中国、インド、台湾におけるフィンテック規制の動向について、最新情報をお伝えします。
中国のフィンテック規制――過去10年間の動向
中国のフィンテック規制は、金融機関の規制動向を見ることで最も明確に理解できますが、そこで生じるのが「技術は誰の役に立つべきか」と「その目標をどのように達成すべきか」という2つの疑問です。
中国におけるテクノロジーと金融の統合、金融におけるテクノロジーの変革力について語る際、アリペイの運用を担う企業、アント・フィナンシャルに触れないわけにはいきません。
アント・フィナンシャルの最初の資金調達は2014年に行われました。この時期は世界的に投資家のフィンテックへの関心が高まっており、2014年12月のレンディングクラブのIPOはそのピークを象徴する出来事でした。「インターネット金融」を中心に、プライベート・エクイティ投資やIPO活動が活発に行われていました。
振り返ってみると、多くの企業が「インターネット金融」という言葉を利用して、承認やライセンスを必要とする金融サービスに従事していたことは明らかです。当時の中国は、金融イノベーションに対して驚くほど寛容でした。
ターニング・ポイント

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しかし、2017年後半、ターニング・ポイントが訪れました。2017年7月14日~15日に開催された第5回全国金融工作会議では、「金融システムのリスクを防ぐための金融規制の強化とインターネット金融規制の強化」が強調されました。
これを受けて、一連の規制により金融分野への監督が強化されました。例えば、2017年12月1日に「キャッシュローン」事業の規制と是正に関する通知が発表され、5年間の急速な「インターネット金融」の成長が事実上終焉を迎えました。また、第5回全国金融工作会議では、金融規制を調整するために国務院の下に金融安定発展委員会を設立することが提案されました。これにより、それまで縦割りで行われていた各省庁間の会議の仕組みが更新・強化され、細分化された規制環境での調整が進められました。
2018年には、国務院により中国銀行業監督管理委員会と中国保険業監督管理委員会が統合され、中国銀行保険監督管理委員会が発足しました。また、中国証券業監督管理委員会はそのまま維持され、これら各規制機関の役割が整理・最適化されました。
その後、大規模なインターネット金融企業に対する規制強化や独占禁止の調査が常態化しました。2023年3月には「党と国家の機構改革計画」が発表され、新たな金融規制システム改革が開始、「一委一行一局一会」として知られる枠組みが形成されました。
国務院の傘下にある金融安定発展委員会は、中国の最高レベルの金融規制機関であり、金融の安定と発展に関連する主要な問題を調整し、決定する責務を負っています。中国人民銀行は中央銀行として、金融政策の策定と実施、金融システムの安定維持を担います。国家金融監督管理総局は、中国のマクロ・プルーデンシャル規制機関であり、金融市場の監督・管理や投資家の保護を担当しています。中国証券業監督管理委員会は証券市場の監督・規制を行っています。
厳格化する規制
2017~2024年にかけては、金融規制が徐々に厳格化する傾向が見られました。特に注目すべきは、インターネット・テクノロジー大手と金融サービスの関係についてです。
前述のように、2014年にアリペイとアント・フィナンシャルが登場し、インターネット・テクノロジー大手が伝統的な金融機関の既得権益に大きな影響を与えることが浮き彫りになりました。
人々がインターネットのデジタルやオンラインのチャネルにますます依存するようになる中、デジタル・プロファイリングやビッグデータの活用で、これまで金融サービスを受けられなかった顧客にまでサービスが届けられるようになり、金融サービスにおける情報の非対称性の問題が解消されつつあります。
