電気自動車、ついにフィリピンで本格始動

By Jose M Layug Jr / DivinaLaw
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フィリピンのショッピングモールや商業ビルに設置された電気自動車充電ステーション(EVCS)が閑散としている光景は、もはや過去のものとなりました。かつて、この一見変哲もない小さな公共設備には誰も注目しませんでしたが、今やEV所有者たちは早朝から無料充電ステーションに列を成しています。フィリピンのEV産業がようやく待望の記録的成長を遂げた証です。

2019年のEV販売台数はわずか214台、2020年に378台、2021年に843台でしたが、2022年には3091台、2023年には1万602台、2024年には1万8690台へと急増しました。これは、2024年のフィリピン議会の調査で、メトロ・マニラが世界の都市圏で最悪の交通渋滞を抱えていると指摘されたことを踏まえれば、当然ともいえます。 55カ国・地域の387都市の中で、この渋滞の激しい首都・メトロ・マニラは、10kmの移動に要する時間が平均25分超と最長を記録しました。

課題への対応

フィリピンの現行の交通モデルは、化石燃料を燃焼させるエンジンに大きく依存しています。輸送分野は大気汚染とエネルギー起因の温室効果ガス排出の最大の発生源で、全体の34%に及び、そのうち道路輸送が80%を占めています。大気汚染物質の約74%は自動車、オートバイ、トラック、バスから排出されています。

Jose M Layug Jr, DivinaLaw
Jose M Layug Jr
シニアパートナー
DivinaLaw

汚染問題に加え、石油製品の価格変動と輸入燃料への高い依存度は、エネルギー安全保障と自立性に対する課題となっています。

これらの課題を解消し、輸送分野の持続可能性を推進するため、共和国法第11697号(電気自動車産業育成法:VIDA)が2022年に成立し、その後、電気自動車や部品・コンポーネントの輸入関税率を変更する大統領令が発出されました。2024年にはさらに、EVやその部品の関税を5年間免除するよう、その大統領令が拡大されています。

包括的な電気自動車産業ロードマップ(CREVI)は、それ以来、政府のハイレベルな行動計画の目標と戦略を定め、EV産業の育成を図っています。

CREVIは、以下の4つの柱で構成されています。(1)EVとEVCS、(2)製造、(3)人材育成、(4)研究開発。

エネルギー省(DOE)は、強固な充電インフラを整備することでEV普及を促進する、EVCS政策ガイドラインを発出しました。CREVIは、充電ステーションや自動車用電子機器、バッテリー製造、鉱物処理といった戦略的部品・コンポーネントを含むEVの組み立て分野への投資を呼び込んでいます。

今後の展望

CREVIは2040年までの目標を短期・中期・長期の3段階で設定しています。現状維持を前提に、2040年までに少なくとも250万台のEVと2万400基のEVCSを整備することが政府の目標です。

2025年4月時点で、政府は687台のバッテリー式電気自動車、55台のプラグイン・ハイブリッド電気自動車、88台のハイブリッド電気自動車、80台の軽電気自動車を認定・登録しています。

サプライヤーの中では、中国のBYDブランドがバッテリーEV部門で69%、新エネルギー車市場全体で82%という驚異的なシェアを獲得しています。比較的低価格であることから、BYDが市場をリードしているのです。

公共交通車両近代化プログラムやDOEの電動三輪車プロジェクトなど、政府のEV促進施策はこれまで、電動ジープニーと電動トライシクルの稼働台数の増加という点で成功を収めています。

政府機関とマニラ電力会社、各都市の自治体が連携した「e-Sakay」ルートや、イロイロ市での電動ジープニー試験運行も、前向きな動きです。

DHL Express PhilippinesやMoberなどの民間企業も、EVへの入れ替えを進めています。DHL Expressは13台のe-UVと5台のe-MCを導入、1回の充電でそれぞれ、最大250kmと140kmの走行が可能です。一方、イケアのフィリピン国内での配送パートナーであるMoberは電動バン10台と電動トラック2台を導入し、他社にグリーン目標の設定を促しています。

まとめ

EV産業が拡大を続ける中、政府は全国でさらなる充電ステーション整備などのインフラの強化と、国内でのEV製造・組み立て能力の拡充を進め、普及を加速させる必要があります。

勢いを維持するには、財政的インセンティブやその他の支援策の強化も欠かせません。

こうした取り組みは、雇用創出、輸出収入の増加、持続可能でクリーンな交通への移行に寄与し、フィリピンをモビリティ分野のグリーンテクノロジーの拠点に成長させる可能性を秘めています。

JOSE M LAYUG JR氏はDivinaLaw(メトロ・マニラ)のシニア・パートナーです。

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