現在、インドでは人工知能(AI)に関する議論が盛んに行われています。この中には、国産の大規模言語モデル(LLM)の構築の必要性、公正なAI開発のための自主基準の策定、AI安全研究所の設立、IndiaAIプログラムの下でAIコンピューティングサービスを提供する際の費用対効果などが含まれます。

マネージング・パートナー
Obhan & Associates
政策論争が激化する中、一方では別の面でもAIを巡る争いが始まっています。それはインドのニュース通信社のANI Mediaが、OpenAIを相手取り、デリー高等裁判所に提起した著作権訴訟という形で現れました。インドの企業であるANI Mediaは、同社のデータ、主にニュース記事をOpenAIが許可なく保存および使用し、LLMの学習に使用したと訴えました。また、OpenAIの生成AIチャットボットChatGPTが、ANI Mediaのコンテンツをそのまま再現しただけでなく、誤った内容がANI Mediaからの引用であるかのように示したと非難しています。OpenAIは、インドでは事業を行っておらず、データも保存していないという管轄権の根拠に基づいて、これらの主張に反論しています。また、情報は原文と同一の形でユーザーに提示されたということも否定しました。著作権法が保護するのは事実やアイデアではなく表現であり、OpenAIはANI Mediaの著作権を侵害していないと主張しています。
この訴訟は、インドの裁判所がこれまで扱ったことのない新しい法的問題を数多く提起していることから、2人のアミカス・キュリエ――“裁判所の友”が任命されました。彼らは、裁判所が対処しなければならない多くの問題について、助言することが役割です。その中には、関連データを訓練目的で使用することが著作権侵害に該当するかどうか、フェアユース(公正使用)が成立するかどうかなどの問題が含まれます。フェアユースとは、批評、コメント、ニュース報道、教育、学術研究、調査のために、著作権で保護された作品を許可なく限定的に用いることを認める使用方法です。また、最後の問題として、インドの裁判所が必要な管轄権を持っているかどうかも挙げられます。解決には時間がかかると予想されますが、このケースは確実に新たなAI法の確立につながるでしょう。
OpenAIは同社のオプトアウト方針に従い、ANI Mediaのドメインをブロックして今後の訓練データのソースから除外しました。しかしこれは応急処置に過ぎません。同方針では、ANI MediaがOpenAIに対して、データをAIツールの訓練に使用しないようオプトアウトするかどうかの意思を示す必要があります。もし全ての許可されたユーザーやクローラーにオプトアウト・オプションの行使を義務づけるとしたら、それは実務上、不可能です。

アソシエイト
Obhan & Associates
このケースは、AI LLMの訓練データに関して重要な根本的な問題を提起しています。著作権の問題だけでなく、このような専有データの使用は、誤った帰属、評判の希釈化、独占禁止の懸念を引き起こしかねません。
裁判所は、猛烈なスピードで進み、避けようもないイノベーションと技術的進化に対して、知的財産権をいかにバランスよく保護していくか、という非常にむずかしい問題に直面しています。裁判所がどこまで踏み込むのか、そこを突き詰めることが極めて重要です。裁判所は、このケースにおいて事実に限定して結論を下すこともできますし、AIチャットボットや訓練データに関して、より広範囲な判断を試みることもできるでしょう。
あるいは、裁判所は、今日のデジタル社会における創造性と独創性を保護しつつイノベーションを促進するような、明確な規制枠組みの構築を立法府と行政府に求めることを選ぶかもしれません。
デリー高等裁判所が直面している問題はインドにとっては新しいことかもしれませんが、世界的には決して特殊ではありません。他の法域でも同様の問題が発生しています。例えばアメリカでは、OpenAIはニューヨーク・タイムズ紙(NYT)から、ChatGPTの開発のために使用された訓練データに同紙が著作権を持つコンテンツが含まれているという、同様の訴訟を起こされています。NYTは、これは同紙のコンテンツの収益化を妨害する行為であるばかりでなく、無許可かつ不正な使用であり、著作権侵害に該当すると主張しています。またNYTは、ジャーナリズムが行ってきた多大な投資から、OpenAIが公正な対価の支払いもなく利益を得ようとしているとも非難しています。同様の訴訟はカナダやイギリスでも発生しており、主要なニュース機関や個々の著者たちは、彼らのコンテンツをOpenAIが許可や対価なしに使用していると非難しています。
OpenAIは、オリジナルの素材に新たな表現や意味を加えることによって、変容的アプローチを取っていると反論しつつ、情報への公共アクセスを進展させるために、報道機関と協力して取り組む意向を示しています。これらの展開が単なる著作権侵害の紛争と見なされるのか、それともAI、イノベーション、人類の進歩の未来を左右する複雑かつ多面的な議論と見なされるのかにかかわらず、知的財産にとって非常にエキサイティングな時代になったことに疑いの余地はありません。
Essenese Obhan氏はObhan & Associatesのマネージング・パートナー、Nandini Chowdhry氏はアソシエイトです。

Advocates and Patent Agents
N – 94, Second Floor
Panchsheel Park
New Delhi 110017, India
Contact details:
Ashima Obhan
T: +91 98 1104 3532
E: email@obhans.com | ashima@obhans.com





















