国際的なビジネス環境の変化と地政学的情勢の進展により、多くの外国企業がロシア市場でのプレゼンスの見直しを促されています。操業停止、商業活動の縮小、または完全撤退のいずれであっても、ブランド所有者にとっての実務上の結果は同じです。すなわち、ロシアで登録された商標が不使用状態に陥るリスクがあり、それに伴う法的脆弱性が生じるのです。
同時に、ロシアの消費者市場はユーラシア地域でも最大級の市場の一つであり、将来的な再参入の見込みがある中で、商標権を維持するという問題は単なる法的な形式にとどまらず、長期的な商業戦略の問題でもあります。
登録に基づくロシアの商標保護

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ロシアの法的枠組みでは、商標保護は厳格に登録制に基づいています。独占権は公的な登録により発生し、民法第1481条および第1484条に規定されているとおり、特定の商品・役務のリストについて発行される証明書によって裏付けられます。
保護範囲は実際の市場活動や商業上の評判ではなく、登録簿の記載に拘束されます。商業的には、商標は、マーケティング、品質管理、流通、消費者とのコミュニケーションへの投資という、ブランドに蓄積された価値を一つの標章に集約し、購入者が商品・役務の出所を、確実に識別できるようにします。
多くの企業にとって、登録商標は最も価値のある資産の一つです。登録の喪失は、単に法的権利を消滅させるだけではありません。再構築に何年もの時間と多大なリソースを要する戦略的手段を失うことになります。
3年間の不使用による取消リスク
民法第1486条の下では、商標が3年間継続して使用されていない場合、登録された商品・役務の全部または一部について、商標の法的保護が期限前に終了する可能性があります。利害関係者は、まず権利保有者に対して正式な提案を送付し、合意に至らない場合には、知的財産裁判所に請求を行うことで取消手続を開始できます。
使用の立証責任は権利保有者にあります。使用は、権利保有者自身、または権利保有者の管理下で行動する者によって、商標が使用される場合に認められます。2022年3月に、一定の商品・ブランドについて並行輸入が一部合法化されて以降、並行輸入ルートを通じた使用が普及していますが、これは上記の基準を満たすものではありらません。
2022年にロシアでの供給業務を停止または終了した企業にとっては、3年の猶予期間は2025年に過ぎており、その商標ポートフォリオは取消請求手続きに対してまさに脆弱な状態にあります。
商標への攻撃を招く受動的な不在
市場不在期間中の受動的な姿勢に伴うリスクは累積し、相互に強化されます。競合他社や悪意ある主体は登録簿を定期的に監視して、不使用期間に入った商標を特定しています。
同一または極めて類似する標章(著名ブランドの支配的要素を取り込んだ結合商標、翻字、または軽微な図形上の差異)の出願が、元の権利者の不在を悪用する形で用いられてきました。
Xiaomiの事案では、知的財産裁判所は、商標権者が使用の適格な証拠を提出できず、さらに、当該商品に関してロシアで広範な認知があったこと(個別の立証を要する事項)を立証できなかったため、第21類の商品について法的保護の終了を認めました(知的財産裁判所決定、2023年2月16日、SIP1257/2021号)。
その一方で、Amazon、NEC、Lenovo、Victoria’s Secret、その他の商標も同様の攻撃にさらされています。
取消しにとどまらず、長期にわたる不在は、希釈化や税関での執行メカニズムの喪失を招く状況もつくり出します。税関での執行メカニズムは、輸入時点での模造品対策において実務上きわめて重要な手段です。
ロシアの裁判所は、現行の裁判実務の下では、自主的な市場撤退を、民法第1486条の意味における不使用の正当事由とはみなしにくいです。法律は権利所有者の支配を超える事情を考慮することを許していますが、市場から退出するという判断は、現在の司法実務において、この基準を満たしません。
積極的な再出願による不使用期間のリセット
このような状況にある権利保有者が利用できる最も有効な手段の一つが、標章の再出願を積極的に行うことで、元のブランドとの法的なつながりを維持しつつ、新たな登録日を設定することです。これにより、3年の不使用期間がリセットされます。
新たな登録は、法的に脆弱な資産を、法的に最新の状態へと転換します。
ただし、再出願には構造上の制約があります。民法第1481条は、商標に対する独占権は単一の登録証によって証明されることを規定しています。
