2025年と2026年に東京大学に関連する医師が関与した2件の贈収賄事件により、日本の医療分野における腐敗リスクが浮き彫りになりました。
2025年11月19日、東京大学病院の医師が、東京証券取引所に上場する医療機器メーカーから賄賂を受け取った疑いで逮捕されました。報道によれば、同社は同病院に対し80万円(5,152米ドル)の「学術寄付」(奨学寄付金)を行ったとされています。このうち70万円は、手術における同社の医療機器の優先的な使用と引き換えに、医師個人に渡されたとされています。同医師は、資金を個人的目的で使用した疑いがあります。奨学寄付金は日本では一般的で合法ですが、特定の購入や使用の決定と結び付いている場合、刑事上の贈賄に当たる可能性があります。
2026年1月24日、東京大学の別の医師が、日本化粧品協会として知られるNGOの理事から繰り返し豪華な接待やもてなし(性的サービスを含むと報じられている)を受けた疑いで逮捕されました。同医師は皮膚科の教授で、カンナビノイドの臨床研究を行っていました。この疑惑は、教授とNGOとの間の事業上の紛争の後に明るみに出ました。NGOの理事は過度な接待の提供を公表し、教授と大学の双方に対して民事訴訟を提起しました。
日本の贈収賄法の枠組みと執行状況

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日本は、世界で最も腐敗の少ない国の一つとして広く認識されています。それでも、医療業界、とりわけ医療機器分野では法執行活動が繰り返し行われています。
国内における贈賄:日本の刑法の下では、公務員に対する贈賄は犯罪です。国立大学病院を含む公立病院に勤務する医師は、贈賄に関する規定の適用上、公務員またはこれに準ずるものとみなされます。そのような医師に、有利な取り計らいと引き換えに利益を提供することは、刑事上の贈賄に当たる可能性があります。
民間での贈賄は、詐欺や背任に当たる場合を除き、一般的には犯罪とはされていません。
外国公務員贈賄:外国公務員に対する贈賄は、不正競争防止法第18条により禁止されています。ただし、法執行は限定的です。外国公務員贈賄規定が1999年に施行されて以降、起訴されたのは10件にとどまっています。
業界の自主規制:刑事法に加えて、業界の自主規制も重要な役割を果たしています。医療機器業公正取引協議会は、不当景品類及び不当表示防止法に基づいて公正競争規約を設けています。公正競争規約は、食事、贈答品、接待、サービス、講演依頼などを含む、医療従事者との関わりを規律する基準を定めています。違反が直ちに刑事責任につながるわけではありませんが、行政上の措置や評判の毀損を招く可能性があります。
日本の医療業界におけるコンプライアンス上の課題と社内調査

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医療機器分野における社内調査では、コンプライアンス上の脆弱性が繰り返し明らかになっています。多くの企業は、寄付やスポンサーシップについて文書化を義務付けるコンプライアンス体制を整備しています。書面上は、手続は堅牢に見えます。しかし実際には、承認は機械的に行われ、取引の正当性について実質的な検討がほとんど行われていません。
頻繁に見られる典型的なリスクのパターンは、主に以下の2つです。
1. 国公立大学病院に対する奨学寄附金が、形式上は適法な拠出として記録されていても、実質的には製品選定の意思決定と結び付いている可能性があること
2. 医療従事者が企業協賛のイベントに繰り返し講演に招かれ、教育プログラムの形で高額な講演料を提供する機会が生じ得ること。頻度が過度である場合や報酬が不相応である場合、贈収賄に関する懸念が生じ得る
日本の医療業界における実質的なコンプライアンスの強化

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贈収賄リスクを低減するため、企業は取引の実質的な正当性を評価する仕組みを採用する必要があります。有効な対応策としては、例えば以下が考えられます。
- 奨学寄附金の金額と頻度に関する客観的基準を設定すること
- 協賛イベントの科学的価値および社会的価値を評価するための基準を定義すること
- 同一の医療従事者との繰り返しの関与を監視すること
- 自動承認ではなく、独立したコンプライアンス審査を確保すること
医師の裁量と市場競争を踏まえると、業界でのやりとりには慎重な監督が求められます。
結論
近年の著名な学術機関をめぐる事例は、奨学寄附金や講演プログラムといった一般に許容されがちな行為であっても、不適切な構造の場合には刑事責任を生じ得ることを示しています。日本の医療市場で事業を行う企業にとって、効果的なコンプライアンスは形式的な手続以上のものが求められます。実質的な評価、明確な基準、そして組織としてのコミットメントが必要となるのです。
西垣建剛氏は東京のGIT法律事務所の代表パートナー、Andrew Marriott氏と松尾宣宏氏はカウンセルです。
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