Asia Business Law Journalは、日本の法曹界で最も高く評価されている弁護士を、日本のトップ100人の弁護士と30人のリーガル・アイコンとして発表します。Byung Jin Parkがレポートします。

日本の法律事務所は成長の波に乗っています。そのきっかけとなったのは2023年、東京証券取引所(TSE)が「バリューアップ」の取り組みを打ち出し、株価純資産倍率(PBR)が1倍未満の上場企業に対して企業価値向上のための計画開示を求め、従わない場合には上場廃止となり得ると警告したことです。

その結果、企業は資本効率を高めるため、採算の取れない、または利益率の低い子会社をカーブアウトせざるを得なくなり、一方で十分な資金力を有するグローバルなプライベートエクイティ・ファームが、こうしたスピンオフされた資産を取得したり、マネジメント・バイアウトによって企業を非公開化したりするケースが増えています。

これらのカーブアウト案件は、通常のM&A取引よりも複雑です。親会社と絡み合った資産、人員、知的財産を正確に分離する必要があるためです。そのため、日本の法律事務所は、売り手側に対する法務デュー・ディリジェンスや分離スキームの設計を担ったり、買い手側に対する買収ファイナンスや規制審査を行ったりすることで、アドバイザリーの実績を積み重ねています。

また、クロスボーダーM&Aも増加し、国内人口の縮小と限定的な成長見通しに直面する日本企業が、海外でのクロスボーダー買収を中心的な生存戦略として採用する動きが強まるにつれ、規制コンプライアンスとデュー・ディリジェンスへの需要の高まりが日本の法律事務所にとって事業拡大の主な原動力となっています。

最後に、日本銀行は2025年5月~2026年5月の間に政策金利の引き上げを2度行いました。金利の上昇により現金を保有することの機会費用が大幅に増加し、他の投資先で、より高い実質リターンをもたらすキャピタルゲインを獲得できる可能性が高まるため、日本企業は戦略的投資を一層重視するようになっており、この転換が弁護士にとってさらに多くの新たな助言機会を生み出しています。

このような好機を背景に、弊誌は毎年恒例のAリストとして、日本のトップ100人の弁護士と30人のリーガル・アイコンを発表いたします。このAリストは、広範な調査、ならびに日本国内外の企業内法務担当者や国際法律事務所の日本担当パートナーからの推薦に基づいています。

Aリストの弁護士およびリーガル・アイコンの多くは東京を拠点としていますが、日本で2番目に人口の多い地域である関西圏の主要都市・大阪で活動する方も少なくありません。

海外における日本の利益を守る

日本企業が世界の舞台で非常に活発に活動する中、企業のリーガル・カウンセルは、避けられないクロスボーダー訴訟問題への対応に特に多忙を極めています。今年のAリストで存在感を放つのが、阿部国際総合法律事務所の創設者で代表パートナーである阿部隆徳氏です。同氏はクライアントから、次のような格別の評価を受けています。「(阿部)隆徳氏とそのチームが私たちのために尽力してくださらなければ、勝訴は不可能だったでしょう」

Shohta-Ueno

Regeneron Pharmaceuticalsのロンドンを拠点とするエグゼクティブ・ディレクター/アシスタント・ジェネラル・カウンセルであるShohta Ueno氏は、次のように語ります。「阿部氏は卓越した特許訴訟専門弁護士であり、この1年間、Regeneronに素晴らしい成果をもたらしてくれました。Regeneronは、同氏に信頼できるアドバイザーを務めていただいていることを幸運に思っており、今回の選出に全面的に推薦します」
スイスの製薬会社GaldermaのチーフIPカウンセルであるDavid Banchik氏も、クロスボーダー訴訟における阿部氏の卓越した能力を高く評価しています。「阿部氏は、複数法域に及ぶ訴訟の一環として、現地で訴訟に伴うあらゆる複雑な問題に対処しながら、弁護士や技術専門家から成る国際的なチームと非常にうまく連携してくださいました」

テルアビブのPearl Cohen Zedek Latzer Baratzのパートナー、Guy Lachmann氏は、森⁠・濱田松本法律事務所のパートナーである江平享氏と共同代理人を務め、イスラエルで事業を展開している日本を代表する複数の多国籍企業を代理しました。

Guy-Lachmann-JA

Lachmann氏は次のように述べています。「共同で仕事を進める中で、江平氏は、自身が扱った案件において一貫して最高水準の専門家であることを証明しました。江平氏と仕事をする機会を得られたこと、そして複雑な案件で私と共に共同代理人を務めてくださったことに、深く感謝しています」