さらに、インターネット上のトラフィックが非常に価値のある広範なリソースとなる中、インターネット・テクノロジー大手と金融サービスの組み合わせは、間違いなく伝統的な金融エコシステムを揺るがし、リソースと利益の再配置を進めていくでしょう。
2020年12月11日、中央政治局は初めて「独占禁止を強化し、無秩序な資本拡大を防ぐ」ことを提案しました。これによりプラットフォーム企業は、規制ガイドラインの下で公的・民間、両面での経済発展を支援すると同時に、イノベーションを図り、国際競争力を強化することが奨励されるようになりました。
2021年12月10日、中央経済工作会議は次のような新たな原則を導入しました。「資本の生産要素としての積極的な役割を活用しつつ、その負の影響を効果的に制御する。無秩序な資本成長を防ぐ効果的な監視を法的に強化するために、資本のための『信号機』を設置する」
2020年10月21日、中国証券業監督管理委員会はアント・グループのスター・マーケットでのIPO登録を承認し、2020年11月5日の上場が予定されていました。しかし11月3日、上海証券取引所は「関連規定に違反しているため、アント・グループの上場を一時停止する」と発表しました。
2020年12月26日、中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会、中国証券業監督管理委員会、国家外貨管理局は共同でアント・グループと面談し、インターネット・プラットフォームによる金融サービスは今後、規制監督下に置かれることを示しました。それから約4年が経過した現在も、規制の調整と対話が続いています。
2021年以降、中国はサイバーセキュリティ、データセキュリティ、個人情報保護の分野に力を入れていますが、中でも特に国際データ転送に関して規制を強化しています。
総じて言えば、現在の金融テクノロジーのイノベーションは主に伝統的でライセンスを持ち、そして大半は国家・地方政府が所有する金融機関によって主導される方向へと回帰しつつあります。これが中国のフィンテック規制を理解し予測するための鍵となります。
暗号通貨の厳格な取り締まり
もう一つの重要なポイントは、暗号通貨の規制です。2013年12月、中国人民銀行を含む5つの省庁は「ビットコインのリスク防止に関する通知」を発表して、ビットコインは法定通貨の条件を満たしていないことを明確にし、金融機関や決済機関がビットコイン関連業務を行うことを禁止しました。
この通知では、ビットコインは通貨当局によって発行された通貨ではなく、法定通貨の地位や強制通用力などの条件を欠いているため、実際の通貨ではないというビットコインの性質を明らかにしています。また、ビットコインは通貨と同じような法的地位を持たない独自の仮想商品であり、通貨として流通することはできないともしています。
しかし、インターネットを介した商品取引に個人として自己責任で参加することは自由です。
2017年9月、中国人民銀行を含む7つの省庁は共同で「トークン発行による資金調達のリスク防止に関する公告」を発表し、ビットコインを含む仮想通貨の取引活動を全面的に禁止し、国内のビットコイン取引プラットフォームを閉鎖しました。
中国人民銀行、国家ネットワーク情報弁公室、最高人民法院などの機関は、仮想通貨取引の投機に関連するリスクを防止し対処するための通知を発表しました。外国の仮想通貨取引所がインターネットを通じて中国国内の住民に提供するサービスも、違法な金融活動と見なされます。
外国の仮想通貨取引所と提携している国内の関係者、または仮想通貨関連業務に従事していることを知りながら、または知っているべきでありながら、それでもマーケティング、決済処理、技術サポートなどのサービスを提供する者は、法的責任を問われることになります。
ブロックチェーンの支援
