好機と成長の時:インドにおけるプライベート・エクイティ

    By Cyril Shroff • Aditi Manchanda • Saloni Shroff/CyrilAmarchand Mangaldas
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    長年にわたり、インドではプライベート・エクイティ(PE)の飛躍的成長が目前に迫っているマーケットとして語られてきました。その可能性は今、現実のものとなっています。現在、世界の投資家はインドを周辺的な投資先ではなく、中核的な地域として位置付けています。政策の明確化、マーケットの深み、そしてインド企業のプロモーター(創業家や経営者)が企業の制度化に前向きであることが相まって、活発で、強靭であり、ますます洗練された投資環境が形成されています。

    Cyril Shroff-
    Cyril Shroff
    マネージングパートナー
    CyrilAmarchand Mangaldas
    Mumbai
    TEL:+91 22 2496 4455
    Email: cyril.shroff@cyrilshroff.com

    インド企業の姿も根本的に変化しています。かつてはファミリービジネスや多国籍企業が支配的でしたが、現在ではプライベート・エクイティが推進力としてその中心にあります。

    この変化を牽引している要因はいくつか存在します。インドのインフラ需要、膨大な消費者基盤、金融サービスの拡大、そして事業承継の課題が、ビジネスファミリーに対して事業の売却や経営権の委譲を促しているのです。

    しかし、これはあくまで出発点にすぎません。ナレンドラ・モディ首相が掲げる「ヴィクシット・バーラト(Viksit Bharat)」構想――2047年までに先進国入りを果たし、経済規模を30兆米ドルに拡大するというビジョン――は、かつてない規模の資本投入が求められます。

    プライベート・エクイティは、この道のりにおいて触媒的な役割を果たす独自の立場にあります。それは単なる資本供給としてだけではなく、ガバナンス、経営の深度、戦略的規律をもたらすものです。インドがこの野心を実現する過程で、PE投資の機会規模は変革的なものとなるでしょう。

    2025年の現状

    米国大統領選挙や関税措置に関連する世界的な不確実性があるにもかかわらず、インドのPE市場は2025年を堅調に迎えました。依然として潤沢なドライパウダー(未投資資金)があり、上半期には一次投資、セカンダリー取引、エグジットの全領域で活発な動きを見せています。テクノロジー、消費財、金融サービス、ヘルスケアが引き続き主要セクターを占め、投資家が長期的価値を見出す分野を示しています。

    新たな支配権戦略

    PE投資家の信頼感を示す明確な兆候の一つが、プラットフォーム取引や支配権取得型ディールの増加です。長らくインドは少数持分投資が中心のマーケットでしたが、今やその構図は明確に変化しています。支配権または共同支配権を伴う取引が主流となり、規制への理解、成熟した法制度、そして企業の制度化に前向きなプロモーターの存在がこれを後押ししてます。

    スポンサー(投資ファンド)は、拡張性のあるプラットフォームを構築し、企業をプロフェッショナル化し、ボルトオン型買収を実行するために支配権を求めています。このアプローチは、所有権と経営戦略の整合性を高めるものです。さらに、公開されたマーケットでのエグジットの実現可能性が高まったことも追い風となっています。多くのグローバル投資家にとって、インドへの投資配分はもはや「選択肢」ではなく「必須」となっているのです。

    規制の枠組み

    Aditi Manchanda
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    規制改革は、投資環境の整備において極めて重要な役割を果たしてきました。過去10年間で、ほとんどの産業分野への外国投資は自動承認ルートへと移行し、100%の外国投資、または自由化された上限までの自動承認が可能となりました。現在、インドの大半の産業分野では自動承認ルートによる100%の外国直接投資(FDI)が認められており、政府承認が必要なのは一部の特定分野に限られています。

    防衛産業では74%まで自動承認、宇宙分野ではサブセクターに応じて49〜100%、通信分野は完全自由化されました。保険業は2021年に49%から74%へと上限が引き上げられ、政府は特定条件下で100%を認める提案を行っています。このような着実な自由化により、外国投資家はインドの規制環境に対する予見可能性と信頼性を高めています。

    さらに、外国投資を促進する産業分野の開放に加え、近年のターゲット型改革が、近年の多くの的を絞った改革が、国内外の投資家による取引の構築・実行方法において重要な役割を果たすでしょう。

