トランプ大統領が引き起こした世界的な関税戦争から、ビジネスに影響を及ぼす各法域での法制度の動向に至るまで、2025年のアジアでは、予測可能な事象と予測不可能な事象の両方が存在します。それらにいかに備えるか、Brian Yapが専門家のアドバイスを受けて報告します。
2025年、アジア太平洋地域は地域レベルでも地球規模でも、政治的・経済的要因によって引き起こされ、さらに深刻化している数多くの法的および規制上の不確実性に直面しています。
Asia Business Law Journalは、グローバルおよび各地域の法律事務所の代表者など、アジアに拠点を置く、あるいは、アジアの事案に深く関わるプライベートプラクティスとインハウスの上級弁護士に取材を行いました。これらの意思決定に関わる弁護士や法曹界のリーダー的な存在の弁護士の多くが、米国のドナルド・トランプ大統領の第2期政権が中国や、米国の同盟国を含む国々からの輸入品に追加関税をかけるなど、一貫性のない政策により市場を混乱させている中で、アジアを拠点とする企業は何をすべきか困惑していると語っています。
このような政治的な問題とは別に、いくつかのアジア諸国では新たな規制上の課題が生じています。これらの課題は少なくとも、最善の法的戦略をもってすれば対応できる可能性はあるものの、予測可能な動向と不確実な動向いずれも含む、あらゆる動向によって、投資家が国内外の法律顧問へと助言を求める状況となっています。
トランプ政権のアジアへの影響
ロサンゼルスのQuinn Emanuel Urquhart and Sullivanのエグゼクティブ・チェアマン兼創設パートナーである John Quinn氏はAsia Business Law Journalに対し、最近の自身の中国訪問を振り返って、世界第2位の経済大国である中国の国内市場が課題に直面していると認識しており、今後、トランプ政権が何をするのか、それが米中間のビジネスにどのような意味を持つのか、多くが不確実なままであると語りました。
「それは萎縮効果をもたらしており、中国企業は何が起こるかが分からないため(米国への)投資に警戒感を抱いています」とQuinn氏は語っています。
しかし、同氏は中国の大手企業が現在、世界各地での事業拡大と、特に中東、東南アジア、ラテンアメリカ、アフリカなど新たな市場への進出に注力している事実を指摘しています。また同氏は、香港、上海、北京のオフィスを通じて自身の法律事務所が取り組んでいる中国関連業務のほとんどが、現在、規制やコンプライアンスから契約不履行や知的財産に至るまで、中国企業が海外で直面する問題に対応する代理業務であると付け加えました。
「私たちは10年前、中国に最初のオフィスを開設しましたが、当時の業務の大半は欧米企業が中国への投資を検討するための代理業務であり、(中国国内への)インバウンド案件の支援でした。しかし、現在では状況は全く変わり、そのような業務はほとんどなくなっています」とQuinn氏は述べています。
シドニーのBaker McKenzieで、アジア太平洋国際貿易プラクティス責任者を務めるパートナーのAnne Petterd氏は、2025年1月20日にドナルド・トランプ氏が2期目の大統領就任式を行って以来、大統領の外交・経済政策の急速な転換により、中国企業だけでなく世界中の企業が、リスクを評価し将来のビジネスを確実なものにするための戦略を再調整する能力が阻害されていると、Asia Business Law Journalに語っています。
「企業は、計画立案と意思決定を進めるため、規制リスクや関税リスクに関わる限界を定めることができるよう、望んでいます。また、企業は、トランプ政権の外交・経済政策に起因する措置の範囲やタイミング、さらに他国からの報復措置に関する不確実性や予測不能性について、繰り返し懸念を表明しています」とPetterd氏は述べています。
Baker McKenzieの国際貿易プラクティス担当のもう一人のパートナーで、ワシントンDCに拠点を置くKerry Contini氏は、アジアを拠点とする企業は米国議会の動向、特にバイオセキュア法の再導入の可能性に注視していると指摘します。同氏は、この法律の再施行が、すでに米国連邦政府と契約を結んでいる米国のクライアントに、実質的に中国企業か米国政府との契約かのいずれかの選択を迫ることになり、それが中国のバイオテク企業に重大な影響を及ぼす可能性があると説明します。
「当事務所はアジアのクライアントと協力して、彼らの貿易コンプライアンス・プログラムが目的に適っており、米国のリスクはもちろん、現地法に基づくリスクにも適切に対処できるようにしています」とContini氏は述べています。