民間の暗号通貨を厳しく管理する姿勢を見せているにもかかわらず、政府は効率を向上させる手段としてブロックチェーン・テクノロジーを支持しており、中央銀行デジタル通貨の発行に向けて積極的に取り組んでいます。2024年10月18日、中国人民銀行は「2023年金融技術発展賞」の受賞者を発表し、多くの分散型テクノロジーとブロックチェーン・テクノロジーを用いたアプリケーションを表彰しました。2016年12月、国務院の「第13次5カ年国家情報化計画」には、ブロックチェーンは新興技術として盛り込まれており、政府主導でブロックチェーン開発の取り組みが始まったことがわかります。2018年5月、中国科学院と中国工程院の院士会議で習近平国家主席は、ブロックチェーン・テクノロジーは急速に進歩していると述べ、ブロックチェーン開発が新たな段階に入ったことを示しました。
さまざまな地方政府が積極的にブロックチェーンの応用と産業の発展を推進しています。限定された統計ですが、2017年には9つの省と都市がブロックチェーンの産業の発展を支援する政策を発表しています。
2018年以降、30以上の省政府と市政府がブロックチェーンの応用を支援し、地元のブロックチェーン産業の成長を促進するために、40以上の政策措置を発表しています。中央政府と地方当局からのこれらの強力な支援により、ブロックチェーン開発に望ましい政策環境が整備されてきました。
重要なポイント
進化する金融技術の分野において、中国の規制への取り組みは、イノベーションを促進しつつ、新たな金融リスクを管理するというバランスの取り方の難しさを示しています。
国家が、伝統的な認可された金融機関が主導するモデルに向かって進む中、焦点は依然として、安全で安定し透明性のある金融エコシステムの構築にあります。これにより持続可能な成長への道が拓かれ、世界的な競争力の向上が期待できるでしょう。
中国のフィンテックの未来を占えば、マルチモーダル・データ処理、インテリジェント・アプリケーション、クラウド・ネイティブ・ソリューションなどの分野を引き続き優先的に力を入れていくでしょう。セキュリティやプライバシー、そしてAIやブロックチェーンのような破壊的テクノロジーを管理して利用することを重視するために規制を強化することは、金融の分野を強靭にしようという強い決意を反映しています。
堅牢な規制の枠組みの中でイノベーションを推し進めることで、中国は、世界的な金融の動向に適応しながら国家的な経済目標を果たしつつ、テクノロジーの進歩が公共の利益に資することを確かなものにしようとしています。

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インド、デジタル融資の借り手データ保護に乗り出す
ここ10年ほどで、インドの消費者は購買力を向上させる手段としてデジタル融資の潜在力に気づきました。デジタル融資は、インドの業者にとって小売業の成長を促進する刺激剤として作用していますが、一方で、金融エコシステムの安定性を維持し、借り手の利益を保護するためには、つまるところ規制が必要であると見なされるようになりました。

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第三者の無制限な関与、不適切な販売、データ・プライバシーの侵害、不公正な営業行為、法外な金利の請求、倫理に反する回収方法などの懸念に対処するため、2021年1月、インド準備銀行(以下、RBI)はデジタル融資に関する作業部会を設立し、オンライン・プラットフォームやアプリを通じた融資の枠組みを見直しました。
この作業部会は、金融サービスにおける革新を促進しつつ、成長する市場での秩序ある発展を確保するというバランスを取る方針で進められました。
2021年11月、作業部会による、デジタル融資エコシステムに関する規制についての勧告が提言されました。その後、RBIは業界関係者との広範な協議を経て、2022年8に実施計画と戦略を提示。続く2022年9月には「デジタル融資に関するガイドライン」として、インドでのデジタル融資の規制の枠組みを発表しました。
RBIがこの分野を規制するのは、作業部会によって特定された未規制のデジタル融資に関連する懸念を軽減し、デジタル融資エコシステムにおける国民からの信頼の低下を防ぐためです。
デジタル融資とは?
