LinkedIn
Facebook
Twitter
Whatsapp
Telegram
Copy link

多くの法律事務所が、M&Aの活動が活発化すると予想し、楽観視しています。このリーガル・ガイドでは、4つの主要市場における現状について探ります。

インド

日本

ロシア

台湾

インドM&A関連法規制に関する分析

インドにおけるM&A活動は、金利上昇とインフレの高まりという世界的な逆風で深まった2023年の大きな混乱においても柔軟に推移し、国際的な投資家にとっての魅力を確固たるものにしています。これによりインドは、アジア太平洋地域においてM&A活動の主要拠点としての地位を維持することになりました。国際的なM&A市場の低迷にもかかわらず、インドの急成長は加速する傾向にあり、年間成長率の予測は6~7%、さらに8%以上になるとも見込まれています。

2023年のM&Aの取引は件数で10%減、金額では27%減でしたが、2024年第1四半期に市場活動は復活し、前四半期比、前年同期比ともに大幅に増加しました。中規模のプレイヤーが、事業規模を拡大する手段として水平型M&Aを駆使して市場プレイヤーを統合することが、この活況のほぼ半分に貢献しています。また、コングロマリットは、中核事業を超える新たな成長事業を創出し、事業を多角化するため、M&Aを活用してきました。

M&Aの取引構造

Raghubir Menon, Shardul Amarchand Mangaldas & Co
Raghubir Menon
パートナー、M&A・プライベートエクイティ・プラクティス地域責任者
Shardul Amarchand Mangaldas & Co
ムンバイ
Email: raghubir.menon@AMSShardul.com

企業はM&Aを活用して市場拡大、スケールメリット、事業の多様化など戦略的目標を達成していますが、その取引構造には、契約条件、対価、適法性、当事者間のリスクと報酬の配分が含まれます。

最も一般的なM&A取引は以下の通りです。

(1)買収 買収には次の2つの方法があります。(a)プライマリー投資:発行者から直接、株式を取得する。(b)セカンダリー取引:発行者以外のプロモーター、従業員、既存の投資家などから株式を購入する。このような取引のための文書として、買い手と売り手との間で結ぶ株主間契約と株式譲渡契約があります。

(2)2013年会社法に基づく合併 インドでの合併・統合は、会社法審判所(NCLT)によって進められますが、これには通常、時間のかかる手続きが伴います。しかし、中央政府の承認を得れば、NCLTでの手続きを回避できるファストトラック合併という例外があります。加えて、2018年の外国為替管理(クロスボーダー合併)規則は国際的な合併取引に関する規制の枠組みを提供するもので、これはインド準備銀行が定めた条件の遵守を確実なものにすることから、多くの合併をインド国内で実現してきました。破産・倒産法は、経営難に陥った法人の価値を最大化することを目的とする解決計画のひとつとして、合併・統合を含む企業再編を行う機会を買収者に提供しています。

(3)資産および事業の買収 インドでは、重要な事業資産と事業を、継続企業として取得することが一般的です。事業譲渡契約または資産購入契約は、譲渡証書とともに、このような取引を円滑に進めるための契約です。

規制の枠組み

インドの規制の枠組みでは、利用する投資ビークルの種類に応じて多様な分類の投資経路を提供しています。M&A活動を規制する主な法律としては、2013年新会社法、1872年インド契約法、1992年インド証券取引委員会法、1999年外国為替管理法、1961年所得税法、2002年競争法、2016年破産倒産法があります。

これらの法律には通常、規則、規制、通達、場合によってはプレスノートやその他の政策文書が添付されています。州や地方にも多くの規制があり、それとともに業種別の多くの法律がまとまって、法規制の全体像が形作られています。

M&A関連法規制の動向

Jeel Panchal, Shardul Amarchand Mangaldas & Co
Jeel Panchal
シニア・アソシエイト
Shardul Amarchand Mangaldas & Co
ムンバイ
Email: jeel.panchal@AMSShardul.com

インドのM&Aに関する法規制の枠組みは、技術の進歩と経済の要求に対応しつつ、投資家にとって円滑な買収プロセスを確保するために絶えず進化し続けています。

(1)証券の電子化の義務付け 企業省(MCA)は、すべての非公開会社(2023年3月31日時点での小企業は除く)に対し、有価証券の電子形式での発行を義務付け、また2024年9月30日以降は、既存の有価証券についてもすべて電子化を促進することを義務付けました。これは、非公開会社の規制を公開会社の規制と統一することで、事業の効率性を高め、株式譲渡の透明性を向上させ、株式の権利に関する法的紛争を減らすことを目的としたものです。

