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この地域全体でM&A活動が拡大する中、規制の複雑化や市場動向の変化を背景に、戦略、実行、そして変化するゼネラル・カウンセルの役割が再定義されています。Asia Business Law Journal編集部がレポートします。

アジア太平洋全域において、M&Aが再び拡大しています。これは突然急増したわけではなく、基盤を固めた市場が着実な歩みを見せているのです。この上昇局面で特徴的なのは、単に活動が拡大していることだけでなく、どのように増えているかです。軸足は、より大型でクロスボーダーの、戦略的な方向転換と強く結び付いた取引へと移行しています。

買い手は対象案件を絞り込む一方で、より踏み込んだデューデリジェンスを行い、より高度なストラクチャリングを施し、規制対応に対してより鋭く注力しています。売り手もまた、特に承認、資金調達、条件の充足が取引の完了自体を左右し得るような、複雑で複数法域にまたがる案件では、確実性とスピードが表面上の価格と同じくらい重要になることが多いと学びつつあります。

分野別の優先順位も、例えばデジタル・インフラ、テクノロジーとAI活用ビジネス、エネルギー転換と再生可能エネルギー、ヘルスケア、高品質な産業・物流資産といった、投資家が景気変動の中でも投資判断を下し得るテーマに絞られてきています。

M&Aが勢いを増しているとはいえ、地政学的緊張、特に中東で続く紛争や米国の関税・通商政策の変動は、活動を一定程度抑制する可能性があります。シンガポールの法律事務所Donaldson & Burkinshawで新たにM&Aチームリードに就任したM&A・コーポレートのパートナー、Yi Wayn Ng氏によれば、こうした動きは規制当局の審査強化や、より綿密なデューデリジェンスのプロセスを引き起こす可能性も高いと言います。

「地政学的要因は2026年のM&Aの動向に間違いなく影響します……最近、中東で緊張が高まったことでエネルギー価格の不安定化を招き、海上輸送リスクを再燃させています。一方で、継続する米中の戦略的競争は、グローバル・サプライチェーンと投資フローの在り方を変え続けています」と同氏は言います。

「こうした圧力によって、外国投資審査の拡大や国家安全保障審査の強化など、主要経済圏全体の規制当局による審査が、より厳格化しています。これを受けて、企業は集中リスクを緩和するため、サプライチェーンの多角化をより一層重視しています」

もっとも、すべてが悲観的というわけではありません。Ng氏は慎重ながらも楽観的であり、このような「不確実性は、資本を抑え込むというより、資本の流れを変える傾向がある」と言います。同氏は、シンガポールが引き続きM&A活動を呼び込む存在として機能すると見ており、その理由に、同国の「規制の明確性、法的インフラ、制度的安定性」が持続的な競争優位性であることを挙げています。

Ng氏はまた、シンガポール以外におけるM&Aの力強い勢いを見通しています。「ベトナムとマレーシアは、対内投資において特に高い成長が見込まれる可能性が高いです」と同氏は予測します。ベトナムの製造業の強みとサプライチェーンの多角化における役割に、マレーシアで急成長するデータセンターと半導体のセクターが組み合わさり、両国はディールメイキングの新たなホットスポットとして位置づけられつつあります。

Ng氏は、こうした動向をアジア域外の投資家も見逃してはいない、と付け加えました。

「どちらの法域も、東南アジアでの事業規模の拡大を図る中国や欧州の投資家にとって、ますます魅力的になっています。とはいえ、シンガポールは引き続き上位の投資先の一つに位置すると見ています」と同氏は語ります。

上昇基調

アジア太平洋のM&A環境は、変革の時代に入りました。投資家が市場環境と構造改革を十分に活用する中、ディールメーカーは、より大型で、より戦略的な意図に基づく取引へシフトしていると報告しています。