デジタル融資とはその名の通り、主に顧客の獲得、信用評価、融資の承認、資金の支払い、回収、関連する顧客サービス等を提供するため、主にシームレスなデジタル技術を活用して行われるリモートかつ自動化された融資プロセスのことです。
このエコシステムの中では、ローンやデジタル融資のサービスは、ユーザー・インターフェースを提供するスマートフォンやウェブ上でのアプリケーションによって、容易に利用できるようになっており、これを「デジタル融資アプリまたはプラットフォーム」(以下、融資アプリ)と呼んでいます。
RBIは、この仕組みで提供される融資サービスは、たとえその一部で顧客との直接的な接触がある場合でもデジタル融資の特性を損なうものではなく、デジタル融資と解釈すべきと明言しています。
エコシステムの参加者

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RBIは上述のガイドラインを通じて、RBIがすでに規制している商業銀行やノンバンキング金融会社(以下、NBFC)――いずれも「規制対象機関」と呼ばれる――の活動に加え、これら規制対象機関と連携する未規制のフィンテック企業の活動も規制対象とします。
- 規制対象機関とは、借り手に対して融資や信用供与を行う機関のこと
- 未規制のフィンテック企業とは、このエコシステムに融資事業者の代理人として参加して、顧客獲得、引受サポート、価格設定サポート、サービス提供、モニタリング、回収など、融資事業者の機能の一つ以上を担う融資サービス提供プロバイダー(以下、LSP)のこと。LSPは規制対象機関のアウトソーシング・サービス提供者と見なされるため、規制対象機関がLSPを活用する場合、該当するRBIのアウトソーシング・ガイドラインを遵守しなければならない
- 借り手とは、規制対象機関がデジタル手段を通じて融資アプリ上で提供するローンやクレジットを利用する人のこと
- ガイドラインにより、RBIは、規制対象機関が融資アプリで提供するローンに関して、借り手の利益を保護することを意図している
デジタル融資のエコシステムでは、融資アプリは規制対象機関かLSPによって運営されます。
ガイドラインは規制対象機関とLSPに対して条件を課していますが、LSPに確実にガイドラインを遵守させる責任は規制対象機関にあります。通常、この遵守は契約上の取り決めを通じてなされるもので、規制対象機関が適切な義務を課すことになります。
ガイドラインの主なテーマ
このガイドラインは、LSPへの適切なデューデリジェンスや監督、手数料の透明性、信用供与に関して必要とされる開示など、規制対象機関に多くの要件を課すことで借り手を保護します。さらに、ガイドラインはデータセキュリティと借り手のデータや情報の保護に重点を置いています。
借り手データに焦点を当てる

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このガイドラインは、借り手データに対して高いレベルの保護を提供しています。規制対象機関とLSPは、これらのデータをデジタル融資のルールの枠組みに沿いつつ、借り手の指示に従って取り扱う必要があります。
RBIは、規制対象機関が顧客の個人情報のデータ・プライバシーとセキュリティに責任を負うことを明言しています。借り手データの取り扱いに関するガイドラインの主要な条件は以下の通りです。
- 同意 ガイドラインは、貸付アプリが、関係する借り手の事前の明示的な同意に基づいて、必要に応じてのみ、借り手データの収集を義務付けられていると明言しています。借り手は、特定のデータの使用に同意するか拒否するかを選ぶ権利、第三者への開示を制限する権利、データの保存期間を決定する権利、同意を撤回する権利、データの削除を指示する権利を持っています。融資アプリのインターフェース上の各段階で、同意を得る目的が開示されなければなりません。コンプライアンスを証明するために、同意したことが確認できる監査記録を保持することが求められます。
これらの要件は、2023年公布のデジタル個人データ保護法を含む、インドで適用されるデータ保護法のもとで想定される個人データ処理の同意に基づく制度と概ね一致しています。
- 必要最小限のデータの取り扱い LSPや融資アプリは、業務遂行に必要とされる名前、住所、連絡先など基本的な最小限のデータのみを保存することが認められています。借り手の個人情報を保存することはできません。
