自動車業界における製造物責任とリコール

By Pradeep Ratnam、Kochhar & Co.
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インドの自動車セクターでは近年、投資や資本支出、自動車製造における国内での付加価値を呼び起こすための一連の優遇措置が導入されてきました。関税の引き下げ、税の免除や軽減、生産連動型の優遇措置、消費者への補助金などの、このような政策はしかし、製造上の欠陥の報告件数が増加していることを受けて、法的責任、規制強化、監督の強化を伴っています。2012年~23年の間にインドでは、主に化石燃料に依存する自動車が関わる「中程度から深刻な」事件が500万件以上、記録されました。最近では、電気自動車(EV)のモーターが発火する事件が発生し、インドの気候や運転条件に対して、新技術の安全性や適合性、ストレステストの適切性に関する疑問も生じています。

Pradeep Ratnam, Senior partner, Kochhar & Co
Pradeep Ratnam
シニアパートナー
Kochhar & Co.

主要な規制介入には、新しい製造物責任制度が含まれます。これは、相手先商標製品製造業者(OEM)だけでなく、部品供給業者、ディーラー、ディストリビューター、サービスプロバイダーなどのバリューチェーンの他の利害関係者にも、広範な影響を及ぼします。その他に注目すべき発展には、製造における技術基準の改訂、自動車の安全基準、政府当局による調査開始や罰則、製品リコールの命令権などが挙げられます。

2019年の改正自動車法(MVA)は、指定された当局による自動車のリコールが可能になりました。これは、特定の欠陥が、自動車の年間販売台数の一定数、または一定割合の製品安全性に影響を与える場合に、適用されます。MVAは、指定された職員が製造業者の敷地に入り、記録や手順を検査することを許可しています。製造仕様、技術基準、安全基準に適合しない場合には、自動車のリコールや罰則が科される可能性があります。重要なことは、MVAが、取締役や役員は会社の行動に対して代位責任を負う、と規定していることです。「違反の責任者」には、取締役会の承認を通じて違反行為に同意した非執行取締役も含まれます。

MVAが製造の安全性を向上させる一方で、2019年の消費者保護法は、製造物責任に関する消費者を中心に据えた法律です。この法律は、特定の欠陥に対する責任の推定に反論するために、立証責任を顧客から、製造業者と販売者にシフトさせています。

前述の法律の累積的な効果により、OEMは、新しい自動車が、改訂された技術基準や安全基準に準拠していることを証明する必要があります。これには、追加での試験の実施、危険防止策の義務づけ、過充電やショートを防止するスマート管理システム、包括的な保証サポートなどが含まれます。

これらの変更は、日本企業にも関連しています。なぜなら、OEMや部品製造業者は推定責任の対象となるからです。前述の規制改正により、OEMは製品試験や試運転を見直してアップデートし、コンプライアンス、監査、自動車のリスク評価を改善しなければなりません。製造プロセスは、包括的な文書による裏付けが必要になります。OEMは安全基準、事前認証、保証範囲を確保するとともに、OEMが法定責任やコストを、部品製造業者や他の関係者に按分できるように、供給契約については、慎重に文言化された責任管理条項を確保しなければなりません。製造物責任を軽減するために、OEMは製造ライフサイクル全体において、包括的かつ強固な品質管理や試験を行う必要があります。第三者が試験や検証を行って、OEMはデューデリジェンスや透明性を証明するために、詳細な記録を保持しなければなりません。法定調査、敷地内の捜索、文書やソフトウェアの審査、手順の記録などの権限があるため、OEMは事業中断のリスクや機密保持違反の両方の可能性に備える必要があります。

OEMは、供給業者を定期的に監査しなければなりません。欠陥車両を特定するために、部品の追跡をする必要があります。これは、責任やコストを確定するのに役立ちます。取締役会の手続きは、指名者がその受託者責任を果たすような堅固なものでなければなりません。保険は、製造物責任とリコールを除外してはなりません。

OEMは、明確なエスカレーションの手順と危機管理計画を策定する必要があります。保証や補償を含み、責任を分担するような強固な契約を、サプライヤーやパートナーとの間で交わさなければなりません。

短期的には、上記のような措置により、インドでは製造コストが上昇する可能性があります。インドの超競争的で価格に敏感な市場を考慮すると、OEMはそのようなコストを消費者に転嫁することはできないかもしれません。

Pradeep Ratnam氏はKochhar & Coのシニアパートナーであり、Aaroh Bhargava氏はアソシエイトです。

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