管轄区域の違いによる暗号通貨への異なった取り組みは、デジタル資産の理解と分類に相違をもたらします。

号通貨に関するこの一連の解説は、基本は以前解説しました(ABLJ、2021年11月から12月:インドの暗号通貨:流行か未来か?)そして仮想デジタル資産取引に課税するインドの動きを掘り下げました(ABLJ、2022年1月から2月:課税、インドにおける暗号通貨の合法性)。この記事(このシリーズの第3回)では、著者は、このビジネス業界が向かう可能なシナリオについて予測します。

規制が必要か?

暗号通貨を規制する差し迫った必要性 Abhishek Malhotra
Abhishek Malhotra
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規制は暗号通貨と対極にあり、イノベーションの成長を妨げているという認識があります。それは必ずしも真実ではありません。EU一般データ保護規則の実施は、データセキュリティ対策に関するイノベーションに大きく貢献しています。

身近なところでは、インドで2021年にできたIT(中間ガイドラインおよびデジタルメディア倫理コード)規則の例があります。この規則ができる前は、度を越えた(OTT)オンラインプラットフォームのコンテンツの分類を決定するための基準がなく、その結果、OTTプラットフォームやプロデューサーは、不必要な訴訟や嫌がらせを受けていました。この規則により、今は確実性が増しているだけでなく、イノベーションへの大きな推進力にもつながっています。

特に金融に関しては(そのデリケートな性質上、国内外両方の管理と基準が必要であると考えると)、金融市場または企業の規制に異議を唱えることは困難です。国家管理の必要性は、消費者や一般大衆から求められるセキュリティと保証、すなわち詐欺に対する保証やマネーロンダリングの管理から生まれます。これは、暗号通貨の採掘、導入、流通、支出に対処し制御する規制の急増につながりました。

世界中で、特にテクノロジー分野の規制当局は、経済的、社会的、技術的条件の変化にますます対応しています。ただし、これらの変化は常に流動的で動的なため、規制当局は積極的な役割ではなく、依然として後手後手の役割となっています。

たとえば、ESG(環境、社会、ガバナンス)に関しては、すべての規制当局にとって、新しい法律を制定する際の実際の考慮事項になっています。規制改革とイノベーションに関する経済協力開発機構の諮問ガイドラインを手本にして、規制当局には次の明確性が重要になります。

1. 規制またはテクノロジーの連携の理解
2. 競争の導入
3.規制の合理化。重複し、事実上負担が大きく、相互に作用しない規制の集中砲火を受ける余裕のある国はありません
4. テクノロジー主導のアプローチへの依存
5. 国際的な調和

暗号通貨にとって、特に理解と分類の違いのために引き起こされる異なるアプローチが存在するために、この最後の事項は注意が必要です。アプローチの調和のためには、金融サービスを提供しデータを保護するためのテクノロジーを、安全で健全に使用するためのテクノロジー危機管理要件を、主に金融機関に課すという共通の理解に依る必要があります。

世界的な取り組み

暗号通貨を規制する差し迫った必要性 Bagmisikha Puhan
Bagmisikha Puhan
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シンガポールは最近、海外だけで事業を行う仮想資産サービスプロバイダーにライセンスを課す、新しい法律を可決しました。これは、マネーロンダリング防止やテロ資金供与を念頭に置いた規制の必要性と、暗号通貨に関する将来性の管理を望む、消費者心理の意識の高さを念頭に置いています。

国は、一般の人々が暗号通貨取引に手を出すのを思いとどまらせる一方で、規制制度が業界を管理および統治することを許可するというバランスを取っています。この動きは、都市国家の警戒態勢を際立たせ、金融機関がデジタルサービスの安全とレジリエンスを推進するという明確な意図を強化します。

また、政府に現在のギャップを埋め、テクノロジーと従来のフォーマットの融合から起きる新しいリスクに遅れないようにと助言している、OECDのガイドラインにも沿っています。