このことには、Sidley Austinのグローバル仲裁・貿易・アドボカシー・プラクティスの共同責任者であり、同事務所シンガポール・オフィスの共同マネージング・パートナーでもあるCheng Tai-heng氏も同意しています。Cheng氏は、すでにアジアのクライアントが米国の輸出管理体制で想定される変化に先んじて対応し、既存の制裁法や輸出制限だけでなく、今後導入される可能性のある規制についても確実に遵守できるよう取り組んでいると言います。
「関税とは別の領域ではありますが、同様に注目に値するものです」と Cheng氏は述べています。
韓国の企業も、中国から米国への主要な輸出品(自動車や家電製品など)の重要な部品となる鋼鉄、半導体、バッテリーなどの製品を製造する業界が、影響を受けると見込まれています。
「トランプ大統領は、いわゆる『アメリカ・ファースト』と貿易における保護主義を宣言しましたが、実際の交渉の中でどのように変化するか不透明な点があり、それが韓国企業にとって最大の課題となっているようです」と、ソウルのYoon & Yangのマネージング・パートナー、Junsang Lee氏は指摘します。「特に、米国への輸出関税の負担によって影響を受ける自動車、鉄鋼、半導体、二次電池などの産業に対して、クライアントの関心が高まっています」
Lee氏は、報道されているような、トランプ氏がメキシコからの輸入品に25%の関税を課すという計画は韓国に大きな打撃を与え、米国政権による中国への輸出制限を迂回するためにメキシコを利用することが、もはや現実的でなくなると説明しています。
電気自動車やバッテリー分野で中国企業に人気の投資先として台頭しているタイも、トランプ政権によって始まった関税戦争のさなか、輸出品の原産地証明書の発行手続を厳格化する方向に動く可能性があります。
バンコクにあるWeerawong C&Pの国際貿易および紛争解決を専門とするパートナー、Phatsawat Siwawej氏は、タイの輸出業者が米国に商品を輸出する際、製品の真の原産地が
米国当局による重要な審査対象になるだろうと述べています。「タイ政府は、製品が本当にタイで製造されていることを保証するため、原産地証明書の発行の際の審査を厳格化する可能性があります」と同氏は指摘しています。
各地域における規制上の焦点
昨年は、10月にはインドネシア大統領にPrabowo Subianto氏が選出され、5月にはシンガポール首相にLawrence Wong氏が就任するなど、アジア太平洋地域全体で重要な総選挙が実施されました。今年は年明けから、韓国のユン・ソンニョル大統領が突然に戒厳を宣言した後、逮捕されるという混沌とした展開で始まったこともあり、Asia Business Law Journalは、投資家が留意すべき、各地域における市場の規制上の成果と課題に注目しました。
中国
5年前の2020年1月、中国の中央政府は外商投資法(FIL)を導入しましたが、これは国内の外国投資および外資系企業(FIE)を規制していた3つの従来法に取って代わるものでした。FILの下、FIEは、会社法を含む国内企業と同様の法規制の対象となりましたが、5年間の移行期間が設けられており、この移行期間が2025年1月1日に終了しました。
中外合弁企業法など以前の管理法に基づいて設立されたFIEは、この移行期間中に、その組織構造と運営規則を会社法に適合させることが義務付けられています。
上海にあるHui Ye Law Firmのシニア・パートナーで全国経営委員会のメンバーでもあるWu Dong氏は、会社法に準拠するための組織構造の再構成は、FIEのガバナンス構造および意思決定プロセスに大きな影響を与えるだろうと述べています。
「組織構造の観点から言えば、これまで会社法に準拠していなかった特定の取り決め、例えばジョイント・ベンチャー事業において取締役会を最高機関と定める慣行などは、3分の2以上の多数決メカニズムに従って株主総会を最高機関と定めるよう、調整する必要があります」とDong氏は指摘します。
企業内法務の観点からは、上海にあるスイスの紙容器包装メーカーSIG Groupのアジア太平洋北地域における法務・コンプライアンス責任者のKenneth Zhou氏は、法務担当者およびビジネス担当者は、2024年の不正競争防止法改正案が今年中に可決される可能性に注意を払う必要があると警告しています。特に、商業賄賂関連の規定における個人責任の導入に注意が必要です。これは刑法の二重処罰制度に類似するもので、贈賄と収賄の両方を同時に取り締まることに焦点が当てられています。