(2)ファストトラック合併 インドでの合併プロセスを迅速化するため、MCAは、中央政府が合併スキームを承認するまでの時間を短縮し、また、異議が提起され、それに対して中央政府が60日以内に措置を取らなかった場合、みなし承認することを導入しました。

(3)インド競争法の主要な改正点 従来の資産回転率マトリクスに取引価値の閾値が追加されました。さらに、インド競争委員会(CCI)が合併を承認するための全体のスケジュールを、210日から150日に短縮しました。改正では、CCIが「実質的な影響力」という基準を用いて企業支配の程度を評価する慣習を、本法に組み込んでいます。

(4)公開会社の外国証券取引所への上場 特定のクラスの公開会社は、認められた外国法域にある、認められた証券取引所に上場する目的で証券を発行することが許可されています。

(5)市場での噂の明確化 インド証券取引委員会は、2024年6月1日から市場価値で上位100の上場企業に対して、次いで2024年12月1日からは101位から150位までの上場企業に対して、「重要な株価」変動を引き起こすメディアの報道情報について、承認、あるいは否定、あるいは明確にすることを義務付けました。

(6)インドのデータ・プライバシー制度の改善 2023年8月11日より施行されている2023年デジタル個人データ保護法は、2000年情報技術法の第43A条に基づくインドの現行データ保護規制と、その関連規則に代わるものです。同法はまた、M&A活動に影響を与えることになるでしょう。取引に基づき情報が共有されている個人のひとりひとりから、改めて新たなに同意を得る必要があるからです。

M&Aの成長要因

Ketayun Mistry, Shardul Amarchand Mangaldas & Co
Ketayun Mistry
アソシエイト
Shardul Amarchand Mangaldas & Co
ムンバイ
Email: ketayun.mistry@AMSShardul.com

データ分析と人工知能(AI)によって、M&Aのプロセス全体を通して、より多くの情報に基づく迅速な意思決定が可能になり、M&Aの状況は大きく変わりつつあります。企業はイノベーションを促進したり、深層データ分析を行ったり、ルーチンワークを自動化するために生成AIを導入し、その能力を活用しています。

この傾向は、DatabricksによるMosaicMLの13億米ドルでの買収や、Thomson ReutersによるCasetextの6億5000万米ドルでの買収など、注目を集めた買収に顕著に表れています。また、M&Aの対象となる企業のコンプライアンス、すなわち外国為替や企業の法令遵守の中でも特に、環境・社会・ガバナンス(ESG)の遵守を通して強調される持続可能性に向けた取り組みについて、新たな関心が寄せられています。

新政権がマニフェストに掲げたインフラ、防衛、観光、農業、住宅、製造業への注力は、これらの分野への投資の増加につながる可能性があります。

M&Aの急増に伴い、インドでは以下のような、いくつかの重要な取引が行われました。

(1)綿密に練られた戦略的買収によりJaypee Infratechを獲得したSuraksha Realtyは、競争の激しい不動産分野での地位を強化することになりました。取引額は約24億5000万米ドルに及び、金額ではインドで最大の取引となりました。

(2)Proximus OpalによるインドのSaaS分野の企業、Route Mobileの過半数株式(約82.70%)の取得は、強制公開買付けと、市場からの追加の未公開株購入を通じて行われました。

(3)Star India Private、Walt Disney、Viacom18 Media Privateの3社によるジョイント・ベンチャーは約45億3000万米ドルと評価され、電気通信・エンターテインメント業界での最大の取引の一つとなりました。

(4)Reliance Industries(RIL)は、インドでのデータセンター開発を行うジョイント・ベンチャー設立のため、Brookfield InfraとDigital Realtyの株式の33.33%を取得しました。

課題

地政学的緊張と内向きの経済は市場にとって2つの最大の課題ですが、一方、インドの(M&A市場での)取引の評価は、予想される成長率とインド市場が世界の同業他社と比較して、どれほどのプレミアムが付加されるかに影響を受けます。