最も明確なデータポイントは日本で見られます。東京の渥美坂井法律事務所のシニア・パートナーで政策研究所長を務める落合孝文氏は、Asia Business Law Journalに対し、日本のM&A市場は「2025年にあらゆる記録を打ち破った」と語りました。取引額はおよそ2300億〜3500億米ドル、取引件数は5000件近くに達したといいます。落合氏によれば、2025年上半期だけでも、日本は世界第3位のM&A市場に浮上しました。最大規模となる2件は、トヨタ不動産による豊田自動織機の333億米ドルでの非公開化取引と、NTTによるNTTデータの評価額164億米ドルの買収だったと、同氏は付け加えます。

この勢いは地域全体に広がっています。ソウルのLee & Koのマネージング・パートナーであるHo Joon Moon氏は、韓国では2025年に、2024年と比べて取引金額と件数の双方が増加したと言います。これは、金利の低下・安定に加え、大手財閥による事業再編の取り組みにより市場に供給される資産が増加したためである可能性が高いと同氏は語ります。

Moon氏によれば、企業は産業的・経済的観点から相当の投資余力を保持していると見られ、将来の成長源を見極めるために重点的に取り組んでいます。

中国では、プライベートM&A取引においては、取引件数の回復の方が金額よりも顕著であると、上海のFangda PartnersのパートナーNorman Zhong氏は言います。国内の買い手が主要な買収者となり、「エグジット案件が再び成立するようになっている」のです。

上海のCMSでマネージング・パートナーを務めるUlrike Glueck氏は、メガディールは戦略的プレイヤーが引き続き牽引しており、活動はテクノロジー、AI、先端製造、バイオ医薬、ヘルスケア、エネルギー転換でが特に活発であると語ります。

香港では、Kirkland & EllisのパートナーであるJoey Chau氏が、件数の増加よりも取引金額の拡大を目にしており、これは投資家が割安な香港上場資産を活用する中で、大規模な非公開化が進んだことに主に起因すると言います。Kirklandは、いずれも2025年に完了したESR Groupの71億米ドルの非公開化と、Hang Seng Bankの136億米ドルの非公開化の両案件で助言を行いました。

「コロナ禍でIPOやM&Aがブームを迎えた2021年・22年以来、この水準の資金調達や取引活動は見られませんでした」と、香港のMaples GroupのパートナーであるMatt Roberts氏は言います。

南アジアや東南アジアでも、取引活動の増加と案件の厳選化が混在しています。ムンバイのJSAのシニア・パートナーで経営委員会メンバーでもあるVikram Raghani氏は、インド市場では評価額が10億ドル超の案件が増え、規模と件数がいずれも上昇していると語ります。同氏によれば、M&Aでは金融サービス、とりわけ銀行、消費財、不動産、製造(医薬品を含む)、ヘルスケア、グローバル・ケイパビリティ・センター、データセンターに重点が置かれています。

ホーチミン市のIndochine Counselの創設者であるDang The Duc氏は、ベトナムの2025年のM&A市場は件数よりも金額主導であったと語ります。同国の2025年のM&A総額は約30%増加しましたが、不動産、製造、ヘルスケア、テクノロジー分野での、より少数で、より大型の取引に押し上げられました。

ベトナムにおける案件の厳選化とは対照的に、クアラルンプールのWong & PartnersのM&AパートナーであるMunir Abdul Aziz氏は、マレーシアの取引件数が前年比で約87%増加し、83億米ドルに達したと言います。同じくクアラルンプールのWong & PartnersのM&AパートナーであるAndre Gan氏は、マレーシアと、さらに広範なASEAN地域において、大型案件で特に目立った分野は通信とテクノロジー、インフラと産業、ヘルスケア・プラットフォームであったと語ります。

マニラのMosveldtt Lawのシニア・パートナーであるJerry Coloma III氏は、フィリピン市場では件数は少ないものの、より影響の大きい取引へとシフトしていると言います。エネルギー、インフラ、金融サービスにおける大型案件は、金利とペソ・ドルの為替変動により投資判断がより厳格になっていることを背景に、より長期のスケジュールで、さらに踏み込んだデューデリジェンスを経て進められています。

オーストラリアは安定を維持しており、同国のM&A市場は底堅さを保っています。メルボルンのAshurstでM&Aパートナーを務める小川夏子氏は、過去3年間、取引活動は「堅調な件数」を維持していると言います。総取引金額で最大の分野は鉱業・資源で、特に重要鉱物が中心となっています。不動産、金融サービス、テクノロジーがそれに続きます。