Zhou氏はさらに、この不正競争防止法の改正において、オンライン領域での不正競争がどのように扱われるのかが、もう一つの焦点となる重要な分野であると指摘します。たとえば、新しいタイプのオンライン不正競争行為をさらに列挙するのか、専用のインターネット関連条項の規定を強化するのかなどです。
「この不正競争防止法の改正案が可決されれば、企業は必然的に新法に違反していないかどうか、ビジネスモデルを再検討する必要が生じます」とZhou氏は述べています。
日本
中国と同様に、日本企業も今年、規制上の期限に直面しており、期限内に遵守させるようプレッシャーを受けています。2022年に大幅改正された日本の個人情報保護法(APPI)は、今年、3年ごとに義務づけられた見直しが行われる予定で、行政の課徴金制度の導入が提案されています。
東京の渥美坂井法律事務所のシニア・パートナー、野崎竜一氏は、多くの企業が、日本の法律事務所にAPPI規制の厳格な遵守方法について法的アドバイスを求めていると指摘しています。
しかし今年のAPPI見直しについて、国内企業や、日本で事業を行っている外国企業が注意しなければならない事項は、これだけではありません。
野崎氏が指摘するのは、適格消費者保護団体が、データ主体に代わって裁判所に損害賠償請求および差止請求を提起する権利を導入するという、もう一つの重要な改正案です。これは特に、データの侵害や機密情報の漏洩の事案に関連するものです。
「これまでは、個人が高額な裁判費用を支払わなければならず、日本の裁判所で認められる損害賠償ではそれを賄うことはできませんでした。しかし、新たなAPPI改正法が施行されれば、日本企業は、日本の消費者保護団体から訴訟を提起される可能性が生じるかもしれません」と野崎氏は説明します。
日本の規制当局はまた、日本の企業世界で長年続いてきた企業間の株式持ち合いという慣行に対しても取り締まりを強化し、企業に資本の配分および活用の効率化を迫っています。日本の金融庁は、株式持ち合いを「純粋な投資目的ではなく、事業関係者との関係を維持および強化するために企業が保有する株式」と定義しています。
野崎氏によれば、日本企業は伝統的に、一般株主の議決権を減少させて影響力を薄めるために、株式持ち合いを利用してきました。
日本の証券取引所と金融庁は現在、日本企業に対してそのような慣行を縮小することを義務付けていますが、近年、一部の企業は株式持ち合いを純投資として再分類することで、この規制を回避しようと試みています。これを受けて、金融庁は企業に対して、このような変更の正当性を説明することを義務づけ、上場企業の株式を売却するよう圧力を強めています。これは、このような株式売却を支持する外国投資家を含む株主の期待に応えるものです。
ベトナム
アジアで最も急速に成長している経済圏の一つベトナムは、2月以降、政府機構に重要な変革が予定されており、これは国内外の投資家にとって極めて重要です。
経済成長を促進するため、非効率で官僚主義的な煩雑さを軽減し、余剰人員を解雇することを目的に政府省庁の大規模な再編が行われ、計画投資省は財務省に統合されます。同様に交通運輸省は建設省に統合され、天然資源環境省と農業農村開発省が統合されて新たに農業環境省が設立される予定です。
VILAFハノイ事務所のマネージング・パートナーであるNgoc Anh Bui氏によれば、これらの改革は中央および地方レベルで実施され、現地および外国の投資家両者にとって、新規プロジェクトの登録や新規企業の設立手続きに影響が出るだろうと指摘しています。
Bui氏は、各業務が効率化して各省庁間のやりとりが減少するため、この改革は、前向きな一歩になるだろうとも語っています。再編に伴い一時的な遅延が生じる可能性はあるものの、Bui氏は、政府がサービスの中断を避けるため、移行期間を設けない方針を堅持していると指摘します。
「長期的には、投資家にとって許認可の手続きがより容易に、かつ明確になることが期待されます」とBui氏は語っています。
インドネシア
近年、外国直接投資を誘致するために、政府主導で国内市場の自由化を進めてきたアジアのもう一つの成長市場、インドネシアは、2025年第1四半期にシンガポールの政府系ファンド、テマセクをモデルにした新たな国家投資機関ダナンタラの設立に着手し、国家の投資政策を強化しています。2月4日に議会で承認されたこの計画は、国営企業およびその収益の流れ、その他の国家資産を一元管理し、国全体の強靭な投資体制を構築するため、新しい機関を設立することを目的としています。
ジャカルタのSSEK Law Firmの創業パートナー、Ira Andamara Eddymurthy氏は、次のステップとして、この機関の地位や構造を定義するための政府規則および実施規則を発行する必要があると言います。
