議決権の差別化においてバランスを取る

By Juhi Singh and Tarinee Sudan, S&R Associates
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ンド証券取引委員会(SEBI)は、インドの上場企業および上場予定企業による議決権について異なる定め(DVR)のある普通株式の発行に関する規制制度の案について、パブリックコメントを求めるコンサルテーションペーパーを発行しました。従来の1株1議決権の普通株とは異なり、DVRは持分に比例しない議決権を発起人に与えるもので、これにより成長企業は発起人が支配権を失うことなく、敵対的買収から身を守りながらに資金調達を行うことができるようになります。

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Juhi Singh
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SEBIは現在、新規株式公開(IPO)に先立つ優先的議決権(Superior voting Right: SR)付き株式の発行を発起人に認めるかたわら、IPOから一年以内の部分的議決権(Fractional voting Right: FR)付き株式の発行を許可することで、DVR発行に適用される規制を再審査しようと試みています。

DVRの構成は、米国、カナダ、一部のヨーロッパ諸国では一般的であり、最近ではシンガポールや香港でも導入されています。米国では、FacebookやAlphabet、Snap、AlibabaがDVRの構成で上場しており、LyftやZoom、Pinterestらの直近の上場からも分かる通り、これは今後も人気を博すでしょう。しかしながら、株主の権利とコーポレートデモクラシーへの潜在的なマイナス影響を考慮して、こうした構成に対して保留が表明されています(2017年、インデックス・プロバイダー大手二社による、自社インデックスからのDVR構成を有する企業の部分的・全体的除外決定を含む)。この株式構成によって、発起人は投資家からの監視や干渉といった圧力を受けることなく、リスクを取り、戦略的ビジョンを実行できる自治を手に入れられる一方、企業は発起人による経営ミスや私的取引に晒されることになります。従って、投資家保護のニーズと発起人の支配権のバランスを取る必要があります。

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独立性の拡大: 香港証券取引所(HKEX)のDVR株式に関する上場規制では、社外取締役(ID)のみから構成されるコーポレートガバナンス委員会の設置を定めています。この委員会には、企業と株主、DVR株式受益者間での利益相反の可能性があり得る事柄に関して、検査、監視、取締役会への勧告を行う権限が与えられます。同様の対策がSEBIによっても検討される可能性があります。

シンガポール証券取引所の上場規制では、DVRの構成を有する企業について、報酬委員会を含む主要な委員会の少なくとも過半数をIDにするよう求めています。類似した要件はHKEXでも定められています。インドでも、指名委員会及び報酬委員会における社外取締役の割合が現在の半数から3分の2へ引き上げられる可能性があります。

重大事項への投票: DVR構成の没収リスクを軽減するために、SEBI報告書では定款への重大な変更や、関連当事者との取引、ID及び監査人の指名・解任、支配権の変更、任意の会社解散といった特定の重大な事項に関して、SR株式の保有者が1株1議決権の原則で投票することを想定しています。株式の発行資や株式資本の減資を含む、特別決議(少なくとも75%以上の賛成)が必要な事柄もまた、1株1議決権の原則での決議対象としてSEBIの検討が行われるかもしれません。

サンセット条項: SEBI報告書では、SR株式について、全株主が1株1議決権の原則で投票する特別決議による承認を条件とした5年間の延長可能性を含む、5年のサンセット期間を想定しています。また、報告書では統合や買収、発起人の死亡、SR株式の譲渡の場合における事例別のSR株式へのサンセット条項も提案しています(SEBI報告書ではSR株式の譲渡は禁じられています)。加えて、発起人の無能力、雇用や取締役任期の終了、取締役への指名からの不適格除外といった事例別のその他の要因についてもSEBIの検討対象となる場合があります。SEBIでは同様のサンセット条項がFR株式についても定められるようにしなければなりません(報告書では企業の自社株買い及び減資による株式の消滅のみを想定しています)。

議決権の差: 議決権の差を拡大することで、株式の所有と支配権の間により大きなギャップが生じることとなります。米国を含む一定の法域では、議決権の差別化に上限を設けていません。LyftとPinterestは一株あたり20議決権のDVR株式を創業者たちに発行しており、ZyngaのDVR株式に至っては一株あたりの議決権が70です。Snapは無議決権株式を初めて発行した企業となりました。SEBIは各SR株式について10議決権、FR株式については10株で1議決権の制限を設けるよう提案しています。

インドにおけるDVR構成の成否は、発起人の支配権やビジョン実行能力を不当に制限することなくガバナンスリスクを軽減できるかどうかにかかっているでしょう。

Juhi Singhは、ニューデリー及びムンバイにオフィスを構える法律事務所、S&R Associatesのパートナーであり、Tarinee Sudanはアソシエイトです。

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