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クロスボーダー取引がアジア全域で加速するのに伴い、新たな機会に加え、規制上のハードルも顕在化しています。

日本

台湾

クロスボーダー取引法に関するレポート:日本

日本は長年にわたって、クロスボーダー取引のアジアで最も重要な市場の一つであり、多額の外国投資を呼び込み、対外貿易・投資の拠点としての役割を果たしてきました。円安を背景に、インバウンドM&Aの活動は引き続き堅調で、輸出量も増加を続けています。

クロスボーダー取引の増加に伴い、外国投資家は日本の規制の枠組みを慎重に検討する必要があります。本稿では、主要な法的留意点の概説し、特に外国為替及び外国貿易法(以下、外為法)と独占禁止法に焦点を当てます。

対内直接投資

Katsuya Hongyo
本行克哉
パートナー
中央総合法律事務所
東京
Tel: +81 6 6676 8834
Email: hongyo_k@clo.gr.jp

外為法においては、日本企業に対して対内直接投資を行う「外国投資家」は、一般に事後報告の対象となります。こうした投資には、非上場会社の株式取得、上場会社の株式または議決権の1%以上の取得、ならびに日本企業からの事業資産の取得などが含まれます。

国家安全保障上の懸念がある場合、特定の限定的な例外を除いて、事前届出が必要となります。これが必要となる場合は、法定の待機期間中に取引を完了させることはできないため、取引のタイムラインにおいてはこれを考慮する必要があります。

  1. 事前届出:
    1. 指定業種:重要な点は、対象企業が「指定業種」に属する事業を行っているかどうかです。これらの業種は省令で定められており、半導体およびその関連装置など、国家安全保障およびサプライチェーンの強靭性に関連する事業などが含まれます。
      1. 1. 対象企業が指定業種に該当するかどうかは、定款上の事業目的ではなく、実際の事業活動によって判断されます。
      2. 2. 対象企業自体が指定業種を行っていない場合でも、その子会社が指定業種に属する事業を行っている場合には、外国投資家は事前届出を行うことが求められる場合があります。
    2. 罰則:必要な事前届出を怠った場合、または虚偽の情報を提出した場合は、取得した株式の売却命令などの是正措置が科されることがあります。
    3. 待機期間および手続:財務大臣および指定業種を所管する大臣が事前届出を受理すると、原則として30日間の待機期間が適用されます。追加審査が必要と判断される場合、この期間は短縮または延長(合計で最長5カ月まで)されることがあります。実務においては、この期間はしばしば短縮されます。
      1. 1. 事前届出が必要な場合、取引完了後45日以内に、財務大臣および指定業種を所管する大臣に対して、事後報告も提出する必要があります。
    4. 事前届出免除:一般に、外為法は、(i) 外国投資家が適格であり、かつ (ii) 対象企業の事業がコア業種に該当しない場合には、特定の外国投資家は事前届出なしで投資を行うことを認めています(ただし、後述する免除条件により免除が適用される場合があります)。
      1. 1. 不適格な外国投資家:外国の法令等に基づいて、日本の国家安全保障上重要とされる情報の開示によって外国政府に協力する義務を負う外国投資家は、対内直接投資を行う際の免除制度を利用することはできなくなりました。
      2. 2. コア業種への投資:武器製造およびサイバーセキュリティに関して特に機微性が高い「コア業種」への投資については、一般に事前届出が必要であり、免除は限定的です。
      3. 3. 免除基準:投資がその他の要件を満たしている場合でも、外国投資家は事前届出の免除を受けるために、特定の基準を満たす必要があります。
      4. 4. 免除には2種類あります。(i) 上場会社に対する外国金融機関による投資に関する包括免除、および (ii) より幅広い投資家が利用可能な一般免除です。
      5. 5. コア業種以外の一般免除については、一般の基準を満たしていれば通常、利用することができます。満たさない場合には、上場会社の株式または議決権の1%以上の取得、ならびに非上場会社の株式取得などについては事前届出が必要となります。
      6. 6.コア業種については、一般免除はより限定的で、上場会社の株式を1%以上10%未満取得する場合にのみ利用することができ、かつ一般の基準および上乗せ基準の双方が満たされる場合に限られます。
      7. 7.一般の基準には、株主総会において指定業種の事業の譲渡または廃止を提案しないこと、ならびに当該事業に関する非公開の技術情報へアクセスしないことなどが含まれます。上乗せ基準には、コア業種に関する取締役会へ参加しないことが含まれます。
  2. 事後報告:事前届出が不要な場合でも、法定の除外規定が適用されない限り、事後報告が必要となる場合があります。報告は、取引後45日以内に提出する必要があります。
  3. 事前届出および事後報告双方の免除:法定の基準未満の取得、または特定の状況下での合併など、一定の取引は、事前届出および事後報告の双方が免除される場合があります。
  4. M&Aにおける実務上の影響:外為法の分析は、クロスボーダーM&Aにおける重要なデューデリジェンス項目です。事前届出が必要な場合、財務大臣および指定業種を所管する大臣が届出を受理してから30日間は、取引を完了させることはできません。したがって、取引のタイムラインはこの法定の待機期間を考慮して構築される必要があり、事前届出が必要かどうかの判断は重大な論点となります。

