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司法省は先般、太陽光、風力、水力、海洋・潮流エネルギーの探査、開発、利用は、国内の天然資源開発に適用される、外国資本を40%以内に制限するというフィリピン憲法に基づく規制の対象ではないことを明確にしました。これは、エネルギー省の要請を受け司法省が2022年9月29日に公表した司法省意見書第21号によるものです。

ご参考までに記載すると、憲法第12条第2項では次のように規定されています。「公有地、水域、鉱物、石炭、石油その他の鉱物油、エネルギーになる可能性のあるすべての力、漁業、森林または木材、野生生物、動植物、その他の天然資源はすべて国の所有物である。

Patricia A O Bunye
Patricia A O Bunye
シニアパートナー
Cruz Marcelo & Tenefrancia(マニラ)
電話番号: +632 8810 5858
Eメール: po.bunye@cruzmarcelo.com

農地を除き、その他のすべての天然資源は、譲渡されてはならない。天然資源の探査、開発、利用は、国の全面的な統制と監督の下におかれる。

国は、このような活動を直接実施すること、または、フィリピン国民、またはフィリピン国民が資本の60%以上を所有する企業または団体と共同生産、合弁事業または生産共有の契約を締結することができる。このような契約については25年を超えない契約期間を定めることができ、25年を超えない期間にわたり更新することができる。また、…水力発電の開発以外の灌漑、給水、漁業、産業利用のための水利権の場合、利用の有益性を許可の基準および制限とすることができる。」

直近の意見書では、太陽光、風力、水力、海洋・潮流エネルギーは、憲法の規定で想定されている「天然資源」や「エネルギーになる可能性のあるすべての力」の範疇に収まらないため、憲法に基づく外国資本の40%規制の対象にはならないとしています。

背景

2008年、バイオマス、太陽光、風力、水力、地熱、海洋エネルギーなどの再生可能エネルギーの開発、利用、商業化の促進を図る「再生可能エネルギー法」が制定されました。2009年には、エネルギー省が再生可能エネルギー法の施行規則を公表しました。その際、エネルギーになる可能性のあるすべての力を国の所有とする憲法の規定が、水、海洋、海流、風力による運動エネルギー、および、太陽、海洋、地熱、バイオマスによる熱エネルギーも含むと解釈されました。

水資源法(Water Code)は、フィリピンにおける水資源の収用と管理に関する具体的な枠組みを規定しています。水資源法では、水力および海洋・潮流エネルギー源から直接エネルギーを取得する場合、それらのエネルギー源のフィリピン国民による私有を制限しています。

直近の状況

Rafael Raymundo A Evangelista
Rafael Raymundo A Evangelista
シニアアソシエイト
Cruz Marcelo & Tenefrancia(マニラ)
電話番号: +632 8810 5858
Eメール: ra.evangelista@cruzmarcelo.com

司法省意見書第21号によると、憲法で言及されている「天然資源」は、領有権に基づき国が所有し取得できる資産と、原則としてすべてての土地を国が所有するという国有制度(Regalian Doctrine)に基づいて国家に帰属する、土地、漁場、森林・原野などの公有地のすべてに関連します。しかし、これには太陽や風や海洋は含まれず、収用の対象にはなりません。

司法省は、司法省意見書第21号は、以下を踏まえて理解しなければならないことを明確にしました。

  • 憲法第12条第2項に記載されている「無尽蔵の天然資源」を対象に含む再生可能エネルギー法の施行規則。施行規則は、水、海流、風による運動エネルギー、および太陽光、海洋、地熱、バイオマスによる熱エネルギーを、「エネルギーになる可能性のあるすべての力」という観点から対象に含めています。
  • 水力および海洋・潮流エネルギー源から直接エネルギーを取得する場合、それらのエネルギー源のフィリピン国民による私有を制限する水資源法および適用される法令。

意見書21号では、再生可能エネルギー法の施行規則が改正されない限り、および、水資源法および適用される法令が廃止または撤回されない限り、現行の外国資本規制は有効であるとされています。

10月24日、司法省はこの点に関してさらに2通の意見書を公表しました。

  • 司法省意見書第23号。これは、再生可能かつ無尽蔵の資源による発電への外国資本の100%出資を支持する貿易産業省からの、経済開発センターの2022年決議第01シリーズの修正を求める提案に対応したものです。
  • 司法省意見書第24号。これは、財務省の要請により公表されたもので、太陽、風力、潮力のエネルギーは憲法による禁止の対象ではないため、規制を完全に緩和できることを確認した提言に関連するものです。