また、投資家は、資本集約型ビジネスへの関心を失い始めており、ZestMoneyとFrontrowの事業停止に見られるように、投資段階で、実現可能な収益への道筋が明確であることを重視しています。企業は、過去に資金調達の業界を支配していた際限なく成長を求めるような超拡大主義ではなく、キャッシュフロー重視の、よりスリムな経営モデルを採用することが奨励されています。

結論

インドは世界経済の主要なプレイヤーの一つであり続け、その経済規模は2025年までに5兆米ドルにのぼると予想されており、世界中の投資業界にとって魅力的な市場になっています。金融サービス、テクノロジー、製薬、ヘルスケア、工業などの分野は、価値創造と市場シェアの観点から、国内市場で活発な動きを続けるでしょう。

特にテクノロジー業界は、2024年の外国企業によるインバウンドM&Aの分野で、最も高い成長を遂げると予想されています。インド企業とのM&Aの取引を進めたいならば、外国企業も国内企業も、インド国内の過去の判例を踏襲しつつ、法規制の変更に適応しなければなりません。そうすることで当局からの干渉を受けず、取引を順調に進めることができるのです。

SHARDUL AMARCHAND MANGALDAS & CO
23/F, Express Towers, Nariman Point
Mumbai – 400 021, India
Tel: +91 22 4933 5555
Email: connect@AMSShardul.com
www.amsshardul.com


日本におけるM&Aストラクチャーの意義と特徴

株式譲渡と公開買付(TOB 株式譲渡は、対象会社の株主が保有する全株式または一部の株式を購入することにより、対象会社の支配権を取得することを指します。この行為は、基本的に売り手と買い手の間での株式売買契約で成り立ちます。日本企業と外国企業、または外国企業同士のクロスボーダー株式譲渡も可能です。

株式譲渡の利点は、手続きが比較的簡単であることです。対象会社の契約に支配権変更条項がない限り、債権者や契約の相手方の同意(従業員の個別同意を含む)は必要ありません。これに対して、事業譲渡の場合、負債や契約の移転には原則として債権者や契約相手方の同意が必要です。

公開買付(TOB)は、上場会社の株式を取得するための最も重要な方法の一つであり、市場外で不特定多数の人々に対して行われる入札のプロセスです。市場外で大量の株式が取得されるため、TOB規制は適切な情報開示と株主への平等な待遇(公平な売却機会)を義務付けています。これらの規制は、対象株式が日本のTOB規制の対象である限り、外国企業にも適用されます。

Yusaku Akasaki, Chuo Sogo LPC
赤崎雄作
パートナー
中央総合法律事務所
大阪
Tel: +81 6 6365 8111
Email: akasaki_y@clo.gr.jp

合併・会社分割・事業譲渡 合併は、複数の会社が一つの会社に統合される組織再編行為です。

会社分割は、会社の事業に関連する権利と義務の全部または一部を分割し、他の会社に移転させることを目的とした組織再編です。会社分割では、分割された権利と義務は、法的効果として承継会社または新設会社に包括的に承継されます。

会社分割の利点は、対象となる資産、負債、契約が包括的に承継されるため、個別の同意が不要であることです。さらに、税法上の適格分割の要件を満たす場合、譲渡損益に対する課税を繰り延べることができるという利点があります。

事業譲渡は、会社がその事業の全部または一部を他の会社に譲渡することを指します。合併や会社分割では包括的な承継が行われるのに対して、事業譲渡では、資産と負債が契約上の取引を通じて個別に譲渡、承継される点が異なります。

事業譲渡の利点は、会社の事業の一部のみを選択的に取得できるため、偶発負債のリスクを比較的容易に回避できることです。

会社法の定義における「会社」には外国会社が含まれないため、外国会社とのクロスボーダー合併と会社分割は日本では認められていません。

しかし、実際には三角合併や三角分割の方法を用いることが可能です。外国会社との事業譲渡は会社法の文言によって制限されていないため、クロスボーダー事業譲渡は可能です。

株式交付 2021年3月に施行された改正会社法で導入された株式交付は、会社が自社株式と引き換えに他社の株式を取得し、被取得企業を子会社化する組織再編行為です。

合併や株式交換とは異なり、株式交付は他社の株式の一部を取得するために使用でき、検査役調査や、現物出資(現金以外の財産の出資)に関するその他の制限の対象にはなりません。

税法上も、株式交付による譲渡損益の課税の繰り延べを認めており、株式交付の利用が促進されています。現行の会社法では、株式交付は合同会社や外国会社を当事者とすることはできませんが、外国会社を当事者とする株式交付を認める改正案が近く提案される予定です。

