インドM&A関連法規制に関する分析

    By Raghubir Menon、Jeel Panchal and Ketayun Mistry、Shardul Amarchand Mangaldas & Co
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    インドにおけるM&A活動は、金利上昇とインフレの高まりという世界的な逆風で深まった2023年の大きな混乱においても柔軟に推移し、国際的な投資家にとっての魅力を確固たるものにしています。これによりインドは、アジア太平洋地域においてM&A活動の主要拠点としての地位を維持することになりました。国際的なM&A市場の低迷にもかかわらず、インドの急成長は加速する傾向にあり、年間成長率の予測は6~7%、さらに8%以上になるとも見込まれています。

    2023年のM&Aの取引は件数で10%減、金額では27%減でしたが、2024年第1四半期に市場活動は復活し、前四半期比、前年同期比ともに大幅に増加しました。中規模のプレイヤーが、事業規模を拡大する手段として水平型M&Aを駆使して市場プレイヤーを統合することが、この活況のほぼ半分に貢献しています。また、コングロマリットは、中核事業を超える新たな成長事業を創出し、事業を多角化するため、M&Aを活用してきました。

    M&Aの取引構造

    Raghubir Menon, Shardul Amarchand Mangaldas & Co
    Raghubir Menon
    パートナー、M&A・プライベートエクイティ・プラクティス地域責任者
    Shardul Amarchand Mangaldas & Co
    ムンバイ
    Email: raghubir.menon@AMSShardul.com

    企業はM&Aを活用して市場拡大、スケールメリット、事業の多様化など戦略的目標を達成していますが、その取引構造には、契約条件、対価、適法性、当事者間のリスクと報酬の配分が含まれます。

    最も一般的なM&A取引は以下の通りです。

    (1)買収 買収には次の2つの方法があります。(a)プライマリー投資:発行者から直接、株式を取得する。(b)セカンダリー取引:発行者以外のプロモーター、従業員、既存の投資家などから株式を購入する。このような取引のための文書として、買い手と売り手との間で結ぶ株主間契約と株式譲渡契約があります。

    (2)2013年会社法に基づく合併 インドでの合併・統合は、会社法審判所(NCLT)によって進められますが、これには通常、時間のかかる手続きが伴います。しかし、中央政府の承認を得れば、NCLTでの手続きを回避できるファストトラック合併という例外があります。加えて、2018年の外国為替管理(クロスボーダー合併)規則は国際的な合併取引に関する規制の枠組みを提供するもので、これはインド準備銀行が定めた条件の遵守を確実なものにすることから、多くの合併をインド国内で実現してきました。破産・倒産法は、経営難に陥った法人の価値を最大化することを目的とする解決計画のひとつとして、合併・統合を含む企業再編を行う機会を買収者に提供しています。

    (3)資産および事業の買収 インドでは、重要な事業資産と事業を、継続企業として取得することが一般的です。事業譲渡契約または資産購入契約は、譲渡証書とともに、このような取引を円滑に進めるための契約です。

    規制の枠組み

    インドの規制の枠組みでは、利用する投資ビークルの種類に応じて多様な分類の投資経路を提供しています。M&A活動を規制する主な法律としては、2013年新会社法、1872年インド契約法、1992年インド証券取引委員会法、1999年外国為替管理法、1961年所得税法、2002年競争法、2016年破産倒産法があります。

    これらの法律には通常、規則、規制、通達、場合によってはプレスノートやその他の政策文書が添付されています。州や地方にも多くの規制があり、それとともに業種別の多くの法律がまとまって、法規制の全体像が形作られています。

    M&A関連法規制の動向

    Jeel Panchal, Shardul Amarchand Mangaldas & Co
    Jeel Panchal
    シニア・アソシエイト
    Shardul Amarchand Mangaldas & Co
    ムンバイ
    Email: jeel.panchal@AMSShardul.com

    インドのM&Aに関する法規制の枠組みは、技術の進歩と経済の要求に対応しつつ、投資家にとって円滑な買収プロセスを確保するために絶えず進化し続けています。

    (1)証券の電子化の義務付け 企業省(MCA)は、すべての非公開会社(2023年3月31日時点での小企業は除く)に対し、有価証券の電子形式での発行を義務付け、また2024年9月30日以降は、既存の有価証券についてもすべて電子化を促進することを義務付けました。これは、非公開会社の規制を公開会社の規制と統一することで、事業の効率性を高め、株式譲渡の透明性を向上させ、株式の権利に関する法的紛争を減らすことを目的としたものです。

    (2)ファストトラック合併 インドでの合併プロセスを迅速化するため、MCAは、中央政府が合併スキームを承認するまでの時間を短縮し、また、異議が提起され、それに対して中央政府が60日以内に措置を取らなかった場合、みなし承認することを導入しました。