「この機関は政府直轄として、あるいは準政府機関として、あるいは民間組織として運営されるのか、誰に対して責任を負うのか、さらにはどの程度の免責が認められるのか、そのような疑問が呈されています。たとえば、資金配分の権限が与えられるのかどうか、また、その職員が汚職防止の監視対象外となるのかどうかについては、依然として不透明な部分があります」とEddymurthy氏は述べています。
韓国
昨年12月にユン大統領が予期せぬ戒厳を宣言したことを受け、ここ数カ月の間、韓国の政治情勢はメディアの注目の的となっています。大統領の弾劾とその後に続く逮捕による政治的な不透明感にもかかわらず、国内では法規制の面で活発な動きが見られています。
2024年が終わろうとしていたわずか5日前、国会は「人工知能の発展と信頼基盤の構築に関する法律(AI基本法)」を可決しました。同法は1年の猶予期間を経た後、2026年に施行される予定ですが、これは韓国におけるAI分野で初めて制定された基本法であり、AI関連の産業、企業、製品、サービスを規制するための初の立法措置となります。
EU AI法に続いて世界で2番目のAI特化型立法であるこのAI基本法は、AIシステムを高インパクトAIと生成AIのカテゴリーに分けているため、下位法令によってさらなる説明が必要とされています。AIを開発または利用し、関連する製品やサービスを提供する企業は、該当する製品やサービスが高インパクトAIまたは生成AIによって作動している場合、ユーザーに事前通知を行わなければならず、違反者には最大3000万ウォン(2万500米ドル)の罰金が科されます。
Yoon & Yangのマネージング・パートナーであるJunsang Lee氏は、この法律がAIを開発または利用する企業に大きな影響を与えると見ています。「AIの開発者、AI製品を活用するIT製造企業、AIを利用する通信事業者が影響を受けると予想されます。また、AI基本法や政策に関連する助言サービスの需要も活発化しています」とLee氏は語ります。
しかしLee氏によれば、企業はAI基本法に懸念を抱いていないといいます。なぜなら、同法はAI産業の振興を目的としているため、多国籍企業に対して、この新法で規定されているように、事前に国内代理人の指定する準備をするよう促しているためです。
シンガポール
シンガポールはAIの導入・活用において先駆者であり、法曹界および政府の双方がリーガルテックの導入に投資してきました。
現在、この国にはAIに関する具体的な法規制は存在しておらず、シンガポール政府は責任あるAIの使用を促進するとともに、さまざまな枠組みやツールを通じてそのような展開が進むよう導いています。これらの枠組みやツールの一つに「生成人工知能(AI)のためのガバナンスの枠組みモデル」がありますが、これは、企業がAIソリューションを展開する際、AIに関する倫理的およびガバナンス上の問題に対処するための指針を提供したものです。
しかし、韓国がAI利用の促進と規制を目的にした独自のAI特化型法制度を導入したことから、シンガポールの一部の上級弁護士は、シンガポール政府もAIのより広範な活用を促進するためのAI規制枠組みを確立することが重要であると考えています。
Rajah & Tann Singaporeのマネージング・パートナーであるKim Beng Ng氏は、AIを導入することについてクライアントとの議論で繰り返し取り上げられるテーマが、AIをいかに仕事のワークフローやプロセスに組み込むかだと語っています。
「クライアントは、私たちがどのようなソフトウェアを使用しているのか、また具体的にどのような使用事例があるのか、知りたいと考えています」とNg氏は語っています。
またNg氏は、法律事務所にとって、現時点ではAIツールによって文書の草案を全面的に起案したり、提出書類の作成に使用したりする段階には至っていないと語ります。それは、「ハルシネーション」という現実的なリスクが存在し、これらのAIツールを使用して得られる結果が正確とは限らず、信頼を置けないという疑いがあるためだと指摘しています。
Ng氏は、ガイダンスや規制枠組みがあれば、弁護士業務でAIツールの利用が促進され、信頼性を向上できると主張しています。同氏はこのことについて、シンガポールの裁判所が裁判書類におけるAIツールの使用に関するガイダンスを公表したことを挙げました。
「(そのガイダンスの)一つの要件として、ユーザーは、文書のどの部分にAIツールを用いたのかを特定し、その結果をどのように検証したかを説明するよう求められる場合がある、というものです」とNg氏は述べています。
インド
これらすべての政治的、経済的、法的な不確実性の中で、インドは国内投資家、地域の投資家、そして国際的な投資家にとって、アジアにおける明るい存在となっています。
