各国の税法の比較:フィリピン

    By Karen Ocampo、Abigael DemdamとFlourence Katherine S Enriquez、Jincheng Tongda & Neal
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    世界中の国々が、デジタル経済から利益を得る方法を模索し続けています。各国の税務規制当局は、多くが謎に包まれたボーダレスなデジタル経済への課税や、税の徴収という課題に対処するためには、租税政策を変更する必要があるということで意見が一致しています。しかし、国によって今後の最も効果的な方法についての意見が異なり、直接税を検討している国もあれば、間接税を検討している国もあります。

    Karen Ocampo
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    各国政府がそれぞれの政策を選択したとしても、デジタルサービス税、消費税の拡大、あるいは他の新しい手法のいずれが、デジタル経済への課税という点で最も効果的であるのか、答えはまだ分かりません。

    フィリピン議会では、デジタル経済から税収を獲得する方法について、活発な議論が繰り広げられています。議論の先頭に立っているのは、ジョーイ・サルセダ下院議員です。彼は「デジタル経済は急成長を遂げていますが、その課税については期待した効果が上がっていません」と述べています。 2019年の内国歳入庁のデジタル経済関連の税収は、約450億フィリピンペソ(76万4220米ドル)であり、2020年も横ばい状態でした。「デジタル取引の増加を考えると、これは信じられないことです」とサルセダ下院議員は指摘しました。

    当初の法案では、デジタル経済関連の外資企業の収益に所得税を課そうとしていました。しかし、この法案は最終的に取り下げられ、デジタル商品やサービスがすべてVAT制度の対象となるように、最近の提案では、拡大された付加価値税(VAT)法の改正に重点が置かれています。

    法案

    8月にはフィリピン下院歳入委員会が、デジタル取引に12%の付加価値税を課すという下院法案第4122号を第1読会で承認しました。本法案は、第19回議会で提出された3つの法案をまとめたものであり、すべてが第3読会および最終読会ですでに承認済みの法案に基づいています。

    Abigael Demdam
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    本法案は、フィリピン内国歳入法第105条を改正し、デジタル商品または電子的商品、ならびに電子的に提供されるサービスを、付加価値税の対象とすることを目指すものです。本法案では、非居住者であるデジタルサービスプロバイダーに対して、各自のプラットフォームを通して取引への付加価値税の課税、徴収、納付を義務付ける、新しい条項が追加されています。

    デジタルサービスプロバイダー(DSP)は、本法案に基づき、「商品またはサービスの売買を目的とするオンライプラットフォームの運営を通して、または第三者に代わってデジタルサービスを提供するために取引を行うことによって、デジタルサービスまたは商品を購入者に提供するサービスプロバイダーである」と定義されています。

    本法案に基づき、デジタルサービスプロバイダーとは以下の者を指します。

    • 情報に基づく技術またはインターネットを通して、自身のアカウントのために複数の製品を販売する、商品やサービスの販売者などの第三者、または商品販売業者や小売業者などのように、商品やサービスのサプライヤーと購入者との間の仲介役を務め、サプライヤーに代わって購入者から当該商品またはサービスの代金を回収または受領し、手数料を受け取る者
    • インターネットを活用して購入者を獲得するために、マーケティングメッセージを配信し、広報宣伝を行うプラットフォームプロバイダー
    • 販売者が、最高値を提示した人物にその商品またはサービスを販売する、インターネット上で開催されるオンラインオークションの主催者
    • 上述の商品またはサービスの使用に対して、定期的なサブスクリプション料金と引き換えに、購入者に対してデジタルサービスを提供するサプライヤー
    • インターネットなどの情報技術インフラストラクチャを通して提供することのできる商品、または電子的なサービスおよびオンラインサービスのサプライヤー

    本法案では、以下の条件も定義しています。

    • 購入者とは、フィリピンに居住し、個人消費、取引、またはビジネスのいずれかの目的のために、デジタルサービスプロバイダーから、フィリピン国内で課税対象であるデジタルサービスを購入する者を指します。
    • デジタルサービスとは、情報技術を使用せずに取得することができない、インターネットまたはその他の電子ネットワーク上で提供または定期購入されたサービスであり、当該サービスが自動的に提供される可能性があるサービスのことを指します。