そのため、投資家が外国投資家に該当するかどうか、また対象事業が指定業種に該当するかどうかを評価するために、慎重なデューデリジェンスが不可欠です。加えて、当事者は通常、株式譲渡契約や投資契約において、必要な外為法の手続の完了を条件とするクロージング条件を盛り込みます。

企業結合規制

Miki Fukada
深田美紀
アソシエイト
中央総合法律事務所
大阪
Tel: +81 6 6676 8834
Email: fukada_m@clo.gr.jp

日本の独占禁止法は、外国企業が関与する場合でも、日本市場における競争を実質的に制限するおそれのある企業結合に適用されます。

国内売上高に基づく法定基準を満たす株式取得、合併、その他の企業結合については、事前届出が必要になります。

具体的には、取得者グループの国内売上高の合計額が200億円(1億2670万米ドル)を超え、かつ対象会社グループの国内売上高の合計額が50億円を超える場合、一般に届出が必要です。原則として、取得者グループは、公正取引委員会が届出を受理してから30日間は、当該取引を完了させることはできません。

届出義務が生じない場合でも、公正取引委員会は、外国企業と日本企業間の企業結合だけでなく、外国企業間の取引についても、その取引が日本市場における競争を実質的に制限するおそれのある場合には、審査を行うことがあります。懸念がある場合、公正取引委員会は、その懸念を解消するための是正措置を条件に、取引を承認することがあります。

アウトバウンド:輸出管理

外為法の下では、貨物の輸出および技術の提供について、経済産業大臣による事前許可が必要となる場合があります。

日本の輸出管理制度は、主に以下の要素で構成されています。

    1. リスト規制:輸出貿易管理令および外国為替令に掲載されている貨物および技術を対象とする
    2. キャッチオール規制:リストに掲載されていない品目であっても、大量破壊兵器または通常兵器の開発に使用されるおそれのある場合には、許可が必要となることがある

さらに、国際条約および制裁制度の遵守を確保するため、特定の輸出については承認が必要となります。

決済の実行および受領:日本の居住者と非居住者間のクロスボーダー決済は、外為法の下で報告義務の対象となる場合があります。

実務上、決済が金融機関を通じて行われる場合、報告は通常、当該金融機関によって処理され、企業はコンプライアンスを確保するために取引銀行と連携をとります。

対外直接投資

対外直接投資とは、日本の居住者(日本に主たる事務所を置く法人を含む)による資本取引であって、外国企業の株式の10%以上の取得など、外国の事業体に対して永続的な持分を確立または維持することを目的としたものをいいます。

原則として、対外直接投資は事後報告の対象となります。ただし、特定の重要分野(漁業、皮革、武器、麻薬関連事業など)では、事前届出が必要となる場合があります。

事前届出の対象となる対外直接投資の原則的な待機期間は20日です(対内直接投資の場合は30日)。

特定の基準額未満の取得など、一定の小規模取引は報告が免除される場合があります。例えば、日本企業がすでに持分の10%以上を保有している外国会社の株式を取得する場合でも、取引価額が10億円未満であれば免除されることがあります。

結論

クロスボーダーM&Aおよび国際取引が拡大し続ける中、外為法および独占禁止法の遵守は、日本に関連する投資家にとって引き続き重要な検討事項です。

2020年の重要な改正以降、規制枠組みは地政学的な動向の変化に伴って進化を続けており、今後もさらなる規制の発展が見込まれます。

本稿では、クロスボーダー取引に関する主要な規制枠組みの一般的な概略を示しました。

実務においては、データ保護法、税法、労働法を含む他の法的検討事項も関連する可能性があります。したがって、日本が関与するクロスボーダー取引を円滑に遂行するためには、早期の法的評価と慎重なデューデリジェンスが不可欠です。

