ヘルステック関連規制の比較: 中国

    By Lang Yuanpeng, Zhang Lu そして Shi Qing, Jingtian & Gongcheng
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    オンライン医療はパンデミック下において急速な発展期を迎えました。ビッグデータ、クラウドストレージ、人工知能(AI)などのデジタル技術の進展を背景に、医療・ヘルスケア分野での製品・サービスの提供方法が大きく変化し、診察や医薬品購入の領域でも変革が加速しています。また、オンライン医療企業も、ヘルスケアと医療の結合に向けて徐々に歩みを進めています。

    2022年には、「インターネット診断・治療監督細則(試験施行用)」および「医薬品インターネット販売に関する監督管理弁法」により、オンラインでの診断と治療および医薬品電子商取引をヘルスケアと医療の2つの側面から監督する規制が制定されました。本稿では、オンライン診断および治療、並びに医薬品電子商取引における要点と課題を概説します。

    概要

    Lang Yuanpeng
    Lang Yuanpeng
    パートナー
    Jingtian & Gongcheng (北京)
    電話番号: +86 10 5809 1189
    Eメール: lang.yuanpeng@jingtian.com

    近年、中国のオンライン診断・治療市場は、医薬品電子商取引との結合が徐々に進み、ワンストップの医療サービスを提供する完結したエコシステムを形成しています。オンライン診断・治療には、主に、インターネット企業が設立する診断プラットフォームと、病院が開設する、または第三者が実在の病院に依拠して開設するインターネット病院プラットフォームがあります。後者の例には、Ping An Healthグループの診断プラットフォームやNew Century Healthcare社のインターネット病院プラットフォームなどがあります。インターネット病院は、さらに、実在の医療機関の第二ブランドの役割をもつものと、実在の医療機関に依拠して独自に設立されるものに分類されます。

    ヘルスケア業界におけるインターネット活用を通じた主要な収益化モデルとして、オンラインでのヘルスケアの提供とデジタル薬局が挙げられます。前者には、主に、JD HealthやAli Healthなどの医薬品電子商取引業者が含まれます。後者には、オンライン購入とオフライン配送による即時宅配サービスを提供するデジタル薬局のDingdang Healthなどがあります。たとえばDingdang HealthのDingdang Medicine Express Appでは、自社のオフライン薬局や医薬品企業からの直接調達、自前の物流チームを通じて完結したビジネスモデルを構築し、インターネット病院・医療チームが提供する、音雷雲診断・治療、投薬指導、慢性疾患管理を統合したオンラインサービスによって補完しています。

    主要な監督

    中国のインターネットインフラは比較的整備されていますが、オンライン診断・治療や医薬品の電子商取引に対する規制は、特に発展段階にある現時点では、まだ慎重に行われています。

    業務上必要な資格。オンライン医療機関は、自身の業務モデルやサービスモデルに応じて、医療機関の開業許可証、および電子データ交換またはインターネットコンテンツプロバイダーのライセンス(該当する管轄電信局が付与する)を取得する必要があります。一般的に、インターネット病院が依拠する現実の病院に対して診断・治療サービスを提供するだけであれば、付加価値電信サービスではなく、販売チャネルの拡大と捉えることができるかもしれません。医薬品電子商取引企業は付加価値電信業務経営許可証とインターネット医薬品情報サービス資格証明書を取得する必要があります。他方、医薬品販売許可証保有者または事業許可証を取得した事業会社は医薬品オンライン販売事業を行うことができます。

    Zhang Lu
    Zhang Lu
    パートナー
    Jingtian & Gongcheng (北京)
    電話番号: +86 10 5809 1150
    Email: zhang.lu@jingtian.com

    義務。 医薬品電子商取引プラットフォーム企業は上記の規定に従い、「プラットフォーム管理者」として、医薬品の品質安全管理機関の設立、医薬品の品質安全管理システムの構築・導入、薬剤師の配置、適用法規制に基づく現地の医薬品管轄当局への申請を行う必要があります。

    また、プラットフォーム上に掲載されている医薬品情報の表示、処方審査、医薬品販売、取引企業からの配送などの管理に対する検査を強化するとともに、取引企業に対して法的義務を厳格に履行するよう求めなければなりません。プラットフォーム管理者は、医薬品の無資格販売などの重大な違反行為を発見した場合、直ちにサービスの提供や医薬品関連情報の表示を停止しなければなりません。

    また、医薬品小売業者は、処方箋管理、規則体系の構築、情報報告、情報公開、配送品質・安全性保証、記録追跡、医薬品品質・安全性の維持・管理などに関する規制要件を遵守しなければなりません。