同一の権利所有者名義で、既に登録されている商標と同一の標章を、同一の商品・役務のリストについて公的に登録することは、独占権の性質と整合せず、公的利益に反するものとして、ロスパテント(連邦知的財産庁)が拒絶する可能性があります。したがって、戦略を策定する必要があります。
商標の再出願に関する3つの戦略
実際には、主に3つの方法があります。第一の方法は法的に最も分かりやすいもので、標章自体の変更を行うことです。すなわち、登録済の商標と同一ではないものの、その本質的な識別性を維持した標章を出願します。
これは、修飾語やプロダクトラインの識別子などの文字要素を追加すること、あるいは図形ロゴとは別に文字部分を単独で登録する、またはその逆を行うこと、あるいは図形上の軽微な修正を加えることによって実現します。
これにより、独占権の衝突を回避しつつ、元のブランドとの商業上の関係を維持することができます。
第二の方法は、標章はそのままにして、商品・役務のリストを変更するものです。異なる商品・役務の範囲をカバーする出願は、先の登録と抵触せず、独立した優先日のある新たな登録証を取得することができます。
第三の方法は、先の登録を放棄することを前提として、同一の商品について同一の商標の出願を行うことです。これは法的には可能ですが、優先日が回復不能に失われるため、商業的には最も望ましくありません。この選択肢は、最初の2つが適用できない場合にのみ検討すべきです。
異なる標章およびリストをカバーする複数の出願を組み合わせた戦略をとることで、最も柔軟で最も安定した法的地位が得られます。
手数料の変更に伴う指定の絞り込み
最近、商標の出願および更新に関する公的手数料の規則が改正され、最初の10項目を超えて指定される商品または役務ごとに追加料金が導入されました。
この変更は、再出願の戦略に直接的な実務上の影響を及ぼします。これは、保護の形式的な範囲を最大化することための一般的な実務である、商品・役務についての広範で包括的なリストの維持に要するコストが、大幅に増加するためです。
したがって、商品・役務リストの作成は、より慎重で商業的観点を重視したアプローチが求められます。権利所有者は、既存のリストを慎重に精査し、現実に、または将来的に商業的需要が見込まれる項目を特定すべきです。
現時点で使用されておらず、かつ予見可能な将来に現実的に使用される見込みもない項目についての保護は、追加の手数料負担が生じる一方で、これに見合う法的利益をもたらしません。
したがって、リスト作成における正確性は、コストの削減と、真に重要な商品・役務に関する保護範囲を明確化の両方に資するものです。さらに、このようなアプローチは、第三者の権利との潜在的な衝突リスクを大きく低減します。この衝突は、登録簿から抵触する商標の除去を目的として、第三者が提起する取消手続きや異議申立てにつながり得るものです。
既存の登録がロシアへの再参入を支える
ロシアにおける商業活動の再開が状況的に許されれば、有効な登録の存在は決定的なものになります。
既存の登録を有する企業は、不在期間中に出願された抵触商標に対して優先権を主張でき、外国の権利保有者に対して差別なく引き続き有効に機能している行政および司法の仕組みを通じて、権利行使を進めることができます。
ロシア法およびロスパテントの一貫した実務は、不正意図による登録を認めていません。他者が保有する商標と紛らわしいほど類似する標章を第三者が登録しようと試みる場合、特に先行する登録された権利が存在し、かつそれが適時に主張されていれば、争うことが可能です。
登録が失効した状態にある企業は、著しく複雑な再参入に直面し、不在中に出願された商標に対する無効手続が必要となる可能性があります。
受動的アプローチから戦略的アプローチへの転換
市場活動の縮小を余儀なくされる状況では、商標権の管理は、事後対応的な姿勢から戦略的な姿勢へと転換しなければなりません。3年の不使用期間が満了する前に状況が自然に解決すると想定して進める受動的なアプローチは、利用可能な予防措置のコストに比して不釣り合いな法的リスクを伴います。
積極的な再出願は、物理的な商業活動が縮小または停止された法域において法的地位を維持するための、正当で、商業面でも合理的な手段です。
特に、改正された手数料体系を踏まえた慎重なリスト作成のアプローチと組み合わせることで、権利保有者は無理のないコストでブランドの法的基盤を維持することができ、市場再参入の条件が整ったときに、法的に市場参入が可能な道を確保することができるのです。
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