専門性という強み

今年のAリストで評価を得る上で重要な要因となっているのは、やはり専門分野に関する知見であり、それを裏付けるように、個々の弁護士のパフォーマンスを称賛するクライアントからの推薦が多数寄せられています。

東京のAIテック企業MQueの創業者である津田拓也氏は、AI、シミュレーション、ヒューマンデータが交差する領域で事業を展開するディープテック企業のCEOとして、AIガバナンスとデータ保護に関する案件で、森⁠・濱田松本法律事務所のパートナーである増田雅史氏と緊密に協働してきました。

津田氏は次のように語ります。「AIとデータガバナンスが企業戦略の中核となりつつある今日の環境では、法的知見をビジネスや技術的理解と統合することができる弁護士が不可欠です。増田氏はまさにその能力を体現しており、同氏が選出されることは、このランキングが持つ先見性と強く合致すると考えます」

東京のトヨタ・ブロックチェーン・ラボの著名な暗号資産アナリストである上野直彦氏によれば、増田氏の.「最大の強み」は法理論にとどまらない助言を提供する能力にあります。上野氏は次のように述べています。「同氏は法的要件を確実に満たすようにしてくださっただけでなく、投資家がどの開示項目に注目するかを踏まえた実務的な提案も行ってくださいました」

中村合同特許法律事務所のパートナーである飯田圭氏は、知的財産法に関する深い知見で高く評価されています。カリフォルニアのSkyworks SolutionsのチーフIPカウンセルであるNoel Whitley氏は次のように語ります。「日本と米国の双方における飯田氏の特許法分野の経験は並外れたものがあり、技術に対する理解と日本の裁判実務に関する知識も同様です」

「飯田氏とそのチームは、弊社にとって何としても勝たなければならない大規模訴訟案件を担当してくださいました」

フロリダ拠点のIronbutt Enterprisesのディレクター兼リーガル・カウンセルであるStephen Kovacic氏も、日本の知的財産法に関する飯田氏の「非常に明確で精緻な助言」を評価しています。Kovacic氏は次のように述べます。「飯田氏は、私たちが知的財産の防御や権利行使において適切な戦略を立てるとともに、紛争の和解協議においても適切な戦略を立てることができるようなアドバイスを提供してくださいます」

法律界の巨人

TMI総合法律事務所のシニア・パートナーである岩倉正和氏は、今年のAリストにおいてアイコンとしての地位を確固たるものにしており、クライアントから日本の企業法務界の「巨人」であるとの称賛の声を集めています。

国際法律事務所の英国人コーポレート弁護士は次のように述べています。「岩倉氏はTMI総合法律事務所で信じられないほど優秀なチームを率いており、最も注目度の高い取引を複数手掛けています」

「彼の人脈は驚くほど幅広く、それによって、数多くのクライアントに対して、十分な情報に基づく洞察力に富んだビジネス上の助言を提供することができるのです」

また、今年、栄誉あるリーガル・アイコンに選出されたサウスゲイト法律事務所の共同創業パートナーであるEric Marcks氏も、Stephenson Harwoodのシンガポール拠点パートナー、Tom Platts氏から、日本の法曹界における「傑出した存在」と称賛されています。

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Platts氏は次のように語ります。「サウスゲイト法律事務所における同氏の業務は、日本のクロスボーダーM&Aにおいて高い基準を確立しており、複数法域が関わる取引でしばしば生じる文化や法制度の違いを埋める稀有な能力を持っています」

「Marcks氏は、技術的な詳細を見失うことなく『大局』を理解できる、実務的でビジネス感覚に優れた弁護士です」

Aリストの作成について

この「Aリスト」は、Asia Business Law Journalが実施した広範な調査に基づいています。日本のトップ弁護士の選定に当たって、弊誌は日本国内外の数千人におよぶ企業内法務担当者や国際的な法律事務所のパートナーに対して、選出されるべき弁護士を推薦していただくよう依頼しました。

Aリストの弁護士は、推薦フォームにおいて「現在、日本の法曹界で最も活躍している弁護士。日本の最も高度な法務案件を自ら手掛け、複雑な問題に対して最も先進的な法的解決策を生み出し、品質、革新性、複雑な案件への対応力において最高水準を示している弁護士」と定義されています。

また、「リーガル・アイコン」は「日本の法曹界を代表する存在であり、クライアントや後進からも尊敬を集める大物。日本で最も評価されている法律事務所や法務チームを率いるメンター。国内屈指のビジネス創出力を有する弁護士」と定義されています。

日本国内のすべてのプライベート・プラクティスの弁護士および国内に拠点を置く外国人弁護士が、自動的に推薦の対象となりました。エントリーに際して、費用やその他の要件は一切発生しておりません。