ヘルステック関連規制の比較: インド

    By Safir Anand, Anand and Anand
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    知的財産(IP)と知的資本(IC)は、企業が雇用を創出し、市場優位性を確立し、さらにはイノベーションを推進する原動力となります。インドでは、収益化、および最終的には十分な評価を取得するために、知的財産権を適切に保護することが重要な目標となっています。

    複数のIPを組み合わせることで、ブランドは独自の世界観を構築し、高度に発展したエコシステムに加わるよう顧客に訴求することができます。このような理由から、IPを多層に重ねるという独特なトレンドが生まれました。しかし、すべてのIPが法令により保護されているわけではありません。戦略的に保護する必要のあるIPも多いのです。本稿では、インドの競争力の高いヘルステックセクターに影響を与え、さらなる発展を可能にする、IPに関する広範なテーマについて考察します。

    eファーマシー(オンライン薬局)

    Safir Anand
    Safir Anand
    シニアパートナー、商標、契約・商業IP責任者
    Anand and Anand(ニューデリー)
    電話番号: +91 120 405 9300
    Eメール: safir@anandandanand.com

    テクノロジーの進歩に伴い電子小売り事業は急成長しており、今後も急速な成長が期待されています。Markets N Researchは、世界のeファーマシー業界の規模について、2021年の505億米ドルから2028年には1,427億米ドルへと、3倍近く成長すると予測しています。なかでも、インドは、アジア太平洋地域で最も急速に成長している市場です。eファーマシーの台頭に大きく寄与しているのは、低価格化、宅配サービス、24時間対応、利便性などです。

    インド商工会議所連合会は、多くの新興企業がeファーマシー業界に参入していると指摘しています。パンデミック当時、eファーマシーは業況が好調だった数少ない事業の1つで、流通取引総額は50%〜60%の勢いで成長していました。このセクターには、海外直接投資の誘致に関し、大きな可能性があることは明らかです。

    eファーマシーによる医薬品の販売は、1940年医薬品・化粧品法および2000年情報技術法の適用対象です。しかし、医薬品・化粧品法では、オンラインとオフラインの薬局が区別されていません。したがって、現時点では、インドには、保健・家庭福祉省の「eファーマシーを介する医薬品販売規制のための規則案」以外には、eファーマシー業界を規制する具体的な法令や規則はありません。同規則案は、「2018年医薬品・化粧品(修正)規則案」の施行とともに承認されており、セクター別に電子商取引に対する規制を規定しています。この規則案では、すべてのeファーマシー所有者は、インドの医薬品規制の最高機関であり中央認可機関でもある、中央医薬品標準管理機構への登録が義務付けられています。この規則の通達以降は、eファーマシーによる医薬品の流通・販売に関する手続きに加えて、規制により、eファーマシーが所定の方法でライセンスを取得することが義務付けられます。発行されたライセンスの有効期間は3年で、登録は更新することができます。

    遠隔医療ガイドライン

    政府は2020年に「遠隔医療実施ガイドライン」を公表し、専門家によるバーチャル診療を合法化しました。この動きは、特にコロナ危機の際には、医療サービスを安定的に確保できるため、肯定的に受け止められました。公共政策シンクタンクNITI Aayogが策定したこのガイドラインは、インド医学評議会規則(2002年専門家としての行為、作法、および倫理規則)に基づき通知され、保健家族福祉省が発行しました。このガイドラインの際立った特徴には以下のようなものがあります。

    • 遠隔診療を行うことができるのは、登録医師(RMP)に限られます。
    • RMPには、コンサルテーションにテキスト、動画、またはオーディオ対応のソリューションの使用が認めらます。
    • 患者の状況の複雑さに照らして、遠隔診療で十分であるか、それとも対面診療が必要かを判断する責任は医師にあります。
    • RMPは、氏名、年齢、住所、電子メール、電話番号、登録身分証明書などにより、患者の本人確認を行わなければなりません。
    • RMPは、薬剤を処方する前に、患者の年齢を確認する必要があります。疑義がある場合、医師は患者に年齢に関する証明を求めることができます。
    • 患者が遠隔診療を開始した場合、患者の同意があることは暗黙の了解事項となります。
    • 身体所見診察による情報が診療に不可欠な場合、RMPは身体所見診察が実施できるまで遠隔診療を進めてはなりません。
    • すべてのRMPは、ガイドラインの公開から3年以内に必須研修を修了する必要があります。
    • 遠隔診療では処方できない医薬品について、リストが作成されています。
    • 医師は、インド医学評議会規則、情報技術法、および今後制定されるデータ保護法やプライバシー法に基づく倫理および秘密保持に関する規制に従わなければなりません。個人情報保護法案では、医療データを個人の機密情報と解釈し、データの移動と利用に制限を設けています。

    媒介者か災いの種か?