外国投資家に向けて市場を一層自由化する動きの一環として、インドは、国内の保険会社に対する外国所有権の許容割合を74%から100%に引き上げるという、海外直接投資政策上の大きな変更を行いました。
ムンバイにあるAZB & Partnersの共同創設者でマネージング・パートナーのZia Mody氏は、外国の保険会社がジョイント・ベンチャーへの出資比率を高めて、完全な支配権を得ることができる一方で、こうした状況では価格設定をめぐる論争がしばしば生じていると語ります。
「外国企業がインドの株主を買収しようとする場合、後者は長年の事業への関わりを理由にプレミアムを要求することがあります。一方で、外国の保険会社は、プレミアムが正当化されるものであるとしても、会社の成長への貢献を踏まえて、過剰であってはならないと主張する可能性があります。このような現在進行中の交渉が、この業界におけるM&Aの大きな課題となっています」とZia Mody氏は述べています。
法律上の助言として、Mody氏は、外国所有が26%に制限されていた時代に締結した株主間契約の条項を精査することが不可欠であると強調しています。これらの契約は、当事者の権利、買収の執行メカニズム、第三者の関与の可能性、さらには紛争が最終的に仲裁に持ち込まれるかどうかを決定しています。
活況を呈するインドIPO市場での高いリターンに後押しされて、かつて、シンガポールやデラウェアなどに拠点を置いていた多くのスタートアップやベンチャー・キャピタルの資金調達事業体が、上場を目的としてインドへの本拠地移転を検討しているとMody氏は言います。
逆さ合併として知られる手法では、海外に本社がある外国企業がインドの子会社と合併し、外国企業の株主がインド企業の株主となります。その後のインドでの上場は、外国市場よりも高いリターンをもたらすと期待されています。
しかしMody氏は、インドの証券取引委員会が、公開市場の監視や、個人投資家を保護するためにIPO申請の精査を強化するという、より厳格なアプローチを採用していることを指摘しています。
タイ
長年にわたり、外国人はタイの名義株主を利用して、あたかもタイ所有の企業であるかのように自らの事業を偽装することで、違法に企業を設立していました。しかし、当局は近年、これらの違法な名義構造に関与したとされる数千人を逮捕して取り締まりを強化しており、一部は刑務所に収監されています。中には、複数の企業で名義人を務めたことで9年間の懲役刑を言い渡されたケースも報告されています。
バンコクにあるPisut & Partnersのシニア・パートナーであるWayu Suthisarnsuntorn氏は、外国人がいくつかの事業活動に従事することを禁止する規制が、こうした違法な名義構造の利用を促す要因になっていると指摘しています。
タイの外国人事業法(FBA)により、外国人は指定された9つの事業活動に従事することが許されておらず、さらにFBAに記載されたその他の多数の事業活動に従事する前に、外国人事業許可証または証明書を取得しなければなりません。Suthisarnsuntorn氏は、タイにおける外国投資の法的環境は、いまだ厳しい状況にあると付け加えました。同氏によると、製造業はFBAの対象ではありませんが、その一方で、クライアントの特定の要求に基づいて工場が製品を生産するオリジナル機器製造に従事することは、一種のサービスと解釈される可能性があり、その場合はFBAの対象となって、外国人が外国人事業許可証を申請する必要が生じることになります。
「米国の企業はタイと米国との特別条約の恩恵を受けており、これらの規制のほとんどを回避することができています」とSuthisarnsuntorn氏は言います。「しかし、他国の投資家にとっては、外国人事業法がタイで事業を行う上での大きな障害となっているのです」
フィリピン
近年、外国企業だけでなく法律事務所からもますます注目され、投資が集まっているフィリピンでは、今年の第1四半期にフィンテック、データセンター、医療分野で多くのクロスボーダーでの活動が見られました。
マニラのRomuloのシニア・パートナーであり、プロジェクト開発・ファイナンス・グループ責任者、ならびに執行役員の一人であるPerry Pe氏は、欧州企業がフィリピンのフィンテック分野への投資に関心を示しており、デジタルバンキングの設立や、フィンテックの可能性を有する銀行の買収を検討していると言います。
他のASEAN諸国の投資家もフィリピンのデータ分野に関心を示しており、データセンターの買収や拡大を検討している一方で、米国の投資家はフィリピンの医療部門に注目しています。




























