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多くのアジアの富裕層が、長期的に資産を守る上で最善の方法を模索する中、2009年財団(ジャージー)法の施行を受けて、信託と財団のどちらを選ぶべきなのかについての関心が高まっています。

2009年財団(ジャージー)法(Foundations (Jersey) Law 2009)の制定以来、この法律が現実問題としてクライアントに及ぼす影響を、法律家は綿密に検討してきました。その主な目的は、財団と信託の違いを明らかにし、各クライアントに特有の要件に対処する上での最適の手段を見極めることです。

最近、筆者は、特に慈善活動が主要な目的である場合に、ジャージーの信託と財団のどちらを選ぶべきかという、アジアの富裕層からの質問の急増を目の当たりにしています。

信託は歴史が古く、相続、資産管理、慈善活動の分野における極めて重要な手段として利用されてきました。一方、財団はジャージーのようなコモン・ローの法域では比較的新しく、事業承継計画と慈善活動の双方において活用が進んでいます。

しかし、大陸法の法域では、財団も中世以来、同じ目的で利用されてきました。相続計画に関する協議では、信託と財団に明確な優劣はあるのか、各自がどちらを選ぶべきか、といった妥当な疑問が生じることが頻繁にあります。本稿では、信託と財団の違いに光を当て、信託と財団のどちらかが有利になり得る状況について考察します。

信託:概要

Rachel Yao
Rachel Yao
のカウンセル
Carey Olsen(シンガポール)
電話: +65 6911 8088
Eメール: rachel.yao@careyolsen.com

信託という概念は、12世紀以来、コモン・ローの不可欠な要素となっています。信託は、資産の法的所有者(委託者)が、信託財産を構成するこれらの資産の法的所有権を、指定された個人または法人(受託者)に移転することにより実施されます。この移転は通常、特定の人(受益者)の利益となることを目的としています。

信託が設定されると、信託財産の法的所有権は受託者に帰属し、受益所有権は受益者に帰属します。つまり、信託とは明確な法的実体ではなく、関係です。

信託には多様な形態がありますが、最も一般的なのは、受益者の利益のために設定されるものです。しかし、信託は慈善目的にもそれ以外の目的にも利用することが可能で、受益者が存在しない場合もあります。

財団:概要

財団は、信託に比べると一般に知られていない概念で、信託と企業の融合と表現されることもあります。端的にいうと、財団は独立した法人格を有し、株主は存在しないものの、企業のように独立して財産を保有するという、企業が持つ特徴を備えています。

財団は、定款と規則(以下、定款)を指針とする評議会の監督に従って運営されます。これは、企業が定款に準拠する取締役会の監督に従うのと同じです。

一部の点では、財団と信託には類似性があります。信託と同様に、財団では、設立者が財団が保有する財産を拠出します。これは信託条項に従って管理される財産を提供する、信託の委託者に類似しています。また、信託と同様に、財団は1つ以上の目標を定める必要があります。その目標には、慈善目的またはそれ以外の目的のいずれであっても、1人以上の受益者の利益を含めることができます。

重要な留意点として、財団には受益所有権者が存在しないため、たとえ財団の財産が受益者の利益となることが企図されている場合であっても、財団は「所有者のいない」組織として構成されていることが挙げられます。

共通の特徴

柔軟性

信託と財団の双方とも、柔軟性に富んでいます。受託者/協議会に管理を一任することができ、その場合、どの受益者が、いつ、どのような条件で給付を受けるかなどを、受託者/協議会が決定できます。さらに、受託者/協議会による信託/財団資産の管理を、監督・監視する第三者を任命することも可能です。多くの場合、信託を監督するプロテクターや財団を監督するガーディアンも同時に任命されます。

委託者が、特に巨額の資産を保有している場合、家族信託の受託者として機能する私的信託会社(PTC)の設立を選択することもあります。この方法では、委託者が自身または家族をPTCの理事に任命することができ、家族が信託管理に参加するに当たって、プロテクターや権限の留保に代替する手段になります。また、同様の方法で、家族信託の受託者(私的信託財団)として財団を利用する事例も増えています。

期間の制限がない

ジャージーの信託と財団の双方ともに、存続期間を限定せずに設立できるため、家族の資産を数世代にわたって守ることを目的とする、富裕層の資産保有構造として理想的です。

プライバシー

信託の場合、信託に関する文書や情報の登録や公開は求められず、秘密は完全に守られます。財団については、限定的に情報が公開されている場合もありますが、通常、設立者や受益者の身元、または財団の目標を開示する義務はありません。その結果、信託においても財団においても、高水準のプライバシーを維持することができます。

信託のメリット

特定の状況では、信託が財団より有利になります。

設定の容易さ

信託は比較的容易に設定することができます。信託が有効に成立するのは、委託者の信託設定意思と受託者の受託意思、指定された信託財産、信託目的(受益者または目的)が十分に確定されたときです。信託は、最初の信託財産が、委託者から受託者に移転した時点で設定することが可能です。信託には書面による文書は義務付けられていませんが、通常、文書化することが望ましいでしょう。

判例

大半のコモン・ローの法域では、信託は広く認知されており、長年にわたり活用されてきた歴史があります。そのような広範囲に及ぶ事例の数々が、確かな信託法体系と判例法の確立につながり、予測可能性と確実性の水準の維持を可能にしています。ジャージーなどの法域では、外国の司法管轄権からの異議申し立てから、信託を保護する「ファイアウォール」法が導入されているため、信託の信頼性がさらに高まっています。

税務処理

大部分の法域において信託の税務上の取り扱いは十分に定まっており、明確で予測可能です。対照的に、財団は新しい概念であるため、法域によっては曖昧な点がより多く伴う可能性があります。そのため、信託がより魅力的な選択肢となる家族もあるでしょう。

財団のメリット

財団にも独自のメリットがあり、状況によっては信託よりも望ましい場合もあります。

大陸法の法域

特に、信託の概念(つまり、法的所有権と受益的所有権の分離)が普及していない、または法律で認められていない大陸法の法域の出身者にとって、財団は信託に替わる魅力的な選択肢となり得ます。

別個の法人格

財団は独立した法人格を有し、財団の財産の法的所有権と受益的所有権の双方を保有することができます。この自律性により、財団は第三者と直接契約を締結することが可能です。この点が、信託自体ではなく受託者が、契約を締結する信託とは異なります。さらに、特に信託が認められていない法域では、慈善活動のために財団を利用する事例が増加しています。

プライバシーの強化

財団の規則により、財団に関する情報の、受益者への提供に関する要件を除外することも可能です。そのため、受益者が信託に関する特定の基本情報を入手できるのが通常である信託と比較して、財団ではより高度な機密性が得られます。

信認義務

ジャージーの財団の受益者は、財団の資産に利害関係を持たず、財団の評議会やガーディアンから信認義務を課されることはありません。この点は、受託者から信認義務を課される信託受益者とは異なります。その結果、減価償却が必要な資産やリスクの高い資産など、特定の類型の資産を保有に当たって、財団が選好される場合があります。

信託と財団のどちらが最適か?

最終的には、信託と財団のどちらを選択するかは、委託者/設立者とそのアドバイザーの個々の希望、企図される目的に沿った構成、保有される資産の性質など、さまざまな要因によって決まります。信託も財団も、資産管理、事業承継計画、慈善活動のために活用できる、極めて価値のあるツールです。信託と財団のどちらを選択するかを決定するには、関与する個人や家族の具体的なニーズと目的を考慮する必要があります。

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10 Collyer Quay #29-10
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