クロスボーダーM&Aにおける規制

Jun Niizawa, Chuo Sogo LPC
新澤 純
アソシエイト
中央総合法律事務所
大阪
Tel: +81 6 6365 8111
Email: niizawa_j@clo.gr.jp

法規制の概要 日本においてM&Aを行う際に適用される法規制には、会社法、金融商品取引法、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)、有価証券上場規程が含まれます。クロスボーダーM&Aにおいては、外国為替及び外国貿易法(外為法)によって補完されます。さらに、対象会社が特定の業種で事業を行っている場合、対応する業界規制が適用されることがあります。ここでは、独占禁止法と外為法について詳述します。

独占禁止法 独占禁止法の下では、いかなる取引分野においても競争を実質的に制限する株式取得、合併、会社分割、事業譲渡(事業結合)は禁止されており、公正取引委員会(JFTC)による排除措置命令の対象となります。一定の要件を満たす事業結合は事前届出義務の対象となります。届出義務の閾値は取引の種類によって異なりますが、一般的には関係会社と対象会社の国内売上高が一定の閾値を超えることが基準となります。

届出がJFTCに受理されると、30日間は事業結合を行うことができません。この期間中にJFTCは以下を判断します。(1)事業結合が独占禁止法に問題がないか、(2)さらなる詳細な審査が必要か、または(3)違反の疑いを排除するための自主的な手続きを行うべきか。

(2)の場合、JFTCによる第2次審査は6カ月~1年を要することがあります。(3)の場合、是正措置の計画を提出して、JFTCに、違反の疑いを排除するのに十分であり、確実に実施されることが見込まれると認定される必要があり、これにはかなりの時間を要することがあります。

Daigo Kawano, Chuo Sogo LPC
河野大悟
アソシエイト
中央総合法律事務所
大阪
Tel: +81 6 6365 8111
Email: kawano_d@clo.gr.jp

外為法 外為法は、外国投資家による特定の対内直接投資と特定取得に対して、事前届出を義務付けています。届出が必要な取引には、日本の非上場会社の株式または持分の取得、上場会社の株式または議決権の1%以上を密接関係者と共に保有する取得が含まれます。株式譲渡によるM&Aの場合、外為法の適用に注意を払う必要があります。

最も一般的な論点は、対象会社が指定業種で事業を行っているかどうかです。指定業種の範囲は広く、国の安全保障、公序良俗、公共の安全の確保、日本経済の円滑な運営の観点から決定されます。

実際には、対象会社が指定業種で事業を行っているかどうかが不明な場合、デューデリジェンスを行って判断します。

会社が届出規制の対象である場合、事前届出書を日本銀行に提出しなければならず、受理後30日間は取引が禁止されます。

ただし、外国投資家の属性、発行会社の属性、投資の性質と目的に照らして、対内直接投資が国家安全保障を損なわないと判断された場合、禁止期間は約2週間に短縮されることがあります。

最近の話題

企業買収における行動指針(2023年8月31日制定)。この指針は、上場会社の経営支配権の取得に関する公正なルール形成のために、経済的・社会的文脈で共有されるべき原則論やベストプラクティスを提示することを目的としています。

法的拘束力はありませんが、日本の上場会社を買収する当事者はこの指針に従うことが望ましく、日本の対象会社もこの指針に従って行動することが期待されています。

公開買付実施義務を拡大する改正金融商品取引法の制定(2024年5月15日制定)。主な改正点には、義務的公開買付規制の範囲の拡大、義務的公開買付を必要とする閾値の現行の3分の1(約33%)から30%への引き下げ、市場内取引への義務的公開買付規制の適用、大量保有報告制度の範囲の明確化、例外の特定が含まれます。

これらの改正は公布から2年以内に施行される予定です。

外国会社を当事者とする株式交付M&Aを可能にする改正会社法提案の見込み 現在、日本のM&A取引において、他の会社を子会社とするために株式交付を行うには、両当事者が日本の会社である必要があります。2024年度中に議論されると見込まれる改正案では、外国会社との株式交付によるM&A取引も可能にすると想定されます。

Chuo Sogo LPCCHUO SOGO LPC
Kohda Building 11th floor, 2-10-2 Nishitenma,
Kita-ku, Osaka, 530-0047, Japan
Tel: +81 6 6365 8111
Fax: +81 6 6365 8289
www.clo.jp/english


