タイ企業内弁護士協会(以下、THAI-CCA)の会長Sahachai Wibuloutai氏は退任を控え、設立に至る苦難の道のりを振り返るとともに、共同創設者であり2026年1月に会長職を引き継ぐ予定のVisitsak Arunsuratpakdee氏の下で始まる次章に向けて、期待を語りました。
Wibuloutai氏は、DKSH Thailandのカントリー・リーダーシップ・チームの一員であり、現在は東南アジア本土地域の法務部門責任者として、複数の法域にわたる法務業務を統括しています。
また同氏は、タイ初の全国規模の企業内弁護士協会、THAI-CCAの創設会長でもあり、過去3年間にわたり同協会を率いてきました。
Asia Business Law JournalはWibuloutai氏へのインタビューを行い、THAI-CCAをゼロから立ち上げた際に初期に直面した課題やこれまで築いてきた重要な成果、バトンを託すにあたっての同氏が抱く期待について、お話を伺いました。
Asia Business Law Journal(以下、ABLJ):THAI-CCAの歩みを振り返り、設立当初に直面した主要な課題にはどのようなものがあり、どのように克服してきたのか教えてください。
Sahachai Wibuloutai氏:タイの企業内弁護士のためのコミュニティをつくろうと思い立ったとき、そこには何もありませんでした。ロードマップも、組織の枠組みも、資金もなく、正直なところ法務コミュニティが興味を持ってくれるという確証もありませんでした。私はすべてをゼロから始めました。深夜、勤務を終えた後にノートパソコンに向かい、設立理念を起草し、イベント主催者やブランドデザイナー、講演者など、複数の役割を一人で担いました。
立ち上げ当初は精神的にも大きな負担がありました。多くの弁護士は懐疑的でした。中には「ただの思いつき」だと一蹴する人もいました。形のないものを信じてもらうことが最も困難でした。しかし、私は諦めませんでした。やらなければならないからではなく、私たちにとって必要だと信じていたからです。そして少しずつ、他の人たちも信じてくれるようになりました。
ABLJ:現在、THAI-CCAの会長職を後任に引き継ごうとされているわけですが、2026年から始まる新体制にどのような期待や希望をお持ちですか?
Wibuloutai氏:もはや私たちは単なるアイデアではなく、国際的な法務コミュニティからも認められる「組織」になったことを誇りに思っています。過去3年間、THAI-CCAは、かつては手が届かないと思われていた重要な成果を達成してきました。
2023年2月には、シンガポール企業内弁護士協会の共同会長であるRenita Castra氏とDaniel Choo氏の支援の下、アジア太平洋企業法務アライアンスの7番目の加盟国として迎えられ、タイとして初めて、(アジア太平洋)地域の議論の場に意見を届けられるようになりました。
また、Legal 500による「GC Powerlist」をタイに導入して、国内トップクラスの企業内弁護士の人材を顕彰する、タイ法務コミュニティの年次祝典へと発展させました。
さらに、数多くのセミナー、ネットワーキング・イベント、リーガル・カンファレンスを開催し、協働、研鑽、交流の場を創出してきました。つい最近も2025年4月にシンガポール企業内弁護士協会との間で重要な覚書を締結し、国境を越えたパートナーシップと知識共有への取り組みを強固なものとしました。
これらは単なる確認項目ではなく、転換点でした。これらの成果は、会員の皆さんに、単に私たちが大きな夢を見ているだけではないことを示しました。私たちは実際に、大きなことを成し遂げたのです。
当初から共に歩んできた共同創設者であり、True Corporationの法務部長であるVisitsak Arunsuratpakdee氏にバトンを託すにあたり、私は全幅の信頼を寄せています。新しいリーダーシップには引き続き、包括性、地域連携、プロフェッショナルとしての卓越性という精神を育んでほしいというのが私の願いです。このコミュニティが私に教えてくれたように、彼らも恐れることなく、かつ、寛大であり続けてほしいと願っています。
ABLJ:今後を見据えて、THAI-CCAの将来のビジョンと、新しいリーダーシップの下での同協会の発展をどのように思い描いていますか?
Wibuloutai氏:私たちが築いた基盤は揺るぎないものです。今はそれを広げ、影響力を拡大すべき時です。
私は、THAI-CCAが地域における真のソートリーダーへと成長し、アジアのみならずそれを超えて法的ガバナンスの形成に貢献していくことを思い描いています。(アジア太平洋)地域の規制当局、大学、業界リーダー、企業内弁護士協会とより深い関係を築きながら、単に法務問題を議論するだけでなく、企業倫理やリーガル・イノベーションの未来を共に形づくっていきたいと考えています。
さらに重要なことは、バンコクの多国籍企業にいても、プーケットの地元企業にいても、タイに拠点を置くすべての企業内弁護士が、THAI-CCAを自分の居場所だと感じら
れる場であり続けることです。私たちは家を築きました。今はもっとたくさんの扉を開く時です。
創設メンバーであるChitanong Poomipark氏(Dusit Groupの法務最高責任者)、Maprang Sombatthai氏(Line Thailandの法務部長)、John Cordova氏(Delivery HeroのAPAC担当ジェネラルカウンセル)、Ard Sakuntanakalap氏(Lentara Groupのジェネラルカウンセル)、Bhakaphol Suraponpichaisakul氏(Sea Thailandの法務カウンセル)とともに、私たちは引き続き理事会に残り新体制をサポートしていきますが、今は新たな声が台頭すべき時です。彼らがどこへ導いてくれるのか、とても楽しみにしています。
ABLJ:最後に読者へのメッセージがあればお願いします。
Wibuloutai氏:私はよく、THAI-CCAは特権や権力から生まれたのではなく、使命から生まれたと言っています。誰が協力してくれるか確信を持てず、この組織を一人で運営していた最も苦しい時期に、私を支えてくれたのはその目的--企業の法務部門に価値をもたらし、企業内弁護士の人生を豊かにすること--でした。
創設メンバーの皆さんに、協賛していただいた法律事務所の皆さんに、そして時間を割いていただき、励ましやひと言でも支援をくださったすべての方々に感謝します。これは私ひとりの物語ではありません。私たち全員の物語なのです。
そして、タイ全土の次世代の法務リーダーのみなさん、皆さんはゼロから始めるのではありません。皆さんは、愛と信頼、そしてお互いを信じ合う秘められた力の上に築かれたコミュニティからスタートするのです。






