両意見書において、司法省は、太陽光、風力、水力、海洋・潮流というエネルギー源は、憲法の「天然資源」という用語の範疇に含まれず、「エネルギーになる可能性のあるすべての力」という用語は技術的な意味で理解されるべきであり、必然的に運動エネルギーは除外されるという見解を再度明確にしました。したがって、太陽光、風力、水力、海洋・潮流エネルギーの探査、開発、利用は、外国資本の40%規制の対象にはならないはずです。

ただし、司法省は、水力エネルギーや水力発電エネルギーに関しては、水資源法および適用される法令が廃止または撤回されない限り、これらが引き続き優先されることを明確にしています。これに関し、司法省は、水力発電エネルギーの生成では、ダムや用水路を利用して河川や内陸の水流の経路を変更し、ダムを通って下流に流れる水の勢いにより運動エネルギーが取得されることを理由に挙げています。

Leigh O Nufuar
Leigh O Nufuar
アソシエイト
Cruz Marcelo & Tenefrancia(マニラ)
電話番号: +632 8810 5858
Eメール: lo.nufuar@cruzmarcelo.com

水資源法では、フィリピンの国民や団体のみが、発電目的のダムの使用などを通じて、水資源を直接利用することができると規定されています。さらに司法省は、河川や湖、小川などの内陸の水域は、異常気象や気候変動のために枯渇すでる可能性があり、(海や海洋とは異なり)無尽蔵ではない資源であると考えられるため、この国籍要件は妥当であるという見解を表明しています。

しかし、一旦水がダムを通過して下流に流れ出ると、それによって生じるエネルギーは運動エネルギーであると考えられるので、憲法で用いらている「天然資源」の範疇には含まれないことになります。したがって、発電を目的とするこのような運動エネルギーの探査、開発、利用は、外国資本の出資に関する憲法上の制限の対象になりません。これらの司法省の発表を受けて、エネルギー省は2022年11月15日、再生可能エネルギー法の施行規則第19条の改正についての通知を発行し、改正は2022年12月8日に発効しました。

第19条(b)では、以下のように明記されています。「国は、再生可能エネルギー資源の探査・開発・生産・利用を直接行うことができる。または、国は、フィリピン国民および/または外国人、またはフィリピン人および/または外国人が所有する企業もしくは団体と再生可能エネルギーサービスまたは運営契約を締結することができる。」

制限事項

再生可能エネルギー源の規制緩和は一歩前進しましたが、再生可能エネルギーに関連する以下の行為は、引き続き、フィリピン国民、またはフィリピン国民が資本の60%以上を所有する企業または団体のみが行うことができます。

自然水源から直接水を取得すること。

地熱資源の探査、開発、利用。ただし、大規模な地熱資源の探査、開発、利用を対象とする資金援助または技術援助に関する合意は除かれます。

材木・木材の収集、伐採、加工が許可されている公有地および私有地に由来する材木および材木以外の林産物の利用、または公有地で自然に発生している植物の利用。

今後明確化が進む可能性のある領域

フィリピンの再生可能エネルギー源の外国人投資家への100%開放に向けて、司法省の最近の取り組みが進展しているにもかかわらず、エネルギーに関して行政府の他の部局が明確化を望んでいる領域が依然として残っています。その一例が、地熱エネルギーです。再生可能エネルギー法とそれに付随する規則や規制、ガイドラインの制定以降、さまざまな地域で開発事業者に多数の地熱再生可能エネルギーサービス契約が発注されています。

しかし、フィリピンにおける地熱エネルギーの開発には、まだ種々の障害が残っています。たとえば、1992年国家統合保護地域制度法や1997年先住民族権利法の規定を、より包括的に環境と社会文化的な懸念に対応するための関連エネルギー政策やプログラムと調整しなければなりません。エネルギー省が認めているように、調整は地熱資源の探査と開発、特に保護地域内での開発の重要な要素です。

今後の動向

2022年10月上旬、エネルギー省長官は、一部の水力発電所が電力を供給できない見込みであることを踏まえると、2023年の電力供給が難しい状況に陥る可能性が高いと警告しました。