- データ共有 融資アプリを通じて第三者が借り手の個人データを収集する場合、その第三者の詳細を借り手に開示しなければなりません。いかなる第三者への個人データの共有も、借り手の事前の明示的な同意に基づいて行わなければなりません。
- スマートフォンの機能へのアクセス ガイドラインは、融資アプリがファイルやメディア、連絡先リスト、通話履歴、通信機能など、スマートフォンの機能やデータにアクセスすることに一定の制限を課しています。融資アプリは、利用開始時の手続きと本人確認のためには、借り手の明示的な同意を得た上で、カメラ、マイク、位置情報などの機能に対して、一度だけアクセスできるように設定される必要があります。
- データ関連のポリシー 規制対象機関は、データの使用、保存、破棄、およびセキュリティ侵害への対応を規定するポリシーを策定する必要があります。これらのポリシーは融資アプリ上で開示されなければなりません。
ガイドラインから導かれるデータ関連の条件は、規制対象機関とLSP間の契約上の取り決めについて議論の的となる可能性があります。
インドのフィンテック企業は、既存顧客のために与信手段提供の仕組みを開設する際、規制対象機関と提携することが一般的な業界慣行となっています。商業的に見れば、契約上、フィンテック(LSP)は規制対象機関へ顧客を紹介する形になり、その結果、フィンテックの個々の顧客までが規制対象機関の顧客と見なされることになります。
このような状況では、LSPと解釈されるフィンテック企業が顧客データを保持したり保存したりすることに対して制限を課すことは、フィンテック企業にとって革新的な解決策を見つけ出さなければならないほど大きな障害となり得るでしょう。
また、信用サービスを提供するLSP事業と支払いサービス事業(例えば、決済代行業者やプリペイド決済手段の発行者)の両方を担うフィンテックのケースもあり得ます。
このようなケースでは、フィンテックは、融資データと支払いデータの両方を保存しアクセスすることができます。もし借り手がガイドラインで認められた権利に基づいてデータ削除を要求した場合、共有データ保管庫に個人のデータが保存されていれば、フィンテックは板挟みの状態になる可能性があります。
このような状況に対処するには、たとえ規制上の要件があったとしても、フィンテック企業は、融資データと支払いデータを分離し、混在しないようにすることが極めて重要になるでしょう。
これらのことから、規制対象機関とLSPは、借り手データの使用に関してなんらかの権利を主張できないことは明らかと思われます。借り手は、自らの同意を通じて規制対象機関とLSPがデータをどのように使用できるかを決定する権限を持っており、LSPにはさらに規制上の制約が課されることになります。
今後の展望
インドでは、ここ数年でデジタル融資が大きく成長しています。デジタル融資の仕組みを通じて発生する融資は、2028年までに全リテール融資の5%を占めると予測されています。
インドの信用システムを有利に運用するというRBIの使命を推進するため、RBIはガイドラインによって、金融の安定性をもたらし、借り手の利益を確実に保護するための枠組みを定めています。
信用と融資に適用される規制ガイドラインを遵守しない規制対象機関は、処分されることになります。一部の条件の特殊な性質を考えれば、RBIが積極的に構造や取り決めを精査し、コンプライアンスを監視する取り組みを強化することで、デジタル融資の分野は注目すべき領域となっていくでしょう。

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フィンテック関連法:台湾における最新動向
台湾では以前からフィンテックが注目されてきましたが、最近は決済分野や仮想資産にフォーカスした議論が活発化しています。
決済分野
台湾では、従来の送金やクレジットカードによる決済は一般的に銀行を経由して行われています。2015年に電子決済機関法(電子決済法)が施行されたことにより、オンライン決済活動の規制が始まりました。2021年に改正された同法によれば、電子決済機関には次の3つの主要分野で事業を行うことが認められています。(1)代理人として実取引の代金回収と支払い、(2)価値貯蔵資金としての資金預託の受け入れ、(3)国内・国際少額送金サービス。

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同法はまた、電子決済機関が上記の業務に関連する外国為替サービスを提供することを認めています。さらに特定の条件下では、電子決済機関以外の機関による、台湾で働く外国人労働者専用の国際送金サービス提供の申請を認めています。
