タイのゲーム産業はここ数年で著しい成長を遂げており、現在の市場評価額は13億米ドルを超え、東南アジアで第2位の規模となっています。この成長を支える主な要因として、デジタル利用に積極的な若年層の存在、高いスマートフォンの普及率、手頃な価格の5Gサービスの拡大が挙げられます。スキン、バトルパス、その他の装飾アイテムなどの仮想商品を含むゲーム内課金は、今では主要な収益源となっており、数々の無料プレイ型のモバイルゲームや容易なデジタルウォレット決済がその拡大を後押ししています。
アクティブなゲーマーの増加により、eスポーツの視聴者数は新記録を更新しており、eスポーツの参加者数は2021年の980万人から2027年には1870万人へと、ほぼ倍増することが予測されています。標準的なファンは週に平均5時間、eスポーツのコンテンツを視聴しています。通信会社や飲料ブランド、グローバル企業による大型スポンサー契約が、プロチームの支援、トーナメントの資金提供、草の根レベルでの育成を通じて、この急成長を後押ししています。

パートナー
Baker McKenzie
バンコク
Tel: +66 2666 2824 (ext. 1013)
Email: Naris.Asavathongkul@bakermckenzie.com
過去10年間で、草の根のゲーミング・コミュニティやカジュアル・ゲーミングは、体系化された競技産業へと成熟しました。タイではこれまでに1400以上の大会が開催され、トップチームは賞金として約3000万米ドルを獲得しています。
2025年には、バンコクのインパクト・アリーナで世界有数のeスポーツ大会の一つである「VALORANT Masters」が開催され、同市にとって歴史的な出来事になりました。このイベントには世界トップクラスの44チームが集まり、賞金総額50万米ドルを懸けて競いました。これは東南アジアで初めて開催された大会となり、同地域のデジタル強国としてのタイの台頭を象徴するものとなりました。
また、タイのクリエイティブな才能は世界にも広がっており、ハリウッドはタイ製ホラーゲーム『Home Sweet Home』を原作とした映画『Home Sweet Home: Rebirth』を今年、公開しました。この作品では著名なタイ人俳優と国際的な俳優が共演しています。
タイのeスポーツは、単なるエンターテイメントの領域を超えて進化しています。それはデジタル・リテラシーと若者の育成を推進する戦略ツールとなっています。マヒドン大学の「Buff to Build Number One(ナンバーワンを目指した強化)」や、SCG財団の「esports as a career path(キャリアパスとしてのeスポーツ)」の取り組みなどは、このトレンドを象徴するものです。デジタル経済振興庁のような政府機関も、若いゲーマーのスキル向上を目的としたイベントやワークショップを定期的に開催し、ゲームを実現可能なキャリアの選択肢として再定義しています。
若者のスキル向上と新たなキャリア形成の促進における役割を基盤として、タイ政府は現在、eスポーツをソフトパワーおよびスポーツ政策に組み込み、競技ゲームを正当なスポーツとして位置づけ、オリンピック選手と同様にアスリート育成に資金を提供し、主要なトーナメントにタイの文化的モチーフを取り入れることで、国家のアイデンティティと影響力を海外へ発信しています。
ゲームに関する法的観点

シニア・アソシエイト
Baker McKenzie
バンコク
Tel: +66 2666 2824 (ext. 1035)
Email: Soravit.Vongbunsin@bakermckenzie.com
ゲームの世界は主に未成年者によって構成されています。タイ法において未成年者とは20歳未満の個人と定義されています。この法的地位には重要な意味があります。未成年者が行った取引は取り消し可能とされ、法定代理人(通常は親)がそれを取り消す権利を有します。
例外は存在し、遺言や未成年者の生活に必要とみなされる行為などが該当しますが、オンラインゲームの取引は通常これらに含まれません。そのため、保護者の事前同意が得られていない場合、未成年者によるゲーム内取引は法的に異議を申し立てられる可能性があります。そのためゲーム開発者やサービス提供者は、このような取引の有効性に確実には依拠できない事態に直面しています。
この問題に密接に関連するのが個人情報保護の問題です。タイの個人情報保護法(以下、PDPA)の下では、個人情報の収集は合法的でなければならず、事前または同時の同意、もしくはその他の法的根拠に基づいて行われる必要があります。
有効な同意を得るためには、データ主体が未成年者である場合、慎重な検討が求められます。もし同意の行為が未成年者によって単独で行うことができない場合、つまりその立場にふさわしくない行為や、合理的な生活に必要ではない行為である場合には、親権者の同意を得ることも求められます。10歳以下の未成年者については、親の同意は必須です。
この要件は、親がゲームへの子供のアクセスを効果的に監視または制御できない可能性がある環境において、執行上の課題をもたらしています。たとえば未成年者がゲームの利用規約に同意したとしても、それがPDPAの下で有効な同意とみなされない可能性があり、その結果、個人データの収集および処理が違法となるおそれがあります。
同意およびデータ保護の問題のほかにも、仮想資産の性質が問題を法律的に複雑にしています。タイの財産法は、「物」(有体物)と「財産」とを区別しており、財産には価値を有する有形および無形の両方が含まれます。この文脈では、ゲーム内のアイテムやアカウントは財産として認められる可能性があります。
しかし、ゲーム内の仮想資産は、暗号通貨やデジタル証券とは異なり、正式に法的に認められたり、保護されたりすることはありません。この法律上の空白は、特にゲーム内アイテムの購入や取引において、消費者保護の面で課題を生じさせています。
ゲーム業界における法の進展