ロシアのM&A市場の概要と動向

2023年、ロシアのM&A市場は取引件数と平均取引額の両方で全体的な減少を示しており、これは世界のM&A市場と概ね一致しています。ロシアのM&A市場に影響を与える主な経済要因は、高いインフレ率と通貨の変動です。

ロシアのM&A市場は引き続き、地政学的な課題によって影響を受けています。ロシアはアジア、中東、ラテンアメリカ、アフリカとのより深いビジネス協力関係を築こうとしている一方、米国やヨーロッパの長年のパートナーとの関係はほとんど断たれています。したがって、上記の純粋な経済要因に加えて、ロシアのM&A市場は海外からの外国投資の不足にも苦しんでいます。

とはいえ、2023年の終わりから2024年の初めにかけて、国内のプレイヤー間の取引や、EUや米国以外の法域からの新しい外国投資家が関与するクロスボーダー取引の増加により、M&A市場は徐々に回復しています。

その結果、2024年にはロシア市場でのM&A取引件数が、特にテクノロジー、農業、建設、開発セクターで引き続き増加することが期待されています。

Artashes Oganov, Seamless Legal
Artashes Oganov
パートナー
Email: artashes.oganov@sl-legal.ru

今年の主な市場動向は以下の通りです。

  • 撤退する外国投資家から取得した資産の、戦略的投資家や業界リーダーへの二次販売
  • 撤退する外国投資家の資産を引き継ぎ、現在、事業を継続しなければならない企業の再編と再構築
  • やアジアの投資家によるロシア資産への関心の増加
  • ビジネスグループの継続的な統合と新しいセグメントへの参入に伴う垂直統合
  • 2022年に始まった外国(主にEUと米国)企業の撤退は継続しているものの、大幅に減少している
  • かつて一般的に使用されていた西側の信用枠へのアクセスが失われ、ローン金利の大幅な上昇により、さまざまな規模や業種の企業によって、国内IPOや二次公募のブームが引き起こされた

取引構造

関与する当事者に応じて、M&Aの取引構造は2つの主要なグループに分けられます。

第一のグループには、EU、米国、英国の制裁圧力によって後押しされた、撤退する外国企業との取引が含まれます。これらの取引は、実質的に簡略化され、市場外の条件の下に行われます。主な特徴は以下の通りです。

  • 売り手の責任が厳しく制限されるか、完全に排除される
  • 購入者に提供される保証、補償、表明の数が大幅に削減される(通常は所有権と能力に限定される)
  • 売却資産の市場価値に対する割引が50%またはそれ以上
  • 2022年以前にはロシア市場では一般的でなかった仲裁機関を選択する。すなわち、国際商業会議所、ロンドン国際仲裁裁判所、ストックホルム商工会議所仲裁裁判所の代わりに、当事者は香港国際仲裁センター、シンガポール国際仲裁センター、または他の外国(例えばCIS諸国の仲裁機関)や国内の仲裁機関を選ぶ傾向にある
Georgy Daneliya, Seamless Legal
Georgy Daneliya
カウンシル兼アジア・イニシアチブ責任者
Seamless Legal
Email: georgy.daneliya@seamless.legal

第二のグループには、通常、市場標準のM&A条件で行われる地元のプレイヤー間の取引が含まれます。その条件は以下のようなものです。

  • 公正な価格設定とさまざまな価格調整のメカニズム
  • 売り手からの保証と表明の拡大
  • 売り手の強い責任と買い手への追加補償
  • 取引完了に先行する、または完了後の諸条件
  • 紛争の際は多くが現地の仲裁に委ねられ、連邦商事裁判所に委ねられることは少ない

それぞれの取引では、取引の当事者、その目標、その他の状況(新しい資産の取得、国際的な制裁への当事者の公表、既存の保有株式の再構築など)に応じて、上記の傾向にある両要素を異なる割合で組み合わせることもあります。

M&A取引の種類については、資産取引と株式取引の両方が市場プレイヤーによって行われており、その選択は通常、取得する資産、その所有構造、想定されるタイミング、取引に伴う税負担によって決まります。これまでのところ、市場プレイヤーの間では、比較的短いタイミングと低い税負担の組み合わせにより、資産取引よりも株式取引の方がはるかに人気があります。