上記の「(1)代理人として実取引の代金回収と支払い」については、「金融機関が代理人として保管する資金の回収・支払いの総残高」が、特定の基準額〔現在は金融監督委員会(FSC)が定める20億台湾ドル(6160万米ドル)〕以下であれば、FSCのライセンスは不要であることに留意する必要があります。
このような事業者は「第三者決済サービスプロバイダー」と呼ばれます。台湾の改正マネーロンダリング防止(AML)法によれば、これらのプロバイダーは、サービスを提供する前に、デジタル発展部にマネーロンダリング防止登録とサービス能力登録を行わなければなりません。
さらにAML法では、オフショアの第三者プロバイダーは、台湾で事業を行う前に会社法に基づいて現地法人または支店を設立し、登録を完了する必要があると規定しています。これらの規制に従わない場合、刑事責任を問われる可能性があります。
仮想資産/暗号通貨
台湾法の下では、暗号通貨は一般的に2つのカテゴリに分類されます。(1)「セキュリティー・トークン」と呼ばれる証券の性質を持つ暗号通貨、(2)「非セキュリティー・トークン」と呼ばれる証券の性質を持たない暗号通貨。
セキュリティー・トークン FSCによれば、これらは、暗号技術、分散型台帳技術、あるいはデジタル的に価値を保存、移転、交換できる類似の仕組みが用いられているトークンと定義されています。これらのトークンは譲渡可能で、以下の投資基準をすべて満たす必要があります。(a)投資家から提供された資金を伴うこと、(b)共通の事業やプロジェクトに資金を提供するものであること、(c)投資家に利益を期待させるものであること、(d)利益を生み出すのは主に発行者や第三者の努力によること。
このようなトークンの発行は、セキュリティー・トークン・オファリング(STO)として知られています。2020年、FSCの認可を受け、台北証券取引所はSTOに関する一連のルールを導入しました。これにより、STOは3000万台湾ドル以下であれば、台北証券取引所の枠組みの下で発行が可能です。主な規定は以下の通りです。(a)発行体は台湾の株式会社でなければならず、台湾証券取引所、台北証券取引所、または台北証券取引所の新興株式市場に上場している企業であってはならない、(b)発行できるのは利益分配型トークンまたは債務型トークンのみである。(c)参加は「プロの投資家」に限定され、それらプロの個人投資家のSTOごとの上限は30万台湾ドルまでとする。
STOのルールでは、STOプラットフォーム運営者に証券ディーラー免許の取得も義務付けています。
非セキュリティー・トークン 台湾のAMLの枠組みには、現在、仮想資産サービス・プロバイダー(VASP)に対する規制も含まれます。VASPには以下のようなビジネス/サービスが含まれます。(a)仮想通貨と不換紙幣の交換、(b)仮想通貨間の交換、(c)仮想通貨の送金、(d)仮想通貨の保管および/または管理、または仮想通貨を運営するための関連手段の提供、(e)仮想通貨の発行または販売に関連する金融サービスへの参加および提供。
2021年、FSCは、暗号資産プラットフォームと取引事業に関わる企業に対するマネーロンダリング防止およびテロ資金供与対策を管理する規則(暗号資産AML規則)を導入しました。
これらの規制は、内部統制システム、疑わしい取引の報告手順、本人確認(KYC)手続きなどの主要な措置を実施することを事業者に求めています。
さらに、事業者はFSCにコンプライアンス宣言を提出し、AML法と暗号資産AML規則の遵守を確認しなければなりません。改正AML法では、VASPはサービスを提供する前にFSCにマネーロンダリング防止登録を完了しなければなりません。
また、オフショアのVASPは会社法に従って台湾に会社または支店を設立し、同じ登録手続きを完了する必要があります。これらの登録要件に従わない場合、刑事責任を問われる可能性があります。
FTXの債務超過と不法行為への懸念を受けて、FSCは2023年9月にAML法に基づくVASPのいくつかのガイドラインを発表しました。
これらのガイドラインは、以下のように、厳密にはマネーロンダリング防止とは直接関わりのないいくつかの問題も取り上げています。(a)仮想資産発行者がウェブサイト上でホワイトペーパーを公表する要件、(b)VASPとその顧客との間の資産の保管と分離。
