越境取引によって生じるサービス収入が、どの段階でフィリピンでの源泉となるのか(つまり課税対象となるのか)という解釈は、近年、フィリピンで大きな議論の的となっています。
この論争は、越境取引に対し、内国歳入庁(BIR)が、2022年に出された Aces Philippines Cellular Satellite Corp v Commissioner of Internal Revenue(Aces事件)の最高裁判決を適用したことを受けて生じました。

CPA弁護士・マネージング・パートナー
Mata-Perez, Tamayo & Francisco (MTF Counsel)
課税とは、主権に内在する権限であり、その権限は当該課税の対象(人、財産、所得、または事業)と、その権限を行使する国家との間に関連性がある場合にのみ行使することができます。
フィリピンの場合、内国歳入法(税法)のもと、居住者たる市民、および内国法人は全世界所得に対して課税される一方で、外国法人は、居住者であるか否かを問わず、フィリピン源泉所得に対してのみ課税されます。
フィリピン源泉所得については、内国歳入法に明確に定められたルールがあり、労働、または役務の対価は、その役務がフィリピン国内で実施された場合にのみフィリピン源泉とみなされます。
非居住者の所得がフィリピンでの源泉と判断されると(所得税条約に基づく免税がない限り)、通常の所得税率25%、および付加価値税12%の対象となり、いずれもフィリピンの支払者が源泉徴収することが求められます。
Aces事件において、最高裁は国内の通信事業者が外国の衛星会社に支払ったエアタイム料金が、フィリピン源泉所得であると判示されました。
最高裁は、所得を生じさせる活動とは、衛星によってフィリピン国内に所在するゲートウェイ施設にルーティングされた通話が受信される時点で行われたと判断され、エアタイム料金は、当該施設で通話が受信され、フィリピンの加入者により利用された場合にのみ発生することを指摘しました。
最高裁は、外国の衛星所有者は、現地企業が所有する施設について、「フィリピンでの業務運営が当該現地施設に依存している」限り、十分な経済的、または受益的利益を有するとしました。
同判決は、外宇宙にある衛星の「サービス」は国内源泉ではないとする他国の考え方や、経済協力開発機構(OECD)のアプローチとは異なるものです。
しかし、いずれにせよ、この判決は内国歳入庁(BIR)を説得し、歳入通達(RMC)第5-2024号を発行させて、様々な越境取引に「Aces事件」の判例法理を適用させることとなりました。
BIRは、フィリピン国内で生じる取引の特定の段階が、取引全体にとって不可欠であり、それらがなければ当該事業活動が達成できなかったかどうかを判断することが、不可欠であると明示しました。
もっとも、この見解は常に、あらゆる取引におけるフィリピン側の関与を有利に解釈できるように歪められる可能性があります。これは非常に論争の的であり、役務の提供を行った非居住者に対する支払いに対して、そして現地企業に対して最終源泉徴収税の追徴課税が増加している一因となっています。
その後、一部改正したRMC No.5-2025では、非居住者への支払いがフィリピン源泉であると結論づける根拠として、「受けた便益」にも言及しています。しかし、サービス取引においてはフィリピンの事業体と外国のサービス提供企業の双方が必然的に相互に利益を得るため、この基準は所得の源泉を決定する上で信頼性に欠けるばかりか、法的根拠すら持たないものとなります。
その後の通達である程度明確になったものの、RMC No.5-2025については、いまだ結論が出ず、最近では、複数の銀行機関による提訴に基づいて、税務控訴裁判所によって差止めが命じられました。
税務顧問にとっては、各取引の分析は法令に基づき、各事案の特性を踏まえて行われるべきです。所在地(法的所在地)、および国境を越える取引に影響するルールの解釈変更がおこなわれているようでも、法はなお優越性を保ち、越境サービスの所在地を判断する際の指針であるべきです。
裁判所もBIRも法を変更することはできません。答えを出し、立証しなければならない問題は、依然として「サービスがどこで提供されたか」という点にあります。なぜなら、フィリピン税法において法的所在地を決定するのは、そのサービスの提供場所になるからです。
サービスがフィリピン国外で提供され、かつ提供者が非居住者である場合、当該サービスに対して支払われた報酬については、フィリピンでの納税義務は生じません。
Euney Marie Mata Perez氏は、CPA弁護士であり、Mata-Perez, Tamayo & Francisco(MTF Counsel)のマネージング・パートナーである。
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