法規制上の主な問題

過去数年間、ロシアの法規制上の環境は、外国投資家にとってより複雑なものになりました。同時に、2024年は2022年よりも、確実性がより高まっています。要件は理解しやすくなり、クリアランスの手続きはより確立され、明確なものになっています。

M&A取引に関しては、地元経済や金融システムを保護するために設計された「対制裁」規制によって法的枠組みが規定されており、これらはしばしば米国、EU、英国によって科された外部からの制限に酷似しています。その結果、外国企業とのすべての取引は、関与する外国企業の法域に関係なく、引き続き規制監視の強化に直面することになります。

対制裁規制は、すべての外国を「非友好的」と「その他」の2つの大きなカテゴリーに分けています。この区分は、特定の取引に適用される規制要件を特定する上で重要なものです。

Anastasia Dukhina, Seamless Legal
Anastasia Dukhina
シニア・アソシエイト
Email: anastasia.dukhina@sl-legal.ru

「非友好的」な国には、ロシアに対して制裁を科した国、他の制限措置を導入した国が含まれます。これらの国には、米国、英国、コモンウェルス諸国、すべてのEU加盟国、日本、シンガポール、韓国、台湾、ロシア政府が保有するリストに載っている他の法域が含まれます。

「非友好的」とは見なされず、政府のリストにない国には、中国、インド、トルコ、UAE、独立国家共同体(CIS)加盟国が含まれます。

ロシアの資産(株式資本、不動産、知的財産)に関するすべての取引で、少なくとも一方の当事者が「非友好的」な国に由来するか、またはそれらの国の個人もしくは法人の直接的または間接的な支配下にある場合、ロシア政府の特別部門(政府委員会)、または対象が戦略的産業(エネルギー、燃料、銀行など)で事業を行っている場合は、ロシア大統領による審査・承認の対象となります。これらの取引は、以下の基準を満たす必要があります。

  • 市場価値に対して50%か、それ以上の購入価格の割引
  • 取引完了後に、買い手が特定の主要業績評価指標(KPI)満たすこと。すなわち、従業員の雇用維持、特定の収入、その他の事業KPI達成など
  • 取引価値、またはそれが名目上のものである場合は、資産の市場時価の約15~25%のロシア国庫への支払いの義務づけ

政府委員会は適切と判断した場合、取引当事者が遵守すべきその他の要件や条件を追加することがあります。

取引の条件が複雑な支払い構造を示唆している場合や、ユーロまたは米ドルでの支払いを伴う場合など、ロシア中央銀行または財務省の事前承認が必要なケースがあります。

取引のクリアランスを取得するタイミングは確立されておらず、数週間から6~7カ月、またはそれ以上かかる場合があります。

純粋なM&A取引だけでなく、「非友好的」な国の外国投資家によるロシア企業に対する支配権の確立、変更、終了をもたらすようなその他の取引(SHA、株式の質入れなど)も、政府委員会の事前承認の対象となります。

上記の制限は、「非友好的」な国の投資家が関わるすべての取引に適用され、ロシアの事業を「友好的」な外国投資家または国内プレイヤーに売却することを目的とした取引も含まれます。しかし、規制上の障害すべてをクリアすることに成功した買い手は、通常、市場価値の50%未満で優良な資産を取得するという利益を享受できるのです。

既存の対制裁規制と外部からの制裁の強化により、M&A取引の法的側面に一定の発展が見られます。

ロシアの当事者が外国の法的サービスへアクセスすることは厳しく制限されており、これにより、外国の当事者が関与する場合であっても、外国と関連性のあるM&A取引の準拠法として、かつては第一の選択肢であった英国法から、香港法、シンガポール法、ロシア法に切り替える取引が増えています。

当事者は、「ロシア的な要素」と協働することを今でも厭わない、「非友好的」な法域に所在しない紛争解決機関を選択しなければなりません。

最後に、外国通貨や金融機関へのアクセスが制限されているため、M&A取引の当事者は、可能な場合は中国、UAE、ロシアの通貨で外国のパートナーと決済を行うか、従来とは異なる新しい支払い方法を模索せざるを得ません。

M&Aの展望

上記の制限と課題によって、ロシアの資産に関連するM&A取引の交渉・実行をする際には、外国投資家や国内投資家の双方に、さらなる注意が求められます。しかしながら、ロシア経済の新たな発展段階(生産の現地化の傾向、製品のライフサイクル全体を国内で確保する意向など)、国際的な大手企業のロシア資産からの撤退、資金調達と専門知識に対する継続的な需要は基本的に、国内外の規制上の制限・要件に適応し、乗り越える準備ができている投資家にとって非常に有利な新しい市場を形成しています。