米国では、暗号通貨、特にステーブルコインに関する議論が、この数年、多くの注目を集めています。証券取引委員会(SEC)は、商品先物取引委員会と提携して、暗号ベースのセキュリティトークンや商品トークンを取引するプラットフォームに対応することを約束しました。米国の規制当局は、基盤となるテクノロジーが異なるという理由だけで、この市場を従来の規制対象の取引所とは別に扱うつもりはありません。

2021年だけで140億米ドル以上の暗号が詐欺に遭い、消費者への脅威が持続的に高まる中、投資家は同じ勢いで保護される必要があります。シンガポールのカウンターパートと同様に、SECの投資家教育・アドボカシー事務所や、小売戦略タスクフォースは、暗号資産の預金に利息を支払うアカウントのリスクについて投資家を教育するために、常に更新および発行を行っています。

2021年11月、金融市場に関する大統領のワーキンググループは、ステーブルコインに起因するリスクに関するレポートを発行しました。現在、「他のデジタル資産の取引、貸し出し、または借り入れを容易にするため」に使用されていることが見られますが、理論的には「より速く、より効率的に、より包括的な支払い」のシステムを作るために使用できるでしょう。

さらに、ステーブルコインが「複雑な関係や、かなりの量のレバレッジを伴う場合、より広範な金融システムへのリスクの可能性もある」と付け加えました。注目すべき点は、従来のシステムではリスクを軽減する方法がいくつか見当たるものの(流動性要件を課したり、銀行口座の預金保険を確保したりすることで)、ステーブルコインはそのような保護がないことです。

今のところ、有価証券、商品、非代替トークン(NFT)、ステーブルコインには区別がありますが、この分類は決して包括的でも最終的でもないことに注意することが重要です。同時に、既存の法定当局が暗号資産を規制するために、より大きな役割を果たすように、継続的な主張と努力が続いています。さまざまなシンクタンクが、既存の法律から暗号資産を切り出すことをやめるように、米国議会に訴えてきました。

一方、中東では、湾岸協力会議の地域全体で規制が急増し、それらの管轄区域で、世界中のプレーヤーが拠点を設立してライセンスと登録を取得し、交換所を提供することを歓迎しようとしています。これは、多くの暗号通貨プレーヤーがそれらの規制を綿密に研究し、事業の移転を検討していることを示しています。

今後の方向性

取引と消費者行動を調整するために、暗号通貨を取り巻く規制の枠組みが多くの法域に出現するにつれて、政策を執行するための協力的な立法機関やグループを設立し、マネーロンダリングの立法計画に共通する安全な避難所の設立を回避するため、ある程度の調和と標準化が体制全体で不可欠になります。

暗号資産に対する課税制度の導入は、税法が暗号取引に適用されるかどうかを評価することに限定されず、暗号資産の所有者が自分の身元や資産を隠すことによって、それらの法律を回避できる可能性があるかどうかを判断することにも及びます。ブロックチェーンやデジタルウォレットでは取引の匿名性(基礎となる所有者のIDが開示されないか、実際にマッピングできない)が根底にあるため、これらの全ての試みは矛盾と無駄で満ちたものなります。

現時点で、今後の法律はテクノロジーにとらわれず、暗号通貨の種類の分類を明確にすることは避けて、新しいプルーフ・オブ・ワークの規制のためにいくらかの余地を残す必要があります。また、金融機関の技術リスク管理を評価するためのメカニズムの整備も、規制当局の方策に委ねられます。

特定のデジタル資産が複数の当局や部局による規制対象となる可能性があるため、政府間組織や政治・経済同盟は、統合経済におけるリスクと執行メカニズムのギャップを実証・補完する、専門のワークグループの設置を検討する必要があります。規制当局の間での現在の消費者の容認度と意欲の水準をみると、私たちは流れをとらえるか、さもなければ思惑を失うことになるのです。

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