LinkedIn
Facebook
Twitter
Whatsapp
Telegram
Copy link

ロシアが国際的に制限を課されて以来、現地化は、関心を寄せる外国の自動車メーカーにとって、より注目に値するものとなっています。

2022年以降、米国、EU、英国、日本、その他の複数の法域が、ロシアでの幅広い投資活動にさまざまな制限を課したため、欧米メーカーの多くがロシア市場から撤退し、事業を現地企業に売却するか、「休眠」状態に置くことになりました。これにより、従来は外国メーカーが重要な役割を果たしてきた自動車産業など、ロシア経済のほとんどの業界が影響を受けています。

これを受けて、一部の中国の自動車メーカーはこの機会を捉えて、ロシアへの輸出を大幅に増加させ、(撤退した生産拠点の空白を徐々に埋める形で)ロシア企業との提携関係を築いています。しかし、現地生産、特に研究開発(R&D)に投資する準備ができているのは、ごく一部に限られています。現地化の取り組みは、よくてもSKD(セミノックダウン)生産に限定されています。

当然のことながら、この状況は、国内製造業の活性化に積極的に取り組んでいるロシア政府にとって、懸念材料となっています。最近とられた対策の一つに、すべての車両メーカーと車両輸入業者が支払う「利用料」と呼ばれる料金の大幅な引き上げが挙げられます。しかしこの料金は、地元メーカーに対して政府が全額補償するため、地元メーカーは輸入業者よりも優位に立つことができるのです。

このような状況下で、アジアの自動車メーカーは現地化に新たな可能性を見いだし、あるいは、ロシアの自動車産業において自らの新たな市場機会を開拓できるかもしれません。

現地化

ロシアの現地化政策で、最も成功した例の一つは、自動車産業における国内生産の促進です。2000年代初頭から、ロシアは輸入業者が生産の一部をロシアに移管することを条件に、自動車製品の輸入に対する関税を引き下げてきました。

Georgy-Daneliya_Seamless-Legal
Georgy Daneliya
カウンセル/アジア・デスク責任者
Seamless Legal
Email: georgy.daneliya@seamless.legal

しかし、2012年のロシアのWTO加盟後、すべての輸入業者に対する関税の障壁が徐々に撤廃されることが予測されたため、この優遇制度は当初のインパクトを失いました。

現在の輸入代替策は、2015年に施行された産業政策法に基づいています。この法律は、それまでの公共調達(すなわち、国家または国有企業による調達)の原則に取って代わるものです。かつては外国製品と国内製品が同等の条件で競争していましたが、現在は国内製品が優位に立っています。

例えば、国家や地方自治体は、外国製の自動車製品や車両(自動車、バス、トラックなど)を購入することが禁止されています。さらに、国有企業は調達に際して、ロシアまたはユーラシア経済連合(EEU)原産の製品に対する最低限の必須割当量を満たさなければなりません。車両の場合、この割当量は車種に応じて60~90%の範囲になっています。

ロシア経済において、公共部門が大きなシェアを占めていることを考えると、これらの変更は、ロシア市場に焦点を当てている企業に対して、大きな課題を提示しています。公共調達の入札に自由に参加し、一般入札での不公平な扱いを避けるためには、企業は製品を「国内製品」として分類する必要があります。

製品がロシア製として見なされるかどうかは、一般的にEEUの関税法や規制によって決定されます。完全にロシアで製造されているか、またはロシアで十分に加工されている場合、その製品はロシア原産であるという証明書が発行されます。この“十分に”の基準は、個別の製品ごとにケースバイケースで決定されます。

自動車製造では、製品の原産地を確認するための一般的な要件を「回避」する一つの方法として、特別投資契約(SPIC)の締結があります。

SPIC

SPICの概念は、2015年産業政策法によって導入されました。この契約に基づいて、産業投資プロジェクトの実施を約束した投資家に対して、ロシア政府は長期にわたる利益と優遇措置を保証します。

SPICが、官民パートナーシップを確立させる他の契約と異なる主な点は、国家がプロジェクトに予算資金や国有財産を拠出しないことです。その代わりに、これらの優遇措置にかかるコストは、新しいインフラ、テクノロジー、イノベーション、新規事業から生み出される雇用や税収など、国家が想定するプラスの経済効果で相殺されることが見込まれています。

SPICに基づいた投資家に対する主な税制優遇措置は以下の通りです。

(1)連邦政府に帰属する法人所得税の税率が0%となり、地方政府に帰属する税率も最大0%まで引き下げられる可能性がある(これにより、全体の税率は20%から0%に引き下げられる)
(2)資産税、土地税、輸送税の免除
(3)加速償却