フィリピンは依然として電力供給を化石燃料に頼っているため、司法省の意見書第21号が契機となり、再生可能エネルギープロジェクト、特に海外投資によるプロジェクトが増加することが期待されています。これは、エネルギー省の2023年~2040年の行動計画にも沿っており、発電形態の柔軟性を高めるものです。

その意味では、再生可能エネルギー法施行規則の改正は、再生可能エネルギー発電プロジェクトへの海外投資の拡大に向けての一歩前進だといえるでしょう。もっとも、あくまでも第一歩に過ぎません。

enery

CRUZ MARCELO & TENEFRANCIA
9th, 10th, 11th, 12th Floors, One Orion
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電話番号: +632 8810 5858
Eメール: info@cruzmarcelo.com
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台湾

台湾はエネルギー供給を輸入に依存しているため、エネルギー自給率の向上と環境の持続可能性は、最優先事項となっています。この優先順位に従って、政府は原子力を段階的に廃止し、より環境に優しいエネルギーに移行しながら、2050年までに温室効果ガス排出量を50%削減するという野心的な目標を設定しています。短期的には、2025年までに、年間27GWの再生可能エネルギーによる発電を目指しています。

これらの政策と目標により、台湾政府は規制環境を変更して、台湾のエネルギー構造を再構築しました。具体的には、電気事業法と再生可能エネルギー開発法が2017年と2019年に改正されました。

最近の最も重要な規制の進展は、再生可能エネルギーの発電事業者が、任意の形態(例えば、企業との電力購入契約)で電力を販売できるようになり、政府運営の台湾電力公司だけに電力を販売するという制限がなくなったことです。政府はまた、風力や太陽光エネルギーへの投資を促進するために、民間企業の誘致にも取り組んでいます。台湾は有利な地理的位置にあり、これらのタイプの再生可能エネルギーへの投資は、大きな利益を生み出すことが判明するはずです。

台湾海峡は、世界的に高品質の風力発電用地として認知されており、開発の可能性に満ちています。さらに、台湾の中央・南部の熱帯地域は日照時間が長いため、太陽光エネルギーには理想的です。

洋上風力発電

Delphine Chen
Delphine Chen
シニアパートナー
Formosa Transnational(台湾)
Eメール: delphine.chen@taiwanlaw.com

台湾の西海岸が世界で最も優れた風力発電のフィールドと見なされているため、洋上風力発電は台湾において、重要な開発分野となっています。しかし、台湾では経験や資金が不足しており、洋上風力発電の開発は技術的・財政的に困難です。このため、台湾は開発に際して、外国資本に大きく依存せざるを得ませんでした。

最新の統計によると、2022年1月~9月の台湾への外国資本の投資額は、主に洋上風力発電への外国投資によって、前年同期比で178%増加しました。

台湾は現在、洋上風力発電の第2フェーズから第3フェーズに移行しています。第2フェーズは、政府が風力発電の候補地やプロジェクトを発表し、契約者がその土地の開発権を申請するものですが、第3フェーズでは契約者が場所を決定し、開発権を申請することができます。

第2フェーズにおいては、政府は36カ所の風力発電の候補地を発表し、契約者はその中から用地を選択して開発権を申請しました。現在、18のプロジェクトが、2025年までに5.5GWの建設を完了するという目標に向けて進行中です。

第2フェーズは経済部が主導する一方で、第3フェーズは潜在的な契約者が場所を決定し、開発権を申請することができます。資格に関して言うと、申請者の自己資金が、申請の総投資額の少なくとも5%を占める必要があります。風力発電所の候補地については制限があり、主管当局は、設置が禁止されている赤色ゾーンの地図を公開しています。

洋上風力発電所用地の効果的な利用を確保するために、他の風力発電所からは1.2kmの距離を維持することが規定されています。主管当局は、新しい風力発電所の申請提案を審査する際に、空中・海上輸送、レーダー、軍事管理、建築制限、船舶の安全、水生動植物の繁殖保護区、漁業権・採掘権に関する審査委員会の設置において、各機関に参加を要請することができます。

Hsu Hwaili
Hsu Hwaili
シニアパートナー
Formosa Transnational(台湾)
Eメール: hwaili.hsu@taiwanlaw.com