さらに2023年には、複数の地元VASPが協力して、業界団体(自主規制組織)の設立を目指して作業部会が結成されました。この団体は正式には2024年6月に設立され、現在、会員を管理するために独自の自主規制の枠組みを策定中です。
ピアツーピア融資
現在、台湾にはピアツーピア(P2P)融資に関する具体的な法規制はありません。しかし、銀行業界の自主規制団体は、「銀行協会加盟銀行とピアツーピア融資事業者との業務協力に関する自主規律」を導入しました。このルールでは銀行がP2P事業者と協力できる分野として、資金の保管、キャッシュフローサービス、信用評価および格付け、顧客への融資(ピアツーバンク・モデル)、マーケティングと広告、信用関連文書の保管などのサービスを定めています。
FSCはプレスリリースで、当面の間、ピアツーピア融資を仲介するプラットフォーム事業者は規制対象外であることを明らかにしています。ただし、2023年10月、FSCはP2P融資プラットフォームに関するガイドラインを発表しました。このガイドラインでは、預金の受け入れや有価証券の発行など特定の規制対象行為を禁止し、リスク管理対策の実施を義務付けています。
これらの対策には、消費者保護規定と並んで、貸し手と借り手の実名確認の義務付け、資金フローの管理、ローン申請審査基準の設定、ローン限度額の設定などが含まれます。
デジタル専業の銀行と保険
2018年、FSCは実店舗を持たずに営業する、デジタル専業銀行の設立に関する規制を導入しました。FSCには3件の申請が提出され、いずれも2019年に承認されて、これらの銀行はまもなく営業を開始しました。
2021年12月、FSCは保険分野でのデジタルトランスフォーメーションの進展と革新的な商品の必要性を認識し、デジタル専業保険会社の設立に関する方針をまとめました。この方針には、対象となる企業への具体的な要件が盛り込まれています。2022年の期限までに提出された申請は2件のみで、いずれも承認されませんでした。報道によれば、FSCはデジタル専業保険会社の申請再開を検討しており、2024年末までに発表する予定とのことです。
規制のサンドボックス
フィンテック・サービスや関連企業の成長を促進するため、台湾は2018年にフィンテック発展及びイノベーション実験条例(サンドボックス条例)を導入し、フィンテック企業が、規制・管理された環境の下で金融関連のテクノロジーを試験運用できるようにしました。
サンドボックス条例では、申請者は試験運用のためのサンドボックスに入る前に、FSCの承認を得る必要があります。試験運用期間中は、FSCのライセンス取得など一定の規制義務が緩和される可能性があります。実験が終了したら、FSCはその成果を検討した上で、もし結果が有望であれば、革新的な金融の実践の導入を妨げている既存の金融関連の法規制の調整を検討することになるでしょう。ただし、サンドボックスで試験運用された活動を実施していくには、参加者はFSCの評価に基づき、適切なライセンスや認可を取得する必要が出てくるかもしれません。
今後の展望
暗号通貨は勢いを増しており、FSCの彭金隆主任委員は複数の重要な政策目標を挙げています。最も重要なのは、FSCが暗号通貨に特化した法律を検討していることで、2025年半ばまでに草案が提出される予定です。仮想資産の保管サービスに対する需要の高まりに応えるため、FSCは金融機関が仮想資産の保管サービスを扱うことを認める計画も立てています。実世界資産(RWA)のトークン化の可能性を探るため、FSCはさらに、台湾集中保管結算所(TDCC)と複数の金融機関と提携しながら、RWAトークン化についての理解を深め、実際の運用について議論し、関連する政策および規制上の問題に対処するために、RWAトークン化グループを結成しました。
最近の報道によると、FSCは融資会社専用の法律を制定する可能性を探っているようです。融資業務は歴史的に認可された金融サービスとはみなされておらず、すなわち、事業者はFSCライセンスを必要としていません。しかし、FSCはこの問題の調査を外部の組織に依頼しています。このような規制案はフィンテックには直接関係しないかもしれませんが、施行されれば、たとえば後払い決済のような新興のフィンテック・モデルに影響を与える可能性があります。業界関係者は、台湾の今後の規制動向を常に注視しておく必要があります。

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