    さまざまな偽造品が蔓延していますが、最も被害を受けているのが医薬品業界です。効果的な偽造医薬品対策の1つとして、偽造品供給者の取り締まりに関して仲介業者に責任を問うことが考えられます。しかし、偽造者は通常、自身のサービスが違法行為に利用されているとは認識していない第三者を仲介します。このように第三者が関与することが多いため、仲介業者の責任は、知的財産法において世界的に最先端の問題になっています。仲介業者には、オンライン(電子商取引サイト)とオフライン双方の仲介業者の主要グループが含まれる可能性があります。

    2019年、インド商工省産業国内取引促進局は、新たな電子商取引政策の草案を公表し、米国食品医薬品局(FDA)の規則や現地規制に沿ったデータローカライゼーションや電子商取引企業の業務効率化を提案しました。これは偽造品対策の一環でした。当時、フリップカートやアマゾンなど、複数の電子商取引企業がガイドラインに対して懸念を示していました。これを受け、同局は政府部局や関係省庁に政策の2022年草案を回付しました。

    データ保護

    2000年に制定された情報技術法は、技術の進歩に追いついていませんでした。監視・保護しなければならない機器が日々増大するにつれ、データ保護はさらに複雑さを増しています。

    しかし、インドにはデータ保護に関する個別の法令はありません。データ漏洩の多くは、データ保護対策が不十分であるために発生しています。アマゾンのアレクサ機能による盗聴や、数百万人の医療情報にグーグルがアクセスしていたことが明らかになり、世間の懸念が強まっています。

    2018年のEUの一般データ保護規則の施行後、インドではデジタル個人データ保護法案(2022年)がようやく国会に提出されました。同法案は、あらゆる形態の個人データについて遵守要件を規定し、個人の権利を拡大し、中央データ保護規制機関を設け、特定の形態の機密データについてデータローカライゼーションの要件を定めています。

    ブランド

    ブランドの商品名が保護されるだけではなく、医薬品の包装、ラベル、ロゴ、体裁(商品とその包装の外観)、レイアウト、色の組み合わせについても保護を受けることができます。また、錠剤の独自のデザインについては、たとえば、アルファベットの文字の形、固有の色の組み合わせ、特定の数字、容器やボトル、キットの特徴的な形状などを、3D商標として登録することができます。1999年商標法では、化学元素の名称や国際一般的名称の登録の禁止について具体的な規定が設けられています。

    著作権

    医薬品をさまざまな角度から保護するために、著作権に基づいて以下も保護対象とすることができます。

    • 医薬品の包装、ラベル、体裁、レイアウト、配色
    • 特定の雑誌、論文、医学書などに掲載された広文章および図表
    • 有効性、一般的な注意事項、副作用、重要な安全性情報などに関する記述

    特許

    インドでは、2005年に製品特許制度が導入されるまで、食品、医薬品、化学薬品に関する発明については、製法特許のみが認められていました。今や、医薬品企業にとって、自社が開発した製品やプロセスを特許権で保護し、不正な商業利用から守ることが不可欠になっています。

    医薬品特許は、新規化学物、製剤または組成物、相乗的組み合わせ、既知物質の新形態、キット、プロダクト・バイ・プロセス、および製造プロセスまたは製造方法のカテゴリーに分類することができます。ただし、ヒトまたは動物に対する医薬、外科手術、治療、診断、療法その他の処置のためのプロセスについては、同法に基づく特許を取得することはできません。

    ドメイン名

    一部の企業は主力製品について、公式サイトへの掲載に加えて製品固有のサイトを設け、製品関連情報、使用方法、一般的注意事項、副作用、重要安全情報などを公表しています。

    ドメインネームには出所識別の機能があるため、インドでは商標と同等に扱われます。したがって、ドメインネームの登録により、企業はそれに対する所有権を取得することになります。

    周知標章

    商標を周知とするために、2017年の改正商標規則に基づき、申立書または申請書を提出することができます。以前は、プロセスや時期が不透明でしたが、現在は委員会が申請について判断しており、プロセスは合理化されています。

    また、インドの裁判所は、いくつかの事例において、ある商標に関連する商品が識別性を獲得する要件として、その商品が一定期間市販されていることは必要ではないと認めています。商標は極めて短期間に識別性を取得できる場合もあり、その判断は事例に応じてなされます。したがって、医薬品ブランドが高い人気、知名度、評判を得て、大きなマーケットシェアを取得している場合、このプロセスの適用対象となります。

    Anand and Anand
    B-41, Nizamuddin East,
    New Delhi 110013, India

    Contact details:
    電話番号: +91 120 405 9300

    www.anandandanand.com

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