上記の基準に加えて、新しい風力発電所の申請には、初期環境影響評価による条件付き同意の審査結果と、台湾電力公司からの接続審査意見書の提出が必要であり、他の風力発電所からの適切な距離を確保し、最大申請容量を0.5GWに制限する必要があります。主管当局はまた、台湾製資源の利用を促進するという目標の達成のために、台湾製の設備または技術が、最低でも一定のレベルで風力発電所に組み込まれているかどうかも評価します。

電力業界は外国投資を制限しておらず、外国投資に関連する行政申請手続き(外国投資許可など)における法的課題は最小限です。しかし、台湾の洋上風力発電はまだ黎明期であることから、政府は開発の安定性を重視しており、一定の成果を達成するために外国資本に依存しているとは見えないように、台湾産業への補助金を支給しています。

外国投資家は、株式譲渡の制限や政府間の行政契約に関する問題など、潜在的な障害に直面する可能性があります。政府がプロジェクトの審査経験を積むにつれて、行政契約の最適化と合理化が行われると予想されます。

ソーラー・アクアカルチャーの併設

台湾の陸上再生可能エネルギー産業にとっての課題の一つは、利用可能な土地が限られていることです。これに対応するため、政府はソーラー・アクアカルチャーの併設という、革新的な再生可能エネルギーの形態を推進しています。これらのプロジェクトでは、魚の飼育や水産養殖を行う池の上に、ソーラーパネルシステムを設置します。政府の2025年20GWソーラープランに基づくと、この方法で4.4GWの電力が生成されると見込まれています。これが台湾の電力生産に占める割合は比較的小さなものですが、政府は大規模な発電所を招致して基盤整備を完成させることで、この産業の拡大に努めています。この革新的な発電方法は、外国投資家の関心も引き付けています。

ソーラー・アクアカルチャーの併設プロジェクトは、屋上養殖と地上養殖に分けられています。政府は、全国の養殖池がこの発電方法に適しているかどうか、という潜在的な問題があることを認識しています。また、「重点地区」や「優先区域」と呼ばれる多くの地域で養殖池の開発が検討されており、これは、これらの地域には生態学的または環境的な対立がなく理想的であることを意味しています。「潜在的適地」と呼ばれる他の地域もまた、検討されています。

当局は、重点地区と優先区域では環境・生態学的な問題が比較的少ないと判断しているため、これらの地域でソーラー・アクアカルチャーの併設プロジェクトを申請する際には、開発者は重点地区における環境・社会に配慮した措置に関する自己評価フォームに記入するだけで済みます。

Hung Pang-Heng
Hung Pang-Heng
パートナー
Formosa Transnational(台湾)
Eメール: pang-heng.hung@taiwanlaw.com

ソーラー・アクアカルチャーの併設プロジェクトは、潜在的適地でも開発可能ですが、開発者はこれらの地域における申請のプロセス期間中に政府が提起した各問題に対して、具体的な環境・社会的措置を提示する必要があります。沿岸管理法や、農業施設としての農地利用の承認申請に関連する問題も、申請のプロセスに影響を与えます。

計画された計画地の多くは海岸線に位置しており、以前は特別用途区域の申請を行って許可を得なければ、使用することができませんでした。行政手続きを簡素化するため、当局は既に自発的に、利用可能性を評価して、ソーラー・アクアカルチャーの併設プロジェクトに適した特別用途区域を策定しています。これにより、開発者は開発申請を提出する必要がなくなりました。

ソーラー・アクアカルチャーの併設の基本的な前提は、養殖が主要な活動であり、グリーンエネルギーは付加価値の活動であるということです。台湾では農地・養殖池の利用と、そこに建設される施設は法的制約を受けており、ソーラー・アクアカルチャーの併設を開発する段階で、土地所有者と養殖漁業者の同意の取得に加えて、農地における農業施設の利用許可に関する審査規定や、グリーンエネルギー施設の許可に関連する規定の遵守が求められます。

このソーラー・アクアカルチャーの併設プロジェクトに投資を希望する外国投資家は、政府を通じてではなく、土地所有者と直接交渉する必要があります。外国資本の観点から見ると、漁業と電力が共存する用地については、国家に申請して取得するのではなく、土地所有者との交渉を通じて同意を得るということです。洋上風力発電への投資とは異なり、外国投資企業はソーラー・アクアカルチャーの併設プロジェクトを直接運営することはできません。代わりに、外国企業と地元の運営者が共同でソーラー・アクアカルチャーの併設を開発する必要があります。水産業への外国投資は制限されており、このため申請プロセスは長期化し、不確実性が伴うことがあります。さらに、政府はソーラー・アクアカルチャーの併設プロジェクトが開発者、土地所有者、農業従事者にとってWin-Winの結果を生み出すべきであると、繰り返し強調しています。