Chuo Sogo LPCOsaka Dojimahama
CHUO SOGO LPC
Osaka Dojimahama Tower 15th Floor
1-1-27 Dojimahama, Kita-ku
Osaka, 530-0004 JAPAN
Tel: +81 6 6676 8834
Fax: +81 6 6676 8839
www.clo.jp


台湾におけるクロスボーダー取引の規制環境

台湾は、その戦略的立地、堅調な経済、先端技術産業を背景として、クロスボーダー投資のダイナミックな拠点として台頭しています。最新の政策変更を反映し、台湾は投資に関する包括的な規制枠組みを導入し、産業の成長促進と、規制遵守基準の確保とのバランスを図っています。

Gary Chen
Gary Chen
パートナー
Lee and Li
台北
Tel: +886 2 2763 8000 ext. 2155
Email: garychen@leeandli.com

以下の主要なテーマが、台湾への投資を伴うクロスボーダー取引を検討する際の中心的な事項です。

外国投資に対する規制:台湾の外国投資の枠組みは、外国〔PRC(中国本土)以外〕からの投資とPRCからの投資とを区別しており、各区分には異なる規制上の承認要件、持分保有比率の上限、審査手続が適用されます。

外国(PRC以外)投資:台湾企業の株式を取得または投資しようとする外国投資家(上場取引証券へのポートフォリオ投資は除く)は、外国人投資条例に従い、投資審議司(DIR)から事前承認を得る必要があります。

大多数の業種は原則として外国投資に開放されています。規制当局は、外国投資が禁止または制限される産業を定めた「ネガティブリスト」を運用しています。 「禁止産業」への投資はいかなる場合も認められません。これに対し「制限産業」については、所管当局からの特別な許可またはライセンスが必要とされるほか、追加条件の順守も求められます。

PRC投資:現行の規制において「PRC投資家」とは、中国本土に由来する個人、法人、組織その他の機関(以下、「大陸地区人民」)であり、台湾に投資するものを指します。

さらに、PRC投資家には、(中国本土以外の)第三地域に所在する会社であり、大陸地区人民が以下のいずれかに該当するものが含まれます。

    1. 総株式数または出資額の30%超を直接または間接に保有している場合
    2. 当該会社を実質的に支配している場合

PRC投資家による投資はDIRの事前承認を要し、随時更新される台湾のPRC投資に関する「ポジティブリスト」に定められた事業範囲の制限と制約を遵守しなければなりません。

審査および承認:特定の産業および会社は、より厳格な審査の対象となります。そのようなケースでは、DIRは最終決定を下すのに先立って、投資申請を関係省庁に照会して審査を求めます。この省庁間協議の手続きは、金融、銀行、保険、証券、コンサルティング、電気通信、メディア・放送、農業、輸送、エネルギーに関係する産業および会社について求められることがあります。

企業結合届出:台湾公平交易法(TFTA)上の「結合」に該当し、一定の所定基準を満たすクロスボーダー取引は、台湾公平交易委員会(TFTC)に対する事前届出(企業結合届出)の提出が義務付けられています。

TFTAの下での「結合」には以下が含まれます。

    1. 合併
    2. 他の事業者に対する議決権付株式または持分の少なくとも3分の1の取得または保有
    3. 事業者の事業または資産の全部または重要な一部の譲渡または賃貸借
    4. 委任契約に基づき、他の事業者とともに、他の事業者の業務を継続的かつ定常的に共同で運営または管理する取り決め
    5. 他の事業者の経営または人事に対して、直接的または間接的に支配を行使すること

「支配」の有無は、明確な法的定義がないため、事案ごとに評価しなければなりません。

以下の条件のいずれかに該当する場合、届出が必要です。

    1. 結合の結果として、参加事業者のいずれかが、関連市場におけるシェアの少なくとも3分の1を取得することになる場合
    2. 結合前に、参加事業者のいずれかが、市場シェアの少なくとも4分の1を保有している場合
    3. 参加事業者の前会計年度の合算売上高が、TFTCが定める基準額を超える場合

上場会社の買収

Yuanyuan Lo
Yuanyuan Lo
アソシエイト・パートナー
Lee and Li
台北
Tel: +886 2 2763 8000 ext. 2282
Email: yuan@leeandli.com