規制面での追い風

アジア全域で近年、M&A活動が上向いていることに伴い、新たな規制上の取り組みも進んでおり、この地域の弁護士たちは、各政府が案件遂行の円滑化および改善を目的とした措置を導入していると説明しています。

「(ベトナムでの)重要な進展の一つは2026年3月施行の新たな投資法で、これは投資手続の合理化、条件付経営投資分野の絞り込み、外国投資家に対する法的透明性の向上という流れを引き続き進めるものです」とDang氏は語ります。この改革によって市場参入プロセスが簡素化されるとともに、承認要件が明確化される見込みであり、同国で買収候補を検討している投資家にとって不確実性が軽減される可能性があります。

同様の見方は中国でも示されているとZhong氏は言います。「対内M&A/FDIについては、規則や実務慣行は全体として安定しており、一部の分野ではさらに緩和されています。例えば、2024年の外国戦略投資に関する規制は、外国の戦略投資家が中国上場企業に投資するプロセスの合理化に役立ち、ロックアップ期間および投資規模の基準要件を引き下げ、適格投資家の範囲を拡大しました」

日本については、渥美坂井法律事務所の落合氏が「2025年~26年にかけて、近代日本において、M&A関連の法律・規制面で最も集中的な変化の波が生じています」と指摘しています。

一例として、現在、省庁横断で進んでいる議論が挙げられます。これは、今年中に立法が見込まれる次期外国為替及び外国貿易法(以下、外為法)改正の方向性を示すものです。この議論では、指定業種および対内直接投資の範囲を絞ることで審査の効率化が提言される一方で、間接取得規制および非指定業種に対する事後介入制度の導入が提言されています。

「外為法対応は、クロスボーダーM&Aにおいて最も重要な規制上のリスクの一つです」と落合氏は語ります。「したがって、外為法の承認をクロージングの前提条件として組み込み、規制当局と積極的にコミュニケーションを維持することが不可欠です」

注視すべき課題

取引活動が増加しているとはいえ、企業内法務チームや法律事務所は、取引完了の課題となり得る、変化を続ける規制動向を注視しています。

この傾向は特にフィリピンで顕著で、フィリピン競争委員会による企業結合規制が、取引のタイミングとストラクチャリングに引き続き重要な影響を与えています。「現在は、規制戦略こそがディールの成功を左右します」とColoma III氏は語ります。

「2025年3月から、強制届出の基準が、当事者の規模で85億フィリピンペソ(1億4600万米ドル)、および取引規模で35億フィリピンペソに調整されました。そのため、早期に競争法の分析を行うことが案件遂行計画にとって不可欠となっています」

Legal SolutionsのディレクターであるRobson Lee氏によれば、競争の実質的制限をもたらすおそれのある合併は、シンガポールでも審査の対象となります。「シンガポールでは企業結合の届出は任意ですが、通信、公益事業、運輸などの分野で予定される取引については、シンガポール競争・消費者委員会の評価を求めることが重要です」とLee氏は述べています。

韓国では、ソウルのYoon & Yangのマネージング・パートナーであるHee Woong Yoon氏が、「最も大きな影響を及ぼし得る論点は、強制公開買付け(MTO)ルールの導入案です」と語ります。

Yoon氏によれば、従来は支配株主の持分のみを取得することで買収を完了することができました。しかしMTO制度の下では、買収者は少数株主持分も取得する必要があり、資金需要が数千億韓国ウォンから数兆ウォンへ拡大する可能性があります。

Lee & KoのMoon氏もこの見方に同意しています。「規制当局は現在、100%の強制公開買付けモデルと、過半数の強制公開買付けモデル(50%+1)を並行して検討しており、これは上場会社の買収取引の構造に大きな変化をもたらす可能性があります」

中核を担うGC

各法域において規制上の審査が強まる中、企業内弁護士は、戦略アドバイザー、リスクマネジャー、クロスボーダー案件のナビゲーターとして行動し、複雑な規制環境の中でディールを導きながら、事業目標の実現可能性を維持することが期待されています。