SEAMLESS LEGAL
10 Presnenskaya Naberezhnaya, Block C
123112 Moscow, Russia
Tel: +7 495 786 40 00
Email: info@seamless.legal
seamless.legal


台湾への投資を促進させるコーポレート・ガバナンスの法規制

台湾のコーポレート・ガバナンスに関する規制環境は、さまざまな法律、規制、行政のガイドラインや規律で構成されています。一般的に、台湾で設立されたすべての会社は、会社法に従う必要があります。台湾証券取引所(TWSE)またはタイペイ・エクスチェンジ(TPEx)に上場している会社は、さらに金融監督管理委員会(FSC)によって公布された証券取引法(SEA)や関連規制、ならびにTWSEとTPExによって発行された規則(例えば、上場企業の企業統治のベストプラクティス原則)の適用を受けることになります。

会社法の下では、株式会社は取締役会、株主、監査役によって運営されます。株主の承認が必要な特定の状況を除き、取締役会が株主から委任された裁量権を持って会社を運営します。

取締役会は会社に対して受託者責任を負い、その決議が会社と株主の最善の利益にかなうようにする必要があります。監査役は取締役と経営陣の行動を監督する責任を負い、会社の会計や財務帳簿を調査・監査する権限を持っています。

上場企業のコーポレート・ガバナンスを強化するために、SEAはその時々の改正を通じて、独立取締役の導入、監査・報酬委員会の設置義務、公認会計士による監査・認証要件、会社の重要情報の開示義務、重要な資産の取得または処分の手続き、会社の重要な財務・運営業務上の処理など、厳格な内部統制の仕組みを規定しています。

コーポレート・ガバナンス:取引

James Hsiao, Dentons
James Hsiao
シニア・パートナー
Dentons
台北
Tel: +886 2 27020208 #206
Email: james.hsiao@dentons.com.tw

台湾における会社の合併と買収(M&A)を促進・規制するために、企業合併買収法(M&A法)が制定されました。2016年のM&A法の改正以来、上場企業は取締役会がM&A取引に関する決議案を採択する前に、M&A特別委員会を設置するか、既存の監査委員会にM&Aの計画と関連取引の公正性・合理性を審査させることが義務付けられています。

M&A委員会または監査委員会は、買収価格の公正性に関して独立した専門家の意見を求め、その結果を取締役会と株主総会に報告しなければなりません。

利益相反を防ぐために、取引と個人的な利害関係にある取締役または株主は、取締役会または株主総会での議決権行使を棄権する必要があります。しかし、M&Aを友好的に促進するために、M&A法は、会社が合併、買収または株式交換に参加する他の会社の株式を保有している場合、またはその代表者を他の参加会社の取締役に任命している場合、会社とその代表者はいずれも、関連する議案に議決権を行使することが許可されています。

このような「買収が先、合併は後」というシナリオは一般的であり、会社の利益を損なう可能性は低いと立法趣旨に明記されているため、議決権行使を棄権する必要はありません。

取締役会の承認を受けた後、M&A取引の議案が株主総会に提出されます。株主総会の前または開会中に書面または口頭で異議を表明し、書面で記録された株主は議決権を放棄し、公正な価格で会社に株の買い戻しを請求することができます。

長年にわたり、裁判所はM&A取引を承認する株主総会当日の終値に基づいて、異議を唱える株主の買い戻し請求に対して、公正価値を決定してきました。

2020年1月に商業事件審理法が制定され、商事裁判所に主要なビジネス紛争や上場企業の株主権行使に関する紛争を裁定する権限が与えられました。

この法律は、調停の強制的な実施、法的代理人の義務づけ、専門家証人の採用により、迅速で専門的な手続きを導入しています。

規制の最新情報

Iting Huang, Dentons
Iting Huang
アソシエイト
台北
Tel: +886 2 27020208 #209
Email: iting.huang@dentons.com.tw

近年、台湾の規制当局はコーポレート・ガバナンスの実践を改善するために監視を強化し、法改正を行ってきました。

(1)独立取締役から監査委員会への特定の監督権限の移行 2023年4月、行政院はFSCが提案したSEAの改正を導入し、上場企業の独立取締役はもはや、臨時株主総会(EGM)を独自に招集したり、取締役に対して訴訟を起こしたり、取締役との取引で会社を代表したりする権限を持たないことを規定しました。代わりに、これらの権限は監査委員会の決定に従うことになります。