法改正

政府は現在、再生可能エネルギー開発法の改正について議論を進めています。改正案には4つの主要な目標が掲げられています。(1)洋上風力発電の定義の見直し(建設範囲の拡大)、(2)地熱開発の手続きの最適化(地熱開発の詳細な手続きの確立)、(3)バイオエネルギー設備の制限緩和(設備が工業ゾーンにのみ設置できるという制限の撤廃)、(4)新築建物への太陽光発電設備の設置を義務化。

これらの改正により、台湾のさまざまな再生可能エネルギー源に関する法律・規制の包括性が強化されるはずです。また、政府の手続きの透明性と予測可能性がさらに向上し、台湾の再生可能エネルギープロジェクトへの外国資本の投資が、さらに容易になると期待されています。

formosa taiwan

FORMOSA TRANSNATIONAL
13/F, 136 Jen Ai Road, Sec. 3, Taipei
電話番号: +886 2 2755 7366
Eメール: ftlaw@taiwanlaw.com

www.taiwanlaw.com


タイ

タイでエネルギー事業を実施・運営するためには、事業者は幾層もの法規制を遵守しなければなりません。これには、石油法、エネルギー産業法、燃料貿易法、国家環境向上保全法、エネルギー保全推進法などが含まれます。

これらの法令すべてにおいて、環境悪化を防ぐために環境基準や影響評価要件が定められており、違反した場合はエネルギー事業者に一定の罰則が科されます。

また、持続可能な消費を促進するために、一定の環境対策が定められています。

石炭や天然ガスなどの一次資源を利用する発電プロジェクトに関しては、一定の許可や認可を取得する必要があります。これらの許可や認可の発行後は、プロジェクトの活動は州の監督と進化する環境基準の対象になります。

規制要件に違反した場合、罰金や刑事罰が科され、事業者は違反に起因する損害を被った当事者に対して補償を行う必要があります。

天然資源

Jirapat Thammavaranucupt
Jirapat Thammavaranucupt
パートナー
Weerawong Chinnavat & Partners (バンコク)
Eメール: jirapat.t@weerawongcp.com

自然の状態で埋蔵されている石油資源は国に帰属します。そのため、石油法第23条に基づき、タイにおける原油および天然ガスの探査および生産は、陸上・海上を問わず、エネルギー省の承認を受ける必要があります。

石油コンセッション契約、生産物分与契約、サービス契約は、同省の承認を受けなければなりません。また、保護されている天然資源の採取と利用には、該当する手数料と税金が課されます。さらに、石油利権には、石油法に基づくロイヤリティ、特別報酬、その他の費用が課されます。これらに加えて、石油税法第20条に規定される法人所得税も課されます。

電気および天然ガス

タイのエネルギー規制緩和を受け、エネルギー法では、エネルギー政策立案者、エネルギー規制当局、エネルギー事業者の役割を明確に規定しています。同法は、石油、石炭、太陽光、水資源などの一次資源による商業目的での発電に関わる行為を規制しています。また、採掘された天然ガスをパイプラインで輸送するなどの天然ガス事業も規制の対象です。

国王令による免除がない場合、電気および天然ガス事業者はエネルギー規制委員会(ERC)からエネルギーに関する許可を取得しなければなりません。技術・安全基準に関しては、許可取得者はエネルギー法第72条に基づき、エネルギー技術・安全基準を完全に遵守する義務を負います。

競争を促進するため、エネルギー法では、エネルギーネットワーク内の許可取得者は、そのネットワーク内の他の許可取得者やエネルギー事業者に、そのエネルギーネットワークシステムの利用や接続を許諾しなければならないと規定しています。

運用面では、電力会社が卸売市場に電力を商業目的で販売することを望む場合、現行の強化型シングルバイヤーモデルでは、ERCが定めるガイドラインに沿って競争入札を行う必要があります。

