私は多くの変化は期待していませんし、それは良いことだと思います。ジョコウィ氏はとても人気がありますし、プラボウォ氏を支持する政党でさえ、継続することを望んでいます。クライアントも多くの変化は望んでいません。すべては継続性に尽きます。これが今、私たちが直面していることなのです」
Harlin氏はまた、9月~11月にかけてインドネシアで行われる、大規模な地方選挙についても指摘しています。これは新しい連邦政府への移行期間の真っ最中に行われます。「次のジャカルタ州知事が誰になるかが話題の的です。どの政党も、この選挙に多くの時間を注ぎ込むでしょう。法案や改正案が可決されるかは、彼らにとって優先事項ではありません。これから数カ月間、カウントダウンが行われます。37の州と州知事、数百の県と県知事――これも非常に大きな出来事なのです」
AGI Legalのパートナー、Giffy Pardede氏は次のように語ります。「地方政府は、いずれの地域においても、大規模なプロジェクトについて話をする際に非常に重要になります。あまり多くはありませんが、いくつかの事柄は依然として、地方(政府と議会)の管理下にあります。したがって、(地元の)指導者の交代が迫っている地域で特定のプロジェクトがある場合、交代するのを待ってから彼らに会うのは理にかなったことです。国のトップの指導者が交代しても、『地方の王』の概念は変わりません。地方の王はその地域の規則や政策の詳細について、直接的な権限を持っている可能性があります」
内閣での駆け引き
継続性と安定性がスローガンである一方で、弁護士とそのクライアントには、新政府における極端な変化への深い懸念が残っています。新しい大統領と内閣が規制を導入すると、不確実性や躊躇が生じる可能性があります。
さらに重要なのは、おそらく、新しい大臣や部局長が現行法の解釈を変更することで、これも同様に課題となる可能性があります。
IABFのBaely氏は次のように話します。「インドネシアは他の国とはかなり異なります。他の国では法律を読んで内容を解釈できます。インドネシアでは政府関係者と、彼らがまだ同じ解釈をしているかどうか、話し合う必要があります。時には、私たちは明確なことだと考えていても、異なる解釈がされることがあります。したがって、コミュニケーションが鍵になるのです」
プラボウォ氏の考える、新しい内閣の構想の背後にある政治が非常に重要です。彼が、内閣の省庁の数を現在の34(法律2008年第39号)から、40以上、場合によっては46まで増やす意向であることは、広く報じられています。これにより、すべての反対政党を政府に引き入れ、内閣を拡大するために必要な改正を含む法案の通過が容易になるでしょう。法律上では、次期大統領が正式に任命されるまでは、内閣は組織されません。
「内閣の規模拡大は、懸念材料になるでしょうか? もちろんです。どの部局が拡大されるのか、どの許認可やライセンス、政府とのコミュニケーションが拡大されるのか、わからないからです」とBaely氏は語ります。
Assegaf Hamzah & Partnersのパートナー、Ahmad Maulana氏は、次のように付け加えました。「人々は今、新しい政権で戦略的な部局を管理するのが誰になるのか、そしてその候補者によってどのような政策が反映されるのか、予測に苦慮しています」
「例えば、法務分野では、誰が最高検察庁長官になり、最高裁判所の判事のポジションに誰が就くのか、司法改革への新たな希望になり得る人物なのかどうか、などを知りたいのです」
「これが現在、クライアントと協議している全体的な状況です。(内閣で)より多くのポジションを設けるには、法令が必要です。彼(プラボウォ氏)は議会で多数派を占める必要があり、これには通常、長いプロセスを要しますが、短縮される可能性もあります。議席数が最も多い政党は依然として反対派にいます。停滞はしないでしょうが、スムーズにはいかないでしょう」
Soemadipradja & Taher(S&T)の共同設立パートナー、Rahmat Soemadipradja氏はこれまでのところ、プラボウォ氏と、メガワティ氏のPDI-Pとの交渉はうまくいってはいないと話します。「彼ら(PDI-P)は政府に入りたくないと言っているのです」と同氏は言います。「最も多くの議席を持つ政党が、同じ陣営にいません。(内閣の拡大は)大きな費用がかかるので、興味深いものになるでしょう。民主主義は、お金も時間もかかります。しかし、この国では通常、最後の瞬間まで取引を待ちます。何が起こるかを見届けるには、10月まで待たなければなりません」
AHRP Law Firmのマネージング・パートナー、Irawady Azwar氏は、特に鉱業とエネルギー分野における規制の継続性が重要であることを強調しています。「新政府が投資家の懸念事項に対処するために協力的に協議を行い、相互に有益なパートナーシップを促進しながら、環境の持続可能性と保護に強くコミットし続けることで、外国投資を推奨するような規制の草案策定を継続することを期待しています」と同氏は語りました。
Soemadipradja氏は、10月以降に外国投資規制にいくつかの変更があると予想していますが、「それは本当に、内閣における位置づけや、誰が外国投資の担当大臣に就任するか、海事・投資担当を調整する大臣が継続するかどうかによって決まるでしょう。これら2つは海外直接投資に非常に関連する要素だからです」と語っています。
同氏はさらに、「石油とガスはこれまでと同じで、(規制に)大きな変化はありません。石炭のロビーは依然として強力です。貿易、産業、製造業に関しては、主にアジアからビジネス上の関心が集まっています。石油とガスは引き続き米国と英国から。他のほとんどの産業は、シンガポールを経由地として、中国、日本、韓国、台湾から関心が寄せられています」と付け加えました。
Andersen Globalと提携しているArmila & Rako(ARKO)の共同マネージング・パートナー、Eva Armila Djauhari氏は、政治文化を強調しています。「次期大統領は大規模な政党連合からの支持を受けており、新しい省庁の導入や既存の省庁の分割という憶測がなされる中、誰もが納得するよう試みていることから、この内閣は興味深いものになっています」
「しかし同様に、この国の政治文化は、真の意味で対立する政党が存在しないという点が独特です。敗北した政党は正確に言えば対立する政党ですが、実際には新政府を支持し続け、新内閣に加わることさえあり得ます。選挙戦がどれほど激しかったとしても、実質的に、対立する政党が存在しないということです。最終的には、誰もが勝者を受け入れるのです」
外国のクライアントの反応
では、インドネシアの法律事務所の外国のクライアントに、選挙がどのような影響を与え、指導者の交代に伴う今後に関して、法律事務所はどのようなアドバイスをしているのでしょうか?