アソシエイト
Baker McKenzie
バンコク
Tel: +66 2666 2824 (ext. 1054)
Email: Thanadet.Wuttitaweewat@bakermckenzie.com
2008年:現行のライセンス制度――2008年「映画・映像法」の下で、ゲームは「ビデオ」の一部として分類されており、同法ではゲームを個別に定義していません。タイでゲーム
を展示または配布するには映画・映像委員会の事前承認が必要であり、ライセンスを取得せずにビデオ配給事業を運営することは禁止されています。
違反した場合、行政罰および刑事罰の対象となります。しかし、同法は時代遅れであり、現在のゲーム規制の実態を反映していないため、新たな立法草案の策定が促されています。
2021年:eスポーツが公式認定――2021年、タイはeスポーツをプロフェッショナル・スポーツとして公式に認定するという大きな節目を迎えました。この認定により、eスポーツ選手は従来のアスリートと同じ法的地位を得て、いくつかの権利と保護(労働法上および契約上の権利など)が与えられることになりました。これは、業界を合法化し、将来の発展のための基準を確立する、基礎的な第一歩となりました。
2023年:規制改革の試みと世論の反発――それから2年後の2023年、政府は「映画・ゲーム法」草案を提出し、時代遅れとなった2008年法を置き換えようと試みました。この草案は、「ゲーム」を定義し、公序良俗および国家の利益を保護するコンテンツ格付け制度を導入することで、規制の近代化を図ることを目的としていました。また、厳格な広告規制と最大500万バーツ(約13万5000米ドル)の重い行政罰金も提案しました。
しかし、この草案は国民からの強い批判にさらされました。利害関係者は「ゲーム」の定義がインタラクティブ・メディア特有の性質を反映していないと主張しました。提案された格付け制度は国際基準と整合していないとみなされ、罰則の厳しさは過剰な執行につながる懸念を引き起こしました。最終的にこの草案は撤回され、業界の実情を踏まえたアプローチの必要性が浮き彫りになりました。
2025年:産業振興と個別規制への転換――2025年初頭、新たな立法措置として「ゲーム産業振興法案(Draft Game Industry Promotion Act)」が提出されました。この提案は、2023年草案の欠点に直接対応するもので、ゲームを映画から切り離し、より特化した規制枠組みを提供しようとするものです。主な条項は以下のとおりです。
- オンラインゲーム事業者の登録要件
- グローバル・スタンダードに沿ったゲーム格付け制度
- ゲームを通じた違法賭博防止の監視体制
- 産業発展を支援する専用基金の設立
- サイバーポリスおよび新設の規制委員会による監督強化
この草案はまた、社会的責任にも重点を置いており、未成年者へのゲームの心理的影響に対処し、デジタル・リテラシーを促進するための措置を盛り込んでいます。特筆すべきは、この草案策定の過程で民間セクターがより積極的な役割を果たし、確実に実用的で執行可能な規制となることを目指している点です。
2025年:ソフトパワーと戦略的促進――規制改革と並行して、2025年にはソフトパワー・ゲーム小委員会によって「ソフトパワー・ゲーム促進法(Soft Power Game Promotion Act)」も提案されました。この取り組みは、ゲームがタイのクリエイティブ経済を牽引する存在として認識されつつあることを反映しています。
複数の立法草案が同時に提出されたことは、ゲーム産業の規制と振興の両面における政策的関心の高さを示しています。
結論
タイは、アジアのeスポーツおよびゲーム産業において急速に頭角を現しており、その爆発的な成長は並外れた潜在力を示しています。米国の400億米ドル規模のゲーム市場などと比べると後れをとっているものの、その勢いは疑いありません。業界の急速な発展に規制を適合させ、イノベーションを促進しつつ、参加者を保護することが極めて重要になります。
タイの立法プロセスは通常3~5年をかけて進められますが、幅広く利害関係者と協議を重ねることで、最終的な政策は確実に強固で将来を見据えたものになります。継続的な支援と改革が進めば、タイは地域のハブとなるだけではなく、デジタル分野で世界のリーダー的存在として確立する可能性を秘めています。

195 One Bangkok Tower 4
30th-33rd Floors, Wireless Road
Lumphini, Pathum Wan
Bangkok 10330 Thailand
Tel: +66 2636 2000
Fax: +66 2636 2111
Email: Bangkok.Info@bakermckenzie.com
www.bakermckenzie.com





