あらゆる法域において、規制面での検討事項はもはや後段のコンプライアンス問題ではなく、ディール設計を左右する中核的要因となっています。法務チームはより早い段階から取引に関与するようになっており、評価や戦略立案と並行して規制面の実現可能性を見極める責任を負っています。

Indochine CounselのDang氏は、規制上の実現可能性は後段のハードルとして扱うのではなく、初期段階で評価すべきだと語ります。適用される法令や承認、タイムラインを早期に把握することで、取引文書を現実的に構成することが可能になり、ディール進行中の案件遂行リスクの最小化に役立つとしています。

このような積極的に関与する姿勢は、期待が広く変化していることを反映しています。例えばマレーシアでは、企業内弁護士は法務レビューに限定されるのではなく、戦略的な意思決定に深く関与するケースが増えています。「グローバルな規制、地政学、コンプライアンス面での圧力がマレーシアの事業運営にますます影響する中で、企業内弁護士は案件の発端から完了に至るライフサイクル全体にわたって、より戦略的でリスクを重視したリーダーシップの役割を担うようになっています」とWong & PartnersのAziz氏は語ります。

クアラルンプールのShearn Delamore & CoのM&AパートナーであるNicholas Tan Choi Chuan氏は戦略立案の必要性にも同様の見解を示し、マレーシアには包括的な外国直接投資(FDI)制度はないものの、分野別の外国資本所有規制とライセンス要件については、多くの場合タームシート段階での早期の分析が求められると言います。これは特に、同国がより広範な企業結合の規制枠組みの導入を検討していることがあります。

クロスボーダーでの舵取り

規制の複雑性は長らくクロスボーダーM&Aを形作ってきましたが、専門家によれば、現在のゼネラル・カウンセルは、複数の法域にまたがって重なり合う規制枠組みを同時に調整しなければならないとされています。

Dorsey香港オフィスのシニア・パートナーで、コーポレート・グループ責任者のSimon Chan氏は、クロスボーダー取引はいまや、「全方位的な」分析を要すると語ります。これは、実質的所有者の構造、資産の所在、資金調達の仕組み、香港国連制裁条例(Hong Kong United Nations Sanctions Ordinance)のような制裁体制を取り巻く地政学的状況を含むものです。

中国では、Zhong氏は「M&Aを規律する基本ルールを変えるような、抜本的な立法上の見直しは行われていません」とする一方で、「実務運用上は顕著に変化しており、GCが慎重に対処しなければならない案件遂行上の課題が生じています」と付け加えています。

Zhong氏は、中国における対外投資はさらに厳格な承認実務に直面しており、届出前準備の強化が求められている一方で、対内の外国投資ルールは、外国戦略投資規制の改革を受けて特定の分野で緩和されており、慎重な舵取りを要する多面的な状況を生んでいると説明しています。

乱気流に備える

取引が実行段階に移るにつれて、現地の行政制度や規制実務の違いがますます重要になってきます。国際的な投資家にとって特筆すべき落とし穴の一つは、規制プロセスが市場間で一律に運用されていると想定してしまうことです。

ベトナムでは、Jipyong Vietnamの代表であるDong Ho Yoo氏が、より発展した法域に所在する本社側のカウンセルには、「成熟した市場または外国の規制面の前提を、そのままベトナムに持ち込んで当てはめてしまう傾向」があると語ります。その結果、非現実的なタイムラインや期待値のずれが生じます。法令が先進的に見える場合でも、実施状況は地域によって異なり得るほか、段階的に変化することもあり、早い段階でのステークホルダーとの関与や法域別の実行戦略が不可欠になります。

韓国でも、同様に早期の計画策定が求められます。Lee & KoのMoon氏は、競争当局や業界規制当局といった複数の機関にまたがる届出ルートを設計し、取引のタイムラインにバッファ期間を組み込むことについてゼネラル・カウンセルに助言しています。国家核心技術の事前評価、労務面の考慮、環境リスクの評価を行うことで、正式審査の開始後の遅延を防ぐことができます。