民間の落札者は、通常、国営電力会社(タイ王国発電公社、首都圏配電公社、地方配電公社)のいずれかと長期売電契約(PPA)を締結します。

Piti Eiamchamroonlarp
Piti Eiamchamroonlarp
弁護士
Weerawong Chinnavat & Partners (バンコク)
Eメール: piti.e@weerawongcp.com

PPAが締結されると、事業者はエネルギー法第48条に基づくワンストップサービス制度を利用して物理的な設備を建設することができるようになります。この制度は、生産者が発電所設立に必要な工場設備や建物の建設を含め、該当するその他の許可をERCから取得する際に利用できます。

しかし、エネルギー法は、天然ガス供給に関する輸送セクターの事業活動を対象としていません。これらの事業活動は、燃料貿易法の適用を受けます。同法第7条は、燃料貿易業者、すなわち年間10万トンを超える天然ガスの輸入業者(石油法に基づく石油生産業者を除く)になるためには、エネルギー省から許可を取得しなければならないと規定しています。

天然ガス事業者が道路車両を対象とする天然ガススタンドの設置・運営を行うためには、エネルギー省のエネルギー事業局局長への登録が必要です。

環境への影響

また、エネルギー許認可制度は、環境規制の枠組みの一環でもあります。エネルギー事業や天然資源開発の事前承認段階では、該当する当局が環境影響評価(EIA)を義務付けています。

天然資源環境省は、環境保全法第48条に基づき、EIA報告書が必要な活動やプロジェクトを判定する権限をもっています。EIA報告書は、天然資源環境政策計画局(ONEP)に提出し、専門家委員会の承認を得なければなりません。

専門家委員会は国家環境委員会により任命され、発電所の開設や石油探査に関する契約について、公表された活動を許可する権限をもつ公務員が許可を付与する前に、裁量権を行使してEIAの承認を決定します。

Peerapat Kumpayorm
Peerapat Kumpayorm
弁護士
Weerawong Chinnavat & Partners (バンコク)
Eメール: peerapat.k@weerawongcp.com

認可機関には、発電所に関する許可の取得者が承認されたEIAを遵守しない場合またはEIAが求める対策を実施しない場合、環境保全法第51/5条に基づき、EIAを完全に遵守し、ONEPに報告書を提出するよう指示する権限があります。

タイでは、排出ガスや廃棄物の基準に関する環境規制は天然資源環境省の管轄下にあり、同省が、環境保全法第55条に基づき、公害規制委員会の助言と国家環境委員会の承認を得て、発電所の粉塵、二酸化硫黄、二酸化窒素の排出上限を設定する責任を担っています。

さらに、火力発電所は、環境保全法における管理された公害汚染源とみなされています。火力発電所の所有者または占有者は、第80条に基づき、汚染された空気を処理するシステム、および汚染された空気の排出を制御する装置または機器の設置を義務付けられています。また、システム、関連装置および機器の日常の機能を示す統計およびデータを収集する責任も課されています。さらに、汚染源のある地域の当局に月次報告書を提出する必要があります。

義務

環境保全法第101条は、専門家委員会の承認を得ずに、石油探査や発電容量10MW以上の火力発電所の開設など、EIA要件の対象となる活動やプロジェクトを行った者に、禁錮または100万バーツ(29,000米ドル)以下の罰金、および違反期間中は1日当たり10万バーツの罰金を科すと規定しています。

汚染物質による損害に対する民事責任については、同法第96条で明確に認められています。第96条は、汚染源によって生じた(あるいは汚染源に起因する)汚染物質の漏出や拡散が、人の死亡、身体的危害、負傷、健康障害を引き起こした場合、あるいは私人や国家の財産に何らかの損害を与える場合、その汚染源の所有者または占有者は、漏出や拡散が故意または過失によるものかどうかにかかわらず、補償や損害賠償の責任を負うと定めています。管轄裁判所が、汚染物質によって生じた実際の損失に基づいて、損害を受けた当事者が受領する賠償額を決定します。

持続可能な消費

エネルギーの消費は、特定の工場や建築物でのエネルギー消費の抑制を目的とする「エネルギー保全法」に基づいて規制されています。

同法第8条に基づき公布された勅令では、10万kW超の電力を使用する工場は管理対象工場に分類されます。第8条第1項は、管理対象工場の所有者に対し、エネルギーが使用量と使用方法の点で公布された勅令の規定に従って消費されるよう図ることを義務付けています。

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