    デジタルサービスの一般的な定義は、以下に示すデジタルサービス一覧によって詳細に規定されています。ソフトウェア、更新情報、アドオン、ウェブサイトフィルター、およびファイヤーウォールのオンラインによるライセンス供与/モバイルアプリケーション、ビデオゲーム、およびオンラインゲーム/ウェブキャストおよびウェビナー/音楽、ファイル、画像、テキスト、および情報などのデジタルコンテンツの提供/実体のないメディアプラットフォーム上のオンライン広告スペースの提供などの広告プラットフォーム/取引商品またはサービスの販売、展示、および価格比較のための電子マーケットプレイスまたはネットワークなどのオンラインプラットフォーム/サーチエンジンサービス/ソーシャルネットワーク/ウェブサイトホスティング、オンラインデータウェアハウジング、ファイル共有、およびクラウドストレージサービスなどのデータベースやホスティング/インターネットを利用した通信/遠隔授業、Eラーニング、オンラインコース、およびウェビナーの提供などのオンライン研修/オンライン上での新聞および雑誌の定期購読/ならびに決済処理サービス。

    以下に該当する場合、本法案に基づき、非居住のデジタルサービスプロバイダーは、付加価値税(VAT)への登録を行わなければなりません。

    • (VATが免除されるものを除き)VAT申告書の提出日前の12カ月間の総売上高または総収入が、基準額である300万フィリピンペソを超えている場合
    • VAT申告書の提出日から12カ月間のデジタルサービス事業の総売上高または総収入が、基準額を超えると考える正当な理由がある場合

    また、非居住のデジタルサービスプロバイダーは、駐在員事務所や代理店(フィリピン法に基づき登録された居住法人)を指定し、税法の規定を遵守するのに役立てなければなりません。

    本法案によって、税務当局は、非居住のデジタルサービスプロバイダーのために「簡略化された自動登録システムを確立」しなければならず、また内国歳入庁長官の提言に基づき、財務大臣が発行する可能性のある規則に従って、当該プロバイダーが、「電子請求書または電子領収書を発行」できるようになることに留意してください。

    期待および不確実性

    経済協力開発機構(OECD)の国際付加価値税(VAT)ガイドラインを指針としてきた法域内の法律と同様、現行の法案にも、遵守を促すことを目的とした策定上の特徴があります。こうした特徴については、用語の定義によって明確化された課税範囲や、登録の簡略化に関する規定の中で明らかにされています。

    Flourence Katherine S Enriquez
    Flourence Katherine S Enriquez
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    しかしながら、法律の改正や、法律を施行する規則に詳細な内容を盛り込むことを必要とする、複数の重要な問題が残っています。

    例えば、VATをある特定の取引に適用する際に、購入者の居住地、または消費場所を確認する必要があるでしょう。購入者の居住地または消費場所を証明するために、サプライヤーが取得しなければならない決定的な証拠とは何でしょうか?

    コンプライアンス体制に関しては、非居住者であるデジタルサービスプロバイダーのコストを削減し、結果としてコンプライアンスを促すに足る簡略化が実現することが予想されます。関連する事業体が、申告書の提出頻度、納税申告書に記入しなければならない情報、納税方法、インボイスに記入しなければならない詳細な内容、作成しなければならない帳簿の種類などの点から、この体制の概要を理解することは重要でしょう。

    また、登録、期日内の申告、納税のいずれを怠ったにしても、納税者のコンプライアンスを高める目的だけでなく、税務管理のためにも、コンプライアンス違反の影響を明確にすることも価値があります。そうすることで、租税措置の偏った実施を防ぐことができるでしょう。

    最後になりましたが、おそらく一番重要な点として、本法案に基づく登録の効果についての不透明な部分を解明しなければなりません。登録がVATだけを目的とする意図であるならば、登録しても、フィリピン国内に恒久的施設を設立する必要がないことを、今後登録する事業者に保証するために、これについて明確に法律に規定しなければなりません。こうした登録によって、フィリピンの会社法に基づいてビジネスを行うという規則に、どのような影響を与えるかについても、検討しなければなりません。

    非居住者の企業による登録やコンプライアンスが促進されれば、こうした規則が確実に適用されるに違いありません。

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