香港では、Kirkland & EllisのChau氏が、義務的な企業結合規制制度がない場合でも、テイクオーバー・コード、上場規則、証券先物条例、競争条例について詳細な理解が求められると指摘しています。

より広範な地政学的および政策上の変化も、ゼネラル・カウンセルがディール・リスクにいかに対処するかに影響を与えています。Simmons & Simmonsのシンガポール拠点のパートナーで、東南アジアのM&A責任者であるMichelle Phang氏は、米国の関税政策のような絶え間ない規制変更に対応することが、企業内法務チームにとって中核的な課題となっているとしています。

マレーシアのWong & PartnersのGan氏は、ESG(環境・社会・ガバナンス)コンプライアンス、データ・ガバナンス、地政学的エクスポージャーに関連するリスクは、日常的な商取引活動を通じて予期せず顕在化することが多いと警告しています。早い段階に特定しなければ、これらの問題は紛争や規制当局の審査に発展し、取引スケジュールに支障を及ぼすおそれがあります。

オーストラリアでは、Ashurstの小川氏が次のように述べています。「ACCC(オーストラリア競争・消費者委員会)の企業結合のクリアランス手続は、大きな市場シェアを持つ企業がM&Aによって成長することを、より困難にする可能性があり」、強制的な事業売却を通じて新規参入者に機会が生じる可能性もあります。

シドニーのA&O ShearmanのM&AパートナーであるDan Harris氏は、義務的な企業結合届出制度の導入を取り上げています。「2026年1月1日から義務的な企業結合届出制度へ移行する影響は、依然として顕在化しつつありますが、ゼネラル・カウンセルは『ヘル・オア・ハイ・ウォーター』条項のように、オーストラリアでは従来、一般的ではなかった取引条件が含まれる可能性があることに留意すべきです」。Ashurstのレポートによれば、ヘル・オア・ハイ・ウォーター条項は、特定の結果が達成されることを確保するために必要なあらゆる行為を買主に義務づける、最も強い形のコミットメントの提供を目的とするものです。

案件遂行リスクは、規制当局の承認にとどまらず、業務上および税務上のエクスポージャーにも及びます。DFDLのマネージング・パートナーであるJack Sheehan氏は、ベトナムでは、取引の経済性やクロージング後の義務に重大な影響を与え得る隠れた債務や監査リスクを明らかにするために、徹底した税務デューデリジェンスが不可欠であると指摘しています。Sheehan氏は、「株式取引の最近の動向は税務デューデリジェンスの必要性を示しており、当事者が特定された論点やリスクに依拠して補償交渉を行い、または表明保証保険のカバレッジを確保することを可能にします」と語ります。

慎重な楽観論

2026年に向けたアジアのM&Aの見通しでは、戦略的な厳選化の高まりにより抑制されつつも広範な成長が示唆されており、中国、ベトナム、韓国、日本、インド、マレーシア、フィリピン、香港で取引活動の増加が見込まれています。FangdaのZhong氏はその理ガティブリストの短縮、市場アクセスに関するコミットメントの公的な表明を通じて、引き続き開放性を示している」ことによるものだとしています。

JipyongのYoo氏もベトナムの見通しについて同様に楽観的で、同国を「東南アジアで最も競争力のある投資先の一つ」と位置付けています。

このような楽観論は、経済・規制面での複数の好材料が重なり合うことで支えられています。金融緩和とバリュエーションの改善が主要な追い風であり、特に韓国においては、Lee & KoのMoon氏は、M&Aは「金融緩和、より活況な株式市場、AIインフラへの投資の拡大に支えられつつ……増加し続ける」と予測しています。

香港では、Kirkland & EllisのChau氏によれば、「米国のCFIUS(対米外国投資委員会)に匹敵する正式な外国投資審査制度や、英国またはEUの国家安全保障スクリーニング制度がない」ことをが、外国投資の後押しになっています。同氏は、2025年5月に導入された会社本拠地移転制度(company re-domiciliation regime)が、「香港のビジネス志向の姿勢をさらに裏付けるもの」であり、「香港の税制と専門サービスを活用しようとする外国企業を呼び込んでいる」と語ります。

