企業の知的財産権紛争:取引の破談、ジョイント・ベンチャーと創業者間の対立への対応

By Una Khng・Basil Lee/Helmsman
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多くの企業にとって、知的財産権は企業価値の中核をなし。商標はブランドの認知を支え、取引上の秘密は競争をする上での優位性を保ちます。ソフトウェア、データ、特許、およびノウハウが、技術主導となる環境においては、ますます重要な資産となることが多くなっています。

M&A取引、戦略的投資または創業者間の対立など、高い価値を持つ企業関係が破綻する場合、大きな争点となり、解決困難な問題は、誰が知的財産権を所有するのか、誰が使用する権限を持つのか、そしてどのような条件で使用できるのか、この3点に集中することが多くなっています。これら諸問題は、会社法と知的財産法の両方から検討が必要なことです。

破談した取引における知的財産権の課題

Una-Khng
Una Khng
ディレクター兼商事紛争部門責任者
Helmsman
Singapore

破談した取引に関連する知的財産権紛争は、概ね2つのタイプに分類されます。

    1. 契約締結前の破綻。こうした紛争は、評価・検討の過程で漏れた機密情報、またはその他の知的財産の不正使用に関するものが一般的です。
    2. 契約締結後の紛争。これらはより多様であり、約束された重要な成果物がすべて引き渡されたか、技術が説明どおりに機能するか、知的財産に権利上の問題がないかといった論点を含みます。

いずれの段階であっても、迅速な対応が重要になります。直ちに講じるべき措置としては、機密情報の隔離、ならびに証拠の保全が挙げられます。

JVにおける知的財産権のリスク

ジョイント・ベンチャー(JV)では、当事者間の緊密な協働や、各当事者が持ち込んだ知的財産権の共同開発が行われることが多くなります。しかし、信頼関係が崩れた場合、次の点をめぐって紛争が生じやすくなります。

    1. 共同開発された知的財産権の所有権。契約が、関係破綻時の所有権の帰属を明確に定めていない場合、特に紛争が生じやすくなります。
    2. 競合事業。いずれかの当事者がJVから知的財産権を持ち出し、自社事業に利用したり競合事業を立ち上げたりした場合に対立が生じます。

紛争が商業的性質のものであっても、知的財産権はJVの最も価値ある成果物であるため、しばしば争点の中心となります。当事者は所有権を明確化するための宣言的救済を求めると同時に、解決までの間、競合利用を差し止める暫定措置を頻繁に求めるケースが多くなります。

スタートアップ初期段階における知的財産リスク

Basil Lee
Basil Lee
アソシエイト・ディレクター兼知的財産権およびテクノロジー、メディア・電気通信部門共同責任者
Helmsman
Singapore

特にアーリーステージの企業において繰り返し問題となるのは、創業者が、コード、プロトタイプ、ブランディング、データセットまたはデザインなどの既存の知的財産権を、会社への正式な手続きなく提供し、会社がその提供物を基盤に事業を構築する場合です。

会社の黎明期には大きな問題にならないことも多いのですが、状況が是正されないまま創業者が離脱したり関係が悪化したりすると、重大な問題になりがちです。たとえば、書面による譲渡がなければ、創業者が法的に所有権を保持し続ける可能性があります。その時点では知的財産権が創業者と過度に結び付いていることがあり、明確な切り分けが極めて困難となり得る。

これらの紛争は深刻な商業上の影響をもたらし、資金調達、成長、さらには事業継続能力にまで重大な影響を及ぼすこともあります。このような紛争の解決には、各当事者の貢献の証拠、同時期のやり取りの記録、説得力のある説明が不可欠です。

知的財産権の評価および換金における課題

企業における知的財産紛争に共通する課題は、その評価と換金の難しさにあります。

評価においては、適切な評価手法(方法論)の選択という問題が伴います。知的財産権は、即時の再販売市場が存在しないことが多く、競売で売却しやすい性質でもないため、実務上、正確な価値の算定は一層困難となります。

買い手はデュー・ディリジェンスを実施し、知的財産権の商業価値を見極め、そこから最大限の価値を引き出す方法(たとえば、必要な技術的スキルやノウハウを有する従業員を確保し、知的財産権を実効的に事業運営に落とし込むこと)を理解する必要があります。

優れた評価専門家を素早くに選任することは、訴訟または仲裁戦略のためだけでなく、和解の実現を促進するうえでも、重要な戦略的手段となり得ます。

国境をまたぐ知的財産権リスクと戦略

知的財産権紛争は、ますます多法域化しています。開発チームが分散していることも多く、事業運営は複数の法域にまたがり、多国籍の組織構造は法的枠組みの重複を生み出します。

従業員が創作した知的財産権、または共同開発された知的財産権の帰属に関するルールの相違、ならびに知的財産保護水準の差異といった、一般的な混乱が生じます。

こうした問題は、特に緊急の暫定救済または証拠保全が必要な場合、整合的かつ包括的な国際戦略の策定を要します。

結論

企業が無形資産への依存を強めるにつれ、知的財産権は企業価値の中心に位置するようになり、関係が破綻した場合には紛争のリスクにもなり得ます。知的財産権紛争では、緊急の暫定差止命令の申立てや適切な専門家の早期選任といった、迅速かつ適切な対応が求められる一方で、国境をまたぎ問題が複雑になる可能性を慎重に検討する必要があります。

Una Khngはディレクター兼商事紛争部門責任者、Basil Leeはアソシエイト・ディレクター兼知的財産権およびテクノロジー、メディア・電気通信部門共同責任者です。両名はシンガポールのHelmsmanに所属しています。

HelmsmanHELMSMAN
21A Duxton Hill
Singapore 089604
www.helmsmanlaw.com
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Email: una.khng@helmsmanlaw.com
Email: basil.lee@helmsmanlaw.com
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