改正前は、上場企業の独立取締役は、SEAに基づいて、監査委員会の合意または事前の取締役会の承認なしに、「必要な場合」に会社の利益のために、独自にEGMを招集する権限を持っていました。これらの規定は、独立取締役に監査役と同様の監督機能を持たせることを目的としていましたが、実際には、これらの規定は会社の支配権を得るための派閥争いの道具として悪用されてきました。

会社内の派閥は、対立派閥が任命した取締役を再選または解任するために、異なる独立取締役を利用して二重にEGMを招集していました。少数株主は双方のEGMの招集を禁止するために、裁判所に仮差止命令を請求することができるものの、裁判所と台湾の規制当局は中立的な立場を維持しています。

短期間に二重のEGMを会社が招集することを禁止する代わりに、裁判所はEGMの招集が会社の最善の利益に適しているか、必要とされているかをケースバイケースで判断していることから、少数株主が二重のEGMの手続きを停止することは困難になっています。

会社の支配権争いを避け、会社の運営を安定させ、少数株主の権利を保護するために、行政院はSEAの改正を採択しました。この改正により、EGMを招集すること、取締役に対する訴訟を提起すること、取締役との取引において会社を代表することは、監査委員会の決定が条件になりました。

監査委員会の招集に潜在的な課題があることを認識しつつ、取締役会が例外的な状況でこれらの問題に対処する権限を持つという規定が導入することで、経営上の混乱を回避しています。監査委員会の独立性と実効性を高めるために、違反した場合に罰則を科す措置が導入されました。

(2)会社の株式保有の透明性の向上 2023年5月10日から施行されているSEA第43-1条の改正により、上場企業の株式の大量取得の報告・開示基準が10%から5%に引き下げられました。改正後は、上場企業の総発行済株式の5%以上を取得する個人または法人は、直接なのか、ノミニー、配偶者、子供を通じてかにかかわらず、その取得を規制当局と公衆に開示しなければなりません。1%増加した場合も開示しなければなりません。

この変更は国際基準に合わせたものであり、会社の株式保有の重要な変更が迅速かつ完全に開示されることを保証し、投資家、会社、規制当局が会社所有権の大きな変更の理由を理解できるようにするものです。

(3)取引対価の公平性とM&Aの情報へのタイムリーなアクセスの確保 M&A法における取引対価の公平性と、M&A取引の情報へのタイムリーなアクセスの確保に関する不備を指摘した司法院釈字第770号解釈を受けて、行政院は2022年5月24日にM&A法の改正を公表しました。

新たに追加された第5条第4項の規定により、会社は株主総会の議案に、M&A取引における取締役の害関係について、重要な利詳細情報を記載することが義務づけられています。改正前は、会社は、株主総会で取締役の利害関係の詳細を説明することができました。

この改正により、株主の権利を保護するために情報の透明性を高め、株主が株主総会の前にM&A取引に関する重要な情報にアクセスして理解できるようにし、議案に対する議決権をより適切に評価・検討できるようになりました。

さらに、以前は、株主が会社に株の買い戻しを要求するためには、議決権を放棄し、株主総会の前または開会中に書面または口頭で異議を唱え、書面で記録される必要がありました。しかし、議決権を放棄することで、株主は買い戻し価格に関する交渉力が十分ではなくなる可能性がありました。

この懸念に対処するために、改正後の第12条は、株主総会において反対を表明し、議案に反対票を投じた株主も株の買い戻しを要求する権利を行使できることを規定し、合併に反対する株主のために明確な退出のメカニズムを確立しています。

今後の展望

国際基準に沿った強固なコーポレート・ガバナンスを実施することにより、台湾政府は国内外の投資家にとって信頼できる環境をつくり出しました。これらの変更は、台湾のキャピタル・マーケットの競争力を強化するだけでなく、長期的には台湾企業への外国投資を引き付ける上で重要な役割を果たします。

DENTONS
3F, No. 77, Section 2,
Dunhua South Road, Taipei, Taiwan
Tel: +886 2 27020208
Email: james.hsiao@dentons.com.tw
www.dentons.com

LinkedIn
Facebook
Twitter
Whatsapp
Telegram
Copy link