SSEK Law Firmの創設パートナーであるIra Eddymurthy氏は、クライアントは省庁の新しい構成がどのようになるのかを見たいと考えているものの、多くのクライアントは投資を確保するために、選挙前に取引をクロージングさせようとしていたと語りました。
「保険業界や製薬業界は、インドネシアへの外国投資を自由化したオムニバス法に基づく規制(に対する選挙後の変更)について、懸念を示していました」と同氏は話します。「例えば、製薬会社は、以前は85%の外国投資が許可されていましたが、(昨年)それが100%に引き上げられました。そこで、政府が変わる前に投資の機会を捉えて、選挙前に実施したのです」
「しかし現在でもまだ、投資への意欲はほぼ変わりがありません。彼らは待ってはいませんし、新政府が既に導入されている政策を継続し、それが続くと信じています。……彼らはその点について、かなり自信があるのです」
GHP Law FirmのパートナーであるNur Eka Pradata氏は、主に日本と中国のクライアントを担当しています。「選挙に対する彼らの反応は異なります」と同氏は語ります。「日本のクライアントは様子を見たいと考えます。市場をよく知らない限り、今すぐは投資や買収を行いたくないのです」
「中国の投資家は異なります。新しい大統領が発表されると、非常に積極的でした。鉱業、製造業、流通、医療などのさまざまな分野に、とても関心を示しました。そして、非常に迅速に投資を完了させたいと考えていました」
「私たちは現行の法規制に基づいてアドバイスを提供しますが、近い将来に外国投資家に有利な新しい規制が発効される可能性があることを、常にクライアントに伝えています。様子を見ましょう、と」
S&Tのマネージング・パートナーであるRetno Muljosantoso氏は、憲法裁判所が選挙の公正性に関する判断を下した数日後、同氏の事務所が国内クライアントのためにビジネス会議を開催し、インドネシアの経済専門家を招いて経済の見通しを提供したと語りました。「クライアントと経済専門家とが議論をした結果、実際の判断を下すのは、内閣が組織されるまで待つべきだという結論に至りました」と彼女は語りました。
「海外から新しい依頼がかなり多く入ってくるようになって、海外企業がインドネシアでの投資や事業拡大を開始することに対して、一定レベルの自信を持っているのが見て取れます。良い兆候だといえます」
「どの分野が、外国投資にとって最も興味深いかはまだ把握できていないと思いますが、近い将来に把握できるのであれば、それは良いことであり、クライアントにとっても有益なものになるでしょう」
ARKOのDjauhari氏は、インドネシアへの投資の半分以上が中国大陸からで、直接またはシンガポールや香港を通じて行われているという、インドネシア投資調整庁のデータを引用しました。
「弁護士として、私たちは規制を遵守し、リスクを評価してからアドバイスを提供します。最終的な決定は、クライアントが下します」と彼女は言います。
「私の経験では、アジアと西洋のクライアントはかなり異なった行動を取ります。西洋のクライアントは、国の状況のすべての側面を理解するまで、急いで決定を下すことを避け、待つことを好みます」
「彼らは内閣のメンバーが誰になるか、規制の変更があるかどうかがわかるまで、決定を保留します。インドネシアでは政府が頻繁に規制を変更して、法的不確実性が生じる可能性があるため、規制のリスクを認識することが大切です」
Djauhari氏はさらに続けます。「中国などアジアのクライアントは、より積極的で、不確実性の中で機会を見いだします。彼らは規制や権限の変更に伴うリスクを厭わず、即座に機会を捉え、他の問題は発生次第、対処するのです」
弁護士たちは、プラボウォ氏がやるべきことは、彼が誓約した改革に引き続き取り組み、自身の構想を予算に組み入れてバランスを取りつつ、複数の課題を抱える内閣の微妙なバランスを維持して、より多様化した外国投資を引き続き誘致することだと語っています。
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