    (3)インド競争法の主要な改正点 従来の資産回転率マトリクスに取引価値の閾値が追加されました。さらに、インド競争委員会(CCI)が合併を承認するための全体のスケジュールを、210日から150日に短縮しました。改正では、CCIが「実質的な影響力」という基準を用いて企業支配の程度を評価する慣習を、本法に組み込んでいます。

    (4)公開会社の外国証券取引所への上場 特定のクラスの公開会社は、認められた外国法域にある、認められた証券取引所に上場する目的で証券を発行することが許可されています。

    (5)市場での噂の明確化 インド証券取引委員会は、2024年6月1日から市場価値で上位100の上場企業に対して、次いで2024年12月1日からは101位から150位までの上場企業に対して、「重要な株価」変動を引き起こすメディアの報道情報について、承認、あるいは否定、あるいは明確にすることを義務付けました。

    (6)インドのデータ・プライバシー制度の改善 2023年8月11日より施行されている2023年デジタル個人データ保護法は、2000年情報技術法の第43A条に基づくインドの現行データ保護規制と、その関連規則に代わるものです。同法はまた、M&A活動に影響を与えることになるでしょう。取引に基づき情報が共有されている個人のひとりひとりから、改めて新たなに同意を得る必要があるからです。

    M&Aの成長要因

    Ketayun Mistry, Shardul Amarchand Mangaldas & Co
    Ketayun Mistry
    アソシエイト
    Shardul Amarchand Mangaldas & Co
    ムンバイ
    Email: ketayun.mistry@AMSShardul.com

    データ分析と人工知能(AI)によって、M&Aのプロセス全体を通して、より多くの情報に基づく迅速な意思決定が可能になり、M&Aの状況は大きく変わりつつあります。企業はイノベーションを促進したり、深層データ分析を行ったり、ルーチンワークを自動化するために生成AIを導入し、その能力を活用しています。

    この傾向は、DatabricksによるMosaicMLの13億米ドルでの買収や、Thomson ReutersによるCasetextの6億5000万米ドルでの買収など、注目を集めた買収に顕著に表れています。また、M&Aの対象となる企業のコンプライアンス、すなわち外国為替や企業の法令遵守の中でも特に、環境・社会・ガバナンス(ESG)の遵守を通して強調される持続可能性に向けた取り組みについて、新たな関心が寄せられています。

    新政権がマニフェストに掲げたインフラ、防衛、観光、農業、住宅、製造業への注力は、これらの分野への投資の増加につながる可能性があります。

    M&Aの急増に伴い、インドでは以下のような、いくつかの重要な取引が行われました。

    (1)綿密に練られた戦略的買収によりJaypee Infratechを獲得したSuraksha Realtyは、競争の激しい不動産分野での地位を強化することになりました。取引額は約24億5000万米ドルに及び、金額ではインドで最大の取引となりました。

    (2)Proximus OpalによるインドのSaaS分野の企業、Route Mobileの過半数株式(約82.70%)の取得は、強制公開買付けと、市場からの追加の未公開株購入を通じて行われました。

    (3)Star India Private、Walt Disney、Viacom18 Media Privateの3社によるジョイント・ベンチャーは約45億3000万米ドルと評価され、電気通信・エンターテインメント業界での最大の取引の一つとなりました。

    (4)Reliance Industries(RIL)は、インドでのデータセンター開発を行うジョイント・ベンチャー設立のため、Brookfield InfraとDigital Realtyの株式の33.33%を取得しました。

    課題

    地政学的緊張と内向きの経済は市場にとって2つの最大の課題ですが、一方、インドの(M&A市場での)取引の評価は、予想される成長率とインド市場が世界の同業他社と比較して、どれほどのプレミアムが付加されるかに影響を受けます。

    また、投資家は、資本集約型ビジネスへの関心を失い始めており、ZestMoneyとFrontrowの事業停止に見られるように、投資段階で、実現可能な収益への道筋が明確であることを重視しています。企業は、過去に資金調達の業界を支配していた際限なく成長を求めるような超拡大主義ではなく、キャッシュフロー重視の、よりスリムな経営モデルを採用することが奨励されています。

    結論

    インドは世界経済の主要なプレイヤーの一つであり続け、その経済規模は2025年までに5兆米ドルにのぼると予想されており、世界中の投資業界にとって魅力的な市場になっています。金融サービス、テクノロジー、製薬、ヘルスケア、工業などの分野は、価値創造と市場シェアの観点から、国内市場で活発な動きを続けるでしょう。

    特にテクノロジー業界は、2024年の外国企業によるインバウンドM&Aの分野で、最も高い成長を遂げると予想されています。インド企業とのM&Aの取引を進めたいならば、外国企業も国内企業も、インド国内の過去の判例を踏襲しつつ、法規制の変更に適応しなければなりません。そうすることで当局からの干渉を受けず、取引を順調に進めることができるのです。

    SHARDUL AMARCHAND MANGALDAS & CO
    23/F, Express Towers, Nariman Point
    Mumbai – 400 021, India
    Tel: +91 22 4933 5555
    Email: connect@AMSShardul.com
    www.amsshardul.com

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