    オンライン診療は、再診に限り許可(初診不可)。上記の規定により、「オンライン診断優先の禁止」というルールが確立されました。細則ではさらに、確定診断が記載された医療記録を患者に提供し、その記録が後続の診断の条件を充足しているかどうかについて判断することが求められています。患者の状態がオンライン診断・診療に適さない場合、主治医は直ちに診断・診療を中止し、患者が適切に診断を受けられるよう、現実の医療機関の受診を勧める必要があります。

    医師と患者は実名登録制度に従う必要がある。医師は診断に先立ち、実名で認証を受ける必要があります。本人以外や人工知能などが医師の代わりに、あるいは医師になりすまして、診断や治療を行うことは禁じられています。患者は、医療機関に対して、真正な身分証明書や基本情報を提供する義務があり、他人になりすまして治療を受けてはなりません。

    オンライン診断と治療プロセスの追跡が可能。オンライン医療機関は診断と治療の全過程を追跡可能にし、省の規制プラットフォーム上で当該データにアクセスできるようにしなければなりません。オンライン医療機関の電子医療記録は、依拠する現実の医療機関がオンラインとオフラインを統合して品質管理を行えるよう、現実の医療機関のものと整合している(同一フォーマットで作成され、システム上で共有される)必要があります。

    Shi Qing
    Shi Qing
    アソシエイト
    Jingtian & Gongcheng (北京)
    Eメール: shi.qing@jingtian.com

    処方箋医薬品のオンライン販売に対する規制の強化。オンラインとオフラインを統合するという原則に従わなければなりません。

    • オンライン医療機関の処方箋は主治医が作成すべきであり、人工知能を利用しての処方箋の自動生成は厳しく禁止されています。処方箋のリフィル使用の防止のため、効果的な手段を講じる必要があります。
    • 医薬品情報の表示や販売管理のレベルでは、処方箋医薬品とそれ以外の医薬品の区別や、処方箋審査前に服薬指示を表示しないことなど、「医薬品の提供に先立つ処方」、「処方箋審査」の要件が重視されます。
    • 医薬品電子商取引プラットフォームと小売企業の責任の明確化。たとえば、薬剤師をプラットフォームに配置し、処方箋レビューや処方箋医薬品の実名購入を徹底する管理体制を整備しなければなりません。

    新たな機会

    先般、2022年12月15日に国家発展改革委員会は「第14次5カ年計画実現のための内需拡大戦略の実施計画」を発表し、診断・治療の予約、電子処方箋回付、オンライン医薬品販売などの発展途上のサービスの秩序ある推進とともに、「インターネットプラス医療」サービス展開の積極化を提案しました。

    これにより、適格オンライン医療サービスは、手続きに従って医療保険制度に加入することができます。これはカンフル剤となり、オンライン医療セクターの発展に向けて歴史的な機会をもたらしましたが、その効果を最大化するためには、さらなる支援策が必要です。なかでも、プラットフォームシステムのセキュリティや、医療・健康データを標準化する施策が求められます。

    たとえば、医療分野では、技術革新やイノベーションは、より長期的に慎重に進められるでしょう。クラウドコンピューティング、ビッグデータ、モノのインターネット(IoT)、人工知能、モバイルインターネットなどのデジタル技術と医療との結合が徐々に深まるにつれて、健康データの管理・活用と医療情報セキュリティは最重要課題となっています。

    オンライン診断・治療や医薬品電子商取引に関与する企業は、サイバーセキュリティ法、データセキュリティ法、個人情報保護法などの一般法に加え、業界に適用される特別要件の遵守にも留意するべきです。たとえば、オンライン診断・治療を行う医療機関は、社会秩序や公共の利益を著しく損ない、国家の安全が害される被害を防ぐために、ネットワークやデータのセキュリティシステムを確立し、個人情報やプライバシーの保護を徹底し、レベル3以上の最も厳格な情報セキュリティ保護を導入しなければなりません。

    同時に、患者の個人情報や医療データの漏洩などのセキュリティ事故が発生した場合には、速やかに管轄当l局に報告し、効果的な措置を講じる必要があります。

    また、医薬品電子商取引プラットフォームや小売企業は、取引プロセス全体にわたり、医薬品情報の真正性、正確性、完全性、トレーサビリティを確保するために効果的な対策をとらなければなりません。プラットフォームは、医薬品表示、取引記録、苦情などの情報を少なくとも5年間、また医薬品使用期限到来後1年以上保管することが義務付けられています。規制政策が厳格化するなか、病院の中から外へ、また、モジュール化から統合へと医療サービスが進化する過程において、事業に関与する企業には、より高度なサービス要件と新たな課題が課されています。

    Jingtian & Gongcheng

    34/F, Tower 3, China Central Place
    77 Jianguo Road, Chaoyang District
    Beijing 100025, China

    電話番号: +86 10 5809 1000
    Eメール: jingtianbj@jingtian.com

    www.jingtian.com

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