心強い兆候

政策改革と規制の安定性は、投資家の信頼をさらに強めています。JSAのRaghani氏は、インドの安定的で改革を重視する環境を指摘し、「ディールメイキングは規制変更によって後押しされており、保険分野におけるFDIルールの自由化がその一例である」と言います。

同様に、Wong & PartnersのAziz氏は、マレーシアで予定されている「分野横断的な企業結合規制制度」に言及し、これは「手続の予見可能性を高め、マレーシアを地域の競争法の規範に整合させることになる」と語ります。

分野別のトレンドも、地域全体のディールの優先順位を左右しています。AI、バイオテック、ヘルスケア、エネルギー転換が、将来の投資における主要な投資対象として浮上しています。Conyers香港オフィスのアジア責任者でマネージング・パートナーのChristopher Bickley氏は、中国では一部の分野が「米国や欧州よりも速いペースで発展しているようです。バイオテクノロジーやAI分野などがその一例で、これらは今後1年程度、M&Aにおいて魅力的な領域となり得ます」と言います。

顧客の行動にも一定のパターンが示されており、特にオフショア領域で顕著です。Maples GroupのRoberts氏は、顧客と投資家が市場のボラティリティを乗り越えて、「長年計画してきたエグジット戦略をついに実行し、資金調達とM&A取引を通じて投資を現金化しています」と語ります。

想定される落とし穴

しかし、改革と成長の推進力が勢いを増す一方で、地政学的な複雑さは引き続き長い影を落としています。CMSのGlueck氏は、クロスボーダー取引、特に中国が関与する取引は、「地政学的緊張、貿易制限、制裁」によって複雑さが一段と高まっており、その結果、一部では「様子見の構え」が取られていると警告しています。

オーストラリアのパースでA&O ShearmanのM&Aパートナーを務めるJackie Donald氏は、地政学的な変化は特に鉱業や金属などの注目度の高い分野において、「M&Aの重要な触媒」としても機能し得るとしています。

国内での審査の強化も、さらなる複雑さをもたらしています。ホーチミン市に拠点を置くYKVNのマネージング・パートナーであるTruong Nhat Quang氏は、監督体制が「範囲は安定するものの、精度は高まる」と予測しています。目的は「一律に参入を困難にする」ことではなく、むしろ「流入する資本が国家の優先事項およびコンプライアンス上の期待に沿うことを確保するための、より的を絞った監督」を実施することにあると指摘しています。

オフショアに持分や事業構造を有する企業も、監督の強化に適応する必要があります。「ケイマン諸島とBVI(英領ヴァージン諸島)という主要なオフショア法域は、AEOI(=情報の自動的交換)やBEPS(税源浸食と利益移転)などのグローバルな規制動向の影響を免れてはいません」とRoberts氏は語ります。

同時に、従来型とは異なるリスクもM&Aのプレイブックに組み込まれつつあります。Legal SolutionsのLee氏は、ニパウイルスのような脅威が、取引のタイムラインを混乱させ得る潜在的な「契約上の不可抗力」のトリガーになりかねない点を指摘しています。

総じて評価すると、M&A活動は引き続きダイナミックでありつつも規律ある動きが続く可能性が高いでしょう。政策の枠組みは概ね追い風で、流動性は堅調に見え、市場心理は前向きに転じています。とはいえ、規制の変化、地政学的な複雑さ、案件遂行リスクなど、多くの複雑な要素を乗り越える必要があるため、精度の高さが今後のディールの成否を方向付けることでしょう。

取引量の先に

活動の活発化に伴って、規制枠組みの強化、地政学的な機微、ますます戦略的になっているディールの厳選が見られ、取引の構想や実行の在り方を変えつつあります。

Mosveldtt Lawのシニア・パートナーであるColoma III氏はこうまとめています。「市場は、法律だけでなく、規制、資本市場、法執行の動向がどのように交差するかを理解しているアドバイザーを高く評価するのです」

その交差領域は、法的戦略、商業的判断、規制面の先見性が融合する、現代のディールメイキングの核心となる領域となりつつあります。次代のディールメイキングは、量よりも精度が鍵を握る可能性が高いでしょう。

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