      1. レバレッジド・バイアウト(LBO)。2025年10月、インド準備銀行(RBI)は、特に上場企業を対象に、国内企業による買収資金をインドの銀行が融資できる枠組みを提案しました。これは重要な進展であり、適切に実施されれば、他国のバイアウト市場を支えてきた構造をインドでも実現できる可能性があります。
      2. 海外直接投資(ODI)および株式スワップ。外国為替管理法(FEMA)に基づくODI規制の改正により、居住者と非居住者の間で株式スワップが可能となりました。これにより、スポンサーはインバウンドとアウトバウンドの双方の取引構造を柔軟に設計し、プラットフォーム再編を効率的に行うことができます。
      3. ファストトラック合併。会社法の改正により、非上場会社、親子会社間、子会社同士の合併にもファストトラック手続が拡大されました。これにより、統合や再編が簡素化され、PE投資戦略の中核ツールとしての有効性が高まっています。
      4. GST 2.0。2025年9月に発表された改革では、税率区分が簡素化され、375品目以上の税率が引き下げられました。これにより、多くの業種でEBITDA(利払い・税引前・償却前利益)マージンが200〜300ベーシスポイント上昇し、インド企業の事業面・評価面の魅力が高まると見込まれています。

    規制当局による制度整備が進む一方で、執行面での監視は強化されており、企業は引き続きコンプライアンスに対する責任を負っています。監督機関は市場動向の追跡において、より高度かつ連携的になっています。

    このような状況下で、取締役責任は増大しており、取締役が通知を受けるケースも増えています。社外取締役向けのセーフハーバー規定や、取締役・役員賠償責任保険(D&O保険)は、依然として重要な保護手段となっています。

    承認とタイムライン

    Saloni Shroff
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    承認手続は依然として取引スケジュールに影響を与えるが、その環境は進化しています。

    インド競争委員会(CCI)は昨年、届出基準を改定し、取引額が200億ルピー(約2億2730万米ドル)を超え、かつ対象企業がインドで実質的な事業活動を行っている場合に届出を義務付けました。従来の資産・売上基準に加えた新たな基準です。

    グレーゾーンに該当する案件では、CCIとの事前協議(プレファイリング・コンサルテーション)が広く活用されている。問題のない案件については、CCIの承認が30〜45日以内に完了するようになり、取引関係者により高い確実性を提供しています。

    非銀行金融会社(NBFC)への投資に関しては、支配権の変更または26%以上の持株比率変更に対するRBI承認が必要であり、現在は「Pravaahポータル」を通じて申請が行われています。RBIは依然として詳細な情報を求めるが、照会頻度が増す一方で、単純な案件では審査期間が短縮される傾向にあり、過去に比べて明確な進展が見られています。

    インドと国境を接する国からの投資に必要な「プレスノート3」承認は、当初大きな不確実性を生みましたが、現在は安定しています。特にテクノロジー分野では多数の承認が下りており、手続の予見可能性が高まっています。さらなる緩和も今後期待されています。

    IPO市場

    インドの公開市場は、信頼できる出口戦略としての地位を確立しています。インド証券取引委員会(SEBI)は、リバース・フリップを通じて取得された転換証券を含む「オファー・フォー・セール(売出)」部分に関する最低保有期間を緩和し、また、プロモーターの出資規制を改正して、機関投資家が20%の要件を満たすことを認めました。

    さらに2025年9月、SEBIは5000億ルピーを超えるIPOについて、最低公開株式比率の引き下げと、公開持株比率の達成期限の延長を提案しました。これらの改革により、IPOはより迅速かつ柔軟になり、セカンダリー取引やコンティニュエーション・ファンド戦略と並ぶ選択肢として位置付けられています。

    今後の展望

    最も顕著な変化は、投資家の姿勢にあります。インドはもはやフロンティア市場とは見なされていないのが現状です。国内外の投資家は、ミッドマーケットおよびコントロール・ディールにおいて長期的なコミットメントを行っています。

    IPO、セカンダリー取引、コンティニュエーション・ファンドは並行して進展しており、進化の途上にあるとはいえ、10年前と比べてはるかに安定的で予測可能な規制枠組みに支えられています。

    インドのプライベート・エクイティは、もはや新規性ではなく成熟の段階にある。スポンサーは成長を観察する立場から、成長を積極的に形成する立場へと移行している。進むべき方向は明確だ。プライベート・エクイティはインドの成長を資金面で支えるだけでなく、その成長のあり方をも形づくる存在となるでしょう。

    Cyril-Amarchand-MangaldasCyril Amarchand Mangaldas
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