台湾会社法および企業合併及び買収法の下では、重要な意思決定には、株主総会に出席した株主が保有する議決権の3分の2の承認が必要です。

したがって、上場会社の完全な支配を得るためには、買収者は理想的には株式の少なくとも67%を確保することになります。しかし実務上は、すべての株主が総会に出席するわけではないため、投資家は議決権の30%から40%に過ぎない場合でも、上場会社の経営または事業運営を支配できる場合があります。最終的な支配の程度は、当該会社の株主構成の分散度合いに依存します。

台湾では、投資家は公開買付けに先立って上場会社の株式を取得し、それによって、その後のM&A取引の承認に必要な議決権を確保する手法が一般的です。単独または共同で上場会社の発行済株式総数の5%以上を取得する個人または法人は、取得目的を明示して、これを金融監督管理委員会(FSC)に報告しなければなりません。

加えて、持株比率に1%以上の変更がある場合も報告しなければなりません。取締役、監察人、経営幹部、発行済株式総数の10%以上を保有する株主には、継続的な報告義務があります。

単独または共同で行動する個人またはグループが、50日以内に上場会社の発行済株式の20%以上を取得しようとする場合、例外規定が適用される場合を除き、公開買付けが義務付けられます。当事者が、共通の目的の下で契約、合意、その他の取り決めにより株式を取得する場合、当該取得は共同で行われたものとみなされます。

義務的公開買付けは規制当局の審査および特定の規則の対象となるため、外国の買収者は、買付けのタイムラインや、外国投資の許可や企業結合届出の承認など、規制上の承認を得るために必要な準備期間を含め、規制の枠組みを十分に考慮しなければなりません。さらに、送金や為替決済のための十分な資金と、予算スケジュールを確保する必要があります。

主要株主は、合併または株式交換を用いて少数株主を排除することができ、その際の対価は通常、現金で支払われます。

台湾のM&A市場では、上場会社を非公開化しようとする投資家は二段階の取引構造を採用することが多く、まず公開買付けを行い、その後、現金対価による株式交換(キャッシュ・スクイーズアウト)を実施します。近年、過半数の株主の承認を確実に得られるという見通しのある投資家が、株式交換や合併などの一段階の取引を選択する傾向が強まっており、これは二段階の買収と比べて費用と時間の両面でより効率的です。

また、台湾証券取引所または台北証券取引所に上場する、企業とケイマン諸島法人とのM&A取引では、一般的に逆三角合併スキームが採用されます。この場合、上場会社が存続会社として残り、買収者の完全子会社となることで、規制コンプライアンスと事業継続が円滑に進みます。

外国為替規制

台湾は一般に、外国為替取引を一定の基準額に基づいて規制しています。外国投資家は、投資がDIRにより承認されるか、台湾の証券市場での取引を通じて行われる限り、投資できる総額に制限はありません。ただし、台湾の中央銀行は、新台湾ドルの為替レートに大きな影響を与え得る大口の投資または資金の還流については、1日当たりの外貨両替枠を課すことがあります。

現行法の下では、外国またはPRC投資の承認を得た投資家は、承認された投資のための送金ができ、当該投資から生じる年間純利益、利息、現金配当の資金の還流が認められています。投資から生じる配当金については、必要書類を送金銀行に提出することで資金の還流が認められています。

今後の展望

情勢の変化にともない、当局は、省庁間の連携を強化するとともに、特にテクノロジー、電気通信、防衛、インフラなどの重要分野において、厳格な審査対象となる業種の範囲を拡大する可能性が高いと予想されます。

したがって、投資家は、より詳細な規制上の評価とより長い承認までの期間を想定すべきであり、複雑な承認プロセスを効果的に進めるためには、徹底したデューデリジェンスと、規制当局との積極的な関与が重要となります。

さらに、台湾当局は新たな脅威や技術革新に対応すべく、新規ガイドラインの導入や既存の措置の拡充を行う可能性があり、投資家は進化し続ける規制の枠組みや政策上の新たな優先事項について常に情報収集を続けるべきです。

強固なローカル・パートナーシップを構築し、専門的な法務およびコンプライアンスの助言を活用することで、投資家は課題を予測し、それに応じた戦略を適切に遂行する能力をさらに高めるでしょう。

Lee and LiLee and Li Attorneys-at-Law
8F, No. 555, Sec. 4
Zhongxiao E. Rd.
Taipei 11072 Taiwan
Tel: +886 2 2763 8000
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