SPICの投資家は、国家からの補助金(例:R&D費、産業インフラ開発、利用料の払い戻しなど)や、指定された国家基金からの長期融資の対象となる場合もあります。ただし、SPICに基づいた国家からの財政支援の総額が、総投資額の50%を超えることはできません。

地方または地域レベルでは、投資家は土地賃貸料の減額や公共サービスへの優先的なアクセスなど、追加の優遇措置の対象になることがあります。

SPICに基づくもう一つの重要な優遇措置は、投資家が現地化レベルの確認手続きを簡略化できる権利であり、これにより、製品に「ロシア製」のステータスを取得することができます。前述のように、このステータスによって、公共入札へのアクセスが容易になります。特定のSPICでは、投資家が「ロシア製」のステータスを取得するために必要な現地化レベルを、規定することができます。

さらに、SPICは「移行期間」(例えば、生産開始から3年間)を設けることができ、この期間中は、必要な現地化レベルを達成しているかどうかにかかわらず、投資家の製品は「ロシア製」と見なされます。

またロシアの法律では、SPICに安定条項(いわゆる「祖父条項」)を含めることが許可されています。この条項では、一般的に、投資家が初期投資を回収するまで、特定の連邦税率(VAT、物品税、社会保障拠出金を除く)の引き上げや、新たな禁止事項または制限の適用を禁止しています。

このように、SPICの主な利点は、投資家に対して必要な優遇措置を包括的なパッケージとして提供できることです。ただし、SPICの下では関税の優遇措置は認められないことに注意する必要があります。

建設とインフラ

現地化要件の他に、投資家は、投資プロジェクトの実施に関連した建設とインフラの詳細を検討することが極めて重要です。これらの要素は、コストやスケジュールに大きな影響を与える可能性があるからです。

Dmitry Bogdanov
Dmitry Bogdanov
カウンセル
Seamless Legal
Email: dmitry.bogdanov@seamless.legal

自動車産業では通常、グリーンフィールド、ブラウンフィールド、リース、そしていわゆる「契約スキーム」などの、一般的なオプションを利用できます。「契約スキーム」では、投資家が輸入した部品を使用して現地生産を行うロシア企業と投資家が提携し、製造契約に基づいて投資家の管理下で生産を行います。

しかし、現在の状況では、一部の生産拠点が十分に活用されていないため、ブラウンフィールド、リース、契約スキームの方が、グリーンフィールド・プロジェクトを開発するよりも効率的である可能性があります。

投資家にとって最初の課題は、プロジェクトを実施する地域を決定することです。ロシアのいくつかの地域、例えばカリーニングラード、カルーガ、サンクトペテルブルク、サマラ、タタールスタン共和国、極東地域では、自動車産業が確立されています。これらの地域にはそれぞれ、十分なインフラと有能な労働力へのアクセスを備えた専用の工業用地(工業団地や産業クラスター)があります。

暫定的に地域を選定したら、既存の能力、利用可能な国家支援措置、より広範な投資機会についての理解を深めるために、関連する地方当局、または必要に応じて連邦当局と連携することが推奨されます。

その後のステップとして、投資家は投資契約(例えばSPIC)を締結し、プロジェクトの実施前、実施中、実施後の投資家と公的機関の相互義務を明確に定めることができます。

結論

企業にとって、ロシアで生産を現地化するという決定は、必然的に、その国での生産リスクを管理する覚悟が伴います。これには、不慣れで変化の激しい市場環境で、現地生産拠点を設立・運営することが含まれます。その見返りとして、ロシアで現地化すれば、現地市場に直接アクセスできるようになります。販売市場に近いところで生産すれば、企業は物流コストの削減と、現地での存在感の強化、双方を達成することができます。

現地化は、ロシアに現地拠点を持たない他の外国競合他社に対して、競争優位性を獲得する鍵であることは間違いありません。生産の現地化によって、企業は市場への長期的なアクセスを確保できます。将来的には、EEU(アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス)内の近隣販売市場への進出を検討することもできるでしょう。

Seamless LegalSEAMLESS LEGAL
10 Presnenskaya Naberezhnaya, Block C
123112 Moscow, Russia
Tel: +7 495 786 40 00
Email: info@seamless.legal
seamless.legal
LinkedIn
Facebook
Twitter
Whatsapp
Telegram
Copy link